パート・アルバイトの選び方
更新日:2025年01月30日

パート・アルバイトの雇用保険の加入条件とは?主な給付内容を解説

パート・アルバイトの雇用保険の加入条件とは?主な給付内容を解説

この記事で分かること

  • 雇用保険とは、労働者の生活と雇用の安定、就職の促進を目的とした保険制度
  • 加入条件は「週の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがあること」
  • 原則、全日制の学生は加入条件を満たしていても雇用保険の被保険者とならない
  • 雇用保険の被保険者が要件を満たした場合、失業手当や介護手当などの各種給付金・手当を受給できる

※この記事は6分30秒で読めます。

「パート・アルバイトの雇用保険の加入条件は?」
「雇用保険に加入するメリット・デメリットを知りたい」
など、パート・アルバイトをしていて雇用保険に関して疑問を持つ方もいるでしょう。

パートやアルバイトの方が雇用保険に加入するには、「週の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがある」という2つの条件を満たさなければなりません。

今回は、雇用保険の概要や、パート・アルバイトの雇用保険の加入条件や加入できないケース、加入するメリット・デメリット、主な給付内容などを解説します。この記事を読めば、パート・アルバイトで雇用保険に加入する条件がわかり、自分が雇用保険の加入対象となるかを理解できます。

1.そもそも雇用保険とは?

雇用保険とは、企業で働く従業員の生活および雇用の安定や、就職の促進を目的とした保険制度です。

雇用保険に加入している労働者は、支給条件を満たしている場合に給付金や手当を受給できます。例えば、失業時の失業手当(基本手当)や育児休業給付金、介護休業給付金などの給付金があります。

また、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を終了した際に、受講費の一部が支給されるなど、再就職に向けての支援が受けられることも特徴です。

なお、雇用保険の加入は自由に決められず、一定の要件を満たした労働者は加入しなければなりません。

1-1.雇用保険と社会保険の違い

社会保険とは、広義では厚生年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つの保険制度の総称です。そのため、雇用保険は広義の社会保険の一種といえます。

一方、狭義の社会保険は、厚生年金保険・健康保険・介護保険の3つの保険を指し、雇用保険を含みません。残り2つの雇用保険と労災保険は、労働保険と呼ばれることがあります。

広義の社会保険 狭義の社会保険 厚生年金保険
健康保険
介護保険
労働保険 雇用保険
労災保険

雇用保険が労働者の生活や雇用の安定などを目的としているのに対し、狭義の社会保険は病気・加齢による身体の衰えや老後の収入減少などに備えることが目的です。

雇用保険と狭義の社会保険では目的が異なるため、保障対象者や保障内容にも違いがあります。

2.パート・アルバイトの雇用保険の加入条件

雇用保険はすべての労働者が加入対象になるわけではなく、定められた加入条件に該当している方が被保険者となります。

ここでは、パートやアルバイトの方が雇用保険に加入する条件を2つ紹介します。

2-1.週の所定労働時間が20時間以上であること

パートやアルバイトの方が雇用保険に加入する条件の1つ目は、1週間の所定労働時間が20時間以上であることです。

例えば、1日4時間で週5日働く場合の1週間の労働時間は20時間となるため、雇用保険の加入条件に該当します。一方、1日4時間で週3日働く場合の1週間の労働時間は12時間であり、雇用保険の加入条件を満たしていません。

また、一時的な残業で結果的に週に20時間以上働いた場合でも、毎週20時間以上勤務するわけではないので、雇用保険の加入条件を満たしていないことになります。

なお、2028年10月1日からは雇用保険の加入条件の所定労働時間が週あたり20時間以上から10時間以上に変更されるため、雇用保険の適用対象者の増加が見込まれます。

2-2.31日以上の雇用見込みがあること

パートやアルバイトの方が雇用保険に加入する条件の2つ目は、31日以上継続して雇用される見込みがあることです。具体的には、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 契約期間の定めがなく雇用される場合
  • 雇用期間が31日以上である場合
  • 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
  • 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者に31日以上の雇用実績がある場合(※)

(※)雇用時に31日以上雇用される見込みがない場合でも、そのあとに31日以上の雇用が見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用される

このように、雇用保険の加入条件として必要な雇用期間が定められています。そのため、短期のアルバイトなどで31日未満の雇用しか見込めない場合は、雇用保険の加入対象となりません

