契約社員とパートの主な違いは?どちらを選ぶのがよいか、メリット・デメリットを解説

この記事で分かること
- 契約社員とパートに法的な扱いの違いはないが、一般的に勤務時間や給与形態、休日などが異なる
- 契約社員は安定した収入を得られるメリットがあるが、雇用期間が限定されているデメリットもある
- パートは働き方の自由度が高いといったメリットがある一方、収入が安定しにくいといったデメリットもある
- メリットとデメリットを理解したうえで、どちらの働き方が自分に合っているか判断することが大切
※この記事は6分30秒で読めます。
「契約社員とパートは何が違うの?」
「契約社員とパートのどちらが向いているのかを知りたい」
など、契約社員とパートの違いについて疑問を持っている方もいるでしょう。
契約社員とパートには、雇用契約期間や勤務時間、仕事内容などに違いがあります。
今回は、契約社員とパートの主な違いやメリット・デメリット、どちらを選ぶのがよいか判断する方法などを解説します。この記事を読めば、契約社員とパートの違いが理解でき、どちらの働き方が自分に合っているか判断できるようになるでしょう。
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1.契約社員とパートの主な違い
契約社員とパートは法律で明確に区別されておらず、法的な扱いの違いはありません。しかし、以下の表のような違いがあります。
契約社員 | パート | |
---|---|---|
雇用契約期間 | 有期雇用契約 | 有期雇用契約と無期雇用契約がある |
勤務時間 | 基本的にフルタイム勤務 | 基本的にフルタイム勤務よりも短い |
休日 | 基本的に週に2日程度 | 希望に合わせて調整可能 |
給与形態 | 基本的には月給制 | 基本的には時給制 |
仕事内容 | 正社員に近い業務を任されることもある | 契約社員よりも責任が軽めの仕事を担う傾向がある |
保険の適用範囲 | 社会保険の加入条件を満たす可能性が高い | 社会保険に加入できない場合もある |
それぞれの違いについて詳しく解説します。
1-1.雇用契約期間の違い
契約社員とは、有期雇用契約を結んでいる社員のことです。そのため、1年や3年など一定の期間で契約が切れてしまいます。同じ会社で働き続けるためには、契約が切れるたびに更新が必要です。
パートは勤務時間が通常よりも短い働き方のことを指すため、有期雇用契約だけでなく無期雇用契約を結ぶ場合もあります。例えば、採用したパートを長期的に育てて安定した労働力を確保したいと考える会社は、パートと無期雇用契約を結ぶ可能性があります。
なお、契約社員とパートいずれも契約期間の下限は決められていませんが、上限は労働基準法第14条に基づき3年です。ただし、高度な知識や技術などを持っている労働者や満60歳以上の労働者は、契約期間の上限が5年となる特例があります。
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第14条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_14
1-2.勤務時間の違い
契約社員は勤務時間を制限するような雇用契約を結ばない限り、正社員と同様に1日8時間のフルタイム勤務となる傾向にあります。
一方で、パートは正社員よりも勤務時間が短い労働者を指します。そのため、契約社員と比べると1日の勤務時間は短く、ライフスタイルに合わせて柔軟に調整しやすいです。
1-3.休日の違い
契約社員は正社員と似た勤務形態となるため、会社が定める休みに合わせて休日は週に2日程度となるのが一般的です。
パートは柔軟に勤務日時を調整できるよう、シフト制が導入されている場合が多いです。希望に合わせて休日も調整できるため、契約社員よりも多くの休日を取得することもできるでしょう。
1-4.給与形態の違い
契約社員は基本的にフルタイム勤務のため、正社員と同様に月給制や年俸制がほとんどです。毎月の給与額が決まっており、勤務日数に関わらず安定した収入をえやすいです。
一方で、パートは勤務した時間のぶんだけ給与が支払われる時給制が基本となります。そのため、休日が多い月は勤務時間が短くなり、給与も少なくなる傾向があります。
1-5.仕事内容の違い
契約社員は、パートよりも責任が重い仕事を任されやすいです。仕事内容の違いから、契約社員のほうがパートよりも給与水準が高く設定されている会社もあります。
ただし、契約社員は正社員に近い仕事を任されることもあり、パートよりも残業が発生する可能性も高くなります。
