ものづくりに携わる「職人」の仕事とは?種類や仕事内容、待遇や将来性を解説

※この記事は6分30秒で読めます。
「職人の仕事って何がある?」
「職人の仕事を見つける方法を知りたい」
など、職人の仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
職人の仕事は、建築や工芸、工業、食品などの分野で自分の技術を活かして製品や商品を作り上げる職業が該当します。
今回は、職人の仕事の概要、職人の仕事の種類と特徴、職人の仕事の見つけ方などを解説します。この記事を読めば、職人の仕事のことがよくわかり、自身に合った仕事を見つけることができるようになります。
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1.「職人」の仕事とは?定義はある?
職人とは、自らが身につけた技術によって手作業で工芸品や食品などを作る職業のことです。熟練した手先の技術を身につけた人であり、その技術を身につけるには10年単位で修業が必要な場合もあります。
2.代表的な職人仕事の種類
ひと口に「職人」といってもその種類はさまざまですが、大きく「建築系」「食品系」「ものづくり系」「伝統工芸系」に分かれます。職人の仕事内容4つを詳細にご紹介します。
2-1.建築系の職人
建築系の職人とは、住宅や建造物を作るプロのことです。代表的な建築系の職人仕事は以下のとおりです。
2-1-1.大工
建造物の建築や修理をおこなう職人です。さらに細かい分類として「家屋大工」「橋梁大工」「大道具方」などに分類されます。神社仏閣・城郭の建築や補修を手掛ける職人は「宮大工」と呼ばれます。
2-1-2.左官
石灰、砂、土、自然の繊維などを組み合わせた材料をコテで塗ることで壁や床を作る職人です。
2-1-3.内装工
家や店舗の内装を作る職人です。屋内の内装工事すべてを請け負うことから分業が進んでおり、床仕上工や塗装工、ボード張り工や壁装工など、幅広い分野があります。
2-1-4.塗装工
主に建造物や住居などの塗装をおこなう職人で、いわゆる「街のペンキ屋さん」のことです。塗装には、錆びを防ぐための防水や熱の遮断、耐火、防腐、紫外線対策などさまざまな目的があり、それに応じて扱う塗料の種類も異なります。塗料の種類や用途を覚えるには長い年月が必要となります。
2-1-5.板金工
金属板を加工して屋根や外壁などの工事をする職人です。雨の侵入を防ぐうえでも重要な技術を扱っており、高所で作業することも少なくありません。
2-1-6.建築士
建築物の設計や工事の監理をする職人です。一級建築士・二級建築士・木造建築士といった国家資格を取得することで、その専門性を証明することができます。建物のデザイン設計、土台設計、電気設備の設計、建築現場での管理と、その業務内容は多岐にわたります。
2-1-7.庭師
庭石や池、芝、樹木などを使って庭を設計したり制作したりする職人です。また、庭を管理・剪定する専門家も庭師と呼ばれます。
2-1-8.電気工事士
送電線や配電盤、電灯など電気工作物の工事に携わる専門家のことです。工場、ビル、住宅など、さまざまな建設物の内外で電気設備の設計や施工をおこないます。
2-1-9.溶接工
加圧・加熱を施して鉄を溶接する技術を駆使する職人です。建築資材の他、自動車、貴金属、時計」などで溶接の職人技術が使われています。
2-2.食品系の職人
食品系の職人として代表的な職業は以下のとおりです。
2-2-1.和菓子職人
和菓子を作る職人のことです。和菓子店や和菓子メーカーに勤め、技術と経験から巧みに和菓子を作ります。和菓子は日本の歴史や季節とも関係が深く、味はもちろん、視覚的にも楽しめることが求められます。
2-2-2.パティシエ
パティシエとは洋菓子職人のことです。フランスでは国家資格に認定されており、高い地位を得られる職業として人気があります。日本には国家資格はありませんが、パティシエの勉強をするにあたっては菓子製造技能士、製菓衛生師資格などを取得することも有効です。
2-2-3.パン職人
材料の配合・発酵・焼き上げといった流れでパンを作る職人です。パンの種類は無限ともいえるほどあり、それぞれで焼き方が異なるため技術を習得するのに時間がかかります。定番メニューを作る以外に、時代のニーズを汲み取ってブームを生み出すセンスも求められます。
2-2-4.酒造技能士
酒づくりに関する国家資格を保有する専門家です。学科試験と実技試験に合格することで取得できます。実技では、白米の精米判定からきき酒による判定まで、実戦的な試験をクリアしないと合格には至りません。
2-2-5.蕎麦打ち職人
石臼でそば粉を挽き、粉をこねたあとに包丁で切ってそばを作る職人です。経験と勘がものをいうといわれており、一人前になるには10年単位の修業が必要とされます。
2-2-6.ワイン製造技術者
ワインを製造するプロです。農業系の大学でワインについて学ぶほか、ワインの本場に留学して技術を習得する場合もあります。
