正社員勤務の悩み
更新日:2023年10月20日

残業は何時間からきついと感じるの?少ない業種や少なくする方法を解説

残業は何時間からきついと感じるの?少ない業種や少なくする方法を解説

※この記事は6分30秒で読めます。

「残業時間の平均ってどれくらい?」
「何時間の残業からきついと感じるの?」
など、残業時間に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

残業があるとその分給料は増えますが、あまりにも多いと心身に不調をきたすこともあります。

今回は残業時間の平均や基準、残業時間別の生活パターンや残業を減らすコツなどを解説します。この記事を読めば、残業時間についてよくわかり、ライフワークバランスを見直すきっかけにすることができます。

1.残業の平均時間とは?

厚生労働省が調査している勤労統計調査の令和3年7月分の結果によると、平均残業時間は以下のとおりでした。

  • 全業種の一般労働者の平均残業時間(所定外労働時間):13.3時間
  • パートタイム労働者の平均残業時間:2.1時間
  • 全体の平均残業時間:9.8時間

業種別にみると、一般労働者のうち一番残業時間が長い業種は「運輸業、郵便業」で平均25.3時間、次いで「情報通信業」の16.3時間となっています。

逆に残業時間が一番短い業種は「医療、福祉」の6.1時間、次が「生活関連サービス等」の8.4時間です。

パートタイム労働者については、一番残業時間の長い業種が「複合サービス事業」の5.7時間、次いで「運輸業、郵便業」の5.6時間となっており、どの業種をみても一般労働者に比べて残業時間は少なくなっています。

2.違法になる残業時間は?

かつては日本の残業時間に規定はありませんでした。

しかし、働く方が個々の事情に応じた多様な働き方を選択できるようにするための「働き方改革」の一環で、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から時間外労働の上限規制が導入されました。

残業時間を制限することで、ワーク・ライフ・バランスを改善し、女性や高齢者の労働参加率の向上を目指すことが狙いです。

法律で定められた労働時間の限度は、1日8時間および1週40時間。また、休日は少なくても週に1日とる必要があります。
これを超えるためには、雇用主と労働者の間で労使協定(36(サブロク)協定)を締結する必要があります。

時間外労働の上限規制により、この労使協定に定められる時間外労働時間について明確に法律で規定され、違反した場合には罰金が科せられることとなりました。

時間外労働時間に関する法律の規定のポイントは以下のとおりです。

  • 時間外労働(休日労働は含まない)の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えられない。
  • 臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合でも、
  • 時間外労働…年720時間以内
  • 時間外労働+休日労働…月100時間未満、2~6ヵ月平均80時間以内とする必要がある。
  • 原則である月45時間を超えることができるのは年6ヵ月まで。

労使協定は締結時に労働基準監督署へ提出が必要ですが、これを受理した労働基準監督署は、時間外労働について上記の基準に適合しているかどうかをチェックします。適合しない場合には、その部分を是正し再提出する必要があります。

また、労使協定における締結内容を超える時間外労働や、労使協定を締結していないにも関わらず1日8時間、週40時間を超える時間外労働をさせた場合、企業には6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

上限である月45時間の時間外労働とは、所定労働時間が1日8時間、週40時間、月20日勤務の方の場合、1日あたり2時間15分の残業時間となります。
労使協定の内容にもよりますが、残業時間がこれを超えるとどの企業においても原則として違法であり、企業は刑罰の対象となるということです。

3.残業がきついと感じるのは何時間から?

社会人として仕事をしていくうえで、少なからず残業は発生してしまいがちなもの。しかし、それが生活に支障が出るほど大変なものだと問題です。

ここでは、勤務時間は9時から18時、休憩1時間の所定労働時間8時間、通勤時間が片道1時間の製造業の方をモデルとし、残業時間別にどのような生活になるか生活パターンをご紹介します。勤務日数は20日/月とします。

残業なしの場合、このモデルは朝8時前頃に家をでて、夜は19時すぎ頃に帰宅する生活です。

3-1.5時間以上

残業時間が月5時間以上10時間未満の場合、毎日15~30分の残業があります。

帰宅時間は19時15分~19時30分頃。この時間に帰宅すれば、夕飯や入浴も落ち着いてでき、好きなこともできるという方も多いでしょう。

3-2.10時間以上

残業時間が月10時間以上20時間未満の場合、毎日30分~1時間の残業があります。

帰宅時間は19時30分~20時頃。食事と入浴を済ませて21時~21時30分頃になるでしょう。就寝前に確保できる自由時間は1~2時間程度です。

3-3.20時間以上

残業時間が月20時間以上30時間未満の場合、毎日1時間~1時間30分の残業があります。

帰宅時間は20時~20時30分。この時間から食事、入浴を済ませると、自由時間となるのは寝る前のわずかな時間になるかもしれません。

この生活をきついと感じる方もいるかもしれません。

3-4.30時間以上

残業時間が月30時間以上40時間未満の場合、毎日1時間30分~2時間の残業があります。

定時が18時であるにも関わらず毎日20時近くまで残業があると、精神的にも負担が大きくなります。

そこから帰宅が21時。食事、入浴を済ませると自由な時間はほとんどなくなりそうです。

3-5.40時間以上

残業時間が月40時間以上50時間未満の場合、毎日2時間~2時間30分の残業があります。

毎日20時過ぎまで残業があり、帰宅時間は21時~21時30分頃。一人暮らしの場合には自分で料理をして夕飯を作ることも難しい時間であり、家族がいる場合には家族との時間はほとんどないでしょう。

