手取りとは?計算方法や手取り額早見表を紹介

この記事で分かること
- 手取りは、基本給と各種手当の総額から保険料や税金などが差し引かれた金額のこと
- 年収から算出した月の額面に0.75~0.85をかけると、手取り額を算出できる
- 年収や額面から手取りが計算できるようになると、収入面で希望に合った会社を選びやすくなる
- 手取りを増やしたいなら、給与交渉や副業で収入を増やすか、ふるさと納税や資産運用で節税すると良い
※この記事は6分30秒で読めます。
「手取りと額面はどう違うの?」
「年収から手取り額はどうやって計算するの?」
など、手取りについて疑問を持っている方もいるでしょう。
手取りとは、給与の総支給額から保険料や税金などを差し引いた金額のことです。労働者が給与として実際に受け取れる金額は総支給額ではなく、手取り額となります。
今回は、手取りの概要や計算方法、年収別の手取り額などを解説します。この記事を読めば、手取りについての理解が深まり、理想の収入を得られる会社を見つけやすくなるでしょう。
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1.手取りとは?
手取りとは、基本給と各種手当の合計額から、保険料や税金などの各種控除を差し引いたあとの金額のことです。労働者が実際に受け取れるお金であり、給与明細の「差引支給額」の欄で確認できます。
手取りとよく間違われやすい用語に額面があります。額面とは、保険料や税金などを差し引く前の給与の総額です。額面の金額は、給与明細の「総支給額」の欄に記載されています。
額面ではなく手取り額をもとに生活や仕事のプランを立てれば、使える金額が思っていたよりも少ないといった事態を防げます。
2.手取り額を計算してみよう
手取り額の目安は、年収や月の額面から計算できます。以下では年収600万円の場合を例にあげつつ、実際の計算方法を紹介します。
手取り額を計算するために、まずは年収を12で割り、月の額面を算出しましょう。計算式は以下のとおりです。
額面=年収÷12
額面=6,000,000÷12
上記のように年収600万円をあてはめると、月の額面は50万円とわかります。
次に、月の額面から手取りを計算します。
額面の15%〜25%は保険料や税金として差し引かれるため、手取り額は額面の75%~85%が目安です。手取り額を計算式で表すと、以下のとおりです。
手取り額=額面×(75%~85%)
先ほど算出した額面の50万円を上記の式にあてはめると、以下のとおりとなります。
500,000×75%=375,000
500,000×85%=425,000
つまり、年収が600万円なら、月の手取り額は37万5千円〜42万5千円程度になるとわかります。
なお、年収や額面に含まれる手当には、さまざまな種類があります。以下の表では、主な手当についてまとめました。
手当の種類 | 概要 |
---|---|
時間外手当(残業手当) |
|
資格手当 |
|
役職手当 |
|
通勤手当 |
|
家族手当 |
|
住宅手当 |
|
また、年収や額面から控除される保険料や税金の種類もさまざまです。控除される主な項目を以下の表にまとめました。
保険料・税金の種類 | 概要 |
---|---|
健康保険料 |
|
厚生年金保険料 |
|
介護保険料 |
|
雇用保険料 |
|
所得税 |
|
住民税 |
|
なお、勤務時間や収入によっては社会保険の加入条件に当てはまらない場合もあるなど、雇用形態によって控除される項目は異なります。
-
参照:厚生労働省「労働基準に関する法制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042451.html
-
参照:厚生労働省「我が国の医療保険について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html
-
参照:厚生労働省「『年金制度の仕組みと考え方』第2 公的年金制度の体系(被保険者、保険料)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkin_shikumi_002.html
-
参照:厚生労働省「介護保険制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf
-
参照:厚生労働省「雇用保険制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/index_00003.html
3.手取り額早見表
年収から月の手取り額を確認できるよう、早見表としてまとめました。手取りは額面の75%〜85%程度となるため、以下の計算式で求めた2つの金額を記載しています。
- 手取り額(75%の場合)=年収÷12ヵ月×0.75
- 手取り額(85%の場合)=年収÷12ヵ月×0.85
年収 | 手取り額(75%の場合) | 手取り額(85%の場合) |
---|---|---|
100万円 | 6万3千円 | 7万円 |
200万円 | 12万5千円 | 14万2千円 |
300万円 | 18万8千円 | 21万3千円 |
400万円 | 25万円 | 28万3千円 |
500万円 | 31万2千円 | 35万4千円 |
600万円 | 37万5千円 | 42万5千円 |
700万円 | 43万8千円 | 49万6千円 |
800万円 | 50万円 | 56万7千円 |
900万円 | 56万3千円 | 63万8千円 |
1,000万円 | 62万5千円 | 70万8千円 |
※手取り額の3桁以下は四捨五入している。
おおまかにでも月の手取り額を知っておくと、生活費を見直したり、貯蓄の計画を立てたりしやすくなるでしょう。
4.手取りに関するよくあるQ&A
手取りに関するよくある質問を5つ紹介します。手取りについてより正確に理解できるよう、ぜひ参考にしてください。
4-1.求人情報に記載してあるのは手取り額ですか?
