試用期間中に退職できる?よくある退職理由と手続きの流れを解説

この記事で分かること
- 試用期間中でも、雇用形態ごとの条件や手続きを把握したうえで行動すれば、退職はできる
- 試用期間中によくある退職理由として、職場環境に適応できないことや健康上の理由などがある
- 退職する際は、退職の意思を伝えたうえで退職届を作成し、引き継ぎをおこなったうえで退職する
- 試用期間中の早期退職は次の転職が不利になる可能性がある
- 試用期間中の退職を避けるには、転職時の企業研究や自己分析、必要な知識・スキルの会得などが重要
※この記事は6分30秒で読めます。
「試用期間中でも退職はできる?」
「試用期間中の退職の流れを知っておきたい」
など、試用期間中の退職に関して疑問や悩みを抱える人もいるでしょう。
試用期間中の退職は可能ですが、雇用形態ごとの条件や手続きを把握して、適切に対応する必要があります。
今回は、試用期間中の退職理由の例、退職手続きの流れ、知っておくべきことなどを紹介しています。この記事を読めば、試用期間中の退職に関する疑問を解消でき、適切な判断ができるでしょう。
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1.試用期間中に退職できる?
結論として、試用期間中でも退職は可能ですが、退職に関するルールに沿って行動する必要があります。
ここでは、試用期間の概要や退職にまつわる具体的な情報について詳しく説明します。
1-1.そもそも試用期間とは
試用期間は、その従業員のスキルや適性を見極めるための期間です。タイミングとしては、企業が正式な雇用を決定する前で、企業によって異なる場合がありますが、1〜6ヵ月ほどの期間が設けられています。
この期間中、企業は従業員の仕事ぶりや職場環境への適応具合をしっかりと評価します。同時に、従業員も自らがこの職場で働き続けることが適しているかどうかを見極めることが可能です。
試用期間は、持続可能な雇用関係を築くうえで欠かせない重要な期間といえます。
1-2.無期雇用の場合、2週間前に申し出れば退職可能
正社員などの無期雇用の場合、退職日の2週間前に退職の意思を申し出れば、試用期間中でも退職が可能です。これは民法第627条に定められています(※)。
実際の手順としては、まず直属の上司に退職の意思を伝えたうえで、人事部などに正式な退職届を提出するのが一般的です。
退職理由を詳しく説明する義務はありませんが、スムーズな退職を実現するためには、必要に応じて理由を伝えることをおすすめします。
また、会社の就業規則に退職の手続きに関する規定がある場合には、それに従うことが求められます。自社のルールをあらかじめチェックしておきましょう。
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(※)参照:e-Gov法令検索「民法|第627条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
1-3.有期雇用の場合、やむを得ない理由があれば退職可能
契約社員やアルバイトなどの有期雇用の場合、基本的には労働契約の期間中の退職は認められていません。しかし、やむを得ない理由がある場合には、民法第628条に基づき例外的に退職が認められることがあります。
例えば、重度の病気や妊娠・出産、介護の必要性、さらにはパワハラなどの被害があるといった状況です。こうした理由がある場合には、労働契約を即時に解約できる場合があります。
ただし、退職理由を証明するための資料、例えば診断書などの書類が必要になる可能性がある点は押さえておきましょう。
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参照:e-Gov法令検索「民法|第628条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
2.試用期間中によくある退職理由
試用期間中の主な退職理由には、以下が挙げられます。
- 職場環境や業務に適応できなかった
- 仕事内容の理想と現実にギャップがあった
- 他社からのオファーがあった
- 健康問題が発生した
それぞれの理由について、職場への伝え方とあわせて解説します。
2-1.職場環境や業務に適応できなかった
新しい職場での業務内容や社内文化になじむのが難しく、働き続けるのが難しいと感じることもあるでしょう。
