賞与(ボーナス)とは?4つの種類やもらえる条件、業種別の平均額を解説

この記事で分かること
- 賞与とは、固定給とは別に支給される給与のことで「ボーナス」「特別手当」「一時金」とも呼ばれる
- 賞与をもらえる条件には「賞与の査定期間に勤務している」「支給日に在籍している」などがある
- 賞与の支給タイミングは企業によって異なるが、夏と冬の年2回が一般的である
※この記事は6分で読めます。
「賞与とはどういうもの?」
「賞与をもらう条件や平均額は?」
など、賞与に関して疑問を持つ方もいるでしょう。
賞与には、基本給と連動するものや業績に応じて決まるものなど幅広い種類があります。年2回の支給が一般的ですが、企業によって支給回数やもらえる条件もさまざまです。
今回は、賞与とは何か、賞与の種類、もらえる条件やタイミング、業種別の平均賞与額などを解説します。この記事を読めば賞与についての知識が深まり、自分の働く環境でどのような条件が適用されているのかを把握できるでしょう。
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1.賞与とは?
賞与とは、固定給とは別に支給される給与のことです。従業員のモチベーションを上げ、仕事に対して前向きに取り組んでもらう狙いがあります。ボーナスや特別手当、一時金など、呼び方は企業によってさまざまです。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和6年の夏季賞与の平均額は41万4,515円(※1)、令和5年の年末賞与の平均額は39万5,647円(※2)となっています。
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(※1)参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2409p/2409p.html
※「≪特別集計≫令和6年夏季賞与(一人平均)」を参照。調査対象の事業所規模は5人以上。
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(※2)参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2402p/2402p.html
※「≪特別集計≫令和5年年末賞与(一人平均)」を参照。調査対象の事業所規模は5人以上。
2.賞与の種類
賞与にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる目的や支給基準で設定されています。代表的な賞与の種類をみていきましょう。
2-1.基本給連動型賞与
基本給連動型賞与は、基本給を基準として計算される賞与で、募集要項などに「基本給〇ヵ月分」と表されることが一般的です。基本給とは、毎月の額面から残業手当などの各種手当を除いた額を指し、税金や社会保険料が控除されたあとの手取りとは異なります。
例えば、基本給が20万円で基本給2ヵ月分のボーナスが支給される場合、「20万円×2」で40万円の賞与が支給されます。基本給連動型賞与の場合は基本給が高いほどボーナスも増えるため、仕事探しの際には基本給に注目するとよいでしょう。
2-2.業績賞与
業績賞与は、従業員や部門、企業全体の成果に基づいて支給額が決まる成果主義の賞与です。業績賞与では業績が良いほどボーナスが増えるため、従業員のやる気向上につながります。
日本経済団体連合会の2021年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要によると、業績賞与を取り入れている企業の割合は55.2%です。2016年から連続で50%を超えていることから、企業が成果に応じた報酬を重視する傾向があるといえます。
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参照:一般社団法人日本経済団体連合会「2021年『夏季・冬季 賞与・一時金調査結果』の概要」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/044.pdf
2-3.決算賞与
決算賞与は、企業の決算状況に連動して支給される賞与です。通常の夏期賞与・年末賞与とは別に支払われるケースと、決算賞与のみのケースがあります。業績連動型に似ていますが、個人や部署の成果ではなく、企業全体の業績が反映される点が異なります。
なお、決算賞与の経営者側のメリットは、決算前の賞与支払いによる節税効果が期待できる点です。一方、業績悪化時には賞与が減額されて、従業員のモチベーションを下げる可能性もあります。
2-4.寸志
寸志とは一般的な賞与よりも少額で、日頃の労をねぎらうために渡されるものです。額はさほど大きくありませんが、アルバイトやパートでも支給されることがあります。
また、社内の懇親会や歓送迎会などで主催者から参加者へ渡されることもあります。本来の賞与とは異なり、あくまで気持ちばかりの贈り物という意味合いが強いことが特徴です。
3.賞与をもらえる条件とは?
