板金塗装の仕事はきつい?働くメリットや向き・不向き、仕事がきついと感じたときの対処法
この記事で分かること
- 板金塗装の仕事がきついといわれるのは、見習い期間の長さや下請け工場が多いなど、主に6つの要因がある
- 板金塗装の仕事には、好きなことを仕事にできる、手に職をつけられるなどのメリットがある
- 自動車が好きな方、向上意欲がある方などにとって、板金塗装は向いている職業といえる
- 板金塗装の職人として活躍するには、最初はうまくこなせないのがあたり前であると認識し、コツコツと努力を積み重ねることが重要
※この記事は6分30秒で読めます。
「板金塗装の仕事はきついって本当?」
「板金塗装に向いている人の特徴は?」
など、板金塗装の仕事に疑問を持つ方もいるでしょう。
板金塗装の仕事は覚えることが多く、見習い期間も長いため、人によってはきついと感じることもあります。一方、手に職をつけられることや、技術を身につけることで引く手あまたの存在になれるなど、メリットが多い仕事であるのも事実です。
今回は、板金塗装の仕事がきついといわれる理由や、板金塗装として働くメリット、板金塗装が向いている方・向いていない方の特徴などを解説します。この記事を読めば、板金塗装の仕事の良い面と悪い面がよくわかり、仕事探しの参考にできます。
エリアから工場・製造業のお仕事を探す
1.板金塗装の仕事がきついといわれる理由6つ
「板金塗装の仕事はきつい」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。板金塗装の仕事がきついといわれる理由としては、主に以下の6つが挙げられます。
- 見習い期間が長い
- 塗料やシンナーの臭いがきつい
- 塗料がなかなか落ちない
- 覚えることが多い
- 体力が求められる
- 下請け工場が多い
板金塗装の仕事への理解を深めるため、項目ごとに詳しく解説します。
1-1.見習い期間が長い
板金塗装の仕事は見習い期間が長いことから、きついといわれることがあります。
板金塗装で必要な技術はすぐ身につくものではなく、 年単位で仕事を覚えるのが一般的です。正確な技術を習得するにはどうしても見習い期間が長期化してしまい、それが原因で挫折してしまう方も少なくありません。
また、板金塗装は車やモノの美観を取り扱うという仕事の特性上、人によっては仕事の仕上がりが技術だけでなくセンスに左右されることもあります。
一生懸命スキルを身につけたとしても、なかなか思うようなレベルに到達できず、なかにはモチベーションを維持できなくなってしまう方もいます。
1-2.塗料やシンナーの臭いがきつい
板金塗装の職人は、塗料やシンナーの独特の臭いが立ち込める中で作業しなければならないので、臭いに慣れるまでは仕事がきついと感じることがあります。
また、刺激臭が立ち込める中での作業は、短時間では済みません。車の塗装は基本的に複数回おこなう必要があるので、その度に塗料やシンナーを使用しなければならないのです。
長時間強い臭いの中で作業することを、大きなストレスと感じる方もいるでしょう。
1-3.塗料がなかなか落ちない
板金塗装に欠かせない車の塗料は簡単には落ちないので、仕事中に手や服に塗料がついた場合、しばらくの間汚れたままの状態になってしまうことにきつさを感じる方もいます。
また、塗装作業には専用のスプレーガンが用いられます。霧状の塗料を車に吹きつける工程で、自身でも気付かないうちに細かな塗料が身体に付着してしまうことも珍しくありません。
プライベートの時間にも身体についた塗料が気になり、人によっては不快感を覚えるかもしれません。
1-4.覚えることが多い
専門用語や塗料の名称、工程ごとの作業など、板金塗装の仕事は初心者のうちは覚えることが多く、慣れるまではきついと感じる方がいます。
また、板金塗装の仕事の工程は大きく下記の3つに分けられ、それぞれの作業で細かな専門知識やスキルを身につける必要があります。
- 板金作業
- 下地作業
- 塗装作業
職場によっては100種類近い塗料が用意されており、正確な塗装をおこなうために各色の色味の違いを正確に認識するよう求められることもあります。
膨大な知識やスキルを身につけなければならないことが原因で、板金塗装の仕事に後ろ向きな感情を覚える方も少なくありません。
1-5.体力が求められる
板金塗装の仕事は基本的に立ちっぱなしで作業するため、体力が求められます。
作業場によっては空調設備が整っておらず、夏場は過酷な暑さの中で作業しなければならないこともあるでしょう。そのような場合、より体力を激しく消耗してしまいます。
また、作業内容によっては長時間中腰でいる必要があり、腰や足に過度に負担がかかることもあります。
そのような環境下での作業に慣れるまでは、日々の業務での疲労が蓄積されやすく、仕事をきついと感じることもあるでしょう。
