パートとアルバイトの違いは?一般的なイメージや待遇について

この記事で分かること
- パートとアルバイトは、法律上の定義に違いはない
- パートやアルバイトは柔軟に働けたり、比較的簡単な仕事ができたりする
- 正社員よりも給与が低く、キャリアアップが難しい場合がある
- 退職金の有無や福利厚生の利用可否は、パート・アルバイトと正社員では異なる可能性がある
- 契約内容や労働条件を確認してから、パートやアルバイトで働き始めることが大切
※この記事は6分30秒で読めます。
「パートとアルバイトの違いは何?」
「パートやアルバイトで働くメリットは?」
など、パートとアルバイトに関して疑問を持っている方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、パートとアルバイトはどちらを選んでも働き方に大きな差はありません。
今回は、パートやアルバイトの定義や一般的なイメージ、メリット・デメリット、待遇などを解説します。この記事を読めばパートとアルバイトの違いについて理解でき、自分に合った働き方が見つかるようになるでしょう。
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1.パートとアルバイトは法律上の違いはない
パートとアルバイトは呼び方が異なりますが、法律上では同じ「パートタイム労働者」であり、法的な定義や扱いに違いはありません。
パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が同じ職場内の正社員などよりも短い労働者のことです。
「パートタイム・有期雇用労働法」の第2条で定義されており、条件に当てはまれば契約社員や準社員なども法律上はパートタイム労働者に含まれます。(※1・2)
同法により、パートとアルバイトいずれも、労働者としての権利や義務は正社員と同じように保障されています。パートとアルバイトのどちらの求人に応募しても、働き方に大きな差はありません。
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(※1)参照:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000815524.pdf
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(※2)参照:e-Gov 法令検索「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|第2条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000076#Mp-At_2
※本文の「パートタイム・有期雇用労働法」は通称
2.パートの定義と一般的なイメージ
パートは英語の「part-time(パートタイム)」の略語で、短時間労働を意味します。対義語は「full-time(フルタイム)」です。
パートは、家事や育児で働ける時間が限られている主婦・主夫や、シニア層の働き方というイメージが一般的です。また、家計を補うことを目的とし、長期的に安定して仕事をしたい方が選ぶ働き方というイメージもあります。
企業がパートの求人を出す際も、主婦・主夫層やシニア層などを対象とした内容となる傾向があります。
3.アルバイトの定義と一般的なイメージ
アルバイトの語源は、ドイツ語で仕事や勤労を意味する「arbeit」と考えられています。一般的に、アルバイトで働く方には以下のようなイメージがあります。
- 学生やフリーター
- 10~20代の若者
そのため、学生やフリーターが仕事を探す際は、パートよりもアルバイトの求人のほうが見つけやすいでしょう。
また、繁忙期だけの勤務や、3ヵ月や半年といった短期間のみの働き方なども、アルバイトのイメージとして世間に浸透しています。
4.パートやアルバイトで働くメリット
ここでは、パートやアルバイトとして働くメリットを4つ紹介します。
4-1.柔軟な働き方ができる
パートやアルバイトで働くメリットは、正社員よりも柔軟に働ける点です。
パートやアルバイトはシフト制で働くことが多いため、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間や日数を調整しやすいです。
そのため、家庭や学業などと両立しながら仕事がしたい方も働きやすいでしょう。
4-2.社会経験を積むことができる
20代の若者や学生にとって、パートやアルバイトで働くことは社会経験を積める機会となります。
さまざまな社会人と仕事を通じて接することで、コミュニケーション能力を磨いていけるでしょう。
また、パートやアルバイトでの経験が、将来の仕事を決めるきっかけになる可能性もあります。
4-3.比較的簡単な仕事ができる
パートやアルバイトは、比較的簡単な仕事内容の求人が多くあります。そのため、資格や経験がなくてもすぐに始めやすいです。
さらに、正社員と比べて責任の重い仕事を任されない傾向があるため、精神的なプレッシャーもかかりにくいでしょう。
4-4.福利厚生を利用できる場合がある
一定の条件を満たせば、パートやアルバイトでも社会保険や有給休暇などの福利厚生を利用できる場合があります。
例えば、福利厚生の1つである雇用保険は、以下の条件を満たしていればパートやアルバイトも加入できます(※)。
- 1週間の決められた労働時間が20時間以上である
- 31日以上雇用される見込みがある
なお、福利厚生には、法律で定められている制度の他、企業が独自に設けている制度があります。
内容や利用条件は企業によって異なるため、パートやアルバイトでも利用できるか事前に確認しておきましょう。
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(※)参照:厚生労働省「Q&A~事業主の皆様へ~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html
5.パートやアルバイトで働くデメリット
パートやアルバイトで働く場合、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットも理解しておくと、働き始めてから後悔することを防げるでしょう。
5-1.給与が低い
パートやアルバイトは、正社員と比較して給与が低い傾向があります。
