自動車整備士の仕事はきつい?給与面や労働環境面、仕事のメリットを解説

この記事で分かること
- 自動車整備士の仕事がきついと言われるのは、労働環境の厳しさや責任の重さなど、主に6つの理由がある
- 自動車整備士の仕事は、自動車の点検や整備の専門知識が身につき、一生もののスキルを習得できるなどの魅力がある
- 職場によって自動車整備士の労働環境や給与などは異なるため、自分に合った求人に応募することが大切
※この記事は6分30秒で読めます。
「自動車整備士の仕事はきついって本当?」
「自動車整備士の仕事の魅力を知りたい」
など、自動車整備士の仕事に関して疑問を持つ方もいるでしょう。
自動車整備士は、人の安全を守る責任の重い仕事です。そのため、労働環境が厳しい場合もあり、人によってはきついと感じることがあります。一方、自動車の点検や整備の専門知識が身につき、一生もののスキルを習得できるなど、魅力的な面も多々ある仕事です。
今回は、自動車整備士の仕事がきついと言われる理由や、自動車整備士の仕事の魅力などを詳しく解説します。この記事を読めば、自動車整備士の仕事がきついと言われる原因やメリットがよくわかり、自動車整備士の仕事が自分に向いているかどうかを判断できるようになります。
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1.自動車整備士の仕事はきつい?
自動車整備士は、自動車が安全に走行できるよう、車体の点検や整備をおこなう仕事です。主な仕事内容は、主に以下の3つに分類できます。
- 点検整備:車検などの定期点検や、自動車の不定期メンテナンス
- 緊急整備:エンジントラブルなど、緊急性の高いトラブルが発生した場合におこなう修理や整備
- 分解整備:自動車の走行で重要な装置を取り外しておこなう整備や改造
また、その他に板金作業や塗装作業、装置の取付作業、タイヤの交換作業なども自動車整備士の業務として挙げられます。
自動車整備士の主な就職先は自動車整備工場ですが、それ以外に自動車ディーラーや中古車販売店、ガソリンスタンド、レーシングチームなどで点検・整備作業に携わる場合もあります。
自動車整備士の詳しい仕事内容や、自動車整備士の資格の種類については、下記の記事をご覧ください。
2.自動車整備士の仕事がきついと言われる理由は?
ここでは、自動車整備士の仕事がきついと言われる理由を6つ紹介します。どのような理由があるのか、詳しく見ていきましょう。
2-1.汚れたりケガをしたりする可能性がある
自動車整備士の仕事がきついと言われる理由として、業務中に汚れやすいことや、ケガの可能性があることなどが挙げられます。
整備をおこなう自動車には、オイル汚れや泥汚れが付着していることが多く、作業中はどうしても手や着用している衣類に汚れが付着してしまいます。特に、手に付着したオイル汚れは落ちにくく、肌荒れの原因にもなりうるため、気になる方も多いでしょう。
また、自動車の整備中は、専用のリフトやジャッキなどを使って、自動車を浮かせながら作業をおこなう場面があります。適切な位置に車両をセットできていないと、自動車がバランスを崩して落下し、それが原因で自動車整備士がケガをする危険性があるのです。
このように、自動車整備士の仕事は汚れやケガのリスクをともなうことから、人によってはきついと感じることがあります。
2-2.土日祝に仕事が入ることがある
平日以外にも営業している職場に勤めている方の場合、土日や祝日に出勤しなければならないことが原因で、自動車整備士の仕事をきついと感じてしまうことがあるようです。
土日や祝日に出勤する必要があると、家族や友人と予定を合わせづらくなり、仕事以外にリフレッシュする時間を十分に確保できなくなってしまうかもしれません。
特にプライベートを重視して土日や祝日を確実に休みたい方は、平日以外の出勤に不満を感じやすい傾向にあります。
2-3.自動車整備工場内の環境が厳しい
工場内の環境が厳しいことも、自動車整備士の仕事がきついと言われる原因のひとつです。自動車整備工場は季節によって環境の変化が著しく、特に夏と冬は顕著に職場環境が厳しくなります。
夏場の自動車整備工場は非常に暑く、空調が整備されておらず風通しの悪い工場に勤務している場合は、一日の大半を猛暑の中で過ごさなければなりません。
反対に冬場は、車体の狭い箇所を修理する際に手が入らなくなってしまうという理由から、ジャンパーやダウンなどの上着の着用を許可していない工場も多く、厳しい寒さに耐えながら作業をおこなわなければなりません。
職場によって環境の厳しさは異なりますが、自動車整備士は夏の暑さや冬の寒さに耐えながら、日々の仕事に取り組む必要があるのです。
