製造業の給料は安い?平均給与やより高い給料をもらうためにできること
この記事で分かること
- 製造業の令和4年の平均給与は301万5千円であり、他の産業と比べると低い傾向にある
- 製造業の給料は職種によって異なり、専門性ある業務では高月給の求人もある
- 勤務先によっては、時間外手当や深夜手当、交替手当を受け取れることがある
- 製造業に関連する資格取得や、条件の良い工場に就職することで、給与を増やせる可能性がある
※この記事は6分30秒で読めます。
「製造業の給料は安いって本当?」
「製造業で給料を上げる方法を知りたい」
など、製造業の給料に関して疑問を持つ方もいるでしょう。
製造業の給料は、他の業種と比べると決して高いわけではありません。しかし、深夜手当や交替手当、資格手当などを活用すれば、収入を増やすことは可能です。
今回は、製造業の平均給与や、職種ごとの月給の違い、給料を増やすためにできることなどを解説します。この記事を読めば、製造業の給料のことがよくわかり、仕事探しの参考にできます。
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1.製造業の給料は安いって本当?
「製造業の給料は安い」といわれることがありますが、その真偽が気になる方も多いのではないでしょうか。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、産業別の平均給与は以下の表のとおりです。
順位 | 産業 | 平均給与 |
---|---|---|
1位 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 402万円 |
2位 | 学術研究、専門・技術サービス業 | 385万5千円 |
3位 | 情報通信業 | 378万8千円 |
4位 | 教育、学習支援業 | 377万7千円 |
5位 | 金融業、保険業 | 374万円 |
6位 | 鉱業、採石業、砂利採取業 | 347万4千円 |
7位 | 不動産業、物品賃貸業 | 339万5千円 |
8位 | 建設業 | 335万4千円 |
9位 | 卸売業、小売業 | 314万6千円 |
10位 | 製造業 | 301万5千円 |
11位 | 複合サービス事業 | 298万8千円 |
12位 | 医療、福祉 | 296万7千円 |
13位 | 運輸業、郵便業 | 285万4千円 |
14位 | 生活関連サービス業、娯楽業 | 271万6千円 |
15位 | サービス業(他に分類されないもの) | 268万4千円 |
16位 | 宿泊業、飲食サービス業 | 257万4千円 |
製造業の平均給与は、全16業種中10位の301万5千円であることがわかります。
また、国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者5,078万人の平均給与は458万円で、男性は563万円、女性は314万円と明記されています。
このことからわかるように、製造業の平均給与は給与所得者の平均よりも低い傾向にあり、給与が多い業種とは言いにくいのが現状です。
ただし、製造業で働くすべての従業員の給与が低いわけではありません。厚生労働省の「第5表 産業、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率」によると、製造業は以下の表のように、50代後半をピークに平均給与が上昇する傾向にあります。
年齢 | 平均給与 |
---|---|
〜19歳 | 184万1千円 |
20〜24歳 | 203万4千円 |
25〜29歳 | 233万8千円 |
30〜34歳 | 261万1千円 |
35〜39歳 | 295万3千円 |
40〜44歳 | 322万8千円 |
45〜49歳 | 340万8千円 |
50〜54歳 | 360万3千円 |
55〜59歳 | 369万9千円 |
60〜64歳 | 275万4千円 |
65〜69歳 | 230万円 |
70歳〜 | 216万円 |
JOBPALの製造業の求人では、月収20万円前半の企業だけでなく、なかには30万円や40万円を月収として提示している企業もあります。
この事実からもわかるように、平均的な数値だけにとらわれず、広い視野を持って製造業の求人を探すことで、他の産業にも引けを取らない給与を手にすることは決して夢ではありません。
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参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査(産業別)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/
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参照:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2022.htm
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参照:厚生労働省「第5表 産業、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/dl/05.pdf
2.製造業でも職種によって給料は異なる
製造業は、検品・検査、加工・組付け、接合・塗装など、さまざまな職種があり、担当する業務によって給料は異なります。
