電気工事士はやめとけといわれるのはなぜ?理由や働く魅力とやりがい、向き・不向きを解説
この記事で分かること
- 電気工事士はやめとけといわれる理由は、体力勝負で見習い期間や資格取得などが大変なため
- 電気工事士は、資格取得や実務経験を積めば手に職がつき、社会貢献度が高くやりがいを感じられる
- 電気工事士が向いている人の特徴は、ルールを守れる、スケジュール管理ができるなど
- 電気工事士が向いていない人の特徴は、コミュニケーションを取るのが苦手など
※この記事は6分30秒で読めます。
「電気工事士の仕事はやめておけといわれる理由が知りたい」
「電気工事士の魅力ややりがいが知りたい」
など、電気工事士の仕事について疑問がある人もいるでしょう。
電気工事士の仕事は、手に職がつくだけでなく人々の生活を支えられるため、社会貢献につながるなどの特徴があります。
今回は「電気工事士の仕事はやめとけ」といわれる主な理由や、魅力・やりがい、向いている人・向いていない人の特徴について解説します。この記事を読めば、電気工事士の仕事を把握したうえで、自分の向き、不向きがわかるようになります。
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1.電気工事士はやめとけといわれる理由
「電気工事士はやめとけ」といわれる理由は、以下の4つです。
- 体力勝負
- 見習い期間がつらい
- 繁忙期がつらい
- 資格を取得しないとならない
電気工事士の仕事は、基本的に力仕事です。また、厳しい見習い期間がある他、繁忙期には長時間労働が続きますし、資格を取るには難しい試験に合格しなければならず、大変な場面もあるため「電気工事士はやめとけ」といわれがちです。
しかし見習い期間中は、上司や先輩に質問をしたり、実際の仕事に携わりながら作業の感覚をつかんだりすれば、徐々に知識が身につきます。難しいと思う仕事内容も、実際に取り組んでみると進めやすいでしょう。
電気工事士の仕事は、体力面や見習い期間など大変な面もありますが、資格を取得すれば手に職がつき、やりがいも生まれます。
つらい期間がある点を理解したうえで、目標を持って取り組んでみるのも一つの方法です。
1-1.体力勝負
電気工事士の仕事は、体力勝負です。屋外での作業が多く、季節によっては夏の暑さや冬の厳しい寒さの中で作業する場合もあります。重い荷物の運搬や立ちっぱなしの作業もあり、1日中体を動かす仕事です。
また、空調設備が欠かせない夏や冬には、電気設備の工事や取り付けの依頼が多く体力勝負になりがちです。特に空調設備を建物の2階以上に設置する場合は高所作業のため、安全に進めなくてはなりません。
電気工事士は体力面できついと感じる人もいるため、やめとけといわれる場合があるようです。
1-2.見習い期間がつらい
電気工事士は、一般的に見習い期間があります。見習い期間は専門的な知識や技術の習得など、覚える内容がたくさんあり、つらいと感じる人もいるでしょう。
電気工事士の仕事は、機器の取り付けや配線など、正確で素早い対応が求められるため、習得できるまでには時間がかかる人もいます。
また、屋外や長時間の立ち仕事など、体力的にきつく感じる作業をするにも関わらず、見習い期間中は給料が安い傾向にあるのが現状です。
国土交通省が発表した「建設キャリアアップシステム(CCUS)におけるレベル別年収の公表」によると、電気工事士の見習い期間の年収はレベル1の下位で315万円~です。
一方レベル4の上位の年収は769万円~のため、見習い期間中は給与が安い傾向にあるのがわかります。
見習い期間中は仕事の忙しさに比べ、給料が低い期間が続くのも、やめとけといわれる要因です。
しかし、見習い期間は一般的に3年から5年とされています。平均的な期間を知ればモチベーションの維持につながり、つらいと感じる期間も目標を持って取り組めるでしょう。
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参照:国土交通省「建設キャリアアップシステム(CCUS)におけるレベル別年収の公表」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001614727.pdf