2-4.体力が求められる仕事が多い
体力が求められる作業が多いことも、自動車整備士の仕事がきついと言われる代表的な理由の一つです。
自動車整備士は業務中にエンジンやタイヤなどの重いパーツを運搬する機会が多くあるため、仕事をスムーズにこなすにはある程度の体力が必要です。
特に大型車の整備作業をおこなう際は、普通車よりも部品のサイズが大きくなるため、そのぶん持ち運びの際の身体への負担も大きくなるでしょう。
2-5.責任が重く精神的な負担がかかる
整備ミスは自動車事故の要因となりうるため、自動車整備士の仕事には大きなプレッシャーがつきものです。
「絶対に不良箇所を見逃してはいけない」「誤った整備作業をしてはならない」など、業務の責任の重さから、自動車整備士の仕事にきつさを感じる方も多くいるようです。
特にみなし公務員(※)として扱われる自動車検査員の業務には、点検および整備された自動車が法律で定められた基準に達しているか、などの重要な検査が含まれるため、より大きな責任が伴います。
(※)みなし公務員とは、公務員ではないが当該法人の設立根拠法において、「刑法、その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」旨の規定(みなし公務員規定)を持ち、罰則について刑法が適用されるものをいう。
(引用:総務省「公的な役割を担う法人に関する 調査研究 報告書」)
また、点検で見つかった不具合箇所や、整備内容についてお客様に伝える必要があり、わかりやすく正確に内容を説明しなければなりません。コミュニケーションを苦手としている方の場合は、このような説明の際に精神的な負担を感じる可能性があります。
2-6.給与が労働に見合っていない
自動車整備士の給与が労働内容に見合っていないことが多い点も、自動車整備士の仕事がきついと言われる理由の一つです。
令和5年度の自動車整備士の平均年収が417万2,800円(※1)であるのに対し、一般的な労働者の平均年収は460万円(※2)という調査結果が出ています。このことから、自動車整備士の平均年収は一般的な給与水準よりも低いことがわかります。
ただし、自動車整備士は個人のスキルや経験が給与に直結しやすい仕事なので、専門的な技術を磨き経験を積めば給与アップにつながります。
そのため、自動車整備士として駆け出しの段階では年収が低くても、仕事を継続してスキルを磨き続ければ、理想的な年収を稼ぐこともできるでしょう。
(※1)参照:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会「令和5年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について」
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R05jittaityousa.pdf(※2)参照:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2023/pdf/R05_000.pdf
3.一生活かせるスキルが身につく!自動車整備士の魅力
自動車整備士の仕事はきつい面がある一方で、多くの魅力がある仕事でもあります。ここでは、自動車整備士の仕事の魅力を6つ紹介します。
3-1.車やバイクに関する専門スキルが身につく
仕事を通して車やバイクに関する専門スキルを身につけられることは、自動車整備士の仕事の大きな魅力です。
自動車整備士は日々何台もの自動車の点検や修理依頼を受けるため、勤続年数を重ねれば重ねるほど専門的な知識やスキルが身につき、自動車のさまざまトラブルに対処できるようになります。
自分のスキルを活かし、迅速に車体のトラブルに対応することで、自動車整備士の仕事にやりがいを感じられるようになるでしょう。
3-2.車に関する最新技術に触れられる
最新技術を搭載した電気自動車や自動運転システムなど、自動車整備士は仕事中に最新形の自動車を扱う機会がひんぱんにあります。
車好きの方にとって、車の最新技術に高頻度で触れることができるのは、とても魅力的なポイントです。
自動車業界は技術革新が活発であるため、従来の車にはなかった技術が毎年のように導入されます。自動車整備士としてそれらの最新技術に触れることが、仕事へのモチベーションにもつながるでしょう。
3-3.人の安全に関わるぶん、やりがいもある
人の安全に関わる自動車整備士の仕事は、責任が重いぶん、業務を成し遂げたときのやりがいが大きい仕事でもあります。