1-6.下請け工場が多い
自動車ディーラーなどの下請けとして経営する板金工場で働く職人の中には、給与面に不満を抱えている方もいます。
下請けの仕事は取引先から仲介料が引かれるため、工場が思うような利益を得にくい場合があり、それが従業員の給与にも影響することがあります。
時間をかけて専門的な技術を身につけ、丁寧な作業をしたにも関わらず「仕事と収入が見合っていない」と感じる職人も少なくありません。
このように、給与面に関する不満が原因で、板金塗装の仕事はきついといわれることがあります。
2.板金塗装の仕事の魅力や働くメリット
板金塗装の仕事はきついだけでなく、多くの魅力があります。板金塗装の仕事のメリットは、主に以下の3つです。
- ”好き”を仕事にできる
- 手に職をつけられる
- 引く手あまたの存在になれる
それぞれの内容を解説します。
2-1.”好き”を仕事にできる
板金塗装は自動車を扱う職業のため、車好きの方の場合は、好きなことや趣味の延長線上として楽しみながら仕事をすることができるでしょう。
自分の趣味嗜好を仕事にすることで、日々の業務へのやりがいを感じやすくなる点は、板金塗装の仕事の大きなメリットといえます。
また、自身が好きなことであれば、常に高いモチベーションを維持して仕事に取り組めます。上述したように、板金塗装の仕事は見習い期間が長くなりがちですが、車好きの方であれば、あまり時間をかけずに知識やスキルを習得できるかもしれません。
2-2.手に職をつけられる
板金塗装は、一生ものの専門的なスキルを身につけられる仕事です。手に職をつけることで、一生同職で食べていける可能性があることは、板金塗装の仕事の大きなメリットといえます。
また、どんなにAIやテクノロジーの技術が進化したとしても、人の手作業による車修理の需要がなくなることは考えづらいです。
簡単には真似できない繊細な技術を習得することで、いち職人として長く活躍し続けることができるでしょう。
2-3.引く手あまたの存在になれる
板金塗装の職人は自動車業界からの需要が高く、一度技術を身につければ引く手あまたの存在になれます。
実際に、令和4年度の平均有効求人倍率が1.28倍(※1)であるのに対し、自動車板金塗装の有効求人倍率は5.87倍(※2)であることから、板金塗装は多くの企業からの需要があることがわかります。
さらに近年では若者の車離れが進んでおり、板金塗装は慢性的な人材不足に陥っています。これも影響し、今後板金塗装の職人の需要は一層増していくでしょう。
-
(※1)参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30448.html
-
(※2)参照:厚生労働省「 jobtag 職業情報提供サイト(日本版O-NET)自動車板金塗装」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/558
3.板金塗装の仕事に向いている方の特徴
ここでは、板金塗装の仕事に向いている方の特徴を4つ紹介します。
- 自動車が好き
- 物を直すのが好き
- 向上意欲がある
- 完璧に仕上げることを意識できる
それぞれについて、詳しく解説します。
3-1.自動車が好き
自動車が好きな方は、仕事中に車や二輪車を扱う板金塗装の仕事が向いている可能性が高いです。
板金塗装の仕事では、業務中にさまざまなメーカーの車を目にする機会があり、ときには希少性の高い車を扱うこともあります。自分の好きなものを直接的に扱う仕事に就くことで、労働意欲も上がりやすいでしょう。
「自動車が好き」という気持ちが強ければ強いほど、板金塗装の仕事を楽しめるはずです。
3-2.物を直すのが好き
板金塗装は、傷やへこみのある車を元の状態に戻すのが主たる業務であることから、修理する作業が好きな方に向いている仕事といえるでしょう。
板金作業では、工程を進めるごとに車が本来の姿に戻っていくため、物を直すのが好きな方はやりがいを感じながら楽しく作業を進められる可能性が高いです。
楽しみながら業務に取り組むことで、難しい技術の習得にも前向きに取り組めるでしょう。
3-3.向上意欲がある
板金塗装の技術は年々進化していることから、職人は常に新しい技術やスキルを学び、吸収する姿勢が求められます。そのため、仕事に対して向上意欲のある方は、板金塗装の仕事が向いている可能性が高いです。
また、職人としてスキルアップを図るには、
- 塗装技能士
- 有機溶剤作業主任者
など、業務に活かせる資格を取得することも重要です。
現状に満足せず、常に新たな知識やスキルを身につける意欲のある方であれば、板金塗装の職人として長く活躍できるでしょう。
3-4.完璧に仕上げることを意識できる
一つの物事を完璧に仕上げることを意識できる方は、板金塗装の仕事に向いている傾向があります。
