正社員の給料・お金
更新日:2025年01月30日

基本給とは?手取り・額面・月給・月収・固定給との違いや最低ラインを解説

基本給とは?手取り・額面・月給・月収・固定給との違いや最低ラインを解説

この記事で分かること

  • 基本給は、労働者に対して必ず支払われる、収入の基本となる金額のこと
  • 基本給は総支給額から各種手当を除き、税金や保険料などを控除する前の金額
  • 基本給の決め方には仕事給式・属人給式・総合給式の3種類がある
  • 基本給の最低ラインは、勤務地がある都道府県の最低賃金や労働時間などで異なる
  • 基本給は賞与や退職金にも影響するため、転職時は慎重に検討すべき

※この記事は6分30秒で読めます。

「基本給ってそもそも何?手取りや額面の違いとは?」
「今の仕事の基本給が低いけど、最低ラインを下回っていないのか知りたい」
など、基本給に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

基本給とは、各種手当が含まれず、税金や保険料が差し引かれる前の給与のことです。賞与や残業代などの計算に影響するため、就職・転職前に基本給を正確に把握しておく必要があります。

今回は、基本給の概要や間違われやすい用語との違い、基本給の決まり方、最低ラインなどを解説します。この記事を読めば、基本給について理解でき、希望に合った就職・転職先の検討をしやすくなるでしょう。

1.基本給とは?

基本給とは、労働に対して必ず支払われる、給与の基本となる金額のことです。一般的には、時間外手当や通勤手当などの各種手当を含まない金額を指しますが、基本給の定め方は会社によって異なります。

残業代やボーナス、退職金などの計算に基本給が用いられる場合が多いため、あらかじめ就業規則などを確認しておきましょう。

なお、会社から支払われる給与に関連する用語には、手取りや額面などもあります。ここでは、基本給と間違われやすい用語との違いを解説します。

1-1.基本給と手取りの違い

手取りとは、労働者が会社から実際に受け取れるお金のことです。手取りは以下の計算式で金額を求められます。

手取り=基本給+各種手当ー(保険料・税金など)

差し引かれる保険料には健康保険料や雇用保険料などが含まれ、税金は所得税や住民税などが該当します。さらに、社宅の家賃や労働組合費などが差し引かれる場合もあります。

会社や労働者によって差し引かれる金額は異なりますが、手取りは基本給と各種手当を合計した金額の約75〜85%になるのが一般的です。

1-2.基本給と額面の違い

額面とは、労働に対して会社が支払う給与の総額を指します。額面の計算式は以下のとおりです。

額面=基本給+各種手当

各種手当には、固定手当と変動手当の2種類があります。

固定手当とは、期間ごとに一定の額が支給される手当のことです。例えば、役職手当や住宅手当、通勤手当などがあります。

一方で、変動手当とは、労働時間や成果に応じて支給額が変わる手当のことです。具体例として、残業手当や宿直手当、インセンティブなどが挙げられます。

給与明細で額面を確認する際は、「総支給額」と記載されている欄を見てみましょう。

なお、求人票に記載されている給与額は、額面が使われることが一般的です。

1-3.基本給と月給の違い

月給とは、基本給に役職手当などの固定手当を足したものであり、以下の計算式で求められます。

月給=基本給+固定手当

月給には残業代やインセンティブなどが含まれないため、毎月受け取れる金額が変動しません。また、固定手当が含まれるため、基本給よりも高い金額となります。

1-4.基本給と月収の違い

月収とは、月給(基本給+固定手当)と変動手当を合わせたもので、額面と同じ意味で使われる用語です。

月収がわかれば、以下の計算式で年収を求められます。

年収=月収×12ヵ月+ボーナス

月収は1ヵ月間に支払われる給与の総額を指すため、基本給や月給よりも高額になります。

1-5.基本給と固定給の違い

固定給とは、会社ごとに決められた期間内で一定額が支払われる仕組みのことです。基本給と固定手当を合計することで、計算する期間内の固定給の金額を算出できます。

つまり、固定給には固定手当が含まれる点が基本給との違いです。

なお、固定給を計算する期間は会社によって異なり、時給制や日給制、月給制などさまざまな形態があります。

2.基本給はどうやって決まる?

基本給の決め方は会社によって異なります。以下に、基本給の代表的な決め方をまとめました。

決め方 特徴
仕事給式 仕事内容や労働者の能力、成果などをもとに基本給を決める方法
属人給式 労働者の年齢や勤続年数、学歴などをもとにした基本給の決め方で、年功序列型の給与体系
総合給式 仕事給式と属人給式を組み合わせ、総合的な評価をもとに基本給を決定する方法

仕事給式は成果を出すほど基本給が高くなるため、年齢や学歴に関係なく、実力次第で金額が上がります。一方で、属人給式は年齢や勤続年数が上がるにつれて基本給が増えていくため、将来の見通しが立てやすいです。

総合給式は、年齢や勤続年数などから算出した金額にスキルや実績の評価を加えて、基本給を決定します。

自分に合った決め方を採用している会社を見つけるためには、実力で評価されたいのか、安定を求めたいのかなど、仕事に対する考えを明確にしておくことが重要です。

3.基本給の平均や最低ラインはいくら?