2-2-7.寿司職人
寿司づくりを生業にする職業のことで、多くの職人は10年以上の修行を経て独立して店を構えます。近年はチェーンの寿司店に人気があり、個人で寿司職人として成功するのは簡単ではありません。
2-2-8.ふぐ調理師
ふぐをさばいて調理するプロです。ふぐには猛毒があるため無資格で調理することは許されず、この資格が必須になります。
2-2-9.豆腐職人
豆腐だけでなく、油揚げや厚揚げ、がんもどきなどの大豆製品を作る職人のことを指します。豆腐店に就職して技術を習得することになりますが、気候や水温で水の扱い方が異なることから、おいしい大豆製品を作るには長年の経験が必要となります。
2-2-10.塩づくり職人
料理に欠かすことのできない塩を作る職人です。機械化が進んで精製塩が作られるようになった現在でも、太陽熱と風、火を使った製法による自然塩は高い人気を誇ります。
2-3.ものづくり系の職人
ものづくり系の職人としては刃物、家具など、生活に欠かせない身近なものを作る職人が当てはまります。
2-3-1.金型設計士
金型とは、金属やプラスチックを大量生産するために必要になる「型」のことで、これを作る職人を金型設計士や金型職人と呼びます。設計図どおりに金型を製作するには高い技術力が求められます。
2-3-2.彫金師
たがね(鏨)と呼ばれる道具を使用して金属を彫る「彫金」という技術で金属を加工する職人です。神社や仏閣の装飾がイメージされますが、身近なところではアクセサリーや小物の制作にも携わります。
2-3-3.刃物職人
包丁や鎌、はさみなど、さまざまな刃物を作る職人です。刃物工房に弟子入りして親方のもとで指導を受け技術を身につけていきますが、一人前になるには10年単位の修業が必要とされます。
2-3-4.家具職人
家具を作る職人です。今では家具の大半はオートメーションで製造されますが、機械では作成できない細かい部分や工芸的要素の強い家具は職人によって作られます。
2-3-5.楽器職人
楽器を制作するだけでなく、その修理や調律もおこなう職人です。素材の良し悪しの判断力だけでなく、楽器の特性の知識や音感まで求められる点に特徴があります。
2-3-6.織物職人
麻、絹、綿などの糸を縦横に組み合わせて布地を作る職人です。着物だけでなく、帯・小物・インテリア製品などさまざまな製品が存在し、織り方の技法も多種多様です。
2-4.伝統工芸系の職人
伝統工芸は日本を代表する技術です。主な伝統工芸系の職人を以下に挙げます。
2-4-1.漆職人
漆(うるし)と呼ばれる天然樹脂塗料を使った職人のことです。塗料を木材の器に塗ることで「漆器」を作成します。
2-4-2.陶芸家
粘土の形状を整え、場合によっては絵をつけ、窯で焼いて陶磁器を作る職人です。東北から沖縄まで各地でさまざまな技法が伝えられており、自身の個展などを通して名前が世間に認知されることを目指します。
2-4-3.表具技能士
一般的に「ふすま屋」と呼ばれる職人です。紙・布・糊を駆使して、巻物・書画帖・屛風・襖・掛物などを作成します。
2-4-4.仏具職人
先祖供養に欠かせない仏具を制作する職人です。製造工程は分業化されており、それぞれ専門の職人が手掛けています。外郭を木材で作るのは「木地師」、装飾となる動物や花を彫るのは「彫師」です。
また、金具を作る「錺屋(かざりや)」や、外郭に漆を塗る「塗師(ぬし)」など、さまざまな職人が関わって一つの仏具を作り上げていきます。
2-4-5.指物師
指物(さしもの)とは板を合わせて作る家具のことで、作り手を指物師といいます。釘を使わず木を組み合わせて作るところに特徴があり、京指物や江戸指物などの種類があります。
2-4-6.和紙職人
古くから日本で作られてきた和紙の職人です。手すき和紙の技術はユネスコの世界無形文化財にも登録され、日本を代表する技術となっています。一枚ずつ手すきで仕上げる仕事には技術と集中力が求められます。
2-4-7.花火師
花火の製造や打ち上げをおこなう職人のことです。単に花火を作るだけでなく、花火大会の準備や設営も仕事に含まれます。
2-4-8.竹細工職人
竹を材料にして日用品や工芸金、農具などを作る職人です。竹を細く切り網細工などの加工をします。こちらも一人前になるには長い経験と技術が求められます。
3.職人の仕事に向いている人
職人の仕事は総じて高い技術力と経験が求められ、人によって向き不向きがはっきりと分かれます。
職人の仕事に向いているのは、以下のような特徴を持つ人です。当てはまる項目が多ければ、職人としての適性を持っている可能性があるでしょう。
なお、職人の向き不向きやいわゆる「職人気質」については以下の記事でも併せて解説しています。
3-1.手を抜かず妥協しない
職人は分野に特化したプロフェッショナルであり、制作物に自分の名前が残ることも珍しくありません。そのため、仕事に手抜きや妥協は許されません。細部にまで強いこだわりをもち、作業の一つひとつを完璧にやり抜こうとする人は、職人に向いているといえるでしょう。
