何歳まで働くのが一般的?高齢まで働くメリットと働きやすい仕事

この記事で分かること
- 日本企業の定年は60~65歳が一般的である
- 何歳まで働くか悩む理由には、生活費の不安や体力の問題、職場での立場の変化などがある
- 高齢まで働くメリットは、収入によって金銭的なゆとりができたり、やりがいを得られたりすることである
- 高齢になっても働きやすい仕事には、工場や倉庫の軽作業やマンション管理人、事務職などがある
- できるだけ長く働き続けるためには健康管理を徹底したり、無理のない働き方を検討したりすることが大切
※この記事は6分30秒で読めます。
「何歳まで働くのが一般的なの?」
「高齢になっても無理なく働ける仕事はある?」
など、今後の働き方や仕事を辞めるタイミングについて悩んでいる方もいるでしょう。
高齢まで働くことには、安定した収入を得られたり、社会とのつながりを持てたりするメリットがあります。しかし、無理をして働き続けると体調を崩す恐れもあるため、自分に合った働き方を見つけることが重要です。
今回は、何歳まで働くべきか悩む理由や高齢まで働くメリット、できるだけ長く働き続けるためにできることなどを解説します。この記事を読めば、何歳まで働くか考える際のポイントがわかり、今後の仕事や生活のプランを立てやすくなるでしょう。
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1.日本では何歳まで働くのが一般的?
厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によると、定年制を導入している会社のうち、定年を60~65歳の間に設定している会社は約96%です。(※1)そのため、定年を迎える60〜65歳頃にそれまで勤めていた会社を退職する場合があります。
高年齢者雇用安定法第8条では、会社が定年を設定する際は60歳以上にするよう義務付けられています。(※2)また、同法第9条により、定年が65歳未満の会社は以下のいずれかの措置をおこなわなければなりません。(※3)
- 65歳まで定年を引き上げる
- 65歳まで継続して雇用する制度を導入する
- 定年制度を廃止する
さらに、令和3年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、定年が65歳以上70歳未満の会社には、上記のいずれかの措置を70歳までおこなう努力義務が課されました。(※4)法改正により、65歳以上でも働きやすい環境が整っていくと考えられます。
なお、定年による退職日について法的な決まりはありません。定年に達した日が退職日となる会社もあれば、定年に達した日の月末や年度末が退職日となる会社もあります。
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(※1)参照:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/dl/gaikyou.pdf
※「第15表 一律定年制を定めている企業における定年年齢階級別企業割合」にある定年年齢階級60〜65歳の割合をすべて足して算出。
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(※2)参照:e-Gov 法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律|第8条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068#Mp-At_8
※本文の「高年齢者雇用安定法」は通称。
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(※3)参照:e-Gov 法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律|第9条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068#Mp-At_9
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(※4)参照:厚生労働省「高年齢者の雇用」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09_00001.html
2.何歳まで働くべきか悩む理由
ここでは、何歳まで働くべきか悩む理由を紹介します。自分がなぜ悩んでいるのか整理することで、今後の働き方について検討しやすくなるでしょう。
2-1.老後の資金や年金の不安
老後の資金や年金の不安は、何歳まで働くべきか悩む理由の一つです。年金は原則65歳から受給できるため、65歳より前に退職すると収入源がなくなってしまいます。(※1)
希望すれば60歳から年金を受け取れますが、生涯にわたり、本来の受給額から減額された金額しか受け取れません。(※2)
一方で、年金の受給開始を66〜75歳に後ろ倒しすると、遅らせた期間に応じて増額された年金を受け取れるようになります。(※3)
厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によると、日本の平均寿命は延びてきており、直近で男性は81.09歳、女性は87.14歳と長寿です。(※4)
そのため、年金の受給額が少ないと老後の生活費が足りなくなるのではないかと不安に感じ、退職する時期について悩んでしまいます。