JOBPALの製造業の求人情報(正社員)を確認すると、職種別の月給は以下の表のとおりでした。
職種 | 月給の範囲 |
---|---|
フォークリフト・クレーン | 17万円〜42万円 |
加工・組付け | 16万円〜42万円 |
検品・検査 | 15万8千円〜42万円 |
機械操作 | 15万4千円〜41万6千円 |
接合・塗装 | 18万円〜34万9千円 |
設備保守・保全 | 18万円〜34万9千円 |
設計開発・開発補助 | 18万5千円〜34万6千円 |
技能工(溶接・旋盤 他) | 21万円〜28万3千円 |
試験・評価 | 17万円〜26万8千円 |
ピッキング・軽作業 | 15万9千円〜26万2千円 |
清掃・洗浄 | 18万7千円〜24万1千円 |
その他製造 | 16万3千円〜32万1千円 |
※2024年7月現在の情報です。
企業ごとに差は生じますが、同じ製造業でも、職種によって支給される給料は異なることがわかりました。フォークリフト・クレーンや加工・組付けなど、専門性が問われる職種では月給が30万円や40万円を超える求人もあります。
製造業に転職してより多くの収入を得たい方は、専門性の高い職種に就くことを検討してみるのも良いでしょう。
3.製造業は手当の支給が期待できる
製造業は基本給だけでなく、企業によっては各種手当が支給されることがあります。代表的な手当は、以下の6つです。
手当 | 概要 |
---|---|
時間外手当 | 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働した場合、通常賃金の25%の割増賃金を受け取れる |
深夜手当 | 深夜(原則午後10時〜午前5時)に労働した場合、通常賃金の25%の割増賃金を受け取れる |
休日手当 | 法定休日(週1日または4週を通じて4日)以外に労働した場合、通常賃金の35%の割増賃金を受け取れる |
交替手当 | 24時間稼働の工場などで交代勤務する場合に、企業によって定められた手当が支給される |
技能・資格手当 | 業務で活用できる特定の技能や資格を保有している場合に、企業ごとに定められた手当が支給される |
役職手当 | 役職に応じて企業ごとに定められた手当が支給される |
各種手当は重複して発生する場合があります。例えば、時間外労働が夜勤となった場合は、時間外手当と深夜手当として、通常賃金の50%(25%+25%)の割増賃金が受け取れます。
勤務状況によってはこのような各種手当が適用されることがあるため、製造業でも十分に稼げる可能性があるといえます。
4.より高い給料をもらうためにできること
製造業でより高い給料を得るには、以下に挙げる5つの方法を実践すると良いでしょう。
- 関連資格を取得する
- 正社員を目指す
- 出世する
- 残業や夜勤などを増やす
- 他の工場に転職する
それぞれの内容について詳しく確認していきます。
4-1.関連資格を取得する
製造業の仕事で役立つ資格を取得することで、資格手当を受け取れる場合があります。業務に関連する資格の例は以下のとおりです。
資格 | 概要 |
---|---|
危険物取扱者 | 消防法で定められた危険物を取り扱うための資格。化学工場や薬品製造などの現場で役立つ。 |
衛生管理者 | 職場の衛生管理や従業員の衛生指導を実施するための資格。50人以上の作業者がいる場合、必ず衛生管理者を1人以上専任しなければならない。 |
機械保全技能士 | 工場の機械の保存に必要な技能・知識を証明する資格。機械のメンテナンスに対応できるため、故障予防や修理に役立つ。 |
フォークリフト免許 | フォークリフトを運転するために必要な免許。工場で重い荷物を運搬するときに活用できる。 |
玉掛け運転技能講習 | クレーンやデリックのフックに荷物を吊り下げるときに必要な資格。工場で重量物を運ぶ際に重宝される。 |
エネルギー管理士 | 電気や熱エネルギーを使用する設備の維持や、使用量を管理するための資格。規定量以上のエネルギーを使用する工場は、エネルギー管理士の資格を持った「エネルギー管理者」が必要となる。 |
ボイラー取扱技能講習 | 小型のボイラーを取り扱うために必要な資格。小規模なボイラーが稼働している工場で役立つことがある。 |
CAD利用技術資格 | CADシステムに関する知識やスキルを身につけたことを証明する資格。製造業では自動車工場で重視される。 |
QC検定(品質管理検定) | 品質管理に関する知識があることを証明する検定。製造した商品の品質に問題がないかを確かめる際に役立つ。 |
資格手当の対象となる資格や、手当として受け取れる金額は企業ごとに異なります。
現在の職場や転職を検討している企業では、どの資格が評価対象になるかを事前に確認しておくことで、効率的に収入アップを狙えるでしょう。
4-2.正社員を目指す
派遣社員やアルバイトとして製造業で働いているのであれば、年収アップが狙いやすい正社員を目指すことも一つの方法です。
正社員は、一般的に派遣社員やアルバイトよりもキャリアアップのチャンスに恵まれやすく、昇進することで給与も多くなります。また、賞与が支給される点も、正社員として働くことの大きなメリットです。
この他、正社員は無期雇用で働けるため、安定的に収入を得ることができます。
製造業に勤めながら現状より多い給料を得たい場合は、積極的に日々の業務に取り組み、スキルアップを図りながら正社員になる道を検討してみましょう。
4-3.出世する
製造業の正社員として勤務しており、現在役職がついていない方の場合は、出世することで給与が上がる可能性があります。企業によっては、役職がつくことで毎月の給料に役職手当がプラスされます。