3.パート・アルバイトで雇用保険に加入できないケース

雇用保険の適用事業所にパートやアルバイトで勤務している場合でも、以下の6つの条件のいずれかに該当している方は、雇用保険に加入できません。

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満の方
  • 同一事業主の適用事業に継続して31日以上の雇用が見込まれない方
  • 季節的に雇用されるため、4ヵ月以内の期間を定めて雇用される方あるいは1週間の所定労働時間が30時間未満の方
  • 学生または生徒(卒業見込証明書があり、卒業前に就職して卒業後も引き続きその事業に従事する方や、休学中の方、定時制の方などは除く)
  • 特定漁船以外の漁船に乗り組むために雇用された船員(1年を通して雇用される場合を除く)
  • 国、都道府県、市区町村等の事業の雇用者のうち、離職した場合に他の法令などに基づいて支給を受けるべき諸給与が、雇用保険の求職者給付および就職促進給付を超える方

雇用保険の適用外の条件は複数あるため、雇用保険に加入していない理由が不明な場合は、いずれかの条件に該当していないかを確かめましょう

4.パート・アルバイトで雇用保険に加入するメリット

ここでは、パート・アルバイトで雇用保険に加入するメリットを紹介します。

4-1.各種給付金・手当を受給できる

雇用保険に加入するメリットは、離職時に各種給付金・手当を受給できることです。雇用保険における給付は下記の5つに大別されます。

  • 求職者給付:失業者の生活の安定および求職活動の円滑化を目的とする給付
  • 就職促進給付:失業者の再就職の援助・促進を目的とする給付
  • 教育訓練給付:労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を目的とする給付
  • 雇用継続給付:労働者の職業生活の円滑な継続の援助・促進を目的とする給付
  • 育児休業給付:育休中の生活の安定を目的とする給付

上記の給付ごとに給付金や手当があり、合計で以下の20種類に分類されます。

給付の名称 受給できる給付金・手当
求職者給付
  • 失業手当(基本手当)
  • 技能習得手当
  • 寄宿手当
  • 傷病手当
  • 高年齢求職者給付金
  • 特例一時金
  • 日雇労働求職者給付金
就職促進給付
  • 就業手当
  • 再就職手当
  • 就業促進定着手当
  • 常用就職支度手当
  • 移転費
  • 求職活動支援費
教育訓練給付
  • 教育訓練給付金
  • 教育訓練支援給付金
雇用継続給付
  • 高年齢雇用継続基本給付金
  • 高年齢再就職給付金
  • 介護休業給付金
育児休業給付
  • 出生児育児休業給付金
  • 育児休業給付金

失業時には、収入が途絶えることで、毎月給与を得ている場合と比べると生活費の負担が大きくなります。その際に各種給付金・手当が受給できることにより経済的な支えとなるため、失業時でも安定した生活を送りやすくなるでしょう。

5.パート・アルバイトで雇用保険に加入するデメリット

次に、パート・アルバイトで雇用保険に加入するデメリットを紹介します。

5-1.毎月の給与から保険料が天引きされる

雇用保険に加入した場合は、毎月の給与から賃金に応じた雇用保険料が天引きされます。

雇用保険料の負担額は、労働者負担と事業主負担に分かれており、令和6年度では賃金総額に対して0.6%(一般の事業の場合)が労働者負担となります。

例えば、雇用保険に加入しており、月に額面で10万円稼いでいるパートの方の雇用保険料の自己負担額は以下のとおりです。

100,000円×0.006=600円

このように、雇用保険に加入することで手取り収入が少し減少することは覚えておきましょう。

5-2.給付金の申請や受給に手続きの手間がかかる

雇用保険の給付金の申請や受給には、一定の手続きや書類の提出が必要となるため、人によっては煩雑さを感じる場合があります。

例えば、失業手当(基本手当)を受給するには、ハローワークに足を運び、離職票の提出や失業の認定といった手続きをしなければなりません。

特に、失業中や育児休業中などに給付金の受給を希望する場合、転職活動や育児の合間を縫って手続きをおこなう必要があるため、人によっては負担を感じるでしょう。

また、忙しさのあまりに給付金の申請が遅くなってしまうと、そのぶん給付金の受給が遅れてしまうことにも注意が必要です。

6.雇用保険加入者が受給できる主な給付内容

ここでは、雇用保険加入者が受給できる主な給付について解説します。それぞれの給付内容を確認しましょう。

6-1.失業手当(基本手当)

失業手当(基本手当)は、要件を満たしている失業者に支給される手当です。基本手当を受給するには、以下の2つの項目に該当している必要があります。

  • 雇用保険の被保険者期間が、離職日以前の2年間で12ヵ月以上あること(特定受給資格者または特定理由離職者については、離職の日以前1年間の被保険者期間が通算して6ヵ月以上ある場合でも可)
  • ハローワークで求職手続きをおこない、いつでも就業できる能力はあるが、失業状態であること

上記の条件に該当する方は、基本手当日額(直近6ヵ月の平均賃金日額の45%〜80%)が、雇用保険の被保険者期間や離職時の年齢などに応じて、90日分〜360日分支給されます。

