正社員の給料・お金
更新日:2024年11月01日

月給とは?他の給与形態との違いや計算方法、転職時の確認事項を解説

月給とは?他の給与形態との違いや計算方法、転職時の確認事項を解説

この記事で分かること

  • 月給は基本給と固定手当を足した、毎月固定で支給される賃金のこと
  • 月収は月給に残業手当やインセンティブなど、変動手当を足した賃金を指す
  • 月給制には、安定した収入を得られる、労働時間に収入が左右されないなどのメリットがある
  • 現在勤めている企業での昇給が難しい場合は、転職を検討するのも有効

※この記事は6分30秒で読めます。

「月給と月収の違いは?」
「月給とは手取りのこと?」
など、月給の意味に関して疑問を持つ方もいるでしょう。

「月給」とは基本給と固定手当を足した、毎月固定で支給される賃金のことです。一方、「月収」は月給に変動手当を加えた金額を指し、「手取り」は月収から社会保険料と税金を差し引いて残った金額を指します。

今回は、月給の定義や、他の給与形態との違い、月給を上げる方法などを解説します。この記事を読めば、月給のことがよくわかり、転職活動の参考にできます。

1.月給とは?

月給とは「基本給」と「固定手当」で構成された、毎月固定で支給される賃金のことです。

基本給とは、勤続年数や個人の能力などをもとに決められる、ベースとなる賃金を指します。また、基本給の決定方法は企業ごとに異なります。

一方固定手当とは、毎月支払われる額が一定している、以下のような手当のことです。

  • 役職手当
  • 資格手当
  • 住宅手当
  • 通勤手当
  • 家族手当

ただし、基本給には法律上の定めが存在しておらず、企業によっては一部の手当を含めた額を基本給としている場合もあります。

2.月給と他の給与形態の違い

月給に関連する言葉として「月収」や「手取り」などがありますが、どのような違いがあるのかわからない方もいるのではないでしょうか。

ここでは、月給と他の給与形態の違いについて解説します。

2-1.月給と月収の違い

月給は基本給と固定手当の合計金額を指しますが、月収は残業手当やインセンティブ、一時金など、各種変動手当を加えた総収入を意味します。月給と月収の違いについては、以下のように理解しておくとわかりやすいでしょう。

  • 月給=基本給+固定手当
  • 月収=月給(基本給+固定手当)+変動手当

以下では、基本給が20万円だった場合を想定して、月給と月収の具体的な金額の違いを表にまとめました。

種類 月給 月収
基本給 20万円 20万円
住宅手当 2万円 2万円
通勤手当 1万円 1万円
家族手当 1万5千円 1万5千円
残業手当 3万1,250円
インセンティブ 2万円
合計 24万5千円 29万6,250円

上記のとおり、月給と月収を比較すると、それぞれの合計額が異なります。

月給は、昇給や昇進、家族構成・通勤距離の変化などが発生しない限り、基本的に変動することがない固定の賃金です。

一方、月収には変動手当が含まれるため、毎月の残業時間や仕事の成果によって金額が上下します。そのため、残業がほとんど発生しなかった月では、月給と月収があまり変わらないこともあります。

また、月収と月給は、いずれも計算上の数字と実際に受け取れる額が異なります。詳細についてはこのあと詳しく解説するので、そちらを参考にしてください。

2-2.月給と手取りの違い

手取りとは、実際に銀行口座に振り込まれる金額を意味します。月給や月収はそのままの額を受け取れるわけではありません。最終的に自身の手もとに残る額は、月収から社会保険料や税金を差し引いた金額であり、これを「手取り」といいます。

また、この「一定額(社会保険料や税金など)を差し引くこと」は、「控除」と表現されることが多いため、覚えておきましょう。

手取りについては、以下のように理解しておくことをおすすめします。

  • 手取り=月収 - 社会保険料 - 税金

社会保険料や税金は月収額によって決まるため、月給のみでは手取りを算出できません。

以下では、基本給が20万円だった場合を想定して、月給と月収、手取りの具体的な金額の違いを表にまとめました。

種類 月給 月収 手取り
基本給 20万円 20万円 20万円
住宅手当 2万円 2万円 2万円
通勤手当 1万円 1万円 1万円
家族手当 1万5千円 1万5千円 1万5千円
残業手当 3万1,250円 3万1,250円
インセンティブ 2万円 2万円
健康保険料 -1万5千円
厚生年金保険料 -2万5千円
雇用保険料 -1,500円
所得税 -1万円
住民税 -7,500円
合計 24万5千円 29万6,250円 23万7,250円

