溶接工は辞めとけといわれる理由や仕事の魅力・やりがいを解説

この記事で分かること
- 溶接工はやめとけといわれるのは、労働環境が危険だったり、人間関係が厳しかったりなどの理由がある
- 溶接工は、高度な技術を習得できたり、さまざまな業界で需要があったりなどの魅力がある
- 溶接工として成功するには、専門知識や高度な技術の習得、安全対策の徹底、柔軟なキャリアプランを持つことなどが重要である
※この記事は6分30秒で読めます。
「溶接工は辞めとけといわれる理由は?」
「溶接工をやってみたいけど自分に向いているか不安……」
など、溶接工の仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
溶接工は、金属を接合する専門的な技術を持ち、さまざまな業界で需要のある職業です。
今回は、溶接工は辞めとけといわれる理由の他、溶接工の魅力ややりがい、向いていない人の特徴、溶接工として成功するためのポイントを解説します。この記事を読めば、溶接工という職業の実態がわかり、自分に合った仕事かどうかの判断ができます。
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1.溶接工は辞めとけといわれる理由
溶接工はやめとけといわれる主な理由は以下の5つです。
- 労働環境が危険
- 長時間労働と不規則な勤務
- 有害物質による健康被害
- 労働条件に見合わない賃金
- 厳しい人間関係
それぞれ詳しく解説します。
1-1.労働環境が危険
溶接作業は高温の金属を扱うため、常に火傷のリスクがつきまといます。特に気温の高い夏場の作業では、熱中症の危険性も加わり、徹底した安全対策が求められるでしょう。
溶接時には有害な煙やガスが発生することもあったり、作業中は重量物を扱うことも多く、腰痛や膝痛など、身体的負担も大きいでしょう。不自然な姿勢を長時間続けることによる、肉体的ストレスも無視できません。
1-2.長時間労働と不規則な勤務
溶接工の仕事は、初めのうちは技術不足から労働時間が長びく傾向にあります。また、夜勤や不規則なシフトが発生することも少なくありません。
技術の習得には一定の時間がかかるため、未経験者は労働環境に適応するための努力が求められる場合があります。
しかし、溶接工の仕事は労働時間が不規則になりがちとはいえ、法律に基づいた適切な休憩時間が設けられています。経験を積んで技術が向上すれば、労働時間は徐々に安定していくでしょう。
1-3.有害物質による健康被害
溶接時には、溶接ヒュームと呼ばれる煙が発生します。このヒュームには、亜鉛や鉛、クロムなどの有害物質が含まれており、直接吸うと人体に悪影響を及ぼすことがあります。
また、溶接時に発生するアーク光にも注意が必要です。強力な紫外線や赤外線を含んでいるため、適切な保護具を着用せずに直視した場合、目への健康被害が懸念されます。
ただし、溶接ヒュームもアーク光も、しっかりと安全対策をすれば過度に心配する必要はありません。作業着や防じんマスクを正しく着用するなど、適切な対策を取ることで、業務の安全性を確保できるでしょう。
1-4.労働条件に見合わない賃金
厚生労働省の職業情報共有サイトによると、溶接工の平均年収は約448万円と発表されています。これは、日本の平均年収とほぼ同等か、やや下回る水準です。
また、溶接工は派遣や期間工として雇用されることも多い職業のため、雇用の不安定さから将来への不安を抱える人も多くいます。
しかし、前向きに業務に取り組み、自身の技術を磨くことで、条件の良い企業に転職することは決して難しくありません。熟練の技術を持つ溶接工であれば、自身のスキルに見合った、納得のいく年収を稼ぐこともできるでしょう。
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参照:厚生労働省 「職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag 溶接工」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/255
1-5.厳しい人間関係
溶接工の現場には、職人気質の人が多いといわれています。黙々と作業に集中するタイプの従業員が多く、コミュニケーションを取ることが少ないことから、とっつきにくさを感じることもあるかもしれません。
