機械工学科の就職先は?学びを活かせる業界や職種、資格について紹介

この記事で分かること
- 機械工学科は、機械を作るために必要な知識や技術を学ぶ学科
- 機械工学科では幅広い分野で活かせる知識や論理的思考力などが身につくため、就職に有利という強みがある
- 機械工学科におすすめの就職先には、製造業・建設業・電気業・IT業・官公庁などがある
- 機械工学科は、機械設計やエンジニア、技術系のコンサルタントなど、経験を活かせる職種も幅広い
※この記事は6分30秒で読めます。
「機械工学科の就職先にはどんな企業がある?」
「機械工学科の知識が活かせる仕事って?」
など、機械工学科の就職先に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
機械工学科は、新しい機械を作るための知識や技術を学ぶ学科であり、機械工学の知識を活かせる仕事は多くあります。
今回は、機械工学科の就職活動における強みやおすすめの就職先、機械工学科に関する資格などを詳しく解説します。この記事を読めば、機械工学科の就職先についてよくわかり、自分にあった就職先を見極められるでしょう。
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1.機械工学科とは?
機械工学科とは、新しい機械を作るための知識や技術を学ぶ学科を指します。
機械には自動車や飛行機、時計、カメラ、パソコンなど、多くの種類があります。身近な機械にも機械工学が活用されており、人々の生活をより豊かなものにする機械の設計・開発などに欠かせない学問です。
機械工学では、基礎として「四力学」と呼ばれる以下4つの力学について学びます。
- 機械力学
- 材料力学
- 熱力学
- 流体力学
それぞれどのような内容を学ぶのか、詳しくみていきましょう。
1-1.機械力学
機械力学は、機械を構築する各要素の動きや機械そのものの動きによって生じる力に関する学問のことです。身近な家電製品や工場で使われているベルトコンベアーなど、機械力学はあらゆる機械に活用されています。
例えば、車はエンジン内部でガソリンと空気が混ざったときの爆発力によってピストンを動かし、タイヤが回転する仕組みです。
こうした力を運動に変換する機械を作るためには、機械力学の知識が欠かせません。
1-2.材料力学
材料力学は、機械・構造物を作るための材料にどのような力が加わったとき、どのように変形したり破損したりするかなど、あらゆる材料の特性に関する学問のことです。壊れない機械や構造物を作るために活用されています。
例えば、橋を作るとき、「どのような材料を使うか」「どのような形状や寸法であれば一定の荷重に耐えられるか」などについて材料力学を活かしながら検討します。
機械や構造物を作る際、「どうすれば壊れないか」を考えるために必要な知識が材料力学です。
1-3.熱力学
熱力学は、熱を力に変換する仕組みに関する学問を指します。
例えば、蒸気機関車は以下の流れで動く仕組みです。
- 石炭を燃やす
- 熱が発生する
- 発生した熱で水を沸騰させる
- 水の沸騰で蒸気が発生する
- 発生した蒸気がピストンを動かす
- 車輪が回る
熱が直接的に車輪を動かすわけではありませんが、ピストンを動かすには熱によって蒸気を作る必要があります。
このように、「熱をどのように利用すれば力に変換できるか」を考えるために必要な知識が熱力学です。
1-4.流体力学
流体力学は、自由に変形する気体や液体を意味する「流体」の動きに関する学問のことです。風力発電や水力発電、家庭にガスや水を輸送しているパイプなど、さまざまな場面で流体力学が活用されています。
例えば、風力発電は、風の力によって風車を回転させ、その回転運動を発電機に伝えることで、電気へと変換する仕組みです。
気体や液体を運動に変換する機械を作るには、流体力学の知識が欠かせません。
2.機械工学科は就職に有利?活かせる強みとは
機械工学科は就職に有利といわれることがあります。具体的にどのような強みを活かせるのか、詳しくみていきましょう。
2-1.幅広い産業分野で活かせる