求人情報に記載されるのは手取り額ではなく、保険料や税金などが差し引かれる前の額面であることが一般的です。
手取り額を知りたい場合は、求人情報に記載されている額面に0.75〜0.85をかけて計算してみましょう。
なお、社宅の費用や労働組合費などを額面から差し引く会社もあります。面接の際にどのような控除があるのか確認しておくと、入社後に「想定より手取り額が少ない」と後悔するのを防げるでしょう。
4-2.転職の面接で希望年収を聞かれたら手取り額を答えればよいでしょうか?
面接時に希望年収を聞かれたら、手取り額ではなく額面で答えましょう。
会社も希望年収は額面で答えるものと考えていることが多いため、手取り額で答えてしまうと互いの認識にずれが生じる可能性が高くなります。
手取り額を誤って答えて就職した場合、給与の支払い時にその金額から保険料や税金などが控除され、想定よりも収入が少なくなってしまいます。
4-3.賞与(ボーナス)の手取り額の計算方法は?
賞与(ボーナス)も、通常の給与と同じように額面から控除額が差し引かれて、手取りは額面の75%〜85%程度となります。
賞与の場合は、毎月の給与から天引きされる住民税が控除額に含まれないという若干の違いはありますが、給与と同じ計算方法によっておよその手取り額を計算可能です。
例えば、30万円の賞与の手取り額は以下の計算式で求められます。
賞与の手取り額(75%の場合)=300,000×0.75=225,000
賞与の手取り額(85%の場合)=300,000×0.85=255,000
なお、実際の手取り額は扶養家族の有無や年齢などによって異なります。
4-4.扶養家族がいる場合、手取りはどう変わりますか?
扶養家族がいると所得税の計算に使われる金額(課税所得)が減るため、結果的に手取り額が増えることがあります。
扶養家族の年齢によって控除額は異なり、具体的な金額は以下のとおりです。(※1)
- 16歳以上の扶養家族:38万円
- 19歳以上23歳未満の扶養家族:63万円
- 70歳以上の扶養家族:48万円(同居なし)または58万円(同居あり)
扶養家族が2人以上いると人数分の控除を受けられるため、控除額が大きくなります。
また、扶養している配偶者がいる場合は、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることも可能です。(※2)配偶者控除と配偶者特別控除は、扶養者の合計所得額や扶養対象である配偶者の年収によって控除額が異なります。
-
(※1)参照:国税庁「No.1180 扶養控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
-
(※2)参照:国税庁「No.1191 配偶者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
4-5.どうやったら手取りを増やせますか?
手取りを増やすには、以下のような方法があります。
- 給与交渉や副業・ダブルワーク、転職によって収入を増やす
- ふるさと納税や資産運用で節税する
今の職場で高い成果をあげているなど、アピールできる材料があれば、上司や人事部に給与交渉する方法があります。副業やダブルワークで収入を増やす際は、就業規則に副業やダブルワークを禁止する旨が記載されていないか確認しておきましょう。
もし今の職場で手取りを増やすのが難しそうであれば、より高い収入が得られる会社への転職を検討する方法もあります。
ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に寄付すると、寄付額から2千円を除いた金額分の所得税と住民税が控除される制度です。ただし、上限額を超えた寄付は控除されず自己負担となるため、寄付する前に金額をシミュレーションする必要があります。(※1)
また、資産運用の一つであるiDeCoは、毎月一定額の掛け金を積み立てることで、将来の年金額が上乗せされる私的年金制度です。積み立てた掛け金分が課税所得から控除されるため、所得税や住民税の負担が軽くなります。(※2)
それぞれの特徴を理解したうえで、できそうな方法から試していき、手取りアップを目指しましょう。
-
(※1)参照:総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
-
(※2)参照:厚生労働省「iDeCoの概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html
5.まとめ
手取りとは、基本給に時間外手当や役職手当などを足した金額から、社会保険料や税金などを控除した金額を指します。月の額面がわかっていれば、0.75〜0.85をかけることで手取り額の目安を把握できます。
また、求人情報に記載されている給与の額は、一般的には手取り額ではなく額面です。額面から手取り額を計算できるようになっておくと、希望する収入を得られる会社を見つけやすくなり、理想の生活を実現しやすくなるでしょう。
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