フォークリフトの仕事はなくなる?将来性や今後も活躍するために
この記事で分かること
- フォークリフトの仕事がなくなるといわれているのは、自動技術の進展や環境規制の強化などの要因が関係している
- フォークリフトオペレーターは慢性的に人手不足であり、今後も企業からの需要がなくなる可能性は低い
- 今後もフォークリフトオペレーターとして活躍するには、高度な資格や自動化技術に関するスキルを習得したほうが良い
- フォークリフトオペレーターから転職する場合に向いている職業として、物流管理職やメンテナンス技術者などが挙げられる
※この記事は6分30秒で読めます。
「フォークリフトの仕事がなくなるって本当?」
「フォークリフトオペレーターとして今後も働くにはどうするべき?」
など、フォークリフトの将来性に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
フォークリフトオペレーターは人手不足である企業が多く、一般的には需要のある仕事として知られています。
今回は、フォークリフトの仕事がなくなるといわれる理由や、今後もフォークリフトオペレーターとして活躍するためのポイントについて解説します。この記事を読めば、フォークリフトオペレーターの現状や将来性がよくわかり、今後のキャリアを決める際の参考にできます。
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1.フォークリフトの仕事がなくなるといわれる理由
なぜ「フォークリフトの仕事はなくなる」といわれているのか、疑問に思う方もいるでしょう。フォークリフトの仕事がなくなる理由として、下記の3つが挙げられます。
- 自動化技術の進展
- 労働コストの削減
- 環境規制と安全性の向上
それぞれについて詳しく解説していきます。
1-1.自動化技術の進展
フォークリフトの仕事がなくなるといわれる要因の一つに、AIやロボット技術などの進化が挙げられます。
車の自動運転が普及し始めているように、近年ではフォークリフトにおいても自動で動く「無人搬送フォークリフト」の開発が進んでいます。
無人搬送フォークリフトとは、その名のとおり無人で物品を搬送するフォークリフトを指します。レーダーやカメラによる周囲の検知、精度の高い自主走行など、無人搬送フォークリフトにはこれまで人力でおこなっていた作業を担うための性能が多数備わっています。
フォークリフト以外にも、「AGV(無人搬送車)」や「AMR(自律走行搬送ロボット)」などを導入し、倉庫内や工場内の搬送作業を徐々に機械化する企業の動きも見られます。
このような動きが今後一層活発になると、フォークリフトの仕事が減少する可能性があるといわれています。
1-2.労働コストの削減
自動化技術を導入するには初期費用がかかりますが、導入後はこれまでその作業を担っていた人員を雇う必要がなくなるため、長期的に見ると人件費の大幅なコスト削減につながります。
また、無人搬送フォークリフトは人が作業した場合よりもミスの発生率が少ない傾向にあり、一定のパフォーマンスを維持した状態での長時間稼働が可能です。そのため、効率化を重視したい企業は、システムの自動化に踏み切ることがあるでしょう。
その他に、フォークリフトオペレーターの人員不足を補うために自動化技術を導入しようとする企業もあります。
このように、自動化で業務をまかなおうとする企業の増加により、フォークリフトオペレーターの必要性が薄れていくことが考えられます。
1-3.環境規制と安全性の向上
自動化技術の導入が進む背景には、エンジン式フォークリフトの排出ガスが規制の対象となっていることも関係しています。
エンジン式フォークリフトは、ガソリンやディーゼル、LPG(液化石油ガス)などの燃料を動力としており、稼働させると排気ガスが発生します。
フォークリフトは「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」の対象となっており、一定の要件を満たした車両以外は国内での使用が認められていません。
近年ではこのように排出ガスに関する規制が強まっていることもあり、企業が排気ガスを発しないバッテリー式フォークリフトや、AGV(無人搬送車)、AMR(自律走行搬送ロボット)などへの切り替えを進める傾向にあります。
また、人為的なミスによるケガや事故のリスクを抑えるという点でも、自動化は大きな役割を果たします。
実際に、最近では作業の安全性を高めることを目的として、自動化技術を採用する企業が増えてきたことで、フォークリフトオペレーターの仕事がなくなる可能性があるといわれているようです。
2.フォークリフトオペレーターは人手不足
上述したように、近年ではこれまでフォークリフトオペレーターが担っていた仕事を自動化しようとする動きも見られますが、それでもフォークリフトオペレーターの採用を検討する企業は今も多く見られます。
その理由として、フォークリフトオペレーターの慢性的な人手不足が挙げられます。
フォークリフトは物流倉庫や工場、建設現場、イベント会場など、さまざまな場面で需要があります。しかし、最近ではフォークリフトオペレーターの高齢化と若手の不足が問題視されており、そもそもフォークリフトを運転できる人員が足りていないのが現状です。
そのため、各企業は不足している若い人材を集めるため、労働環境の改善や具体的なキャリアプランの提示など、若年層がフォークリフトの仕事に興味を持つよう、多様な取り組みをおこなっています。
なかには、フォークリフトオペレーターとしての就業経験がない未経験者を積極的に採用している企業もあります。
このように、いくら自動化の動きが強まったとしても、フォークリフトオペレーターはいまだ企業からの需要が高い職種といえるでしょう。
3.フォークリフトオペレーターの将来性!仕事はなくならない?