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」で公表された賃金を参考に、基本給の平均を紹介します。

公表されている賃金には通勤手当や住宅手当などが含まれますが、超過勤務に対する残業手当や休日手当などは含まれていません。

また、税金や保険料が控除される前の金額のため、基本給に近い金額として参考になります。

具体的な賃金の平均は以下のとおりです。(※1)

  • 男性(全年齢):35万900円
  • 女性(全年齢):26万2,600円
  • 男女合計(全年齢):31万8,300円

基本給の最低ラインは都道府県や産業によって異なり、厚生労働省のホームページに掲載されている最低賃金の一覧で確認できます。(※2・3)

基本給と最低ラインを比較する際は、まず基本給を1時間あたりの金額に換算しましょう。例えば、基本給が月給制の場合、1ヵ月間の労働時間で割った金額が最低ラインを上回っているか確認します。(※4)

なお、基本給が最低ラインを下回っている場合は法律違反となり、会社は最低賃金との差額を労働者に支払う義務があります。(※5)会社に交渉しても支払ってもらえないときは、労働基準監督署への相談を検討しましょう。

4.基本給を確認する際の注意点

基本給を確認する際の注意点は3つあります。注意点を理解しておけば、就職・転職後に給与面で後悔する可能性が低くなります。

4-1.基本給は賞与(ボーナス)や退職金にも関わる

賞与(ボーナス)や退職金がある場合、それぞれの金額は基本給をもとに算出されることが多いため、基本給が低いと受け取れる金額も少なくなります。そのため、応募時に基本給を確認しておくことが重要です。

しかし、基本給を含む給与について、応募時に直接会社へ質問するのは気が引ける方もいるでしょう。応募前に基本給や給与の情報を得たい方は、転職サイトなどの面談を活用することがおすすめです。

JOBPALでは、キャリアパートナーとの面談を通じて、気になる会社の給与や働き方について事前に詳しく確認できます。基本給が高い就職先を見つけたい方は、面談応募から気軽にご相談ください。

4-2.残業代や休日手当は基本給から算出される

残業代や休日手当は基本給から算出されるため、基本給の金額が支給額に大きく影響します。

残業代と休日手当は、基本給を割増しした金額を支払うよう労働基準法で定められており、一般的に以下の計算式で求められます。(※)

残業代=1時間あたりの基本給×1.25×残業時間

休日手当=1時間あたりの基本給×1.35×休日労働時間

例えば、以下の条件で、基本給が20万円の場合と25万円の場合の支給額を比較してみましょう。

  • 1ヵ月間の労働日数:20日
  • 1日の労働時間:8時間

なお、1時間あたりの基本給は「基本給÷1ヵ月間の労働日数÷1日の労働時間」で計算します。

基本給 1時間あたりの残業代 1時間あたりの休日手当
20万円 1,562円 1,687円
25万円 1,953円 2,109円

※1時間あたりの基本給について、基本給20万円の場合は1,250円、基本給25万円の場合は1,562円
※小数点第一位以下は切り捨て

上記のように1時間あたりの差は数百円ですが、長期的にみると、残業代や休日手当の総額の差は大きくなります。

4-3.試用期間中の基本給は本採用後と違う場合がある

試用期間中は仕事で十分な成果を出しにくいため、基本給が本採用後よりも低く設定されている場合があります。

ただし、会社と労働者の間に同意がないと、基本給を低く設定できません。トラブルを避けるためにも、以下のポイントを確認してから同意しましょう。

  • 試用期間後に基本給がどのように変わるのか
  • 試用期間中の基本給が最低ラインを下回っていないか

さらに、試用期間の長さや受け取れる手当についても確認しておくと安心です。

5.基本給に関するよくあるQ&A

基本給に関するよくある質問を3つ紹介します。

5-1.休みが多い月の基本給はそのぶん安くなるのでしょうか?

休みが多い月の基本給が安くなるかは、給与形態によって異なります。

例えば、完全月給制を採用している会社は毎月の基本給が固定されているため、祝日の多さや欠勤などの有無によって基本給は変わりません。

一方で、1日を計算単位として定められた月額を支払う日給月給制では、休みが多い月の基本給は安くなります。

いずれも求人票では「月給制」と表現される場合があります。

休みが基本給に与える影響を把握するため、転職サイトの面談なども活用しながら、会社の給与形態を事前に詳しく確認しておくことが大切です。

5-2.基本給15万円は最低ラインを下回っていますか?

基本給15万円が最低ラインを下回っているかは、労働時間と勤務地によって異なります。

例えば、1ヵ月間に20日出勤し、1日8時間勤務している場合と、4時間勤務している場合の時給は以下のとおりです。

1日8時間勤務:15万円÷20日÷8時間=937.5円

1日4時間勤務:15万円÷20日÷4時間=1,875円

2024年10月時点の東京都の最低賃金は1,163円のため、1日8時間勤務している場合は東京都の最低ラインを下回っていると判断できます。(※)

基本給が15万円であっても、労働時間や勤務地によっては最低ラインを下回らず、違法とならないこともあります。

5-3.基本給が昇給することはありますか?

基本給は、勤続年数や年齢、昇進などに応じて昇給することがあります。

会社によって昇給制度は異なり、毎年決まった時期に昇給する会社や、労働者のスキルや成果に応じて昇給する会社などがあります。昇給制度の有無や、昇給するタイミングについて事前に確認しておきましょう。

また、面接時や就職後に基本給を引き上げてもらうよう交渉することも可能です。特に、仕事給式を採用している会社ではスキルや成果を踏まえて基本給が設定されるため、交渉が成功しやすい傾向があります。

6.まとめ

基本給とは、役職手当や残業手当などの手当を含まず、税金や保険料などを差し引く前のお金を指します。

賞与や休日手当などの計算にも用いられるため、基本給が低いと将来的に得られる収入も少なくなる可能性があります。

そのため、求人に記載されている給与の内容を確認し、基本給が高い会社を選ぶことが重要です。

JOBPALでは、工場・製造系の仕事を中心に、高収入が狙える求人を掲載しています。また、経験豊富なキャリアパートナーに相談することで、基本給や手当について応募前に確認することも可能です。

基本給が高い会社へ就職・転職したい方は、ぜひ以下のリンクから求人一覧をご覧ください。

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