パワー半導体とは？主な種類や機能、今後の需要予測
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「パワー半導体ってなに？」
「パワー半導体製造工場で働くメリットが知りたい」
など、パワー半導体に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
パワー半導体とは、高電圧・大電流に耐えられる半導体で、スマートフォンや家電などに必須の部品です。
今回は、パワー半導体の概要、パワー半導体が利用されるもの、パワー半導体の主な機能などを解説します。この記事を読めば、パワー半導体のことがよくわかり、パワー半導体製造工場で働くメリットが理解できます。
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1.パワー半導体とは？
パワー半導体とは、主に電力を制御するはたらきをする半導体です。高い電圧や大きな電流を流すことができ、電流の流れを一方向にととのえる「整流」、少ない電流で大きな電流・高い電圧をコントロールする「増幅」「スイッチング」をおこなえます。
半導体のなかでも、主に電源（パワー）装置に使われ、パワーデバイスと呼ばれることもあります。
1-1.普通の半導体との違い
CPUやメモリなど、いわゆる普通の半導体は低電力・低電圧で使用し、データを四則演算したり記録したりする役割を担います。一般的な大きさは一辺の長さが数センチ程度の正方形で、手のひらに乗るサイズです。
対して、パワー半導体は電圧や電流を制御したりする役割を担い、主に電力をコントロールする目的に使用されます。小ぶりなものから大きなものまで、サイズはさまざまです。
以下の記事では、半導体についてより詳しく解説しています。
2.パワー半導体は何に使われる？
パワー半導体は、家電やスマートフォンなど身近なものから発電所まで、さまざまな場所で使用されています。どのような場所でどのように利用されているのか、詳しく解説します。
2-1.家電
パワー半導体は、家電製品の電力制御に使われています。スマートフォンやテレビ、エアコンなど、あらゆる家電に使用されています。
コンセントから供給される100V、200Vの交流電流を直流に変えたり、電圧を変換・増幅させたりして、家電内の部品に適切な電流・電圧が流れるよう調整します。
2-2.電気自動車（EV）
電気を燃料として動く電気自動車（EV）のモータードライブやバッテリー制御に、パワー半導体が使用されています。バッテリーから流れる直流電流をパワー半導体で交流電流に変換し、モーターに流すことで、自動車の加速・減速を滑らかにコントロールします。
また、減速時にはモーターから回収したエネルギー電力をパワー半導体で交流から直流に変換、バッテリーに戻すことで、燃費向上にも貢献します。
2-3.ハイブリッドカー（HV）
電気とガソリンなど、2種類の動力源を使用するハイブリッドカー（HV）は、エンジンとモーターを組み合わせて走行します。
モーター使用時の電力はEV同様、パワー半導体によって制御される仕組みです。交流・直流の切り替えや電流・電圧の制御をおこない、走行性能を高めたり燃費向上に貢献したりします。
2-4.新幹線
新幹線は、架線から高電圧の電流を流し、モーターを動かしています。
パワー半導体は、架線から流れてきた約2万ボルト超の高電圧を直流に変換してから、さらに三相交流に変換してモーターに流すなど、新幹線のモーター駆動に欠かせない部品です。
2-5.5G（第5世代移動通信システム）
次世代の通信規格、5Gの基地局や受信機にもパワー半導体が使用されています。送信機や受信機の電圧制御・増幅器として使用され、高速データ通信を実現するために重要な役割を果たしています。
近年では、さらなる機能性を求め、新素材SiC（炭化ケイ素）やGaN（窒化ガリウム）製のパワー半導体の開発競争が激しさを増しています。
2-6.太陽光発電（パワーコンディショナー）
家庭用やオフィス用としても普及が進む太陽光発電では、太陽光パネルで発生した電気を家庭用電源に流すために整流したり、電気の流れを切り替えて効率的に発電したりするために、パワー半導体が使用されています。
3.パワー半導体の主な機能
パワー半導体の主な機能は以下の4つです。
- コンバーター
- インバーター
- 周波数変換
- レギュレーター
それぞれの機能について詳しく解説します。
3-1.コンバーター
