旋盤工になるには?役立つ資格やスキル、仕事内容や将来性を解説
※この記事は5分30秒で読めます。
「旋盤工ってどのような仕事?」
「旋盤工の魅力・やりがいが知りたい」
など、旋盤工に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
旋盤工は、汎用旋盤やNC旋盤という特殊な機械を操作して金属を切削加工する仕事で、ねじ・ボルトや精密機械、医療機器の部品まで、さまざまな製品を生み出します。
今回は、旋盤工の概要、仕事内容、やりがいや魅力、大変さ、持っておきたい資格などを解説します。この記事を読めば旋盤工のことがよくわかり、転職後に働く姿をイメージできるようになります。
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1.旋盤工とは?
旋盤工とは、工場で「旋盤」という特殊な機械を操作して金属を切削加工する技術者・職人のことです。旋盤を操作することによって、金属素材を切ったり穴をあけたりといった加工をします。
製造する部品の用途はねじ・ボルト、テレビやカメラ・スマートフォンなどの機械部品、航空機の部品や医療機器などさまざまです。
特に航空機や医療機器の部品はマイクロメートルという非常に小さい単位で製作するため、高度な技術や精度が要求されます。
旋盤工としての技術を身につければ、切削加工を請け負う部品メーカーや金属メーカーの工場で大いに活躍できるでしょう。
2.旋盤工の仕事内容
旋盤工は、旋盤(せんばん)という機械を使って金属の切削加工をおこないます。受注から出荷までの動きを大まかにまとめると、以下のようになります。
- 加工手順の確認
- 加工
- 完成品の確認
- 出荷場への運搬
加工の前には、設計書(図面)を確認して切削の条件を確認したり、使用する刃物を確認したりする段取りがおこなわれます。後述するNC旋盤を使う場合、効率の良い作業手順になるようにプログラムを作成することも重要です。
旋盤では、加工したい素材を回転盤に固定して、素材を回転させながら刃物に当てることで切ったり削ったりします。使用する素材は、鉄、銅、アルミ、チタンなどの金属が一般的ですが、最近では樹脂を加工することも多くなっています。
旋盤は、制御方式の違いで、手動で動かす汎用旋盤と、コンピューター制御されたNC旋盤に大別できます。ここからは、旋盤工が主に使う汎用旋盤とNC旋盤の特徴について解説します。
なお、以下の記事ではNC旋盤について詳しく解説しています。
また、以下の記事では、ものづくりに欠かせない職人の仕事について解説しています。
2-1.汎用旋盤
汎用旋盤は、手動計算や経験をもとに手作業で素材を加工するタイプの旋盤です。職人がハンドルなどを使って操作をする人力制御であり、素材を狙いどおりに加工するには高い技術力が必要とされます。
汎用旋盤は、コンピューターでは再現できない、ベテラン技術者のスキルが必要な製品で活躍します。マイクロメートル単位の微妙なズレまで考慮し、微調整しながら加工を施すようなときに利用されます。
2-2.NC旋盤
NC旋盤はコンピューターによる数値制御を用いたもので、事前にプログラムしたとおりに素材を加工することが可能です。一度プログラムを打ち込めば、同じ製品を何個でも作れます。
適切なプログラムを組んでボタンを押せば、若手の技術者でも一定レベルの製品を作れるのが大きなメリットです。加工段階ごとに適した刃を交換する作業も自動でおこなわれます。
したがって、NC旋盤を操作する旋盤工には、手加工の技術よりも、コンピューターに正しく命令を下すプログラミングの作成能力や、プログラムどおりに機械が動いているかをチェックすることが期待されます。
3.旋盤工のやりがいと魅力
旋盤工として働くうえでのやりがい・魅力には、主に以下の3点が挙げられます。
- ものづくりに携われる
- 手先の器用さ活かせる
- キャリアアップを目指せる
それぞれのやりがいについてお伝えします。
3-1.ものづくりに携われる
旋盤工は、汎用旋盤なら手作業で、NC旋盤ならコンピューターにプログラムを打ちこむ形でものづくりができますが、いずれの旋盤であっても、金属が製品に生まれ変わるところを間近で観察できます。
自分の手で作ったものが世に出ることに喜びを感じる方や、製品ができあがっていく過程を見ることが好きな方なら、大きなやりがいを感じるでしょう。
3-2.手先の器用さを活かせる
汎用旋盤は、技術者が手作業で一点物の製品を製作するために利用されます。
NC旋盤のようなコンピューター制御ではなく、すべてが手動でおこなわれるため、技術者は経験と併せて手先の器用さも要求されます。
元から手先が器用な人であれば、汎用旋盤を使った作業をする際に大いに役に立つでしょう。自分の強みを発揮してものづくりに携われることは旋盤工の大きな魅力です。
3-3.キャリアアップを目指せる