これが毎日続き、体力的にもきついと感じる方が多くなりそうです。

また、法律で定められている残業の上限時間は月45時間であるため、本来企業はそれ以上の残業をさせてはいけません。

しかし、仕事が終わらないために上限を超える残業をするしかなく、はみ出した部分はサービス残業として扱われてしまう場合もあります。

3-6.50時間以上

残業時間が月50時間以上60時間未満の場合、基本的に法律違反となる残業時間です。毎日2時間30分~3時間の残業があり、自宅で食事をすることもままならないでしょう。

帰宅時間は21時30分から22時頃。平日の私生活は家に帰って入浴と睡眠をとるくらいしかできません。ほとんどの方にとって、精神的・体力的に苦痛を感じる残業時間でしょう。

3-7.60時間以上

残業時間が月60時間以上になると、毎日の帰宅は22時すぎ。

平日はプライベートの時間がとれないことはもちろんのこと、仮に土日が休みであっても平日の疲れをとるための休息にあてるだけで精一杯でしょう。

ほとんどが仕事中心の生活となり、家族との時間や趣味の時間をとることも困難になります。

また、過労による健康被害がでる可能性も高くなり、最悪の場合過労死につながることもあります。

4.残業が少ない業種とは?

あまりにも残業が多いとワーク・ライフ・バランスが崩れ、心身に異常をきたすことも。そこまででなくても、プライベートの時間を大切にし、家族との時間や趣味の時間を充実させたいという方も多いのではないでしょうか。

そのような方は、残業が少ない傾向にある業種を選ぶことで、自分の時間を確保しやすくなります

厚生労働省が発表している残業時間の少ない業種をご紹介します。

所定外労働時間の短さランキング(一般労働者)

業種 所定外労働時間 出勤日数
1位 医療、福祉 6.1時間 20.1日
2位 生活関連サービス等 8.4時間 20.4日
3位 飲食サービス業等 9.3時間 19.4日
4位 複合サービス事業 9.6時間 19.4日
5位 卸売業、小売業鉱業
採石業等
10.6時間 20.4日
21.2日

所定外労働時間の短さランキング(パートタイム労働者)

業種 所定外労働時間 出勤日数
1位 教育、学習支援業 0.7時間 10.7日
2位 電気・ガス業 0.8時間 16.3日
3位 医療、福祉 1.2時間 14.3日
4位 飲食サービス業等 1.4時間 12.3日
5位 鉱業、採石業等
学術研究等
1.5時間 15.5日
14.8日

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まずは以下から仕事探しを始めてみましょう。

5.残業を少なくする方法はある?

今の仕事で残業が多くて悩んでいる方は、いくつかの工夫をすることで残業時間を少なくできるかもしれません。残業を減らすための方法をいくつかご紹介します。

5-1.優先順位をつけて作業をこなす

同じ量の仕事をこなす場合でも、業務の効率化がされていないと必要以上に時間がかかり、結果的に残業につながってしまいます。

自分がやるべき仕事をリストアップし、それぞれいつまでにやるか、どのくらいの所要時間でできるかなどを計算し、業務の優先順位を決めましょう

優先順位が高いものから作業を進めることで、仕事の期日に追われるにくくなり、必要以上の残業をしないで済むことがあります。

5-2.チーム内で協力体制をつくる

チーム全体として残業を少なくしたいのであれば、チーム内で協力体制を作ることも良いでしょう。

基本は個人に仕事を割り振り、それがどうしても終わらないようであればチーム内で共有し、サポートに入ってもらえるような体制にします。

しかし、このためには常にチーム内の誰でも作業ができるよう業務の共有が必要であり、個人でできる問題ではありません。チームや会社で話し合う必要があり、人によっては逆に負担を感じてしまうかもしれないため、注意が必要です。

残業が多いことにより転職を考えている方は、すでにチーム内で協力して業務を進める雰囲気や社風ができあがっている会社に入社すると良いでしょう。

5-3.残業が少ない企業に転職する

個人が工夫を凝らしても圧倒的に業務量が多く、残業が減る見込みがない場合には、思い切って残業が少ない企業への転職を検討しましょう。

一緒に働いていた同僚などへ後ろめたい気持ちを持ってしまう方もいるかもしれませんが、無理をして働き続け心身に不調をきたしてしまったら元も子もありません。

転職の際には、募集要項に残業の目安時間が書かれている場合や、面接で残業時間の目安を聞くこともできるので、必ず入社前に確認するようにしましょう。

募集要項の内容だけでは不安、面接で直接聞きにくい……という方は、転職相談を活用しましょう。

JOBPALの面談で気になる求人の残業時間を聞けば、残業時間の目安をお伝えできます。また、職場の雰囲気なども知ることもできるので、気になる求人がある方はぜひ聞いてみてください。

6.まとめ

働き方改革や過労死などの社会問題を受けて残業時間の取り締まりは厳しくなっています。しかし、どうしても仕事が終わらず残業時間が多くなることや、残業によって私生活に支障がでてしまうこともあるでしょう。

残業が多すぎてつらい、自分のキャパを超えていると感じる場合には、無理をして心身の不調が出る前に残業の少ない会社への転職も検討してみましょう。

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