パート・アルバイトの悩み
更新日:2025年02月27日

パートも有給休暇をもらえるの?取得できる日数や条件、休んだときの給料について解説

パートも有給休暇をもらえるの?取得できる日数や条件、休んだときの給料について解説

この記事で分かること

  • パートであっても勤務が半年以上継続しており、出勤率が8割を超えていれば有給休暇をもらえる
  • 有給休暇の付与日数は、所定労働時間や所定労働日数、勤続年数によって決まる
  • 有給休暇を取得した際の給料の計算方法は複数あり、会社によって採用している方法が異なる
  • 有給休暇が10日以上付与されるすべての労働者に対し、会社は年5日の有給休暇を取得させる義務がある

※この記事は6分で読めます。

「パートでも有給休暇は取れる?」
「有給休暇を取ったら給料はどうなるの?」

など、パートで働く際の有給休暇に関して疑問を持っている人もいるでしょう。

有給休暇は法律で保障された労働者の権利であり、正社員だけでなくパートでも取得が可能です。ただし、有給休暇を取得するためには、法律で決められている条件を満たしている必要があります。

今回は、パートで有給休暇をもらうための条件や取得できる日数、取得時の給料の計算方法などを解説します。この記事を読めば、有給休暇に関する疑問が解消され、パートであっても安心して有給休暇を取得できるようになるでしょう。

1.パートでも有給休暇はもらえるの?

有給休暇は、労働基準法第39条により雇用形態に関わらず認められた労働者の権利です。そのため、条件を満たしていれば、パートであっても有給休暇を取得できます

有給休暇は労働者が仕事の疲れを取るとともに、ゆとりのある生活を保つための制度です。有給休暇を取得した日は実際に仕事をしませんが、働いたとみなされて一定額の給料が発生します。

なお、有給休暇は1日単位での取得が基本ですが、会社によっては時間単位で取得できると就業規則で定めている場合があります。

有給休暇をもらえる条件について、さらに見ていきましょう。

1-1.有給休暇をもらえる条件

労働基準法第39条に基づき、有給休暇をもらうためには以下の条件をいずれも満たす必要があります

  • 6ヵ月以上継続して勤務している
  • 出勤率が8割以上である

もし契約単位で雇用期間が6ヵ月未満であっても、契約更新によって勤続期間が合計6ヵ月を超えた場合は条件に当てはまります。

出勤率は、以下の計算式で求められます。

出勤率=全労働日のうち実際に出勤した日数÷全労働日

全労働日とは、有給休暇を算定する期間内の総日数から、就業規則や雇用契約書で定められた休日を除いた日数のことです。上記の式で計算した答えが8割(0.8)以上であれば、有給休暇をもらえます。

なお、労働基準法第39条により、以下に当てはまる場合は休んでいても出勤した日とみなされます。

  • 業務が原因のけがや病気で休業した日
  • 産前産後休業を取得した日
  • 育児休業を取得した日
  • 介護休業を取得した日

例えば、業務が原因のけがにより働くことが困難で、長期間休業したとしても、出勤率を計算する際に出勤した日としてカウントされ、有給休暇が付与される場合があります。

2.パートが有給休暇を取得できるのは何日?

パートが取得できる有給休暇の日数は、所定労働日数や所定労働時間、勤続期間によって異なります

例えば、以下のいずれかを満たす人は、正社員と同じ日数の有給休暇を取得できます。

  • 1週間の所定労働時間が30時間以上
  • 1週間の所定労働日数が5日以上
  • 1年間の所定労働日数が217日以上

取得できる有給休暇の日数は、以下のとおりです。

勤続期間 取得できる有給休暇の日数
6ヵ月 10日
1年6ヵ月 11日
2年6ヵ月 12日
3年6ヵ月 14日
4年6ヵ月 16日
5年6ヵ月 18日
6年6ヵ月以上 20日