このように、手取り額は社会保険料や税金が控除されるため、月収よりも金額が少なくなります。

2-3.その他の給与形態との違い

企業から受け取る賃金に関連する言葉には、月給や月収、手取り以外にもさまざまなものがあります。ここでは、「年収」「所得」「額面」について解説します。

用語 意味
年収 社会保険料や税金が引かれる前の年間総支給額のこと。月収だけでなく賞与(ボーナス)も含まれる。
所得 収入(年収と同義語)から必要経費(交通費や研修費など)を差し引いて残った金額のこと。別名「給与所得」とも呼ばれる。
額面 社会保険料や税金が引かれる前の総支給額のこと。基本給だけでなく、固定手当と変動手当も含まれるため、一般的に月収と同じ意味で使われる。

賃金にまつわる用語はこの他にも多数ありますが、それぞれの言葉の意味を正しく理解しておくことで、各企業の給与面や待遇面を比較しやすくなります。

3.月給の計算方法

ここでは、月給の具体的な計算方法について解説します。たとえば、基本給や各種手当が以下の条件だったときの月給を計算してみましょう。

  • 基本給:20万円
  • 住宅手当:2万円
  • 通勤手当:1万円
  • 家族手当:1万5千円

月給=200,000円(基本給) +20,000円(住宅手当) +10,000円(通勤手当) +15,000円(家族手当) =245,000円

このように、基本給に固定手当を加算することで月給がいくら得られるかを計算できます。

4.月給のメリット

月給制には主に以下3つのメリットがあります。

  • 安定した収入を得られる
  • 労働時間に左右されない
  • 仕事のモチベーションの維持しやすい

それぞれの内容を詳しく解説します。

4-1.安定した収入を得られる

月給制は毎月決まった給与が支給されるため、安定した収入を得られます。一定の収入が補償されることで、生活費や家賃など、毎月発生する各種固定費をスムーズに支払いやすくなるでしょう。

また、住宅や自動車などの購入時にローンを組む場合も、月給制であれば無理のない返済計画を立てることができます。

4-2.労働時間に左右されない

実際の労働時間に左右されずに、毎月一定の収入を得られるのは、月給制の大きなメリットの一つです。

ゴールデンウィークやお盆休みのような長期休暇がある月でも、月給制であれば月の収入が減少することはありません。反対に、会社の繁忙期などで残業や休日出勤が増えた場合は、そのぶん得られる収入が多くなります。

労働時間にとらわれずに一定額を稼ぐことができ、自身の頑張り次第で収入を上げられるのは、月給制ならではの魅力です。

4-3.仕事のモチベーションの維持しやすい

毎月安定した収入が得られる月給制は、仕事に対するモチベーションを維持しやすい傾向にあります。

その理由として、月給制は自身の収入を把握しやすいため、無理のない人生計画を立てることができ、精神的な安心感を得やすいのです。

月給制の企業で働けば、将来への不安を抱えずに、日々の仕事に前向きに取り組むことができるでしょう。

5.月給のデメリット

月給制の理解を深めるには、月給制のメリットだけでなく、デメリットについても知っておく必要があります。ここでは、月給制のデメリットを3つ紹介します。

  • 残業手当がつかない場合がある
  • 成果がなかなか反映されない
  • 柔軟な働き方が難しい場合がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

5-1.残業手当がつかない場合がある

一部の企業では、月給にみなし残業代(固定残業代)が含まれており、残業手当がつかない場合があります。そのため、みなし残業代を定めている企業に勤めた場合、実際の労働時間と受け取る賃金とが見合っていないと感じることもあるでしょう。

ただし、みなし残業代は残業時間の長さに関わらず支払われます。たとえば、みなし残業代が20時間分と定められていた場合、月の残業時間が10時間であったとしても、受け取れる残業代は20時間分です。

このように、みなし残業代を含む月給は、毎月の残業時間によって賃金を受け取る側の印象が大きく異なります。

5-2.成果がなかなか反映されない

月給制は基本的に固定給のため、個人の業績や成果が給与に反映されにくい傾向にあります。ときには努力して業務上の成果をあげたにも関わらず、自身が想定していた給与を得られないこともあるでしょう。