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(※1)参照:日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-01.html
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(※2)参照:日本年金機構「年金の繰上げ受給」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html
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(※3)参照:日本年金機構「年金の繰下げ受給」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html
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(※4)参照:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/dl/life23-15.pdf
2-2.健康状態や体力の問題
体力に不安がある方は、このままフルタイムで働き続けるか悩みやすいです。
働いていると生活にメリハリが生まれ、健康維持に役立つこともあるでしょう。しかし、無理をしすぎると体調を崩すリスクもあります。
今後も無理なく働き続けるために、負担が少ない仕事への転職や、短時間勤務への変更などを検討する方もいます。
2-3.職場の環境や年齢にともなう立場の変化
定年退職後に同じ会社で再雇用される場合、正社員として雇われるとは限りません。そのため、今まで就いていた役職から降りたり、給与が下がったりすることもあります。さらに、年下の部下が上司となる可能性もあるでしょう。
職場での役割や待遇が変わると今までのようなやりがいを感じにくくなり、このまま働き続けるか悩んでしまいます。
2-4.家族との関係やライフイベント
仕事だけでなく家族との時間も大切にしたいと考える方は、何歳まで働くか悩みやすいです。
パートナーや孫と一緒に過ごす時間は、いつまでも続くものではありません。そのため、残された時間を仕事に充てるのか、家族との時間を優先するのか迷ってしまいます。
さらに、家族を介護するようになると、仕事と介護の両立についても考える必要が出てきます。
3.高齢まで働くメリット
ここでは、高齢まで働くメリットを紹介します。メリットを理解しておくと、何歳まで働き続けるか判断しやすくなります。
3-1.安定した収入を得られる
高齢まで働くメリットの一つは、安定した収入が得られる点です。
年金や貯蓄だけでは老後の生活費が足りなくなるのではないかという不安から、気軽に旅行したり趣味を楽しんだりするのをためらってしまう可能性があります。
年金に加えて安定した収入も得られると、経済的な不安が軽減され、ゆとりある老後を過ごしやすくなるでしょう。
3-2.仕事が健康維持に役立つ
仕事や通勤によって日常的に体を動かしたり、規則正しい生活を送ったりすることで、健康を維持しやすくなります。また、仕事は体だけでなく頭も使うため、脳の活性化にも役立つでしょう。
さらに、会社に勤めている場合は定期健診を受けられます。定期健診によって病気を早期発見しやすくなる点も、高齢まで働くメリットの一つです。
3-3.社会とのつながりを持てる
働いていると職場の同僚と交流できるため、孤独を感じにくいです。一方で、働いていない場合は、習い事やボランティアなどに参加しなければ社会とのつながりを保ちにくくなる可能性があります。
特に、同じ会社で高齢になっても働き続けると、今まで築いてきた人間関係を維持できます。顔なじみの同僚や顧客とのつながりは、精神的な安定をもたらしてくれるでしょう。
3-4.やりがいや充実感を得られる
仕事を通じて誰かに貢献することで、やりがいや達成感を得られます。また、新しい知識やスキルを学ぶ機会もあるため、何歳になっても成長できる喜びも感じられます。
今までのスキルやあらたに学んだ知識を活かして成果が出ると、自信を持って日々の仕事に取り組めるでしょう。
4.高齢になっても働きやすい仕事の例
ここでは、高齢になっても働きやすい仕事を紹介します。それぞれの特徴を解説するので、自分に合った仕事を探す際の参考にしてください。
4-1.工場や倉庫の軽作業
工場や倉庫の軽作業とは、製造に直接関する業務以外を指します。以下は、軽作業の具体例です。
- 荷物の仕分け
- 商品の検品
- ピッキング
- 商品の梱包
比較的簡単な作業が多いため、年齢を問わず未経験からでも始めやすいです。また、アルバイトやパートでの求人もあり、体力的にフルタイム勤務に不安がある高齢の方でも働きやすいでしょう。
4-2.警備員
警備員とは、対象の施設を警護したり、駐車場や工事現場などで交通誘導したりする仕事です。特別な資格やスキルが必要ないため、高齢になってからでも始めやすいです。
また、経験を積みながら交通誘導警備業務検定や雑踏警備業務検定などの専門資格を取得することで、年齢に関わらずキャリアアップを目指せます。
4-3.清掃員
清掃員は、ホテルや病院、列車などの施設や設備を決められた時間内に清掃する仕事です。
長年家事をこなしてきた方は、今まで培ってきた掃除や整理整頓のスキルを活かして働けるでしょう。業務を通じて体を動かせるので、適度に運動したい方にもおすすめです。