機械工学の知識は、幅広い産業分野で活かせる点が強みの一つです。そのため、さまざまな業界の企業を就職先の候補として考えられます。
具体的な業界・産業の例としては、以下のとおりです。
- 製造業
- 建設業
- IT業界
- 電気・電子業界
- 食品業界
- 医療業界
機械を作る自動車メーカーや家電メーカーなどの製造業はもちろん、機械とは一見関係なさそうな食品メーカーや医療業界などでも、機械工学の知識を活かせる仕事があります。
例えば、食品メーカーでは、機械工学の知識を活用して機械による生産ラインを構築すれば、商品製造の自動化が実現します。
機械工学の知識は多くの業界で必要とされており、就職先の選択肢の幅も広い点が特徴です。
2-2.論理的思考力や課題解決力が身についている
機械工学科では、数値やデータをもとに論理的に考え、答えを導く機会が多くあります。そのため、就職活動では機械工学科で培った論理的思考力や課題解決力をアピールできる点も強みです。
例えば、「安全な橋を作る」という課題には、以下のように多角的な視点が必要です。
- どのような材料を用いるか
- どのような形状と寸法にするか
- どのような計算式を立てればよいか
このように、機械工学科では学んだ知識の中から「どの知識を」「どのように活用すればよいか」が問われます。さらに、最適解を導くためにはどのような手順を踏めばよいかまで考えなければなりません。
そのため、感情や目先の問題に左右されず、冷静に対応する力が身につきます。論理的思考力や課題解決力は、機械に関係のない業界や職種でも活かせる強みです。
2-3.品質や安全性への意識が高い
機械工学科での学びは、製品の品質や安全性への意識向上につながる点も強みの一つです。機械工学の知識は、壊れない構造物や安全な機械を作るために活用されます。
例えば、壊れない橋を作るにはどのような材料や構造にすればよいか、ガスを安全に輸送するにはどのような管や経路にすればよいかなどを考えます。
機械工学を学ぶ段階で、品質や安全性に関するさまざまな検証をおこなうため、品質や安全性への意識が自然と高まっていくでしょう。
品質や安全性を担保した製品・サービスを作る力は、幅広い業界で高く評価されます。そのため、機械工学科で培った品質や安全性への意識の高さは、就職活動でアピールできる強みになります。
3.機械工学科におすすめの就職先・業界
ここでは、機械工学科の方におすすめの就職先・業界を5つ紹介します。
3-1.製造業
製造業は、家電や自動車、精密機器などのさまざまな製品を製造・販売する業界です。製品そのものを作るだけでなく、製品を作るための機械を設計したり開発したりする仕事でも機械工学の知識を活かせます。
このように、機械工学科で学んだ知識を直接的かつ幅広く活用できるため、製造業は機械工学科の就職先として人気の業界の一つです。
3-2.建設業
建設業は、土木や建築などの設計から建設工事、管理までを担う業界です。建設工事で使用する建設機械や建設物の設計には、機械工学の知識が欠かせません。
近年では、建設業の人手不足を解消するために、人間の作業を代わりにおこなうアシストロボットの導入を進める企業があります。そのため、ロボットの製造・活用にも役立つ機械工学の知識を持つ人材の需要はさらに高まると期待できます。
3-3.電気・電子業界
電気・電子業界は、電気を使ったさまざまな機器を製造・販売する業界です。家電やゲーム機器、半導体、電子部品などを製造する際に、機械工学の知識が活用できます。
また、あらゆるものをインターネットにつなぐIoT(アイオーティー)やAIを活用した電子機器の開発が進められており、そうした電子機器の開発・製造には機械工学の知識が欠かせません。
3-4.IT業界
IT業界は、IT技術を活用した幅広い商品・サービスを提供する業界です。IT業界と機械工学は関わりがないように感じられるかもしれませんが、近年ではさまざまな機械にIT技術が活用されています。
例えば、ロボット掃除機は搭載されたセンサーによって周囲の状況を確認し、コンピュータが掃除ルートを決めるなど、さまざまなIT技術が機械を動かしています。
将来的にも、このようなIT技術を活用した機械が増えていくでしょう。そのため、機械に関する幅広い知識を持った機械工学科の人材は、IT業界でも高い需要が期待できます。