結論からいうと、将来フォークリフトオペレーターの仕事がなくなる可能性は極めて低いと考えられます。
先ほど触れたように、フォークリフトオペレーターは常に人手不足であることから、その穴を埋めようと業務の自動化を進めようとする企業は多く存在します。
しかし、無人搬送フォークリフトやAGV(無人搬送車)などの自動化技術を導入するには、多額の資金が必要です。有人フォークリフトの価格は一般的に1台あたり300〜400万円が目安ですが、無人搬送フォークリフトの場合はその5倍や10倍以上の費用がかかることもあります。
このように、自動化技術の導入には莫大な初期コストがかかるため、すべての企業がすぐに自動化を実現できるわけではありません。自動化技術が発展したからといって、ただちにフォークリフトオペレーターの仕事がなくなることは考えづらいでしょう。
また、自動化が進行したとしても、商品の適切な管理やフォークリフトの点検など、フォークリフトにまつわる業務は人でなければ難しい作業も多くあります。そのため、すべての作業員がいなくなる可能性はほとんどないでしょう。
4.フォークリフトの仕事で今後も活躍するために
フォークリフトの仕事はすぐになくならない可能性が高いとお伝えしましたが、自動化の波は止まらないため、今後もフォークリフトオペレーターとして活躍するには新たなスキルを身につけることが重要です。
フォークリフトの仕事で長く活躍するためには、下記3つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 高度な資格の取得を目指す
- 自動化技術に関するスキルを習得する
- 在庫や物流管理システムの操作を覚える
それぞれについて、詳しく解説します。
4-1.高度な資格の取得を目指す
フォークリフトオペレーターとして従事するにはフォークリフトの資格取得が必須ですが、さらに業務に関連する高度な資格を取得することで、より活躍の幅を広げられます。
具体例として、ここでは「危険物取扱者」と「安全管理者」の2つの資格を紹介します。
【危険物取扱者】
ガソリンや石油類など、消防法で定められた火災の危険性が高い危険物を取り扱う際に必要な国家資格です。資格を取得することで、危険物を安全に運搬するうえで役立つ知識が得られます。
【安全管理者】
職場の安全管理業務をおこなうために必要な資格です。業種は特定されますが、常時50人以上の労働者を雇用する事業所は、現場に所属する従業員から安全管理者の資格を有する者を専任しなければならないと法律で定められています。
このような資格を取得することで、業務への理解が深まるだけでなく、より高いポジションで活躍できる可能性があります。
また、これらの資格はフォークリフトの運転だけでなく他の業務にも活用できるため、取得しておけば部署異動の際や転職時に有利になる可能性があるでしょう。
4-2.自動化技術に関するスキルを習得する
自動化といっても、機械だけですべての仕事を完結できるわけではなく、継続的に動かすためには人によるサポートが必要です。
そのため、自動化技術に関するスキルを事前に習得しておけば、もし勤め先がフォークリフトの自動化を導入したとしても、現場に欠かせない人材として活躍できるでしょう。
たとえば、AGV(無人搬送車)を効率良く運用するには、パソコンやタブレットなどの端末を使って動きを制御する必要があります。
また、継続的に稼働しているといずれは故障や不具合で動かなくなることがあるため、人の手を使ってメンテナンスしなければなりません。
上記のような機械操作や万が一のトラブルに対応できるスキルがあれば、自動化が進んでも自身の能力を存分に現場で発揮できるでしょう。
4-3.在庫や物流管理システムの操作を覚える
自動化の導入によって無人で荷物を運搬できたとしても、在庫や業務を管理するシステムの操作は人が担当しなければなりません。そのため、 管理システムの操作を熟知していれば、業務を円滑に進めるうえで欠かせない人材になりうるでしょう。
物流に関わる代表的な管理システムには「在庫管理システム」と「倉庫管理システム」の2つがあります。
【在庫管理システム】
在庫の過不足がないように在庫情報を管理するシステムのことです。在庫の一覧表示や、入出庫数を管理する機能があり、手作業より効率的に在庫状況を把握できます。
【倉庫管理システム】
倉庫の在庫状況だけでなく、入荷管理や棚卸管理、納品書の作成など、倉庫内のあらゆる業務を管理できるシステムを指します。
上記のような管理システムは自動化が進んでもなくならないため、操作を知っておくことで重宝されるでしょう。その他に、フォークリフトの運行データや物流データを解析するスキルを身につけておくのもおすすめです。
5.フォークリフトオペレーターから転職するなら
