正社員とパートの違いとは?主なメリット・デメリットや選び方を解説

この記事で分かること
- 正社員とパートには、雇用期間や給与、受けられる福利厚生などに違いがある
- 正社員は雇用や給与が安定しており、福利厚生も多いが、プライベートと仕事の両立はしにくい
- パートは自分の都合に合わせて勤務時間を調整できるが、雇用や収入は安定しにくい働き方である
- プライベートの時間や安定した給与など自分が優先したいことを明確にし、どちらが合うか判断する
※この記事は6分で読めます。
「正社員とパートの違いは何?」
「正社員とパートのどちらが自分に合っているのか知りたい」
など、正社員とパートの違いについて疑問を持っている方もいるでしょう。
正社員とパートの大きな違いは、給与形態や受けられる福利厚生、仕事内容などにあります。
今回は、正社員とパートの主な違いやそれぞれのメリット・デメリット、どちらかを選ぶ際の考え方などを解説します。この記事を読めば、正社員とパートの違いが理解でき、どちらが自分に合っているか自信を持って判断できるようになるでしょう。
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1.正社員とパートの違いとは?
正社員とパートにはさまざまな違いがあります。主な違いを以下の表にまとめました。
正社員 | パート | |
---|---|---|
雇用期間・労働時間・労働日数 | 無期雇用・フルタイム勤務が基本 | 無期雇用と有期雇用の場合があり、労働時間や労働日数が少ないのが一般的 |
給与 | 基本的に月給制 | 基本的に時給制 |
社会保険・税金 | 社会保険の加入が前提 | 労働条件によって社会保険に加入できるか異なる |
福利厚生 | 基本的にすべて受けられる | 会社によって受けられる福利厚生が異なる |
仕事内容 | さまざまな仕事を担当する | 正社員をサポートする仕事が多い |
社会的信用 | 高いと評価されやすい | 低いと評価されることもある |
それぞれの違いについて解説するので、どちらが自分に合った働き方なのか判断する際の参考にしてください。
1-1.雇用期間・労働時間・労働日数
正社員は雇用期間の定めがない無期雇用が基本ですが、パートの雇用期間は有期雇用と無期雇用の両方があります。有期雇用の場合は、労働基準法第14条により、1回の契約期間の上限が原則3年と決まっています。(※1)
また、正社員はフルタイム勤務が多いですが、パートは正社員よりも労働時間や労働日数が少ないのが一般的です。
会社が定めた正規の始業時間から終業時間まで勤務する働き方をフルタイム勤務といいます。
一般的には、労働基準法で定められた上限である「1日8時間、1週間に40時間」がフルタイム勤務の労働時間です。(※2)
ただし、フルタイムで働く労働者が必ずしも正社員とは限りません。フルタイムは労働時間を表す言葉であり、雇用形態は定義に含まれていません。そのため、契約社員といったフルタイムで働く非正規雇用労働者もいます。
(※1)参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第14条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_14
(※2)参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第32条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_32
1-2.給与
正社員は月給制や年俸制が一般的であるため、休日の多さに関係なく、安定した給与を得られます。一方で、パートは時給制が多く、労働時間によって毎月の給与額が変動します。
正社員の給与を時給に換算すると、パートよりも高く設定されている会社がほとんどです。また、賞与の支給や昇給の機会も、パートよりも正社員のほうが多い傾向があります。
なお、厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和5年度分結果確報」によると、正社員を含む一般労働者(パートタイム労働者でない者)とパートタイム労働者の月間現金給与額は、それぞれ以下のとおりでした。
- 一般労働者:43万8,696円
- パートタイム労働者:10万5,989円
月間の実労働時間が一般労働者は163.0時間、パートタイム労働者は79.4時間のため一概には比べられませんが、労働時間を考慮しても一般労働者のほうが給与は高いといえます。(※)
参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年度分結果確報」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/23fr/dl/pdf23fr.pdf
1-3.社会保険・税金
正社員は、健康保険・厚生年金保険などの社会保険や雇用保険に加入する場合がほとんどですが、パートは加入条件をすべて満たせない可能性があります。
パートを含む労働者は、以下の条件をすべて満たすと社会保険に加入できます。(※1)
- 週に20時間以上勤務している
- 月の給与が8万8,000円以上である(残業代、通勤手当、臨時の手当などは含まない)
- 2ヵ月を超えて雇用される見込みがある
- 学生ではない
- 従業員が51人以上の会社で勤務している
また、雇用保険に加入するためには、以下の2つを満たすことが必須です。(※2)
- 週に20時間以上勤務している
- 31日以上働く見込みがある
パートは勤務時間や給与額により、条件を満たせるかが変わってきます。
なお、パートはシフトを調整して毎月の収入を扶養内に抑えると、自分で社会保険料を支払わずに家族の社会保険に加入できます。扶養者の節税になる扶養控除や配偶者控除などの条件を満たしやすい点も特徴です。
(※1)参照:厚生労働省「社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/koujirei/jugyouin/
(※2)参照:厚生労働省「Q&A~事業主の皆様へ~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html
1-4.福利厚生
正社員は、法律で導入するよう義務付けられている法定福利厚生も、会社が独自に設定できる法定外福利厚生も基本的には利用可能です。
パートも、年次有給休暇や育児休業などの法定福利厚生は条件を満たせば受けられます。しかし、住宅手当や通勤手当などの法定外福利厚生は対象範囲が会社によって異なるため、パートは利用できない可能性があります。