3-5.官公庁・公務員
官公庁・公務員といっても、機械工学の知識を活かせる職場は以下のようにさまざまです。
- 財務省
- 警察庁
- 消防庁
- 農林水産省
- 国土交通省
例えば、財務省の税関では、密輸調査や通関審査をより精密かつ効率的にするため、検査機器の導入に取り組んでいます。こうした検査機器の運用や制度設計には、機械工学の知識が必要です。
また、中央省庁でなくとも、地方公務員として機械の設計・管理に携わる仕事もあります。このように、機械工学科の就職先として官公庁・公務員も人気です。
4.機械工学科の経験やスキルが活かせる職種
ここでは、機械工学科での経験やスキルが活かせる職種を4つ紹介します。
4-1.品質管理・生産管理
品質管理・生産管理は、製品の材料やサイズなどが求められた品質を満たしているか、生産する数量はどうするかなど、製品の品質や生産を管理する職種です。製品が原因の事故や環境汚染などが起こらないようにするために重要な役割を担います。
品質や生産を適切に管理するためには、製品を作る機械のメンテナンスが欠かせません。よりよい製品を作るために、新たな機械を構築することもあります。
そのため、品質管理・生産管理の仕事では、機械工学科で学んだ知識を直接役立てられます。
4-2.機械設計・開発
機械設計・開発は、文字通り機械の設計や開発をおこなう職種です。図面の設計だけでなく、開発スケジュールの管理やコストの計算なども幅広く担います。
扱う機械の種類は、以下のようにさまざまです。
- 自動車
- 飛行機
- 医療機器
- 建設機械
- 産業機械
例えば、自動車メーカーで車体の強化・軽量化を実現するために、現在の材料より軽く強いものはないか、どのように加工すればよいかといった材料力学の知識が活かせます。
このように、機械設計・開発は機械工学科で学んだ幅広い知識を活かせる職種の一つです。
4-3.エンジニア
機械工学の知識を活かせるエンジニアには、幅広い種類があります。例えば、「メカニカルエンジニア」は自動車や航空機、ロボットなどを設計・開発する職種です。機械工学科で得られた経験やスキルを直接活かせます。
その他の主なエンジニアは、以下のとおりです。
種類 | 概要 |
---|---|
セールスエンジニア | 顧客に対し自社製品・サービスの説明や提案をおこなう。営業のサポートをするだけでなく、単独で販売活動をおこなう場合もある。 |
サービスエンジニア | 顧客がすでに導入している製品・サービスの保守運用といったアフターサポートをメインにおこなう。 |
フィールドエンジニア | 顧客のもとに出向き、購入した製品の保守点検やメンテナンスなど、製品・サービスの管理を全般的におこなう。 |
システムエンジニア | ITシステムやソフトウェアの設計・開発をおこなう。 |
機械工学科では、機械に関する知識や技術はもちろん、論理的思考力も身につきます。直接的に機械に関わらないシステムエンジニアも、顧客の要求に対して最適なシステムを最小のコストで提案しなければならないため、論理的思考力が役立つでしょう。
このように、エンジニアは機械工学科で学んだ知識が幅広く活かせるため、人気の職種の一つです。
4-4.技術系のコンサルタント
技術系のコンサルタントは、顧客が抱える課題に対して技術面のアドバイスをおこない、課題解決へと導く仕事です。
例えば、工場の産業機械で生産される製品に同じエラーが多発する場合、どこに原因があるか、どのように機械を改善すればエラーが発生しないかなどをアドバイスします。これには機械工学の知識が必要です。
他にも、新しい製品の開発に関するサポートをおこなうこともあります。
機械に関する知識はもちろん、発想力やコミュニケーション能力も求められる職種です。
5.機械工学科に関する資格
機械工学科に関する5つの資格についてみていきましょう。
5-1.2次元CAD利用技術者
そもそもCAD(キャド)とは、コンピュータ上で効率的に図面を作成するためのツールです。2次元CAD利用技術者は、CADを利用するための知識を持ち、平面の図面を正確かつ効率的に作成できることを証明する資格です。