フォークリフトオペレーターからの転職を検討しているのであれば、今までの経験を活かせる職種を選ぶのも一つの方法です。転職におすすめの職種としては、主に以下の3つがあげられます。
- 物流管理職
- メンテナンス技術者
- トラックドライバー
それぞれの職種がどのような仕事内容であるか解説します。
5-1.物流管理職
物流管理職とは、在庫管理やピッキング、出荷作業など、倉庫の作業を円滑に進めるための監督をおこなう仕事です。業務の管理だけでなく、社員のスケジュールやシフト管理、指導など、人的管理も担います。
また、入荷から出荷までの工程を効率化するために、改善策の提案・実施を担当することもあります。作業の改善を図るうえで、フォークリフトオペレーターで培った視点が活かせるでしょう。
物流管理職は、業務の進行だけでなく社員の管理もおこなうため、幅広い視野や高いコミュニケーション能力を持っている方に向いている仕事といえます。
5-2.メンテナンス技術者
ビルのメンテナンス技術者とは、機械・設備の正常な運用を点検・修理によってサポートする仕事です。具体的には、異常が発生したときに対応する「事後保全」と故障を未然に防ぐための「予防保全」を実施しています。
点検・修理の対象は企業によって異なり、工場の機械やエレベーターなど、さまざまな設備があります。物流業界であれば、フォークリフトやその他の物流機器が管理の対象です。
メンテナンス技術者として仕事を進めるには、機械の基本的な構造や修理技術を身につける必要があります。「電気工事士」や「機械保全技能士」などの資格を取得することで、即戦力として活躍できる可能性が高まるでしょう。
5-3.トラックドライバー
トラックドライバーは、商品や資材の配送、配送先での顧客対応、荷物の受け渡しをおこなう仕事です。仕事内容は、車両の積載量や輸送距離などによって違いがあります。
- 「小型トラック」…コンビニや宅配など近距離の配送
- 「中型トラック」…中・近距離の配送
- 「大型トラック」…都市間の長距離輸送
トラックドライバーは、仕事で運転するトラックの積載量に合わせて、中型自動車免許や大型自動車免許が必要です。
また、日々のメンテナンスは自身で実施するため、点検方法や簡単な修理技術は身につけておく必要があるでしょう。
荷物の積み下ろしが多い業務では、フォークリフトオペレーターとしての経験が役立つこともあります。
フォークリフトの仕事と同じように、トラックドライバーは常に人手不足です。そのため、トラックドライバーへの転職を検討している方は、比較的仕事を見つけやすいといえるでしょう。
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参照:厚生労働省「job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)|トラック運転手」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/477
6.フォークリフトオペレーターからの転職で失敗しないために
フォークリフトオペレーターからの転職で失敗しないためには、自分一人で転職活動を進めるのではなく、転職のプロに相談するのもおすすめです。
希望職種や条件の良い企業に転職するのは、想定外の時間や労力がかかることも珍しくありません。なかには思い切って転職してみたものの「入社前に思い描いていた仕事でなかった」と、転職を後悔する方もいるでしょう。
そのような事態を避けるためにも、転職で少しでも思い悩むことがあれば、ぜひ経験豊富なプロの手を借りてください。
プロに相談することで、フォークリフトオペレーターとしての経験を活かせる仕事の詳細や、自身に向いている職種など、自分一人では気付けなかったさまざまな情報を得られるでしょう。
実際に転職相談をしてみたい方は、JOBPALの面談サービスをご利用ください。対面面談やオンライン面談、メール、LINEなどで、仕事に関するさまざまな悩みをキャリアパートナーに相談できます。
どんなに些細な悩みでも構いません。現在抱えている転職の悩みを解説したいなら、ぜひ気軽な気持ちで相談してみてはいかがでしょうか。
7.まとめ
「フォークリフトオペレーターの仕事はなくなる」といわれる理由には、無人搬送フォークリフトやそのほかのAGV(無人搬送車)の普及が大きく関係しています。
しかし、自動化技術の導入には高額な初期費用がかかることもあり、フォークリフトオペレーターの需要はいまだ高いのが現状です。
フォークリフトオペレーターとしての経験を活かし、より活躍の幅を広げていくためには、新たな資格の取得や自動化技術の知識を身につけるなど、積極的にスキルアップを図ることが大切です。
あるいは、これまでの経験が役立つ別の仕事へ転職を検討する方法もあるでしょう。
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