そもそも試用期間は、社員と企業が互いに適応できるかどうかを見極めるための段階です。しかし、もし業務の進行ペースや職場の雰囲気が自分に合わないと感じた場合、それが退職の理由となることもあります。
このような場合には、以下のように伝えるのがおすすめです。
これまで大変お世話になりましたが、このたび、退職させていただきたいと考えております。
職場環境や業務に適応することがどうしても難しく、これ以上働き続けても高い成果を出せないと考え、このように判断しました。
試用期間中の退職となり申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
職場の問題点を指摘するのではなく、あくまで自身に課題があった旨を伝えると、スムーズに辞められる可能性が高まります。
2-2.仕事内容の理想と現実にギャップがあった
採用された職種と実際の仕事内容が異なるなど、入社前の期待を裏切られた結果として、試用期間中に退職を決意する場合があります。
例えば「未経験者には手に負えなかった」「仕事の量が想定以上だった」など、入社当初は明るい未来を見据えていたにも関わらず、実際の業務内容との違いに失望し、退職を選ぶ人もいます。
こうした場合には、以下のように伝えると良いでしょう。
誠に勝手ながら、〇〇年〇月〇日をもって退職させていただきたいと考えております。
入社する際には、仕事内容に関して自分なりの理想を抱いていたのですが、実際に業務を進める中で、自分が抱いていたイメージと現実の間にギャップがあることに気付きました。
その結果、業務に対して情熱を注げないことが多くなり、これ以上の業務継続が難しいと判断しました。
企業側の責任にせず、あくまで自身の理想と現実にギャップがあったことが原因だと明確に伝えることによって、円満に辞められる可能性があります。
2-3.他社からのオファーがあった
試用期間中に他の会社から魅力的な仕事のオファーが舞い込んできた場合、現在の職を辞めるという選択肢を検討することもあります。
具体的には、給与水準や習得可能なスキル、取得できる資格、さらには職場環境などポイントはさまざまです。
それらを総合的に比較して、新しい仕事がより魅力的であると判断すれば、本採用に至る前の試用期間中に退職の決断を下すこともあるでしょう。
このような場合には、以下のように伝えるのがおすすめです。
このたび、他社から仕事のオファーを頂戴し、慎重に検討を重ねた結果、退職させていただきたいと考えております。
皆様には大変お世話になりましたが、自身のキャリアを長期的に考えたときに、新しい挑戦がしたいと考え、このような判断に至りました。
試用期間中に関わらず申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
関係者に感謝を伝えつつ、新しい挑戦がしたいといった前向きな理由を話すことによって、角が立ちにくくなります。
2-4.健康問題が発生した
試用期間中に健康上の問題が生じた場合、業務に支障をきたすことがあります。医師の助言や自身の健康状態によっては、仕事を続けるのが困難になり、退職を余儀なくされることもあるでしょう。
我慢して一度体調を崩してしまうと、その後のキャリアにも影響が出てしまう可能性があるため、試用期間の段階で見極めることが大切です。
こうした場合には、以下のように伝えると良いでしょう。
今回、健康上の都合により、〇〇年〇月〇日をもって退職させていただきたいと考えております。
最近の健康診断やその後の医師の診断結果により、長期的な勤務が困難であることが判明しました。
突然の申し出となり恐れ入りますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
現状について主観を話すのではなく、健康診断や医師の診断結果などの客観的な理由から勤務が難しくなったことを伝えれば、納得感を高められます。
3.試用期間中の退職手続きの流れ
試用期間中の退職手続きは、以下の流れで進んでいくのが一般的です。
- 退職の意思を直属の上司に伝える
- 退職届を作成して提出する
- 業務の引き継ぎをおこなう
- 退職する
それぞれの段階について具体的に解説します。
3-1.退職の意思を直属の上司に伝える
まずは退職の意思を直属の上司に伝える必要があります。前述のとおり、法律上、退職の通知は2週間前で問題ありませんが、円満な退職を目指すのであれば、可能な限り早めにお知らせするのが望ましいです。
直属の上司には、他の関係者に先んじて退職の意思を伝えましょう。別の同僚などに先に伝えると、上司が他の人から退職の情報を聞いてしまうなどのトラブルが発生する可能性があるため、注意が必要です。