旋盤工として働くと、若手のうちは最前線のオペレーターとして機械製造を主な仕事にします。
入社当初は教えられる側だったとしても、年齢を重ねて経験値が上がるごとに、指示・教育する立場にキャリアアップできます。
工作機械による切削加工などに関する技術を証明できる機械加工技能士の資格を得て、客観的に技術力を証明できれば、全体の指揮役である工程管理などの仕事を任されることもあるでしょう。
現場で技術者として働くだけでなく、将来的にキャリアアップの道が用意されていることも、旋盤工の大きな魅力です。
4.旋盤工の大変さ
旋盤工は手先の器用さを活かしてものづくりができる魅力的な仕事ですが、以下のような大変さを感じる場面もあります。
4-1.高い精度を求められる
旋盤工による加工には、ミリメートルよりもさらに小さいマイクロメートル単位での調整が必要です。
目的の製品を完成させるには、汎用旋盤では熟練の技術力、NC旋盤では正確なプログラミング・修正能力が求められます。
特に人の命に関わるような機器に用いられる部品の場合は少しのズレも許容されないため、完璧な製品を作れるよう常に技術力を磨いていく必要があります。
高い精度で管理する技術を身につけることができれば、旋盤工として大きく成長できるでしょう。
4-2.体力を求められる
NC旋盤はコンピューターに情報を打ち込むことによって自動で切削がおこなわれますが、作業者は座って待っているわけではありません。
汎用旋盤でもNC旋盤でも基本的には立ち仕事であり、1日中作業を続けるには相応の体力が求められます。体力に自信がない方にとっては、ずっと立ちながら精密な仕事をすることについて大変と感じるかもしれません。
一方、座りながらの事務仕事が苦手な人にとっては働きやすい仕事でもあります。
4-3.夜勤がある工場もある
切削部門がある工場は、会社によって日勤のみか夜勤ありの二交代・三交代かに分かれます。
夜勤ありの職場に就職した場合は睡眠時間がバラバラになり、慣れないうちは大変に感じる場合があります。
人によっては体質的にどうしても夜勤が合わない場合もあるので、求人に応募する前に夜勤ありの職場かどうか必ず確認しましょう。
ただし、夜勤ありの職場では夜間の出勤に応じて夜勤手当が支払われるため、日勤のみの職場よりも給与水準は高くなります。高年収を狙う方にとっては、夜勤があるほうがやりがいを感じることもあるでしょう。
以下の記事では夜勤の仕事についてご紹介しています。
5.旋盤工になるには?
旋盤工になるために必要な学歴や資格は特にありません。旋盤工になる方法としては、一般的に以下の3つが挙げられます。
- 工業高校を卒業して新卒として入社する
- 職業訓練校を卒業して就職・転職する
- まったくの未経験で就職・転職する
高校を卒業して新卒入社する場合は、旋盤工として長く働くことが期待されます。職業訓練校を経て入社する場合は、同じ新人でもあらかじめ知識を持った存在として歓迎されるでしょう。
また、基礎知識がなく、まったくの未経験からでも就職することは可能です。見習いとして経験を積み、スキルを高めれば、より高度な仕事を任せてもらえるようになるでしょう。
5-1.持っていると良い資格
旋盤工の仕事をするうえで必須の資格はありませんが、持っておくと良い資格として機械加工技能士があります。
機械加工技能士は、金属などを切削したり研磨したりして形を整える機械加工の技術を証明する資格です。国家資格のため、客観的に技術力を証明できます。会社によっては資格手当がつき、年収アップも期待できるでしょう。
機械加工技能士は1~3級までの階級に分かれており、級ごとに求められる実務経験が異なります。必要な経験年数は以下のとおりです。
等級 | 実務経験 |
---|---|
-
参照:資格概要(技能検定・機械加工)
https://www.jtex.ac.jp/user_data/nq01_g03
6.未経験から旋盤工になれる?
機械加工技能士の資格は旋盤工にとって必須の資格ではなく、まったくの無資格・未経験であっても旋盤工として働くことは可能です。
現場で知識や技術を身につけることで、資格や学歴に関係なく一人前の旋盤工を目指せます。そのうえで資格を取得し昇進要件を満たせば、主任や管理職としてキャリアアップも可能です。
ただし、会社によっては旋盤工として働くのに、実務経験や資格が必須になっている可能性もあります。応募要件は必ず確認し、今の自分でも働けることを確かめてから応募しましょう。
7.まとめ
手作業による切削は高い技術力が要求されますが、現在ではコンピューター制御のNC旋盤が主流であることから、無資格・未経験でも旋盤工として働くことは可能です。
精密機械の部品製造に必要不可欠な仕事であることから、将来まで安定して働けるでしょう。
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