1-6.保険の適用範囲の違い
契約社員は一般的に正社員と同様の働き方をするため、社会保険の加入条件を満たしている可能性が高いです。社会保険に加入できると、傷病手当金や出産手当金などの給付を受けることが可能です。
パートは、勤務時間や収入額によっては社会保険の加入条件を満たせないこともあります。しかし、希望に合わせて柔軟に勤務時間を変えられるため、家族の扶養に入る条件を満たせるよう調整して働けます。
2.契約社員で働くメリット
契約社員で働くメリットを3つ紹介します。メリットを知ることで、契約社員として働くかどうかを深く検討できるでしょう。
2-1.安定した収入を得られる
契約社員は一般的に正社員と同じ月給制であるため、時給制のパートよりも安定した収入を得やすいです。
また、正社員に準ずる仕事内容を担当している契約社員は、同一労働同一賃金の考えに基づき、正社員と同等の給与をもらえる可能性があります。
同一労働同一賃金とは、正規雇用労働者と契約社員・パートなどの非正規雇用労働者との間の理不尽な待遇差をなくすことを目指した考え方です。
安定した収入で日々の生活に対する不安を解消したいのであれば、パートよりも契約社員が向いているといえます。
参照:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
2-2.特定の業務のスキルを上げられる
契約社員は契約によって明確に仕事内容が決まっているため、担当業務の専門性を高めやすいです。さらに、パートよりも責任感のある仕事を任されやすい傾向があるので、スキルアップもしやすくなります。
契約社員として働きながら業務のスキルを上げていくことで、転職活動でアピールできる要素も増えていき、今後のキャリアの幅を広げられるでしょう。
2-3.フルタイム勤務が多く保険に加入できる
契約社員はフルタイム勤務が基本であるため、健康保険や雇用保険、厚生年金保険などの社会保険の加入条件を満たす可能性が高いです。社会保険に加入できれば、正社員と同等の保障を受けられます。
また、福利厚生についても正社員と同じ扱いを受けられる会社もあります。福利厚生の内容や適用範囲は会社によって異なるため、就業規則で確認しておきましょう。
参照:日本年金機構「適用事業所と被保険者」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html
参照:厚生労働省「Q&A~事業主の皆様へ~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html
3.契約社員で働くデメリット
ここからは、契約社員で働くデメリットを2つ解説します。デメリットも理解しておくと、契約社員が自分に合った働き方か検討しやすくなるでしょう。
3-1.雇用期間が限定されている
契約社員は正社員と異なり、雇用期間が限定されています。雇用期間が終了するたびに更新する必要がありますが、会社側の都合によっては契約が更新されない可能性もあります。
長期的に雇用される保証がなく、雇用が不安定になりやすい点は、契約社員のデメリットの一つです。同じ職場で長期間働きたい方は、契約社員になるかどうか慎重に検討しましょう。
3-2.働き方の柔軟性が低い
契約社員はフルタイム勤務が基本となるため、パートよりも勤務時間や休日を調整するのが難しいです。また、残業もパートより発生しやすく、非正規雇用の中ではプライベートと仕事の両立がしにくい働き方といえます。
家族・友人との時間や勉強・趣味の時間を確保したい方は、働き方の柔軟性の低さをデメリットとして感じやすいでしょう。
4.パートで働くメリット
次に、パートで働くメリットを3つ紹介します。パートのメリットも理解しておくと、契約社員とパートのどちらが自分に適しているか判断しやすくなります。
4-1.働き方の自由度が高い
パートは基本的にフルタイム勤務ではないため、働く時間や曜日を調整しやすいメリットがあります。育児や介護、勉強など、プライベートの予定に合わせて無理なく働ける点がパートの魅力です。
また、契約社員よりも責任が重くない仕事を任されやすいため、家庭の事情や環境の変化などの理由によって退職したい場合にも、受け入れてもらいやすい傾向があります。
4-2.扶養の範囲内で働ける
パートは基本的に時給制のため、シフトを調整し、収入を扶養の範囲内に収めることが可能です。
収入を扶養の範囲内に収めると、パート代に税金がかからなかったり、自分で保険料を支払うことなく家族の社会保険に加入できたりします。また、扶養者が支払う税金を抑えられるメリットもあります。