上司に対して短い間でも指導を受けられたことに感謝の意を示すとともに、退職理由を明確に伝えるのがおすすめです。
3-2.退職届を作成して提出する
試用期間中であっても、基本的には退職届を作成します。退職届は、会社のルールを確認して、書式や提出時期を守って提出することが重要です。
一度提出した退職届は基本的に撤回できないので、提出前に記載する内容を慎重に検討する必要があります。
退職届は、単なる形式的な手続きではなく、退職の意思や退職理由、退職日などを書類として残す意味があるため、以下の記事も参考にして適切に記載しましょう。
3-3.業務の引き継ぎをおこなう
他の従業員が自分の業務を担当する場合には、しっかりとした引き継ぎが必要です。適切に引き継ぎをおこなうことは、後任者の負担を軽くするだけでなく、直属の上司を安心させて、円滑な退職をするために必要な要素です。
引き継ぎは書類やデータをまとめるのはもちろん、口頭でも説明することで、よりわかりやすく内容を伝えられます。
たとえ試用期間中の退職であっても、退職日までは会社の一員であることには変わりはないため、誠意を持って引き継ぎ作業をおこないましょう。
3-4.退職する
各種手続きを完了し、退職日が来ると正式に退職となります。退職日には、社員証の返却や退職証明書の発行がおこなわれるのが一般的です。
他にも、業務の最終的な引き継ぎ確認、デスク周りの整理整頓、そして同僚や上司への挨拶回りなどが含まれます。
退職が決まったからといって手を抜かず、最後まで責任を持って業務を完了させ、円満な退職を目指しましょう。
4.試用期間中の退職に関して知っておくべきこと
試用期間中に退職する際、以下について知っておくことが大切です。
- 試用期間中でも働いた分の給与は貰える
- 退職を理由に損害賠償請求をおこなう会社がある
- 次の転職に影響する可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
4-1.試用期間中でも働いた分の給与は貰える
試用期間中に退職するとしても、他の正社員などと同様に、勤務日数や勤務時間に応じた給与を受け取る権利があります。
例えば、月の途中で退職する場合、法律で厳密に定められたルールはないものの、給与は日割りで計算されるのが原則です。そのため、自身の勤務日数を確認して、受け取るべき金額を正確に把握すると良いでしょう。
ただし、企業によっては試用期間中の給与のルールが細かく設定されていることもあるので、雇用契約書などの記載を事前に確かめることも欠かせません。
4-2.退職を理由に損害賠償請求をおこなう会社がある
まれではありますが、試用期間中の退職が原因で、会社から損害賠償を請求されることがあります。やむを得ない理由がなく退職した場合には、損害賠償される可能性がまったくないとは言い切れません。
それでも、法律にのっとって適切に退職手続きをおこなえば、損害賠償が認められるリスクを抑えられます。退職日の2週間前に上司に退職の意思を伝え、正式に辞表を提出していれば、万が一損害賠償を請求されても毅然とした態度で拒否すべきです。
ただし、以下のような場合には損害賠償請求が認められる可能性があります。
- 企業の就業規則に定められた退職のルールに従わなかった
- 退職の直前に、会社に不利益となる大きな問題を起こした
- 退職すると伝えてから相談せずに欠勤を続けた
円満に退職するためにも、退職手続きは慎重に進めましょう。
4-3.次の転職に影響する可能性がある
試用期間中に退職することで、履歴書に記載する在籍期間が短くなるのは避けられません。
その結果、企業側から「なぜ短期間で退職したのか」「ストレス耐性や持続力に問題があるのではないか」と疑念を抱かれることもあり、転職の難易度が上がる可能性があります。
特に、退職理由を明確に説明できない場合、面接で不利になることが考えられます。もちろん、やむを得ない理由がある場合は仕方ありませんが、可能であれば、現在の職場でもう少し働くことを考えてみてはいかがでしょうか。
働き続けられれば、今後の転職などキャリアを形成するうえでの困難を少しでも減らすことにもつながります。
5.試用期間中の退職を避けるために転職活動ですること
試用期間中の退職を避けるために、転職活動の段階でしておくべきことは以下のとおりです。
- 企業研究や業界研究を丁寧におこなう
- 自己分析をしっかりおこなう
- 気になることは面接で質問する
- 必要なスキルと知識を身につける