3-2.仕事に対して夢中になれる
職人の仕事というと華やかなものを想像する方もいるかもしれませんが、実際はコツコツと進める地味な作業工程が多い仕事でもあります。地味な作業でも夢中になり、楽しんで取り組めるタイプの人は、職人向きの性質だといえるでしょう。
3-3.知識や技術を学ぶことに対して貪欲
職人の世界は修行時代が長く、毎日のように知識や技術を学ぶことになります。独り立ちしたあとも同じで、毎年のトレンドやブームや新しい技術は、一人前の職人となっても学ぶべきものです。日々の修練だけでなく、さらなる知識や技術を貪欲に蓄えていけるような向上心のある人に向いています。
4.職人になる方法
職人を目指す人に向け、職人になる方法を4パターンご紹介します。
4-1.弟子入りする
職人になる近道としては、プロの職人に弟子入りする方法があります。現場で地道に仕事を覚えながら将来の独立を目指しましょう。弟子である間は初期投資が必要なく、師匠の機械や道具を使わせてもらえるのがメリットです。
ただし、会社勤めではないので修業期間は薄給だったり無給だったりする可能性があるので、条件面は事前に確認しておきましょう。
4-2.職業訓練校に入る
建築系の職人志望であれば、職業訓練校に通うことで技術を身につけられます。「建設技術者育成コース」「建設CADコース」「測量基礎コース」などさまざまな分野を専攻することができ、手に職をつけられることで就職・転職に有利となります。
ただし、職業訓練校に入校するには「受講開始日からさかのぼって一年以内に公共職業訓練を受講していないこと」などの必須条件があります。さらに、入校選考として面接・書類選考・筆記試験・適性検査などがおこなわれます。
4-3.専門学校に入る
製菓や建築、伝統工芸の職人を目指すなら、専門学校に入る方法もあります。職人になるために求められる技術について、座学と実技で幅広く学ぶことができます。専門学校によっては授業料が高くなりますが、基本的な技術や知識を身につけたうえで就職活動できるのがメリットです。
4-4.求人サイトから職を探して働く
親方に弟子入りせず現場ですぐに仕事を覚えたい場合は、求人サイトから求人募集を探す方法もあります。まずはアルバイトなどで仕事を始め、技術を身につけたり資格を取ったりして経験を積み、正社員として雇用されたあとにあらためて一人前の職人を目指します。
求人サイトの検索機能で「職人 未経験」などのキーワードで検索すれば、未経験でも雇ってくれる企業を見つけることができるでしょう。
5.職人の待遇
職人の待遇は、職業や職人の技術・知名度に大きく左右されます。一昔前は、職人になるには住み込みで弟子入りをし、下働きから始めて少しずつ技術を学ぶのが当たり前の世界でした。
しかし、志願者の減少にともなってそうした環境も変わりつつあります。以前は薄給や無給で弟子入りする場合もあったようですが、今は給与も支払うところがほとんどです。住み込みなどもせず、会社が用意した寮に入って暮らせることもあります。
ただし、同じ職人でも企業によって待遇が大きく変わる場合があるため、転職サポートを利用し、待遇の良い企業を紹介してもらうことをおすすめします。
JOBPALでも転職のサポートをおこなっています。気軽に相談できる面談ができますので、ぜひご利用ください。
6.職人の仕事の将来性
次に、職人の仕事の将来性について見ていきましょう。食品系や建築系の職人の仕事には機械化できない手作業が数多くあります。そのため、内容によっては今後も必要不可欠な仕事が多くあります。
6-1.伝統工芸品は海外で人気が高い
少子化が進む日本では、職人の高齢化や後継者不足が問題となっています。また、消費者が海外からの安価な製品を好むといったライフスタイルの変化により、伝統工芸品の生産額も減少傾向にあります。
一方、確かな技術に裏打ちされた日本のものづくりは海外からも高く評価されています。そのため、ECサイトや訪日外国人に向けて商品を販売することなどにより新たな販路を得られる可能性もあるでしょう。
6-2.需要は高いのに人手が不足している
職人の仕事のなかには、私たちの生活に欠かせない仕事も数多くあります。例えば左官職人や板金工などといった仕事は、私たちの暮らしとは切っても切り離せないものです。
将来的には深刻な人手不足が予想されます。今から職人を目指す人材は貴重であり、仕事探しに関しては今後も追い風だといえるでしょう。
7.まとめ
職人の仕事は大きく「建築系」「食品系」「ものづくり系」「伝統工芸系」に分かれており、ユネスコの無形文化遺産に含まれるような技術もあります。プロの職人や親方に弟子入りするスタイルが従来の始め方でしたが、現在は福利厚生が整った企業で働くことも可能です。
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