企業によるものの、パートやアルバイトにはボーナスが支給されなかったり、昇給がなかったりする点もデメリットです。
また、パートやアルバイトの給与は時給制が多いため、労働時間が給与に影響し、毎月の収入が安定しにくくなります。
5-2.キャリアアップが難しい
パートやアルバイトは正社員と比べて責任の重い仕事を任されにくいため、専門的なスキルを身につけにくいです。
昇給やスキルアップのための研修を受ける機会も限られており、正社員よりもキャリアアップが難しい傾向があります。
パートやアルバイトで働きながらキャリアアップを目指したい方は、仕事に関係する資格を取得したり、外部の講座やセミナーに参加したりすることが重要です。
パートやアルバイトから正社員を目指せる制度(正社員登用制度)を導入している職場で働くのもよいでしょう。
5-3.雇用が不安定になりやすい
パートやアルバイトは短期で契約を結ぶ場合もあり、正社員と比べて雇用が不安定になりやすいことがデメリットです。
有期契約で長期的に同じ職場で働き続けるためには、契約の更新が必要になります。
もし職場で活躍していても、契約更新時に企業の業績が悪くなっていると再契約できない可能性があります。
雇用を継続できるとは限らないため、契約満期が近づいてきたら次の仕事について考えておくことが重要です。
5-4.社会的な評価が低い
パートやアルバイトは、正社員と比べて社会的な評価が低くなる傾向があります。
収入が安定しづらく、長期的な雇用も保証されていないため、ローンや賃貸契約、クレジットカードなどの審査が正社員よりも通りにくいです。
6.パートとアルバイトの労働者の待遇
パートやアルバイトとして働く労働者の待遇について解説します。
6-1.交通費
交通費の支給に関する法律上の定めはないため、企業の規定によって支払額や支払い方法が決まっています。
正社員に交通費が支給される企業では、同一労働同一賃金の定めに従い、パートやアルバイトで働く方にも支給されます。同一労働同一賃金とは、同じ企業内で働く正社員と非正規労働者との間で、根拠がない給与や待遇の差をなくすことを目的とした考え方です。(※)
自宅から遠い職場で働きたい方は、求人情報に掲載されている交通費の支給について確認しておきましょう。
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(※)参照:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
6-2.残業代
残業代は労働基準法第37条に基づき、パートやアルバイトといった雇用形態に関わらず支払われます。(※1)
残業代の計算方法は以下のとおりです。なお、法定労働時間とは、労働基準法第32条で定められた「1日8時間・週40時間」という労働時間の上限のことです。(※2)
所定労働時間+残業時間の合計 | 残業代の計算方法 |
---|---|
法定労働時間を超えない場合 | 通常時の時給×残業時間 |
法定労働時間を超える場合 | (通常時の時給×法定労働時間内の残業時間)+(通常時の時給の25%以上の賃金×法定労働時間外の残業時間) |
また、法定休日(1週間に1回または1ヵ月に4回以上の休日)に勤務したときや、深夜(午後10時~午前5時)に勤務したときも、パートやアルバイトは正社員と同様に手当が支給されます。(※1・3)
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(※1)参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第37条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_37
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(※2)参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第32条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_32
-
(※3)参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第35条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_35
6-3.有給休暇
労働基準法第39条に基づき、以下の2つの条件を満たせば、雇用形態に関係なく有給休暇が付与されます。(※1)
- 働き始めた日から6ヵ月以上継続して勤務している
- シフトで決められた労働日のうち8割以上出勤している
たとえ出勤日数が週1日であっても、条件を満たしていれば有給休暇を取得する権利があります。(※2)
-
(※1)参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第39条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_39
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(※2)参照:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
6-4.産休・育休
パートやアルバイトでも、労働基準法第65条に基づき、出産予定日の6週間前(双子以上なら14週間前)から産休を取得できます。産休の終わりは、出産当日の翌日から8週間後です。(※1)
また、子どもが1歳半になるまで雇用の継続が見込まれるなら、パートやアルバイトでも育休の取得が可能です。(※2)
ただし、育休に関する労使協定(労働者と雇用主の間で交わした約束事)を締結している企業で働く場合、雇用期間が1年未満の方や所定労働日数が週2日以下の方は育休を取得できない可能性があります。(※3・4)
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(※1)参照:e-Gov 法令検索「労働基準法|第65条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-At_65