それぞれ詳しく説明するので、転職を検討している人はぜひ参考にしてください。
5-1.企業研究や業界研究を丁寧におこなう
試用期間中の退職を避けるためには、転職先の企業研究や業界研究を丁寧におこなうことが大切です。事前の分析をしっかりとすることで、理想と現実のギャップを埋めやすくなります。
企業の文化や価値観の調査にあたっては、口コミサイトや企業のホームページ、SNSなどを活用して、その会社がどのような雰囲気なのかを確認しましょう。
会社説明会やOB・OG訪問なども活用することで、より深く企業を理解できるようになります。
また、業界についても細かく研究することが重要です。業界の将来性や現在の市場規模、主要企業の顔ぶれなどを調べてみることで、主観や好みだけではなく、より客観的に転職先を検討できます。
5-2.自己分析をしっかりおこなう
転職活動の準備として、自身の強みや弱み、興味、価値観などを明確にし、それが新しい職場でどのように活用できるかを考えることも重要です。
その際、自身のキャリアを中心に、これまでの人生の成功体験や失敗体験などを時系列で書き出してみましょう。それぞれの体験において発揮した強みや失敗の理由、身についたスキルなどを整理することがポイントです。
また、家族や友人など周囲の人に自分の長所や短所を尋ねれば、自身では気付かない側面を知ることができます。
そうした分析を通じて5年後、10年後などの長期的なキャリア目標を設定し、それを実現できる転職先を選ぶことが成功の鍵です。
5-3.気になることは面接で質問する
試用期間における退職を未然に防ぐために、面接の段階で仕事の具体的な内容や期待される役割、さらには評価基準について質問してみましょう。
企業からしても試用期間中の退職はデメリットが大きく、避けたい事態です。そのため、疑問や不安が少しでもある場合は、転職前にできるだけ解消することがお互いにとって望ましいといえます。
ただし、企業側に対して一方的に質問して失礼な印象を与えないよう、自分で可能な限り調べたうえで、それでもわからないことを聞くのが原則です。
また、面接で質問するだけでなく、試用期間中の労働条件や退職に関する規定も事前にしっかりと確認しておきましょう。
5-4.必要なスキルと知識を身につける
転職前に必要なスキルと知識を身につけておくことで、業務に関する不安や不備を回避でき、結果的に試用期間中の退職を防げる可能性があります。
入社後にいきなり完璧な状態になっておく必要はありませんが、新しい職場で求められるスキルや知識を事前に確認し、自ら学ぶ姿勢を持って不足している部分を補うことが重要です。
入社前・試用期間中に習得したほうが良いスキルは、企業や仕事内容によってさまざまです。例えば、工場勤務であれば、フォークリフト運転技能者などの専門的な資格があると、職場で重宝されて活躍できる可能性が高まります。
また、スキルや知識は働きながらも継続して身につける必要があります。そのため、長期的な視点で、継続的に自己成長できるようにするための目標や期間を設定すると良いでしょう。
5-5.コミュニケーション能力を磨く
良好な職場関係を築くには、コミュニケーションスキルの向上が鍵です。仕事でトラブルが起きても、コミュニケーションが円滑なら、ストレスを減らしつつ迅速に問題解決が見込めます。
また、優れたコミュニケーション能力があれば、同僚に対して質問や相談がしやすくなり、悩みの解決もスムーズにおこなえます。ストレスから健康問題が発生するリスクも抑えられ、試用期間中に退職する可能性を減らせるでしょう。
コミュニケーション能力を高めるためには、相手の話の内容を理解することはもちろん、相手の感情や状況を思いやりながら耳を傾けることが重要です。
また、話す際には、結論から述べたうえで、理由や具体例を補足しながら論理的に情報を伝えることで、相手に理解させやすくなります。
6.まとめ
試用期間中でも、雇用形態ごとの条件や手続きさえ把握していれば、退職自体は可能です。試用期間中に多い退職理由としては、職場環境に適応できないことや健康上の問題などが挙げられます。
試用期間中に退職する際は、退職の意思を伝えて退職届を作成し、引き継ぎを経て退職という流れになるのが一般的です。なお、試用期間中でも給与は支給されますが、早期退職は次の転職に影響するリスクがあることに注意しましょう。
試用期間中の退職を避けるためには、転職時に企業研究や自己分析をしっかりおこなうことも重要です。
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