1-3.繁忙期がつらい
エアコンなどの空調設備の取り付けを担当する場合は、夏や冬が特に繁忙期になります。エアコンの取り付けや修理の依頼が増えるため、普段よりも忙しくなるのがつらいと感じる原因です。
受注数が多ければ、人手が足りない日も出てくるでしょう。少人数で何件もの現場を回る日もあるため、忙しいからやめとけといわれる場合もあるようです。
1-4.資格を取得しないとならない
電気工事士として働くには、国家資格である「第一種電気工事士」や「第二種電気工事士」の取得が必要です。
「第二種電気工事士」は、一般住宅や小規模店舗の工事に携われる資格です。
一方「第一種電気工事士」は、第二種電気工事士がおこなう一般住宅や小規模の店舗での工事に加え、大規模店舗やビル、工場などの工事に携われます。
電気工事士の試験には学科試験と実技試験があり、令和5年度の合格率は以下のとおりです。
試験名 | 学科試験 | 実技試験 |
第一種電気工事士試験 | 61.6% | 60.6% |
第二種電気工事士試験 | 59.4% | 71.1% |
※合格率は、(合格者数)÷(受験者数)×100=合格率 の計算式を用いて算出。
第一種、第二種とも合格率は6割〜7割程度で、学科試験と技能試験の両方に合格するのが条件です。そのため、資格を取るのが大変と感じる人もいます。
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参照:一般財団法人 電気技術者試験センター「試験実施状況の推移(第一種電気工事士試験)」
https://www.shiken.or.jp/situation/s-construction01.html -
一般財団法人 電気技術者試験センター「試験実施状況の推移(第二種電気工事士試験)」
https://www.shiken.or.jp/situation/s-construction02.html
なお、第一種・第二種電気工事士の主な仕事内容や資格の取得方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
2.電気工事士の仕事のやりがいや魅力
電気工事士の仕事は、住宅や商業施設、ビル・工場で電気設備の工事をおこないます。作業内容は、電気設備の取り付けや配線作業、点検などさまざまです。
では、電気工事士の仕事のやりがいや魅力は、どのような点があるのでしょうか。
「電気工事士の仕事はやめとけ」といわれる場合もありますが、以下の4点のようなやりがいや魅力もあります。
- 社会への貢献度が高い
- 手に職がつく
- 資格手当がつく
- 独立もできる
ここからは、電気工事士のやりがいや魅力について詳しく解説します。
2-1.社会への貢献度が高い
電気工事士は、電力供給システムや配電網の設置や修理・点検をおこなう場合があります。日常に必要不可欠な電気の供給ができなければ、生活や仕事にも大きな影響が出るでしょう。
特に台風や地震などで停電が起こると、迅速な復旧作業が求められます。電気工事士は、安定した電力供給に欠かせない仕事です。また、電気の供給に留まらず、工場や病院などの精密機器の配線や電気系統の設置をおこなう仕事もあります。
電気工事士の専門的な知識や技術は、快適で安全な生活を支えるため、社会への貢献度が高くやりがいのある仕事です。
2-2.手に職がつく
「第一種電気工事士」や「第二種電気工事士」の国家資格を持っていれば、仕事に必要な技術や知識がある旨を証明できます。
資格があれば手に職がついた状態になり、従事できる作業が増えるため、活躍の場が広がるでしょう。
また、作業の際は安全基準や規定を守るのが重要です。電気工事士の仕事を正確かつ安全に進めるには、安全基準や法規の更新内容を常に学んでいく必要があります。
その他にも、電化製品をインターネットにつなげるスマートデバイスの配線や、太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムの設置などの最新技術もあります。