なかには自身の取り組みに対する給与面の見返りが乏しいことから、仕事へのモチベーションが低下してしまう方もいます。

5-3.柔軟な働き方が難しい場合がある

月給制を採用している企業の多くは労働時間と労働日数を固定化しているため、柔軟性のある働き方の実現が難しい場合があります。

柔軟な働き方としては、勤務時間に自由度を持たせる「フレックスタイム制」や、職場以外でも仕事に取り組める「リモートワーク」などが代表的です。

月給制を採用している企業の中には、長年の慣習や就業規則の見直しが困難であることから、このような制度をうまく導入できていないところもあります。

6.月給を上げる方法3選

月給を上げるには、主に以下の3つの方法があります。

  • スキルアップや資格を取得する
  • 社内で実績を積み重ねる
  • 転職を検討する

それぞれについて、詳しく解説します。

6-1.スキルアップや資格取得をする

需要の高い専門スキルや業務に関連する資格を取得することで、月給が上がる可能性があります。

スキルアップや資格取得のために得た知識を業務に活かせば、仕事での成果をあげやすくなり、そのぶん昇給につながる可能性があるでしょう。

また、企業によっては、特定の資格を保有している社員に資格手当を支給しており、毎月の月給に手当額が上乗せされることもあります。

6-2.社内で実績を積み重ねる

月給を上げるには、企業が掲げる目標に対して、具体的な成果をあげることも手です。例えば、営業で上位の成績を収める、業務上のコスト削減につながる施策をおこなうなどが挙げられます。

また、重要性の高いプロジェクトを成功に導き、上司から高い評価を得ることができれば、昇進せずとも月給を上げられる可能性があります。

6-3.転職を検討する

現在の職場での昇給が見込めない場合、転職を検討することで月給が上がる可能性があります。

今より給与が高い求人に応募したり、面接時や内定後に給与交渉を行ったりすることで、自身の納得のいく働き方を実現できるかもしれません。転職で確実に月給を上げたい場合は、一度転職のプロに相談してみると良いでしょう。

JOBPALでは、キャリアパートナーにキャリアや仕事に関する悩みを相談できます。対面面談だけでなく、オンライン面談やメール・LINEでの相談も受け付けています。

知識と経験が豊富なプロに相談することで、効率的に自身にマッチした企業を見つけ出せるでしょう。月給の上げ方や給与交渉などに関する悩みを解決したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

7.転職時の給与に関する確認事項

転職で理想通りの収入を手にするには、入社前に企業へ確認しておいた方が良いポイントが4つあります。

  • 総支給額と手取り額を確認する
  • 各種手当を確認する
  • ボーナスや賞与の有無を確認する
  • 昇給制度を確認する

それぞれについて詳しく解説します。

7-1.総支給額と手取り額を確認する

転職時には、入社予定企業の「総支給額」と「手取り額」を確実に確認しておきましょう。

総支給額はあくまで「控除前のトータル金額」のことで、実際に手もとに入ってくる手取り額は、総支給額から社会保険料や税金などが差し引かれた「控除後の金額」です。

この点を正しく理解し、事前に確認しておかないと、「想定よりも受け取れる賃金が少なかった」という事態が起こりうるため、注意しましょう。

また、転職活動中の面接では、企業から希望年収や希望月給を聞かれることがありますが、この場合は手取り額ではなく総支給額を答えるのが一般的です。

7-2.各種手当を確認する

住宅手当や通勤手当、家族手当、資格手当などの各種手当は、企業によって支給条件や金額が異なります。

手当は実際に受け取る給与に直結するものなので、転職時には応募企業の手当の有無や支給条件、支給金額についてしっかり確認しておくことが大切です。

たとえ基本給の高い企業から内定を得たとしても、その企業で用意されている手当が少なかった場合、現職よりも収入が減ってしまうこともあります。

納得のいく給与を得るためにも、手当に関する詳細は確実におこないましょう。

7-3.ボーナスや賞与の有無を確認する

ボーナスや賞与は収入に大きく関わる要素のため、支給の有無や支給金額を事前に確認しておくことが重要です。

月給の高さだけに着目してしまうと、期待していたような年収を得られないこともあるため注意しましょう。企業から必ず支払われる月給や賞与の金額を正確に把握しておくことで、自身の見込み年収を具体的に把握しやすくなるはずです。

7-4.昇給制度を確認する

昇給制度の有無や基準、昇給の頻度を確認することも、重要な項目の一つです。

勤続年数によって昇給するのか、仕事で成果を出せば昇給されるのかを把握しておくことで、将来的な収入の見通しを立てやすくなります。

昇給のしやすさは生涯年収に大きく関わるポイントなので、応募企業の昇給制度については、詳細までしっかり確認しておくことをおすすめします。

8.まとめ

月給とは、基本給と固定手当を足した、毎月一定額で支給される賃金のことです。一方、月収とは、月給に残業手当やインセンティブなどの変動手当を足した収入を指します。

月給を上げるには、スキルアップや資格の取得、社内での実績を積み上げるなどの方法があります。ただし、現職での昇給が見込めない場合は、転職を検討するのも有効な方法です。

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