適切な処理により車のコンディションを整え、お客様から直接感謝の言葉を伝えられたときは、自動車整備士として社会に貢献できている実感を得られるでしょう。
自動車整備士は、お客様の安全と、人々の命を守る役割を担う、社会にとって非常に重要な仕事なのです。
3-4.安定した仕事に就ける
自動車整備士は業務の専門性が高く、誰でもすぐに就ける仕事ではないため、一度就職すれば安定的に働くことができる点も魅力です。
自動車整備工場への就職は自動車整備士の資格がなくても可能ですが、無資格の場合は担当できる業務が限られています。
一方、自動車整備士の資格を取得すると担当業務の幅がぐっと広がり、自動車整備士を必要とする多方面の企業から需要のある人材になりえます。
また、昨今の高齢化や業界の人材不足の影響を受け、自動車整備士を求める企業は今後一層増加傾向にあることが予測されます。
令和5年度の自動車整備士の有効求人倍率が5.28倍というデータが出ていることからもわかるように、自動車整備士の資格を取得すれば、今後市場価値の高い人材として長く活躍できるでしょう。
参照:厚生労働省「jobtag 職業情報提供サイト(日本版O-NET)自動車整備士」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/197
3-5.幅広い分野にキャリアアップができる
自動車整備士は、自動車整備工場やディーラーなどで働くだけでなく、以下のように幅広い分野へキャリアアップが図れる仕事でもあります。
- 自動車整備主任者
- 自動車検査員
- 工場長・副工場長
- 自動車業界の営業
- 公務員(警察署・市役所など)の自動車整備士
- バス・タクシー会社の整備士
など
キャリアアップの道筋が多方面に広がっていることは、自動車整備士ならではの魅力といえるでしょう。ただし、キャリアアップを目指すには、一定の条件に達していなければならない場合もあります。
例えば、自動車整備主任者になるには、1級自動車整備士あるいは2級自動車整備士の資格が必要です。また、自動車整備士の資格を保有しているだけでなく、整備管理者選任前研修を修了しなければなりません。
このように、希望する働き方を実現するには労力がかかる場合がありますが、そのぶん役職手当が付くなどして、年収アップも図りやすくなります。
3-6.経験を積めば独立できる可能性もある
自動車整備士として経験を積めば、将来自分の自動車整備工場やカーショップなどを開業して、独立を目指すことも可能です。
独立後は自分の好きなスタイルで車に携われるため、企業に雇用されているときよりも一層仕事へのやりがいや充実感を感じやすくなるでしょう。
もちろん事業が軌道に乗るまでは苦労する場面もありますが、将来自由度の高い働き方をしたい方にとって、独立できる可能性がある自動車整備士の仕事はとても魅力のある仕事といえます。
4.今後の自動車業界の労働環境はどうなる?
自動車を安全に走行させるために必要不可欠である自動車整備士は、非常に社会的意義の大きい仕事といえます。しかし、近年では自動車整備士を目指す若者が減少傾向にあるのが実情です。
そのため、国土交通省では、自動車整備士の人材確保、育成のために、以下のような取り組みを実施しています。
- 自動車整備士の仕事のイメージアップのための啓蒙活動
- 女性が働きやすい環境づくりのためのガイドライン作成
- 自動車整備士の仕事に関する若者向け説明会の実施
- 自動車整備業の経営者向けの人材確保セミナーの開催
このように、自動車整備士の人手不足解消に向けて、国はさまざまな対策をおこなっています。今後もこの取り組みは継続されることが予測されるため、自動車業界の労働環境は将来的に改善傾向にあることが期待されます。
ただし、自動車整備士の労働環境は、雇用する企業によってさまざまです。
今後改善傾向にあるとはいえ、具体的な給与や待遇は職場によって大きく差が生じるため、自動車整備士として就業・転職を目指す場合は、自分の理想の働き方を実現できる企業を慎重に探すことが何よりも重要です。
5.まとめ
自動車整備士の仕事は、職場によっては労働環境が厳しい、体力が求められる作業が多いなどの理由で、きついと言われることがあります。
その一方で、仕事を通して専門的なスキルを習得できる、最新の技術に触れられるなど、さまざまな魅力がある仕事でもあります。
自動車整備士は今後も高い需要が見込まれる職業なので、一度資格を取得すればこの先安定的に働ける可能性が高いといえます。
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