上記のように、雇い入れの日から起算して6ヵ月経った日に、10日の有給休暇が付与されます。例えば4月1日から働き始めた場合は、10月1日から有給休暇を取得できます。

有給休暇が付与される日は「基準日」と呼ばれ、以降は原則として毎年基準日に有給休暇が付与される仕組みです。

また、1週間の所定労働時間が30時間未満であり、かつ所定労働日数が4日以下の人が取得できる有給休暇の日数を表にまとめました。

週の所定労働日数 1年間の所定労働日数(※) 勤続期間ごとの取得できる有給休暇日数
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月以上
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

(※)週ではなく月や年などで所定労働日数が決められている場合

表からもわかるとおり、週に1日しか勤務していない人でも、6ヵ月の勤続期間の条件を満たせば有給休暇を取得できます。

3.有給休暇を取得した場合の給料はいくら?

有給休暇を取得した場合の給料を計算する方法を3つ紹介します。計算方法を知っておくと、有給休暇を取ったときの給料を把握しやすくなるでしょう。

3-1.労働時間があらかじめ決まっている場合

労働時間や労働日数があらかじめ決まっているときは、通常の賃金と所定労働時間をかけて給料を計算します

例えば、時給が1,100円で1日の所定労働時間が6時間という条件で働いている人が有給休暇を取得したときの給料は、以下のとおりです。

有給休暇を取得したときの給料=1,100×6=6,600

ただし、月曜日は3時間、木曜日は5時間など曜日によって所定労働時間が異なる場合は、有給休暇を取得した曜日の時間に基づいて給料が計算されます。

3-2.シフト制で労働時間に変動がある場合

シフト制で労働時間や労働日数に変動がある際は、労働基準法第12条で定められている平均賃金を算出し、有給休暇を取得したときの給料として支払います

平均賃金の求め方には以下の2つがあります。

平均賃金=有給取得日の前日から3ヵ月分の賃金の総額÷期間内の総日数

平均賃金=有給取得日の前日から3ヵ月分の賃金の総額÷実際に働いた日数×60%

※賃金の総額とは、基本給と各種手当を合計した金額のこと。

上記を計算した結果、金額が大きいほうを平均賃金として採用します。実際に働いた日数が少ない人の場合には、後者の式の金額が大きくなる傾向です。

3-3.標準報酬日額で計算する場合

労使協定であらかじめ計算方法を合意のうえ、有給休暇を取得したときの給料を健康保険の標準報酬日額で計算する場合があります。標準報酬日額を有給休暇1日あたりの給料として、取得した日数に応じて支払います。

標準報酬日額とは、健康保険料の算定に使う標準報酬月額を30で割った金額です。標準報酬月額は基本給と各種手当の総額に基づいて等級が決まっており、当てはまる等級を確認すると具体的な金額がわかります。(※1)

パートの場合は、4〜6月に給料支払いの対象となる日が何日あるかで標準報酬月額の決め方が異なります。(※2)

支払基礎日数 標準報酬月額の決め方
3ヵ月とも17日以上ある 3ヵ月の報酬月額の平均額をもとに決める
3ヵ月のうち1ヵ月だけでも17日以上ある 17日以上の月の報酬月額の平均額をもとに決める
3ヵ月とも15日以上17日未満 3ヵ月の報酬月額の平均額をもとに決める
1~2ヵ月だけ15日以上17日未満 15日以上17日未満の月の報酬月額の平均額をもとに決める
3ヵ月とも15日未満 今までの標準報酬月額のままになる

標準報酬日額をもとに計算すると、他の方法より有給休暇取得時の給料が低くなる可能性があります。

4.有給休暇の取得は義務化されているって本当?