清掃員は幅広い年代の方が活躍する仕事のため、同年代と知り合える可能性も高いです。
4-4.マンション管理人
マンション管理人には、以下のような業務があります。
- 訪問客や居住者の対応
- 建物や設備の点検
- 業者が来たときの立会い
- トラブルやクレームなどの対応
マンション管理人は、居住者や近隣住民との臨機応変な関わりが必要となります。そのため、今までの人生経験で培った柔軟な対応力を活かして働けるでしょう。
4-5.農業・園芸
農業や園芸の仕事は、特別な資格やスキルがなくても始められます。
種まきや収穫などで適度に体を動かせるため、健康維持に役立ちます。さらに、大切に育てた植物が成長していく様子を見守ることで、達成感や喜びを味わえるでしょう。
基本的に働く時間や休みの日を自分で選べますが、特に農業の場合は、収穫期に作業量が増えて忙しくなりやすい点には注意する必要があります。
4-6.タクシードライバー
タクシードライバーの主な業務は、乗客を目的地まで最適なルートで送り届け、運賃を受け取ることです。他にも、自動車の点検や洗車、事故発生時の対応なども業務に含まれます。
タクシードライバーとして働くためには第二種運転免許が必要ですが、免許の取得をサポートしてくれる会社もあるため、未経験からでも始めやすいです。
業務中は自分のペースで休憩を取れるため、体力に不安がある高齢の方でも無理なく働けます。特に、車の運転が好きな方はやりがいをもって働けるでしょう。
4-7.事務職
パソコンを操作することに抵抗がない方には、事務職もおすすめです。事務職には、データ入力や資料作成、社内の手続きのサポートなどさまざまな業務があります。
デスクワークが中心となるため、体力に自信がない高齢の方も続けやすい仕事です。また、事務職として働いてきた経験があるなら、スキルや知識を活かして働けるでしょう。
4-8.介護職
介護職は、介護が必要な方の食事や睡眠、趣味などの日常生活をサポートする仕事です。体力が求められる場面もありますが、調理・掃除の補助や利用者の送迎といった力仕事以外の業務も多くあります。
また、経験を積んで初任者研修や介護福祉士などの資格を取得すれば、対応できる業務が増えます。年齢に関わらず、資格を取得することでキャリアアップを目指せる点も魅力です。
5.できるだけ長く働き続けるために
ここでは、できるだけ長く働き続けるためのポイントを紹介します。高齢になっても働きたいと考えている方は、実践できそうなことから試してみてください。
5-1.健康管理を徹底する
健康でないと意欲があっても働き続けられないため、健康管理の徹底は重要です。定期的に健康診断を受けることで病気を早期発見でき、適切な治療を受けられる可能性が高まります。
また、ウォーキングや軽い筋トレなどの運動を日常生活に取り入れると、体力維持や筋力低下の防止といった効果が期待できます。
さらに、バランスの取れた食事を摂ったり睡眠時間を確保したりすることで心身の健康が整い、仕事のパフォーマンスも上がるでしょう。
5-2.無理のない働き方を検討する
年齢を重ねると体力が低下し、正社員でのフルタイム勤務が難しいと感じる場合もあります。今後も無理なく働き続けるためには、1日の労働時間を短くしたり週3日程度の勤務にしたりと、柔軟な働き方を検討することが大切です。
また、通勤の負担を軽減するために、リモートワークを積極的に導入している職場で勤務するのも選択肢の一つです。
5-3.専門分野の知識理解を深める
すでに持っている知識に満足せず、継続的に専門分野の知識を深めていくことも大切です。
定期的に学んでいると、新たな知識と自分の経験を組み合わせながら部下への指導ができるようになります。専門知識の豊富さによって周囲からの信頼が高まり、社内で必要とされる人材になれるでしょう。
5-4.職場での人間関係を良好に保つ
職場での人間関係がよいと、長く仕事を続けやすくなります。
自分の経験や知識だけで物事を判断せず、相手の意見や価値観を尊重しながらコミュニケーションを取ることで、どの年代の職員とも良好な人間関係を築きやすくなります。
さらに、自分の経験を伝えながら若手をサポートすることで、職場での自分の役割を再確認でき、仕事にやりがいを感じられるでしょう。若手としても、頼りになる先輩がいることで働きやすくなります。
5-5.自分に合った働き方を考える
長く働いていると、体力が衰えたり、仕事やプライベートに対する考え方が変わったりすることもあります。定期的にキャリアを見直し、自分に合った働き方を考えましょう。
また、家族とも将来について話し合い、何歳まで働くか、退職後はどのように生活を送るのかといった計画を立てることも大切です。計画を立てることで将来の不安が軽減され、目の前の仕事に集中して取り組めるようになります。
6.まとめ
日本では定年を60~65歳としている会社が一般的ですが、生活費の不安から長く働き続けたいと考える方もいます。
しかし、体力の衰えや職場での立場の変化などから、今までと同じ働き方を続けるのは難しいと感じることもあるでしょう。
できるだけ長く働き続けるためには、無理のない働き方を検討したり、専門知識を深めたりすることが大切です。また、工場や倉庫の軽作業や清掃員など、高齢になっても働きやすい仕事に就くのもよいでしょう。
JOBPALでは、面談で仕事に関する悩みを相談できます。定年後も働き続けたい方や、今後の働き方について悩んでいる方は、面談応募より気軽にご相談ください。
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