機械の設計にはCADを用いることが多く、デジタル技術を活用している企業の中では、67.8%もの企業がCADを活用しています。
CADの技術は機械設計に役立つため、資格を持っておくと就職・転職活動において強みとなるでしょう。
参照:経済産業省「令和5年度 ものづくり基盤技術の振興施策」
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/pdf/all.pdf
5-2.3次元CAD利用技術者
3次元CAD利用技術者は、CADを利用するための知識を持ち、平面だけでなく、立体的な図面を正確かつ効率的に作成できることを証明する資格です。
3次元CADでは図面の作成以外にも、表面積や体積なども算出できるので、2次元CADより詳しいシミュレーションが実現します。
機械や構造物の設計・デザインに3次元CADを活用する企業もあるため、機械設計の仕事を目指すなら、高度な知識・技術の証明になる3次元CAD利用技術者の取得もおすすめです。
5-3.技術士
技術士は、科学技術に関する専門知識や応用力を持っていることを証明できる資格です。
第一次試験は、大学のエンジニアリング課程修了程度が試験内容とされ、誰でも受験できます。第二次試験を受けるには、4~7年の実務経験が必要になるため、学生のうちに取得を検討している方は第一次試験のみの受験となります。
技術士の第一次試験に合格していれば、機械以外にも技術的な知識を幅広く有していることをアピールできる点が魅力です。
参照:公益社団法人 日本技術士会「技術士資格取得までの仕組み」
https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/000083.html
5-4.機械・プラント製図技能士
機械・プラント製図技能士は、機械やプラントの図面を作成できることを証明する資格です。製造業・建設業・電気業など多岐にわたる業界で需要があります。
1級~3級まであり、2級は2年以上、1級は7年以上の実務経験が必要となりますが、3級は実務経験が6ヵ月に満たない場合でも受検可能です。
3級の試験は、製図や材料力学などを範囲とする学科試験と、機械製図手書き作業・機械製図CAD作業の実技試験が実施されます。学生のうちに資格を取得する場合は、3級合格を目指しましょう。
参照:中央職業能力開発協会「技能検定のご案内」
https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/giken.html参照:厚生労働省「機械・プラント製図技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001168012.pdf
5-5.機械設計技術者
機械設計技術者は、安全で効率的な機械を設計する能力を証明できる資格です。取得によって機械設計に関する一定の知識を持つことが認定されます。
1級~3級があり、2級は2年~7年の実務経験、1級は2級取得もしくは5年~10年の実務経験が受験要件となります。3級は実務経験が必要ありません。
3級は、機械・装置の詳細設計サポート、製図等の業務をおこなうスキルがある技術者または機械設計全般の基礎知識を習得している学生が対象となります。
機械設計技術者を取得すれば、機械設計に関する基礎知識があることを企業に対してアピールできます。
参照:一般社団法人 日本機械設計工業会「試験概要と出題科目」
https://www.kogyokai.com/exam/outline/
6.まとめ
機械工学科は、機械を作るための知識や技術を学ぶ学科です。幅広い分野で活かせる知識や論理的思考力などが身につくため、就職に有利といわれることがあります。
機械工学科におすすめの就職先には、製造業・建設業・電気業・IT業・官公庁など、幅広い業界が挙げられます。スキルを活かせる職種として、機械設計やエンジニア、技術系のコンサルタントなど、豊富な選択肢がある点も魅力です。
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