多くの企業では、以下のような条件を満たす従業員が賞与をもらえるとしています。
- 賞与の査定期間に勤務している
- 支給日に在籍している
賞与が支給されるためには、査定期間に勤務していることが必要です。通常、賞与は半年間の仕事ぶりや業績に基づいて支給額が決まるため、査定期間中に実際に勤務していなければ賞与の対象外となります。
また、支給日に在籍している従業員だけが賞与を受け取れるという条件もあります。査定期間に勤務していても、支給日前に退職した場合には、賞与を受け取れないことが一般的です。
なお、賞与が支給されるのは正社員だけとは限らず、企業によっては契約社員やパートも賞与の対象になります。正社員と同じ条件で支給される場合もあれば、異なる条件が設けられる場合もあります。
4.賞与をもらえるタイミング
賞与の支給タイミングは企業によって異なりますが、年に2回、夏と冬の支給が一般的です。夏は6月下旬から7月下旬、冬は12月の支給が多く、企業ごとに自由に支給日を設定できます。他にも、年に3回支給する企業や、年度末に1回のみの企業などさまざまです。
また「基本給連動型賞与」「業績連動型賞与」「決算賞与」などの賞与の種類によっても、支給のタイミングは異なります。
例えば、基本給連動型と業績連動型は主に夏と冬の年2回ですが、決算賞与は企業の決算時に業績に応じて支給されるため、支給回数は基本的に年1回です。
なお、国家公務員の場合、賞与の支給日は人事院規則により6月30日と12月10日と決められており、多くの地方公務員も国家公務員に準じたスケジュールで支給されています。(※)
ただし、地方公務員の場合は自治体ごとによって細かな違いがあるため、勤務先の規定の確認が必要です。
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(※)参照:e-Gov 法令検索「人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)|第14条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/338RJNJ09040000#Mp-At_14
5.【業種別】賞与の平均額
令和5年の年末賞与の支給状況は、下記のとおりです。
産業 | 労働者一人あたりの平均賞与額 |
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調査産業全体 | 39万5,647円 |
鉱業・採石業等 | 58万1,210円 |
建設業 | 49万9,260円 |
製造業 | 52万3,946円 |
電気・ガス業 | 80万3,194円 |
情報通信業 | 71万3,851円 |
運輸業・郵便業 | 41万1,790円 |
卸売業・小売業 | 36万7,165円 |
金融業・保険業 | 64万5,024円 |
不動産・物品賃貸業 | 54万8,808円 |
学術研究等 | 63万490円 |
飲食サービス業等 | 6万9,234円 |
生活関連サービス等 | 17万269円 |
教育・学習支援業 | 53万5,395円 |
医療・福祉 | 29万826円 |
複合サービス事業 | 45万9,608円 |
その他のサービス業 | 23万9,074円 |
令和5年の年末賞与の平均支給額(調査産業全体)は39万5,647円です。産業別にみると、電気・ガス業が80万3,194円ともっとも高く、次いで情報通信業が71万3,851円、金融業・保険業が64万5,024円と続いています。
製造業に注目すると、令和5年の年末賞与の平均支給額は52万3,946円で、前年の51万4,074円から1.9%増加しています。調査産業全体の平均増加率である0.7%を上回る伸び率です。
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参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2402p/2402p.html
※「≪特別集計≫令和5年年末賞与(一人平均)」を参照。調査対象の事業所規模は5人以上。
6.賞与に関するよくあるQ&A
ここでは、賞与に関するよくある質問を6つ紹介します。
6-1.賞与には税金がかかりますか?
賞与からは所得税と社会保険料が引かれます。なお、住民税は毎月の給与から引かれる税金のため、賞与の手取り額の計算には用いられません。
あくまで目安ですが、税金や保険料の控除額は額面の15%〜25%ほどといわれているため、手取り額は額面の75%〜85%になります。
例えば、賞与が50万円の場合の手取り額の計算式は、以下のとおりです。
手取り額(額面の75%の場合)=500,000×0.75=375,000
手取り額(額面の85%の場合)=300,000×0.85=425,000
上記のように、賞与が50万円なら、実際の手取り額は37万5千円〜42万5千円が目安です。
6-2.賞与は夏と冬のどちらのほうが金額が多いですか?
一般的には、冬の賞与のほうが夏よりも若干多めになることが多いです。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和5年の年末賞与は平均して月の給与の1.05ヵ月分(※1)が支給されたのに対し、令和5年の夏期賞与は平均して月の給与の1.01ヵ月分(※2)が支給されました。
ただし、夏と冬どちらの賞与の額が大きいかは、企業や賞与の種類などによって異なるため、実際には職場の規定を確認しましょう。
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(※1)参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2402p/2402p.html
※「≪特別集計≫令和5年年末賞与(一人平均)」を参照。調査対象の事業所規模は5人以上。
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(※2)参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果速報等」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2309p/2309p.html
※「≪特別集計≫令和5年夏季賞与(一人平均)」を参照。調査対象の事業所規模は5人以上。
6-3.年俸制の場合、賞与はありますか?
年俸制の場合、賞与が支給されるかは企業によって異なります。賞与を別途支給する企業もあれば、年俸を12ヵ月に分割して毎月の給与に賞与相当分を含める企業もあります。
毎月の給与に賞与相当分を含める場合、基本的には年間の支給額があらかじめ決まっているため、成果や業績に応じての変動はありません。
6-4.どれくらい働いたら賞与がもらえますか?
賞与の支給条件は企業ごとに異なりますが、一般的には雇用されてから6ヵ月以上の勤務が求められます。賞与の査定期間が半年で設定されていることが多いためです。
ただし企業の規定により異なるため、確認が必要です。
6-5.賞与が支払われないのですが、違法でしょうか?
賞与は必ず支給されると法律で決まっているわけではないため、支払われなくても違法とはなりません。企業の業績や契約内容によっては支給されない場合もあります。
ただし、就業規則や契約で明確に「賞与を支給する」と定められている場合は、未払いの賃金や残業代と同様に、支払いを請求する権利が発生します。
6-6.賞与がもらえるかはどうやったらわかるのでしょうか?
応募前の段階では、募集要項に賞与の有無や支給条件が記載されているため、事前に確認できます。採用後であれば、給与の担当者に問い合わせるとよいでしょう。
支給時期とあわせて「基本給の〇ヵ月分」などと募集要項に明記されていれば、賞与を確実にもらえます。一方、「業績による」などとされている業績賞与の場合は、業績次第で支給されない可能性もあります。
7.まとめ
賞与は企業から支払われる特別な報酬で、従業員のモチベーションを高める目的があります。一般的には年2回、夏と冬に支給されますが、支給回数や条件は企業によってさまざまです。
賞与をもらうための主な条件には、査定期間中に勤務している、支給日に在籍しているなどがあります。賞与の仕組みを理解して、働く意欲の向上につなげましょう。
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