雇用形態に関わらず、有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、会社は付与日から1年以内に使う時期を指定した有給休暇を5日取得させる義務があります

パートの場合、週の所定労働時間が30時間以上なら、勤続期間が6ヵ月以上で10日の有給休暇が付与されるため、義務化の対象です。

また、週の所定労働時間が30時間に満たないパートでも、以下に当てはまる人は付与日数が10日に達し、同様に義務化の対象となります。

  • 週の所定労働日数が4日で、3年6ヵ月以上勤務している
  • 週の所定労働日数が3日で、5年6ヵ月以上勤務している

会社は労働者の希望を確認し、意見を尊重しながら取得日を決めます。なお、すでに5日以上の有給休暇の請求や取得を済ませている労働者に対しては、会社側が使う時期を指定することはできません

5.パートの有給休暇に関するよくあるQ&A

パートの有給休暇に関するよくある質問を5つ紹介します。疑問を解消しておくと、安心して有給を取得しやすくなるでしょう。

5-1.条件を満たしているのに有給休暇が付与されません。

条件を満たしているにも関わらず有給休暇が付与されない際は、上司や人事担当にすぐに確認する必要があります

有給休暇の付与は労働基準法で規定されており、条件を満たすすべての労働者に与えられるためです。

5-2.有給休暇を取得したいと言いにくいです。同僚には取得を拒否された人もいるようで言い出せません。

有給休暇は、労働基準法に定められている労働者の権利です。正当な理由がないのに会社が拒否するのは法律違反となるため、遠慮せずに有給休暇の取得について上司へ相談してみましょう

取得を拒否された場合には、拒否の理由や他に取得できる日程を確認することで状況を改善できる可能性があります。

なお、トラブルになる場合への備えとして、社内では口頭だけでなく、記録に残るメールで有給休暇の取得についてやりとりすることも重要です。

5-3.有給休暇を申請しましたが、取得日をずらすように言われました。取得する日は自由ではないのでしょうか?

会社には、労働基準法第39条第5項に定められている時季変更権が認められています

時季変更権とは、労働者が請求した日に有給休暇を取得すると事業の運営に支障が出ると会社が判断した際に、取得日をずらせる権利です。

会社が時季変更権を行使できる主な例は、以下のとおりです。

  • 繁忙期に有給休暇の申請があり、代わりの職員を探したが見つからなかった
  • スキルや知識を得るために参加する必要がある研修日に有給休暇が申請された
  • 業務に支障が出るほど長期間の有給休暇を連続して申請された

時季変更権によって取得日をずらすよう言われた際は、会社と相談しながら他の取得日を決めましょう。

5-4.有給休暇は繰り越しができますか?退職したら次の仕事に引き継がれるのでしょうか?

労働基準法第115条により、有給休暇は発生してから2年間で消滅すると定められています。そのため、使わなかった有給休暇は翌年に繰り越すことが可能です。

ただし、1年間で付与される有給休暇の最大日数は20日のため、翌年に繰り越せる有給休暇の上限は実質的に20日までです。

また、有給休暇は在職中の労働者が対象の制度であり、退職すると残っている有給休暇はすべて消滅するため、次の仕事への引き継ぎはできません

5-5.有給休暇の買い取りとはなんですか?

有給休暇の買い取りとは、労働者が有給休暇を取得する代わりに、会社が有給休暇を取得した際の賃金に該当する金銭を労働者に支払うことです。

有給休暇は労働者が休息を取ることを目的とした制度です。有給休暇の買い取りは本来の趣旨に反するため、原則認められていません。

ただし、例外として以下のような場合には買い取りが認められることがあります。

  • 法律で定められている日数よりも多く付与されている有給休暇
  • 発生から2年が経過し消滅してしまう有給休暇
  • 退職前に消化しきれなった有給休暇

有給休暇の買い取りは会社によって方針が異なるため、買い取ってもらいたい場合は事前に就業規則を確認しておく必要があります。

6.まとめ

有給休暇は労働基準法で定められている労働者の権利のため、パートであっても条件を満たせば取得できます。付与日数や取得時の給料の計算方法は労働条件によって異なるため、申請前に就業規則で確認しておくことがおすすめです。

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