東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和5年版)」によると、調査対象の製造業207社のうち、約79%の164社が役職手当を支給しています。
この164社は、「同一役職の役職手当の支給額が同じ企業」が103社、「同一役職で役職手当の支給額が異なる企業」が61社ありました。それぞれの企業で、役職ごとの役職手当の平均支給額は以下の表のとおりです。
役職 | 同一役職の支給額が同じ企業 (103社)の平均支給額 |
同一役職で支給額が異なる企業 (61社)の平均支給額 |
---|---|---|
部長 | 80,024円 | 89,122円 |
課長 | 53,291円 | 47,784円 |
係長 | 25,412円 | 19,266円 |
※2024年7月現在の情報です。
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参照:東京都産業労働局「役付手当の支給金額 第2表-⑥ 役付手当の支給金額」
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/r5chintyo_3-2.pdf
上記の表のとおり、出世するほど受け取れる役職手当は増加することがわかります。
製造業の正社員として効率的に年収を上げるには、精力的に仕事に取り組み、出世を目指してみると良いでしょう。
4-4.残業や夜勤などを増やす
製造業で収入を増やすには、各種手当の支給を見込んで、残業や夜勤を増やすのも一つの手です。残業手当、夜勤手当てが支給されることで、難しいスキルや知識を習得せずとも手取り額を増やすことができます。
ただし、特に用もなく残業してしまうと、評価を落としかねないので注意が必要です。残業する際は、自身の仕事を進めつつも、上司や同僚が抱えている業務で何か手伝えそうなことがないかを積極的に探してみましょう。
また、夜勤を増やす場合も無理は禁物です。夜勤が連続すると、人によっては体調を崩しやすくなってしまいます。目先の利益だけにとらわれず、体調管理を最優先させることが重要であることを覚えておきましょう。
4-5.他の工場に転職する
今勤めている企業で給与が上がる見込みがない場合は、給与が高い他の製造系の企業に転職する方法もあります。
例えば、中小企業から大手企業に転職することで、前職より大幅に収入が増えたという方もいます。また、同じ中小企業であっても、企業によって大きく給料が異なることもあります。
転職活動を円滑に進めるには、現職の仕事と平行しながら日々求人情報に目を光らせておくことが大切です。好条件の企業があれば積極的に応募し、今の仕事で身につけたスキルをアピールしていきましょう。
5.給料以外の制度も活用して収入を増やそう
企業によっては、出世や残業などで給与アップを狙う以外に、各種制度を利用して収入を増やせる場合があります。ここでは、「家賃(住宅)補助」と「入社祝い金」について解説します。
5-1.家賃(住宅)補助
家賃(住宅)補助とは、企業が従業員の住宅費用の一部を補助する福利厚生制度です。この制度を採用している企業であれば、給料にプラスして家賃(住宅)補助が支給されるため、そのぶん収入を増やせます。
また、なかには社員寮や社宅に入ることで、家賃を全額補助してくれる企業もあります。社員寮や社宅への引越しを検討することで、毎月の収入は変わらずとも、支出額を大幅に削減することができるでしょう。
5-2.入社祝い金
入社祝い金とは、入社後に企業から支給される手当のことです。労働契約を締結してから、一定期間働いたあとに支給されるのが一般的です。
ただし、入社祝い金は法律で定められているものではないため、企業によって制度の有無や金額は異なります。
入社祝い金を受け取りたい方は、事前に求人情報や企業情報を確認し、入社祝い金の有無や具体的な支給額を確認しておきましょう。
6.頑張り次第では給与交渉をするのも手
日頃の頑張りや成果にもよりますが、給与交渉をするのも収入を上げる方法の一つです。
給与交渉をする場合、まずは直属の上司に相談すると良いでしょう。上司が相談に乗ってくれないときは、人事部への交渉を視野に入れてみてください。
給与交渉を成功させるには、交渉するタイミングが重要です。給与交渉に適したタイミングは、主に以下の3つがあります。
- 担当業務が増加したとき
- 部下ができたとき
- 専門的な資格・スキルを習得したとき
上記のいずれかのタイミングで、給与を上げるための交渉材料が揃っているときは、給与交渉を前向きに検討してみると良いでしょう。
「今のタイミングで給与交渉しても良いのか」「給与交渉で断られたらどうしよう」など、不安を抱えている方は、転職相談を活用する方法もあります。
転職サイトのJOBPALでは、転職希望者からの各種相談を受け付けており、オンライン上で気軽に相談できます。気になる方は、ぜひカウンセリングのご利用を検討してみてください。
7.まとめ
製造業の平均給与は他の業種と比較すると決して高くはありませんが、入社する企業によっては、全体平均よりも多い額の給料を受け取れることもあります。
また、長時間稼働している工場では、深夜手当や交替手当などの各種手当を受け取れる機会が多く、うまく活用することで収入アップを見込めます。
この他、給与を増やすには「危険物取扱者」や「衛生管理者」などの仕事に役立つ資格を取得し、資格手当を受け取ることも一つの方法です。
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