最新の設備についても常に学ぶ必要があるので、技能向上にもつながります。
2-3.資格手当がつく
「第一種電気工事士」や「第二種電気工事士」の資格を持っていると、会社によっては資格手当がつく場合があります。給料に資格手当が加算されれば、モチベーションアップにつながるでしょう。
また、第一種電気工事士試験に合格または免状を交付された人は、実務経験に応じて「1級電気工事施工管理技術検定」の受験ができます。
1級電気工事施工管理技士は、建設工事の現場で技術的な指導や管理をおこなう仕事です。
現場責任者や施工管理者などの役職がつけば、そのぶん給料に反映されるでしょう。電気工事士の資格にはさまざまな種類があり、資格を取得すれば給料の増額も期待できます。
2-4.独立もできる
電気工事士は、実務経験を積めば独立もできます。独立して電気工事士の仕事を請け負えば、業務時間や日数を自由に決められる他、成果によっては収入が増える可能性もあるでしょう。
ただし一般用電気工作物、小規模事業用電気工作物、自家用電気工作物の電気工事を請け負う場合は「登録電気工事業者」の申請をする必要があります。
なかでも、一般用電気工作物の電気工事をおこなう営業所には「主任電気工事士」を設置しなければなりません。
一般用電気工事は、主に600ボルト以下で受電する一般家庭や小規模事務所などの屋内配線や、一般家庭用の太陽電池発電設備が該当します。
主任電気工事士は、第一種または第二種電気工事士を取得したあと、電気工事に関して3年以上の実務経験が必要です。登録電気工事業者の申請をする場合は、独立する前の実務期間も考慮しましょう。
第二種電気工事士が請け負える仕事は、一般家庭や小規模店舗などの制限があります。より幅広く事業を展開するには、工場や大規模店舗の仕事もできる第一種電機工事士の資格を取得しておくのが良いでしょう。
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3.電気工事士の仕事に向いている人
電気工事士の仕事が自分に向いているのか、知りたい人もいるでしょう。電気工事士の仕事に向いている人の特徴は、以下の5つです。
- 指示やルールを守れる人
- スケジュール管理ができる人
- 体を動かす仕事をしたい人
- 慎重さや丁寧さがある人
- 人や社会のために役立ちたいと考えている人
それぞれ詳しく解説します。
3-1.指示やルールを守れる人
電気工事士の仕事は、電線の接続や端末処理など、指示書に従った細かな作業があります。コンセントやスイッチの取り付けなど、決められた位置の取り付けや正しい電圧の確認も必要です。
提示された図面や指示書通りに作業をしなければ電気の供給や設備の稼働ができませんし、作業を正確にしなければ感電や電気火災を引き起こす可能性もあります。
安全対策や作業の指示を守れる人は、正確に作業を進められるため、電気工事士の仕事が向いている可能性があるでしょう。
3-2.スケジュール管理ができる人
電気工事士は家電製品の設置や修理、工場での仕事など、作業内容によって仕事場所が変わります。
1日に複数の現場に出向く場合は、次の現場で予定通りに作業を開始できるよう、移動時間を考慮したスケジュール管理が必要です。
作業する中で設備の故障や緊急の修理依頼が発生する可能性もあるため、どの作業を優先するかを考え、効率良く作業を進めるのも重要です。
自分が担当する作業の所要時間や、各現場の設備の特徴を把握するなど、作業全体に目を向ける点も必要です。スケジュール管理が得意な人は、電気工事士の仕事に向いている可能性があるでしょう。
3-3.体を動かす仕事をしたい人
電気工事士は、重い荷物の運搬や長時間の立ち仕事など、全身を使う場合もあるため、体を動かして働きたい人に向いています。
また電気工事士は、建設現場や店舗など、屋外・屋内に関わらずさまざまな場所で作業をおこなうため、暑さや寒さにも負けない体力が必要です。
健康的で体力に自信のある人は、働きやすい仕事といえるでしょう。
3-4.慎重さや丁寧さがある人
電気工事士の仕事は、設備の設置や配線など、正確で細かい作業が求められるため、慎重かつ丁寧に作業ができる人に向いています。