板金塗装では、修理対象の車の状態を細部まで確認しながら作業を進める必要があるため、こまかなところまで意識がおよぶ方であれば、常に完成度の高い仕事を遂行できます。
作業に妥協を許さないことが最終的な仕上がりに影響するため、丁寧な作業ができる方ほど、板金塗装の職人として重宝されるでしょう。
4.板金塗装の仕事に向いていない方の特徴
次に、板金塗装の仕事に向いていない方の特徴を3つ紹介します。
- 細かいことは気にしない
- 勉強するのが嫌い
- そもそも自動車が好きではない
それぞれについて、詳しく解説していきます。
4-1.細かいことは気にしない
板金塗装の仕事は、車の傷のチェックや研磨、塗装前のマスキングなどの繊細な作業が発生します。
あまり細かいことを気にしない方は、小さな傷の見落としやマスキングに隙間が生じるなどのミスをする可能性が高いため、板金塗装の仕事に向いていないかもしれません。
板金塗装の仕事では、少しの抜け漏れがクレームにつながるので、細部までしっかりと仕上げる丁寧さが求められます。
4-2.勉強するのが嫌い
板金塗装の腕を磨くには、工程ごとの技術の習得や、仕事に関連する資格の取得など、自ら学んでいく姿勢が大切です。
そのため、学習意欲があまりない勉強嫌いな方は、仕事の能力が上がりづらく、板金塗装の仕事に向いていない可能性があります。
また、板金塗装の技術は時代とともに進化していくことが多いため、その都度新しい知識やスキルを身につけなければなりません。
継続的に学び続けることにストレスを感じてしまう方は、職人として第一線で活躍することは難しいでしょう。
4-3.そもそも自動車が好きではない
板金塗装は自動車や二輪車を修理する仕事のため、そもそも自動車が好きでない方は仕事の継続が難しいかもしれません。
個人差はありますが、自動車に興味がない方は板金塗装の仕事自体に興味を持ちづらいため、車好きの方よりも職人として成長しづらい傾向にあります。
また、たとえ手先が器用で作業をうまくこなせたとしても、車に興味が持てないことで、仕事に楽しさを見出せない方もいるでしょう。
5.板金塗装の仕事がきついと感じたら
板金塗装は多くの技術や知識を身につける必要があり、仕事に慣れるまでは苦労するものです。仕事がきついと感じたときは、以下の3つのことを意識してみましょう。
- 最初は誰もが初心者
- 先輩の仕事を目で見て盗もう
- コツコツ努力を惜しまない
それぞれについて、詳しく解説します。
5-1.最初は誰もが初心者
板金塗装の高い技術力を持っている先輩や上司も、最初は誰もが初心者からスタートしています。
仕事に慣れるまではきついと感じることもあると思いますが、誰でも最初は失敗がつきものなので、完璧に仕事を進められなくても過度に落ち込む必要はありません。
うまくいかないときは、なぜへこみをきれいに直せないのか、なぜ塗装にムラができるのかなど、「できない原因」を考えることが大事です。一つひとつの作業に向き合いながら試行錯誤を重ねることで、失敗を次に活かせるようになります。
過去の失敗から技術が磨かれることで徐々に任せられる業務が増えていき、仕事にきつさではなく、やりがいを感じられるようになるはずです。
5-2.先輩の仕事を目で見て盗もう
板金塗装の仕事がきついと感じたら、先輩の仕事を目で見て盗み、自身のスキルアップを図ってみましょう。自分の腕を磨くことで、仕事に対してネガティブな感情を抱きにくくなります。
板金の腕に長けている方や、塗装の仕上がりがきれいな方など、先輩職人がどのように作業しているのか観察することで、新たな発見を得られるはずです。
先輩達のさまざまな技術を真似ることで、いずれは自分なりのスタイルを見つけることができ、仕事にも楽しさを見出せるでしょう。
5-3.コツコツ努力を惜しまない
板金塗装の仕事はすぐに身につくものでなく、一人前になるにはコツコツと努力を積み重ねなければなりません。仕事がきついと思ったときも、根気強く学ぶ姿勢を大切にすることで、将来必ず自身の成長を感じられるようになります。
また、仕事に後ろ向きな思いを抱いてしまったときは「将来どのような職人になりたいか」という未来の展望を具体的にイメージすることも重要です。
将来像を思い描くことで、現状の自分に足りていない技術やスキルを明確化でき、職人としての腕を効率的に磨くことができるでしょう。
6.まとめ
板金塗装はきついところもありますが、趣味を仕事にできることや、手に職をつけられるなど、多くのメリットがある魅力的な仕事です。
仕事の魅力や仕事への適性を理解してから板金塗装の求人に応募することで、自分に合った職場で働ける可能性が高まります。そうすることで、 働きはじめてからもやりがいを感じながら働けるでしょう。
JOBPALでは、板金塗装の求人を紹介しています。少しでも気になる求人があれば、ぜひお気軽にご応募・お問い合せください。