また、職人のなかには、「教えてもらうのではなく、自分で見て学べ」という考えの人もいます。ミスをした際に厳しく叱責されたり、質問しても十分な説明が得られなかったりと、職場の雰囲気に慣れるまでは苦労することもあるでしょう。
しかし、こうした厳しい人間関係は、危険をともなう溶接の仕事に集中するために必要なことでもあります。厳しい指導は自分の成長を願ってのことと受け止め、謙虚に学ぶ姿勢を持つことが大切です。
2.溶接工に向いていない人の特徴
自分に合った仕事を選ぶことは、経歴を充実したものにするために重要です。ここでは、溶接工に向いていない人の特徴を4つ紹介します。
- 集中力や注意力に自信がない人
- 手先の器用さに自信がない人
- 体力や忍耐力に自信がない人
- コミュニケーションが苦手な人
以下で詳しく解説します。
2-1.集中力や注意力に自信がない人
溶接作業は、常に危険と隣り合わせです。高温の熱源を使い、重い金属を扱うため、ちょっとした不注意が大きな事故につながりかねません。作業中は、常に周囲の状況に気を配り、自分の手もとに集中する必要があります。
そのため、集中力や注意力に自信がない人が溶接工の仕事に就くと、万が一の事故のリスクが高まる可能性があります。溶接工はやりがいも大きい仕事ですが、実際に就業する前に、自分の適性を見極めておくことが大切です。
2-2.手先の器用さに自信がない人
溶接工は繊細な作業が求められる仕事なので、手先が不器用な人にはあまり向いていないかもしれません。
具体的な作業例を挙げると、溶接する金属の種類に合わせて溶接棒の温度やスピードを変える、金属の形状に合わせて溶接棒の角度を適切に調整する、などの作業が発生します。
このように、状況に合った細やかな溶接作業をおこなうには、手先の器用さが必要不可欠です。
ただし、溶接工の仕事は、経験を積むことで徐々に手先の感覚が養われていくものです。最初はうまくいかなくても、自身の頑張り次第でスキルアップも可能です。
2-3.体力や忍耐力に自信がない人
溶接作業は、長時間にわたって体に負担のかかる姿勢を取り続けなければならないことがあります。
さらに、夏は炎天下、冬は寒冷の環境下での作業を求められることも珍しくありません。このような状況で滞りなく業務を進めるには、体力と忍耐力が求められます。
ただし、際立った身体能力が必要なわけではなく、日頃から運動習慣がある、苦手なことにも前向きに挑戦できるという人であれば、問題なく仕事に就けるでしょう。
また、経験とともに効率的な作業方法を身につけられれば、体への負担を大幅に軽減できます。ベテラン溶接工の動きを観察し、コツを学ぶのも良いでしょう。
2-4.コミュニケーションが苦手な人
溶接工は、チームで作業することが多い仕事です。材料の運搬や組立など、他の作業員と協力しながら業務を進める機会がひんぱんにあります。
そのため、コミュニケーションを取ることに苦手意識がある人の場合、作業効率が悪くなってしまう恐れがあります。
ただし、コミュニケーションを取るのが苦手だからといって、溶接工になれないわけではありません。
相手の話をしっかり聞く、必ず返事をするなど、一つひとつの基本的なやりとりを丁寧におこないさえすれば、職場でのコミュニケーションに困ることはないでしょう。
ここまで溶接工に向いていない人の特徴を紹介しましたが、反対に以下のような人は溶接工に向いているといえます。
- 集中力や注意力がある人
- 手先が器用な人
- 体力や忍耐力がある人
- 社交性のある人
溶接工の仕事に興味があるのであれば、前向きに求人への応募を検討してみても良いかもしれません。
3.溶接工の仕事の魅力・やりがい
溶接工という職業には、以下のような魅力とやりがいがあります。
- 高度な技術の習得できる
- 専門職としての誇りを持てる
- さまざまな業界で需要がある
- 国際的な需要もある
- 社会に貢献できる
- 後輩の成長を見守れる
それぞれ詳しく見ていきます。
3-1.高度な技術を習得できる
溶接工として働けば、専門的な技術を身につける機会が多々あります。溶接は奥が深く、短期間で簡単にマスターできる仕事ではありませんが、そのぶん経験を積むことで他者には真似できない高度な技術を習得できます。
また、自分の技術の上達を実感することで、仕事に対して大きなやりがいを感じられるでしょう。コツコツと日々の仕事に取り組めば、徐々に難しい溶接作業もできるようになります。