設備の設置や配線に不具合があれば、電気火災などの大きな事故につながる危険があるため、慎重に作業をおこなわなければなりません。
配線の接続や設備の取り付けを間違えた場合、大規模な停電や設備の故障を引き起こす可能性もあります。そのため、安全を守り的確な作業を進めるのが大切です。
物事を慎重におこない、細部まで丁寧な作業ができる人は、電気工事士の仕事に向いています。
3-5.人や社会のために役立ちたいと考えている人
電気工事士は、電気設備の設置や安定した電力供給など、人々の生活や社会において重要な役割があります。例えば、停電時の迅速な対応や設備の修理・点検など、日常生活を支える仕事が多く存在します。
電気は人々の生活になくてはならないものであり、普段から世の中や人のために働きたいと考えている人にとっては、とてもやりがいを感じられる魅力的な仕事です。
そのため、人々や社会のために役に立つ仕事に就きたいと考えている人に向いているといえるでしょう。
なお、電気工事士の仕事内容や魅力、資格を取得するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
4.電気工事士の仕事が向いていない人
電気工事士の仕事をするうえで、向いていない人の特徴について知りたい人もいるでしょう。電気工事士の仕事が向いていない人の特徴は、以下の3点です。
- コミュニケーションを取るのが苦手な人
- 屋内で座って仕事をしたい人
- こまかな作業が苦手な人
それぞれ詳しく説明します。
4-1.コミュニケーションを取るのが苦手な人
電気工事士の仕事は、チームでの作業や顧客とのやり取りが発生する場合があるため、コミュニケーションを取るのが苦手な人には向いていない可能性があります。
建設現場では、現場責任者や他の作業員とも連携して作業をおこなう機会もあるでしょう。ブレーカーの電源操作や配線の確認など、常に声をかけ合って作業を進める仕事は、コミュニケーションを取るのが大切です。
また、顧客ともこまめな連絡や相談をします。設備管理者との打ち合わせでは、工事の日程調整や現場の確認など、顧客の要望を正確に把握するのが肝心です。
電気工事士の仕事は作業の正確さと安全性が求められるため、不具合が起きた場合の相談や情報共有が欠かせません。
そのため、1人で黙々と作業に集中したい人やコミュニケーションを取るのが苦手な人にとっては向いていない仕事といえるでしょう。
4-2.屋内で座って仕事をしたい人
電気工事士の仕事は設備の設置や配線など、主に立ち仕事で体を使います。そのため、屋内で座って仕事をしたい人には向いていないでしょう。
電気工事士は、建設現場や商業施設、一般家庭などで電気設備の設置や配線工事をおこないます。なかには1日中立ちっぱなしの作業や、重い機材の運搬をする場合があり、体力が必要な仕事です。
そのため、デスクワークを希望する人には向いていない仕事といえます。
4-3.こまかな作業が苦手な人
電気工事士の仕事には、配線作業や端子の接続など手先を使う作業が発生するため、こまかな作業が苦手な人には向いていない可能性があります。
配線接続の際には、電線の被覆(ひふく)を適正な長さにむいたり、圧着端子にゆるみやずれがないよう留めたりと、正確さが求められる仕事です。
電気火災や漏洩を防ぐためにも、正しい電圧や回路を確認しながら作業をするため、安全かつ正確な作業が欠かせません。
こまかな作業が苦手な人や細部まで注意を払いながら作業を進めるのを苦痛に感じてしまう人には、向いていないといえます。
5.まとめ
電気工事士の仕事は、見習い期間がある点や体力面できつく「やめとけ」といわれる場合があります。しかし魅力ややりがいも多い仕事です。
電気設備の設置や安定した電力供給など、人々の生活に欠かせない役割を担っており、社会貢献度が高い仕事です。
電気工事士の資格は、入社後に訓練を受けて取得する人もいます。電気工事士の仕事に興味があり、入社後に訓練が受けられる職場をお探しの人は、転職相談などを活用するのがおすすめです。
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