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(※2)参照:e-Gov 法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律|第5条」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000076#Mp-At_5
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(※3)参照:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf
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(※4)参照:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355354.pdf
6-5.退職金
退職金に関する法的な規定はないため、退職金を受け取れるかは各企業の独自の規則で決まっています。そのため、正社員だけでなく、パートやアルバイトにも退職金を支給している企業もあります。
パートやアルバイトでも退職金を受け取れるかを知るためには、契約時に渡される雇用契約書や就業規則などを確認しましょう。
6-6.社会保険
パートやアルバイトで働いている方も、以下の5つの条件を満たせば社会保険に加入できます。
- 週の決められた労働時間が20時間以上である
- 月の決められた賃金が8.8万円以上である
- 2ヵ月を超えて働く見込みがある
- 学生ではない
- 勤務する企業の従業員数が51人以上である(※)
自分の状況や働き方が条件を満たしているかどうか、しっかり確認しましょう。
(※)従業員数はフルタイムで働く従業員に加え、1週間の労働時間と1ヵ月間の労働日数がフルタイムの4分の3以上の従業員も含めて数える。
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参照:政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
https://www.gov-online.go.jp/article/202408/entry-6338.html
6-7.扶養控除
扶養控除とは、16歳以上の扶養している親族がいる納税者が受けられる所得控除です。
扶養している親族がパートやアルバイトで働いていても、年収が103万円以下(給与以外の収入もある場合は、合計所得金額が48万円以下)であれば、親や配偶者の税制上の扶養に入れます。
扶養控除の額は、扶養している親族の年齢や同居の有無によって異なります。(※1)
なお、扶養している結婚相手のパートやアルバイトによる年収が103万円を超えても、150万円以下であれば扶養者は満額の配偶者特別控除を受けることが可能です。(※2)
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(※1)参照:国税庁「No.1180 扶養控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
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(※2)参照:国税庁「家族と税」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_2.htm
6-8.会社独自の福利厚生
会社独自の福利厚生をパートやアルバイトでも利用できるかは、会社によって異なります。
正社員は会社独自の福利厚生をすべて利用できる可能性が高いですが、パートやアルバイトは一部しか利用できない場合もあります。
福利厚生の利用条件は就業規則に記載されているため、確認してみましょう。
7.パートとアルバイトの関するよくある質問
パートやアルバイトに関するよくある質問を4つ紹介します。
7-1.パートやアルバイトはどのような仕事がある?
パートやアルバイトの仕事内容は多岐にわたります。以下は、仕事の具体例です。
- 接客業
- 飲食業
- 販売業
- 事務職
- 工場や倉庫作業
比較的簡単な業務から専門的な業務まで、さまざまな内容の求人があります。
7-2.パートやアルバイトから正社員になれる?
パートやアルバイトからでも正社員になることは可能です。
将来的に正社員として働くことを前提に求人を出している企業もあるため、求人情報に正社員登用制度について記載されているか確認することが重要です。
ただし、正社員登用制度について記載されていても、実際には制度が十分に活用されていない企業もあります。
正社員登用制度の実績や仕組みを面接などで質問して、入社後に正社員になれる可能性があるか十分に確認しておきましょう。
7-3.パートやアルバイトと派遣社員はどう違う?
パートやアルバイトと派遣社員の主な違いは雇用主です。パートやアルバイトは勤務先の企業と直接雇用契約を結びますが、派遣社員は派遣会社と結びます。
また、派遣社員はパートやアルバイトと異なり、必ず契約で就業期間が決まっています。派遣社員は同じ部署で3年以上働けないため、同じ企業で長く働きたいなら部署異動が必要です。(※)
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(※)参照:厚生労働省「派遣で働く皆様へ」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000204879.pdf
7-4.パートやアルバイトで働く際の注意点はある?
パートやアルバイトで働く際は、契約内容や労働条件をしっかりと確認しておきましょう。以下は、確認しておくと良い点の具体例です。
- 給与
- 勤務時間
- 休日
- 福利厚生
事前に契約内容や労働条件を把握しておくことで、働き始めたあとのトラブルを防ぎやすくなります。
8.まとめ
パートやアルバイトには、法律上の定義や扱いの違いはありません。
パートやアルバイトは柔軟な働き方ができたり、社会経験を積めたりします。一方、正社員と比べて給与が低く、雇用が不安定になりやすいといったデメリットもあります。
パートやアルバイトで働く際は、契約内容や労働条件について就業規則や雇用契約書で確認し、自分に合った勤務先を探すことが大切です。
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