コンバーターとは、電力を変換するための機能です。交流（AC）から直流（DC）へ変換するため、順変換装置とも呼ばれます。家電製品など直流電源で動く製品に使用されています。
インバーター装置にはコンバーター機能を持つパワー半導体が含まれることが多く、コンバーターで直流に直した電流をインバーターで調整する使い方が一般的です。
3-2.インバーター
インバーターは、直流（DC）を交流（AC）に変換する機能です。逆変換装置とも呼ばれています。主に太陽光発電や電気自動車のモータードライブなどに使用されています。
パワー半導体を使用したインバーターは直流電力を高周波の交流電力に変換するため、効率的に電力を供給する役割を果たします。電力量の調整もできるので、省エネ効果の高い家電製品にも使用されています。
3-3.周波数変換
交流電源は、電圧の向きが一定間隔で変わります。1秒間のうちに電圧の向きが変わる回数は周波数として計測され、50Hzや60Hzなどと表示されます。
電力供給網の周波数が異なる場合や、特定の周波数が必要な機器に対して、パワー半導体を使用した周波数変換装置が使用されます。
3-4.レギュレーター
レギュレーターとは、電力の安定化や制御をおこなう機能です。直流電流に高電圧をかけることでノイズを低減させ、出力電圧を制御します。
スマートフォンや通信機器、パソコンのICチップなどに使用されています。
4.パワー半導体の主な種類
パワー半導体は以下の3種類に分けることができます。
- ダイオード
- トランジスタ
- IC（集積回路）
それぞれの役割について解説します。
4-1.ダイオード
ダイオードは、電気を一方向にしか通さない特性を持った半導体です。整流や電圧の制御をおこない、電子回路に過度な電圧・電流が流れないよう保護する役割などに使用されます。
ダイオードは、一般的にスイッチングには使用されません。しかし、ダイオードの一種であるサイリスタはスイッチングに適したパワー半導体です。
サイリスタはダイオードと似た構造ですが、ゲート端子を有するためスイッチングができ、大電流に耐えられる特性があります。鉄道車両やヒーターのスイッチングに使用されています。
4-2.トランジスタ
トランジスタは、電子信号を増幅させたりスイッチングをおこなったりする機能を持ったパワー半導体です。電流や電圧を制御するために使用されます。
大電流に強いバイポーラトランジスタ、高速スイッチングが可能なMOSFET（金属酸化物半導体効果トランジスタ）、大電流に耐えられ、ある程度高速スイッチングが可能なIGBT（絶縁ゲートバイポーラトランジスタ）の3種類が主流です。
スマートフォンやパソコン、オーディオ機器など、身近な家電から産業機械まで、さまざまな製品に使用されています。
4-3.IC （集積回路）
IC（Integrated Circuit＝集積回路）は、複数のトランジスタや他の電子回路などが半導体上に集積された電子部品です。
身近なところでは、電子マネーやキャッシュカードなどのICカードに搭載されているほか、スマートフォンやコンピュータなどの電子機器で広く使用されています。電源の制御だけでなく、記録や四則演算などもできる部品です。
5.パワー半導体の今後の需要
パワー半導体は、今後ますます需要が高まると予想されています。
例えば、次世代通信規格5Gが普及すれば基地局・受信機の消費電力が増えるため、大きな電力をより少ない電力で制御できるパワー半導体がますます必要となるでしょう。
また、EVやHVが普及すれば、高性能なパワー半導体の需要もさらに増えると考えられます。
そうした時代に備え、今よりさらに高電圧・大電流に耐えられ、高速スイッチング・低損失などの特性を持つ「次世代パワー半導体」の普及が期待されています。
これまでパワー半導体で主流だったシリコン素材に変わり、シリコンカーバイド（SiC）やガリウムニトリド（GaN）などの新しい材料を用いたパワー半導体が開発されており、さらなる効率化が期待されています。
こうした状況をふまえると、パワー半導体の需要拡大に対応するため、半導体製造の仕事の需要も高まると予想できます。
6.まとめ
パワー半導体は、私たちの生活を支えてくれる大切な部品です。パワー半導体がなければ他の製品づくりにも支障がでてしまうため、パワー半導体の製造はとても重要な仕事です。
今後も需要が高まることが予想されるため、仕事が減る心配もないと考えられます。
パワー半導体は精密機器ですので、製造工場はきれいで過ごしやすい職場です。JOBPALでも、半導体製造工場の求人を掲載しています。パワー半導体に興味を持った方は、ぜひ求人情報をチェックしてみてください。