6-2.育児休業給付金

育児休業給付金は、原則1歳未満の子どもの世話をするための育児休業を取得した場合に支給される給付金です。

保育所に入所を申し込んだものの入れないなどの理由がある場合は、最大で2歳未満までが給付金の支給対象となります。

給付対象と認められた方は、休業開始から通算180日までは賃金月額の67%、181日以降は賃金月額の50%の給付金を受給可能です。

なお、2025年4月1日からは出生後休業支援給付が創設され、要件を満たした場合の育児休業給付金とあわせた給付金の給付率が80%(手取りで10割相当)となります。

6-3.介護休業給付金

介護休業給付金は、家族の介護のために介護休業を取得した方に休業前の賃金月額の67%が支給される給付金です。対象家族1人につき93日を限度に3回まで給付金が支給されます。

受給するには、介護休業を開始した日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ヵ月以上必要です。この条件を満たしていない場合でも、その期間中に本人の疾病などがある場合は、受給要件が緩和されます。

6-4.再就職手当

再就職手当とは、失業手当(基本手当)の受給資格者が、所定給付日数を残して安定した職業に就いた場合などに支給される手当です。残りの所定給付日数に応じて、以下のように支給される金額は異なります。

  • 残りの所定日数が3分の1以上:所定給付日数の60%に基本手当日額を乗じた金額
  • 残りの所定日数が3分の2以上:所定給付日数の70%に基本手当日額を乗じた金額

なお、再就職手当を受け取るには、就職先で1年を超えての勤務が確実でなければならず、雇用期間が1年以下である場合は、手当の支給対象となりません。

6-5.教育訓練給付金

教育訓練給付金は、厚生労働省が指定する教育訓練を受講・修了した方に、受講費用の一部を支給する給付金です。教育訓練の種類は大きく以下の3つに分かれており、どの訓練に該当するかによって給付金の給付率の上限が異なります。

  • 専門実践教育訓練:最大で受講費用の80%を支給(年間上限64万円)
  • 特定一般教育訓練:最大で受講費用の50%を支給(上限25万円)
  • 一般教育訓練:最大で受講費用の20%を支給(上限10万円)

失業者・在職者いずれも要件を満たしていれば給付金の支給対象となります。対象の教育訓練は約16,000講座と幅広いため、自分に合った講座を受けることができ、キャリアアップに活用できるでしょう。

6-6.高年齢雇用継続給付金

高年齢雇用継続給付金は、60歳到達時点に比べて賃金が75%未満に低下した60歳以上65歳未満(雇用保険の被保険者期間が5年以上)の方に支給される給付金です。

給付金の支給率は、60歳到達時点の賃金月額と比較した各月に支払われた賃金の低下率によって決まるため、人によって支給金額が異なります。

なお、2025年3月31日までの給付金の支給率の上限は、「各月に支払われた賃金の15%」と定められていますが、2025年4月1日からの上限は「各月に支払われた賃金の10%」に変更されます。

7.パート・アルバイトの雇用保険に関するよくある質問

最後に、パート・アルバイトの雇用保険に関するよくある質問に回答します。疑問点がある方はぜひ参考にしてください。

7-1.雇用保険の加入手続きは自分でやるの?

雇用保険の加入手続きは、事業主(雇用主)側の義務であるため、労働者自ら手続きする必要はありません。

ただし、加入条件を満たしているのにも関わらず、雇用保険に加入していない場合は、自分から雇用主に状況を確認しましょう。

7-2.学生でも雇用保険に加入できる?

基本的に全日制の学生は雇用保険に加入できません。

ただし、夜間学校に通っている学生や、休学中の方、卒業見込みで同じ企業での就職を前提にアルバイトとしている方など、特定の条件を満たす場合は雇用保険に加入できます。

7-3.パートを掛け持ちしている場合、雇用保険はどうなる?

雇用保険の加入は1社しか認められず、2つ以上の会社で同時に加入できません。

パートを掛け持ちしており、どちらも雇用保険の加入条件を満たしている場合は、「生計を維持するための主な賃金を受ける雇用関係にある会社」(給与の多い会社)の雇用保険に加入することになります。

なお、雇用保険の加入条件は1社単位で判断されるため、2社の勤務時間などを足し合わせて加入条件を満たしても被保険者とはなりません。(※)

(※)65歳以上の方は申請によって加入対象となりうる

8.まとめ

パートやアルバイトで働いている方でも、「週の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがあること」の2つの条件を満たしている場合は、雇用保険の加入対象です。

雇用保険の被保険者となると毎月の給与から雇用保険料が天引きされ、手取り収入が少なくなりますが、失業時などに条件を満たしている場合は各種給付金や手当を受給できます。

これからパートやアルバイトで働くことを考えており、雇用保険の被保険者となりたい方は、労働時間や契約期間など、雇用保険の加入条件を満たした仕事を探す必要があります

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