一生ものの技術を手に入れられるだけでなく、仕事へのやりがいを感じられる点は、溶接工の大きな魅力といえます。
3-2.専門職としての誇りを持てる
溶接工として働くには基本的に専門資格の取得が必要になります。資格を取ることは決して容易ではありませんが、それだけに取得したときの喜びは大きく、資格取得後は専門職として誇りを持って働くことができます。
溶接技術を証明する資格の一例として、国家資格の「アーク溶接等特別教育」や「ガス溶接技能講習」などが挙げられます。このような溶接に関する資格を取得することで、溶接の専門知識を深め、自分の技術レベルを客観的に示せるようになります。
3-3.さまざまな業界で需要がある
溶接工は、多くの業界で必要とされています。 建設業や製造業をはじめ、造船、自動車、重工業など、あらゆる分野で溶接技術が活用されています。だからこそ、高い技術を身につけた溶接工はどの業界でも活躍できる可能性があります。
転職を検討する場合も、高度な溶接技術を身につけていれば転職先の選択肢が広がるでしょう。溶接工は、それだけ幅広い分野で需要がある汎用性の高い仕事なのです。
3-4.国際的な需要もある
日本の溶接技術は、世界的に見て非常に高く評価されています。そのため、国内で溶接工として経験を積めば、将来的には海外で活躍することも夢ではありません。
溶接工として海外で働けば、技術が高く買われているぶん、より高額な報酬を得られる可能性も高まります。また、多様な文化に触れることで、今後の仕事に役立つグローバルな視野も養えるでしょう。
もちろん最初は言葉や文化の違いに苦戦することもありますが、それ以上に大きなやりがいを感じられるはずです。
3-5.社会に貢献できる
溶接技術は橋やビル、工場などの建設にも活用されており、人々の生活や社会を支えるために欠かせない存在といえます。
自分が手がけた建築物が完成し、それが人々の生活を支えている光景を目の当たりにすることで、「自分の仕事が社会に貢献している」という喜びを感じられるでしょう。
そのような誇らしい気持ちを味わえるのは、溶接工ならではの醍醐味です。
また、震災などで被害を受けた建物の修復にも、溶接工の力が必要とされます。そうした緊急時に自分の技術を役立てることで、より社会に貢献している実感を得られるでしょう。
3-6.後輩の成長を見守れる
自分の培った溶接技術を後輩に伝えることで、教育者としての喜びを感じられます。自分の技術を次の世代に継承していく喜びを得られるのは、溶接工の仕事の大きな魅力といえるでしょう。
また、後輩の教育は自分の溶接技術の見直しにもつながります。そのため、意欲的に後輩を指導することで、自分自身も成長させられるでしょう。
4.溶接工として成功するためのポイント
溶接工として成功するには、4つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 専門知識や高度な技術を身につける
- 安全対策を徹底する
- プロ意識を持って仕事に誇りを持つ
- 柔軟なキャリアプランを持つ
それぞれ詳しく解説します。
4-1.専門知識や高度な技術を身につける
溶接工として成功するには、専門性の高い知識や技術を意欲的に身につけていくことが大切です。ただし、大前提として基礎的な溶接技術をしっかりと習得しておく必要があるので、その点を忘れないようにしましょう。
溶接対象となる材料の特性や、溶接機器の扱い方など、前向きに最新の知識や技術を取り入れていこうとすることで、溶接工として活躍の場を広げられます。
4-2.安全対策を徹底する
溶接工にとって、安全対策は特に優先すべき事項です。安全対策を徹底して日々の業務に取り組むことで、予期せぬ事故を防げるだけでなく、周囲からの信頼も得やすくなるでしょう。
ヘルメットや手袋、保護メガネなどの保護具は必ず着用し、作業場の整理整頓を心がけることが大切です。
万が一の事故に備えて、緊急時の対応方法を理解しておくことも重要です。溶接工として成功するためにも、自分の身を守るだけでなく、周囲の安全にも配慮できる溶接工を目指しましょう。
4-3.プロ意識を持って仕事に誇りを持つ
溶接のプロという高い意識を持って仕事に臨むことは、仕事の質の向上に直結します。
溶接工の仕事は、製品の品質や安全性に関わる重要な役割を担っています。だからこそ、将来的に活躍できる溶接工になるには、プロ意識を持って目の前の業務に真剣に取り組むことが重要です。