1-5.仕事内容
一般的に、正社員は会社の運営や利益に関わる仕事を任されるのに対し、パートは正社員をサポートするような仕事を任されやすいです。
正社員とパートの仕事内容がわかるよう、具体例を表にまとめました。
職種 | 正社員の仕事内容 | パートの仕事内容 |
---|---|---|
一般事務 |
|
|
工場勤務 |
|
|
例えば工場の生産管理は、ミスをすると工場や取引先に損害が生じてしまうため、責任ある仕事として正社員に任されることが一般的です。
このように、正社員のほうがパートよりも責任が重く、仕事内容の幅も広い傾向があります。ただし、上記の分担は目安であり、実際は正社員が組立や梱包などの作業を担うこともあるため、あくまで参考にとどめてください。
1-6.社会的信用
正社員とパートでは、社会的信用度にも違いがあります。正社員は無期雇用かつ収入が安定しているため、ローンや賃貸借契約などの審査に通りやすいのが特徴です。
例えば、住宅や車、クレジットカードなどのローンの契約時には、年収や勤続年数、雇用形態などをみて返済能力があるか確認されます。そのため、雇用が安定しておらず収入も低い傾向にあるパートは、ローンが通らない可能性があります。
2.正社員とパートの主なメリット・デメリット
正社員とパートの主なメリット・デメリットを、以下の表にまとめました。
雇用形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
|
|
|
|
|
正社員は責任ある仕事に携われるため、経験を積むことでキャリアアップしやすいメリットがあります。しかし、仕事の責任の重さからプレッシャーを感じる方もいます。
一方で、パートは仕事内容が限定されているデメリットがありますが、そのぶん未経験でも採用されやすいです。正社員よりも仕事の責任が重くないため、退職しやすいメリットもあります。
もし、パートとして働いている方が今より収入を安定させたいなら、正社員登用制度を利用する方法があります。正社員登用制度とは、パートやアルバイトなどの雇用形態を正社員へ切り替える制度です。
正社員登用制度を設けているかは会社によって異なるため、利用したい方は会社に確認してみましょう。
なお、正社員はプライベートと仕事の両立が難しい場合があります。そのため、子育てや介護などを理由に正社員を諦め、勤務時間が短いパートを目指そうと考える方もいるでしょう。
しかし、時短勤務(短時間勤務制度)やフレックスタイム制、テレワークなどを導入している会社もあるため、ライフスタイルに合わせながら正社員を続けることも可能です。
3.正社員とパートのどちらを選ぶべき?
正社員とパートにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、どちらがよいかは自分が優先したいことによって異なります。
例えば、家族・友人との時間や勉強時間などのプライベートを優先したい方は、柔軟に勤務時間を調整できるパートが適しています。一方で、安定した収入や将来のキャリアを優先したいなら、正社員を選ぶとよいでしょう。
なお、優先したいものが多くどちらが自分に合っているのか迷う場合は、転職のプロへ相談すると解決策が見つかる可能性があります。
JOBPALでは、仕事や転職に関するお悩みを面談で相談できます。ぜひ気軽にご応募ください。
4.正社員とパートの違いに関するQ&A
正社員とパートの違いについて、よくある質問を2つ紹介します。疑問をあらかじめ解決しておくと、どちらが自分に合っているのか決めやすくなるでしょう。
4-1.同一賃金同一労働法について教えてください。
同一賃金同一労働は、令和3年4月に全面施行された「パートタイム・有期雇用労働法」が根拠となっています。同法に基づく同一賃金同一労働の考え方には、主に以下の3つの特徴があります。
- 同じ会社で勤務するパートやアルバイトなどの非正規雇用労働者と正社員との間の不合理な待遇差を禁止する
- 非正規雇用労働者は不合理な待遇差の内容や理由などについて、会社へ説明を求められる
- 不合理な待遇差によって会社でトラブルが起きた際に、行政による紛争解決援助制度を利用できる
待遇差には給与だけでなく、休暇や教育制度、社員食堂・更衣室といった福利厚生施設なども含まれる点がポイントです。
なお、正社員と非正規雇用労働者の仕事が同一であるかは、以下の3つを考慮して検討されます。
- 仕事内容
- 仕事の責任の程度
- 転勤や人事異動、昇進などの有無や範囲
会社は労働者から待遇差に関する説明を求められたら応じる義務があるため、もし疑問があれば遠慮なく会社へ理由を尋ねてみましょう。
参照:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
参照:政府広報オンライン「2021年4月1日からパートタイム・有期雇用労働法が中小企業も適用に。」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202004/2.html
4-2.パートなのに正社員と同じ仕事内容なのは違法ですか?
パートと正社員の仕事内容が同じであること自体は違法ではありません。しかし、以下の3つをすべて満たしているのに待遇差がある場合は、パートタイム・有期雇用労働法の「差別的取扱いの禁止」に違反する可能性があります。
- 仕事内容や責任の程度が正社員と同じ
- 転勤や人事異動などの有無や範囲が正社員と同じ
- 契約期間が決まっていない、あるいは実質的に無期雇用契約である
例えば、上記の条件をすべて満たしているにも関わらず、パートの時給が正社員より低かったり、パートのみ社員食堂が使えなかったりすると違法の場合があります。
参照:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000815524.pdf
5.まとめ
正社員は雇用や収入が安定していますが、希望しない転勤や異動があったり長期休暇を取りにくかったりする働き方です。一方で、パートはライフスタイルに合わせて柔軟に働けますが、収入が安定しにくかったり責任の重い仕事に携わりにくかったりします。
正社員とパートのメリット・デメリットを理解したうえで、自分が優先したいことを基準に、どちらが向いているか判断することが大切です。また、正社員登用制度や短時間勤務などについても知っておくと、より自分に合った働き方を選びやすくなるでしょう。
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