4-3.未経験でも働き始めやすい
パートは正社員や契約社員をサポートする役割を任されやすいため、スキルや経験を問わない求人が多い傾向があります。そのため、未経験では正社員として採用されるのが難しい会社でも、パートとしてなら採用される可能性もあります。
未経験可の求人はマニュアルが完備されている場合も多いため、業務に取り組みながら慣れていけば、職場の戦力になれるでしょう。
5.パートで働くデメリット
ここからは、パートで働くデメリットを2つ紹介します。デメリットも知っておくと、パートで働き始めてから後悔する可能性を減らせるでしょう。
5-1.収入が安定しにくい
月給制ではなく時給制や日給制などで働くパートは、働く時間によって毎月の収入にばらつきが出ます。
例えば、勤務する曜日と祝日が重なり出勤日数が少なくなった月や、家庭の事情で休みが多くなった月などは収入が減ってしまいます。また、勤務希望者が多く、シフトに入りたくても入れないこともあるでしょう。
なお、働く時間が短いと、社会保険への加入が難しくなる可能性もあります。社会保険に加入するためには「週の勤務時間が20時間以上」「毎月の給与が8万8千円以上」という条件をどちらも満たす必要があるためです。
参照:厚生労働省「従業員のみなさま|社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/koujirei/jugyouin/
5-2.キャリアアップが難しい
パートは、正社員や契約社員と比べて昇進や昇給の機会が少ない傾向があります。
さらに、パートの仕事内容はサポート的な業務や単純作業が多いため、専門的なスキルを磨くのが難しいです。スキルや知識を身につけるための研修を受ける機会も少ないでしょう。
長期間同じ会社で働いても、さまざまな経験を積めずキャリアアップしにくい点は、パートのデメリットといえます。
6.契約社員とパートどちらを選ぶのがよい?
契約社員とパートのどちらがよいかは、自分が働くうえで何を重視したいかによって異なります。以下の表では、契約社員とパートそれぞれの働き方のメリットをまとめました。
働き方 | メリット |
---|---|
契約社員 |
|
パート |
|
例えば、将来の生活が不安で、少しでもキャリアアップをして収入増加につなげたい方には、パートよりも契約社員がおすすめです。一方で、仕事だけでなくプライベートの時間を大切にしたい方にとっては、パートのほうがよい可能性があります。
ライフスタイルやキャリアの目標を基準とし、契約社員とパートのどちらが自分に合った働き方なのか判断するとよいでしょう。
7.契約社員からパート、パートから契約社員になれる?
労働契約法第8条に基づき、契約社員からパートになることもパートから契約社員になることも、会社と労働者の双方の合意があれば可能です。希望する働き方へ切り替えるためには会社側の合意が必要なので、早めに上司へ相談することがおすすめです。
また、契約社員やパートから正社員への切り替えもできます。勤務先に正社員登用制度があるなら、利用するための条件や試験内容などを確認しておきましょう。
なお、契約社員やパートは、同じ勤務先で通算5年を超えて勤務した労働者が申し出ることで雇用期間の定めがなくなる「無期転換ルール」を利用できます。
ただし、制度を利用して雇用期間の定めがなくなっても、正社員と同等の待遇で働けるかは会社次第です。無期転換ルールを利用する前に、労働条件も見直されるかどうかを確かめておきましょう。
参照:e-Gov 法令検索「労働契約法|第8条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128#Mp-At_8
参照:厚生労働省「無期転換ルールについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21917.html
8.まとめ
契約社員とパートに法的な違いはありませんが、一般的に勤務時間や給与形態、仕事内容などに違いがあります。
契約社員には安定した収入を得られたり社会保険に加入しやすかったりするメリットがありますが、働き方の柔軟性がないといったデメリットもあります。一方で、パートは働き方の自由度が高く扶養の範囲内で働ける魅力がありますが、収入が安定しにくい働き方です。
働くうえで重視したいことを基準に、契約社員かパートのどちらの働き方が自分に合っているか決めましょう。
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