自分の仕事に誇りを持ち、常に最高の品質を目指すことが、信頼される溶接工への第一歩といえます。
4-4.柔軟なキャリアプランを持つ
溶接工として目の前の仕事に真摯に向き合うことはもちろん重要ですが、柔軟なキャリアプランを持つことも、自分の可能性を広げるために欠かせない要素の一つです。
たとえば、特定の溶接技術を極め、その分野のスペシャリストを目指すという道もあります。管理職としての知識を身につけ、プロジェクトをまとめるチームリーダーとしてのキャリアを描くのも良いでしょう。
大切なのは、自分の可能性を広げる柔軟な視点を持つことです。中長期的なキャリアプランを描き、積極的に新しい技術や知識を学ぶ姿勢があれば、必ずステップアップのチャンスは訪れるはずです。
5.溶接工を辞めたいと思ったときの対処法
実際に溶接工の仕事をしてみて、辞めたいと思う瞬間もあるでしょう。ここでは、溶接工を辞めたいと思ったときの対処法を4つ紹介します。
- 自分の気持ちを整理する
- 周囲の人に相談してみる
- 溶接工として転職する
- 溶接工以外に転職する
それぞれ詳しく解説します。
5-1.自分の気持ちを整理する
溶接工を辞めたいと思ったとき、まずは自分の気持ちを整理することが大切です。
今の仕事で具体的に何がストレスになっているのか、不満に感じていることは何なのか、それらを紙やノートなどに書き出してみましょう。自分の感情を言葉にすることで、問題点が明確になります。
また、自分の気持ちを可視化することで、溶接工を始めたときに思い描いていた姿と現状の自分に、どのようなズレが生じているかを確認しやすくなります。
自分の感情と向き合うことで、あらためて将来のビジョンを見つめ直すことができるでしょう。
5-2.周囲の人に相談してみる
一人で悩みを抱え込まず、信頼できる周囲の人に相談してみるのもおすすめの方法です。家族や友人など、親しい人に自分の気持ちを打ち明けることで、ストレスが和らぐかもしれません。
また、第三者の視点からアドバイスをもらうことで、自分では気付けなかった解決策が見つかる可能性もあります。
他にも、キャリアの専門家に相談する方法もおすすめです。JOBPALの面談では、経験豊富なキャリアパートナーがあなたの強みや適性を見極め、最適な解決策を提案します。
5-3.溶接工として転職する
「溶接工の仕事は続けたいけれど、今の職場環境がどうしても合わない」という場合は、他社で溶接工として働く道を考えてみましょう。転職して職場が変われば、現状の不満や悩みが解消されるかもしれません。
特に溶接工として長年の経験があり、さまざまな資格を持っている人であれば、どこの職場でも即戦力として歓迎される可能性が高いです。自分の力を発揮できる新たな環境に身を置くことで、溶接工としてのやりがいを再確認できるでしょう。
ただし、溶接工に限らず、同じ職種での転職を検討する際は、転職先の企業文化や働き方が自分に合っているかを確認しておくことが非常に重要です。待遇面やビジョンが自分にマッチした企業を選ぶことで、ストレスのない働き方を実現できるでしょう。
5-4.溶接工以外に転職する
「溶接工を辞めたい」という強い想いがある場合は、転職して別の仕事に就くという方法もあります。世の中には多様な仕事があるので、これまで溶接工として積み上げてきたキャリアを活かせる仕事はきっとあるはずです。
ただし、異業種へ転職する場合、まずは自分の強みや適性、興味・関心のある分野をじっくり見つめ直すことが大切です。どのような仕事であれば楽しいと感じられそうか、しっかり自己分析を重ねることで、納得のいく転職ができるでしょう。
また、自分一人での転職活動が難航しそうな場合は、JOBPALの面談サービスを利用いただくのもおすすめです。対面面談やオンライン面談、メール、LINEなどで、仕事に関するさまざまな悩みをキャリアパートナーに相談できます。
6.まとめ
労働環境や人間関係の過酷さから「溶接工は辞めとけ」といわれることもありますが、溶接工の仕事は社会のインフラ的な役割を果たしていたり、国内外で活躍できる可能性を多数秘めていたりと、ポジティブな面も多々ある仕事です。
自分のスキルと知識を磨き、プロ意識を持って前向きに日々の業務に取り組むことで、将来充実したキャリアを築くことができるでしょう。
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