工場の仕事内容
更新日:2023年10月20日

化学プラントの仕事とは?主な職種や働くメリット・大変さを解説

化学プラントの仕事とは?主な職種や働くメリット・大変さを解説

※この記事は6分で読めます。

「化学プラントにはどのような仕事がある?」
「化学プラントで働くメリットが知りたい」
など、化学プラントの仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

化学プラントの仕事にはプラントオペレーターや設備エンジニアなどがあり、いずれも石油や天然ガスを精製するのに欠かせません。

今回は、化学プラントの概要や種類、主な職種の仕事内容、働くメリットや大変さなどを解説します。この記事を読めば、化学プラントの仕事のことがよくわかり、自分が働く姿をイメージできるようになります。

1.化学プラントとは?

化学プラントとは、化学製品を生み出す工場施設や装置の総称です。石油や天然ガスなどの原料を「反応」「分離」させることによって化学物質を生産・製品化します。

ひとくちに化学プラントといってもさまざまな種類があり、「化学工場」「ガス精製工場」「石油精製工場」などがあります。

このような化学プラントでは有害な原料を扱うので、たった1つのミスが大事故につながる可能性があります。安全にプラントを稼働させるためには、そこで働くエンジニアやオペレーターの高度なスキルや知識が欠かせません。

2.化学プラントの種類

化学プラントは大きく分けて「化学工場」「ガス精製工場」「石油精製工場」の3つがあります。ここではそれぞれの工場で扱うものや役割についてご紹介します。

2-1.化学工場

化学工場は後述する2種のプラントが扱う「ガス」「石油」以外に、合成樹脂・化学肥料・洗剤・塗料・化学繊維といった化学製品を製造する工場です。

2-2.ガス精製工場

地下から取り出された天然ガスから水や炭酸ガス、砂などの不純物を取り除き、製品としての天然ガスを作り上げる工場のことです。

天然ガスはまず「セパレーター」で水や砂が、次に「炭酸ガス除去設備」で二酸化炭素が取り除かれ、残った水蒸気や油分は「冷凍機」を使って除去されます。

2-3.石油精製工場

石油精製工場は、油田から運ばれてきた原油を蒸留塔という施設でさまざまな石油成分に分ける工場のことです。この石油成分のなかの1つである「ナフサ」が、石油化学製品の原材料として用いられます。

軽油・重油・ナフサなどの石油製品は沸騰が始まる「沸点(ふってん)」が異なります。この違いを利用して原油を加熱して生まれた気体から、それぞれの石油製品に分けていくことができます。

3.化学プラントの主な職種と仕事内容

化学プラントの主な仕事内容としては、「プラントオペレーター」「設備エンジニア」の2つがあります。ここでは、それぞれの職種の仕事内容について解説します。

3-1.プラントオペレーター

プラントオペレーターは、化学プラントの機器を動かして化学製品を作る現場作業員のことです。

  • プラント設備の運転・操作
  • プラント設備の巡回・点検
  • サンプリング
  • 設備に使用する重量物の運搬

オペレーターと名前にあるとおり、化学プラントの設備を操作して化学製品を作り上げるのがプラントオペレーターの仕事です。オペレーター自らが操作することで正確に製品が作れるように調整もおこないます。

オペレーターの仕事は「計器室担当」「屋外担当」にわかれています。中央制御室でさまざまな機械の運転操作をするのが「計器室担当」の仕事で、屋外にある大型装置のパトロールをおこなうのが「屋外担当」の主な仕事です。

製造が順調に進んでいることを確認するために製品の抜き取りチェックする「サンプリング」も作業に含まれます。配属先によっては、ドラム缶やホース類などを運搬する力仕事も必要です。

また、正確かつ安全に化学製品を作るには、現場のオペレーターによる巡回パトロールも必須です。

3-2.設備エンジニア

設備エンジニアは、化学プラントの機器設備を保守して化学プラントを安定的に運営できるようにする仕事です。

  • 日常点検
  • 工事監理

プラント設備は老朽化が進むと故障や事故につながることがあるため、設備エンジニアは日常点検を通じて施設の老朽化などの不具合をチェックします。実際に発生した有事の緊急時は、設備エンジニアが工具を扱ってトラブル解決を目指します。

日常点検から工場運営の課題解決策を提案・実行し、効果を測定します。その結果を検証し、次の計画を策定するというPDCAサイクルで仕事を回します。

また、工事の進行状況やスケジュールの管理といった「工事監理」も設備エンジニアの仕事です。工事の進捗管理に際して、協力会社やメーカーと連携して仕事をすることもあります。

4.化学プラントの平均年収

化学プラントの仕事のうち、プラントオペレーターの年収が厚生労働省の「jobtag」で公表されています。

全国の平均年収は510万4千円で、年齢が高くなるごとに右肩上がりで平均年収が上がっていき、55〜60歳前後で605万6,400円のピークを迎えます。

「令和3年分 民間給与実態統計調査」によれば日本人の平均的な年間給与額は443万円であり、プラントオペレーターの年収は平均よりも高いことがわかります。

5.化学プラントで働くメリット

化学プラントは24時間常に稼働しており、夜勤で働くことも多いです。慣れるまでは大変に感じることもありますが、金銭面ではさまざまなメリットを得られます。ここでは化学プラントで働くことで得られる3つのメリットをご紹介します。

5-1.交代手当などがつく

化学プラントは常に設備が稼働しているため、そこで働くオペレーターやエンジニアも交代勤務をおこないます。

2交代・3交代勤務をすると夜勤手当や交代勤務手当といった手当が基本給にプラスされ、日勤のみの仕事と比べて高い給料を得ることができます。

5-2.休暇制度が充実している

2交代や3交代の仕事は、昼勤・準夜勤・夜勤を交代しながら働くというシフト制の仕事です。夜勤後に昼勤が入る場合には、夜勤明けを入れて2日の休みがあります。このように比較的休みを取りやすいのがメリットのひとつです。

また、大手工場なら福利厚生や休暇制度が充実しており、有給休暇も含めて年間休日110日以上の企業も珍しくありません。

1ヵ月以上前にシフトが決まるという点に慣れてしまえば、計画的にしっかり休めるでしょう。

5-3.大きなやりがいを感じられる

化学プラントは「化学工場」をはじめ、「ガス精製工場」「石油精製工場」といったいくつかの種類があり、いずれも我々の日常生活に欠かせない化学製品を作る仕事です。

機械を操作して化学製品を作り上げるプラントオペレーターも、設備を管理して安全な運営をサポートする設備エンジニアも、人々の生活を守るという大きなやりがいを感じられます。

6.化学プラントで働く大変さ

「給与が高い」「比較的休みやすい」「やりがいがある」などのメリットがある化学プラントの仕事ですが、以下のような大変さ・デメリットがあることも覚えておきましょう。

6-1.力作業が必要なこともある

化学プラントでの仕事では、一部の仕事で力仕事を要求されることがあります。

特にプラントオペレーターの場合は、ホースや機材を配属先まで運搬するような仕事が発生するため、体力に自信がない方は慣れるまでに時間がかかるかもしれません。

6-2.交代制に慣れるまでがつらい

化学プラントは24時間稼働するという性質上、プラントオペレーターも設備エンジニアも2交代・3交代制で働くことになるケースが大半です。

夜勤に慣れないうちは夜勤明けに深く眠ることができず、睡眠不足や体調不良になる方もいます。慣れれば問題なく働ける方もいますが、どうしても夜勤が体質に合わない方もいるでしょう。

長期にわたって2交代・3交代で働くことができるかは、応募前にじっくり考えておきましょう。

7.化学プラントで働くのに役立つ資格

化学プラントで働くために必須の資格はありませんが、これから紹介するような資格を取得しておくと転職活動で評価されることがあります。

7-1.危険物取扱者

危険物取扱者は、消防法で定められたガソリンをはじめとした危険物を取り扱うのに必要な国家資格です。「甲種」「乙種」「丙種」の3種類にわかれており、上位資格である甲種は1〜6類まですべての危険物を扱えるようになります。

ガス精製工場や石油精製工場をはじめ、火気に関連する成分を扱う化学プラントでは取得しておくと業務に役立つでしょう。

ただし、甲種の受験には、一定の学歴や「乙種」を取得後2年間の実務経験が必要といった条件があります。まずは丙種や乙種から取得し、条件を満たしてから甲種の取得を狙うのがおすすめです。

以下の記事では、危険物取扱者についてより詳しく解説しています。

7-2.毒物劇物取扱責任者

毒物劇物取扱責任者は、化学製品を含む毒物や劇物を取り扱うための資格です。

化学プラントなど毒物・劇物を扱う企業では毒物劇物取扱者を設置する必要があり、資格を取得しておくことで化学プラントへの転職で有利に働くことが考えられます。

7-3.高圧ガス製造保安責任者

ガススタンドや高圧ガスを取り扱う工場の取扱資格です。

「甲種(化学・機械)のほか、「乙種(化学・機械)」「丙種化学(液化石油ガス・特別試験科目)」、そして「冷凍機械責任者((第一種・第二種・第三種)の9種類があります。

なかでも甲種の化学・機械の分野の難易度が高く、取得しておくことで新卒や転職市場で高い評価を得られるでしょう。

7-3.エネルギー管理士

エネルギー管理士は工場の省エネに貢献できる資格です。「製造業」「ガス供給業」「熱供給業」などに該当する企業では、一定規模の工場でエネルギー管理士の設置が義務づけられています。

規模が大きなプラントへの就職・転職をしたい方は、取得しておくことで採用試験での評価が高まるでしょう。

以下の記事では、エネルギー管理士についてより詳しく解説しています。

8.未経験でも化学プラントで働ける?

化学プラントには、工業高校卒や高専卒、また大学などで理学、工学系を専攻した方が新卒で入社するケースが多いようですが、社会人から未経験で入社できるパターンもあります。

jobtagによれば入職前の実務経験について「特に必要ない」と答えている企業が43.6%もあります。実務経験なしで働けるため、他業種・他職種からの転職も十分に可能です。

JOBPALでは化学プラントを含む企業の求人情報を取り扱っています。気になる方は、以下のリンクから面談応募をしてみてください。気軽な転職相談を受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください。

9.まとめ

化学プラントではガスや石油など、我々の日常生活に欠かせないものを精製するのが仕事です。

2交代や3交代であることや、力仕事が含まれる点に不安を覚えることもあるかもしれません。しかし、化学プラントの仕事では、平均以上の年収や休みやすさなど、安定した働き方をしたい方にとって魅力的な待遇を得られます。

JOBPALでは化学プラントをはじめ、製造工場関連の求人を用意しています。化学プラントに興味があれば、以下のリンクから求人を探してみてはいかがでしょうか。

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