「地味な作業服」は、もう古い!?作業服ファッションをリードする寅壱の作業服の魅力って?
- # 製造
現場で働く職人たちの努力と技術が染み付いた、「作業服」。それは、飾り気もなくいつも汚れていて、働く男たちの“無骨”で“地味”なユニフォーム……だったのは、もう昔の話。実は今、現場の人々が身につける作業服のファッションに注目が集まっています。
今回は、数ある作業服のブランドの中でも特にファッショナブルな作業服を展開している株式会社寅壱の宮本さんと内藤さんに、作業服の魅力についてお話を伺いました。
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色味のなかったとび職の服から、作業服のイメージを変えていく
――そもそも、寅壱さんが作業服を扱うようになったきっかけはなんだったのでしょうか?
もともと寅壱の本社がある岡山県倉敷市の児島は繊維の町だったんです。町全体で服作りが盛んで、学生服やジーンズを作る会社があるなか、寅壱では他の会社が扱っていない服を売ったらいいんじゃないかと思い、作業服を作り始めました。(宮本さん)
――そこでどのような作業服を作られたのでしょうか?
「作業服」と一口に言っても、いろいろな種類があるのですが、たとえばとび職の作業服は、グレーなど、地味な色のものばかりだったんですよ。昔は「仕事用の服だから、贅沢は言わない」と、作業服にファッション性を求める人はいませんでした。
しかし、着ている人にもそれぞれの好みがあるはずで、みんな一緒ではつまらない。そこで、作業服をもっと魅力的にして、「シンプルで個性がない」というイメージを変えようとしたんです。(宮本さん)
――実際に、デザインではどのような工夫をしているのでしょうか?
作業服は、いくらカッコいいものを作っても、「動きやすさ」と「安全性」が備わっていなければ意味がありません。ポケットの位置やサイズ、そこに手が入れやすいか、かがんだときにものが落ちないか、通気性は悪くないか、などを注意しつつデザインします。見てくれの良さだけで考えると、結果として使いにくい作業着になってしまうんですよ。
その一方で、着てくれる職人さんは必ずしも機能性だけで作業着を選んでいるわけではないので、このバランスはとても難しい。(宮本さん)
以前、軍服や警察の特殊部隊の服などをイメージしつつ、作業服をデザインしたことがありました。そういったデザインが好きな職人さんもいると思いましたし、どちらも「機能性重視」という点で共通していると思っての判断だったのですが、このデザインにはなかなか苦労しました。
作業服では「身だしなみ」も重要です。人によっては好まないデザインもありますし、軍服を見て「怖い」と思う人もいらっしゃるので、街中で第三者に見られても違和感のないようなもので無いといけないんです。このデザインはリリースまで少しデザインを練るのに時間がかかりましたが、今では寅壱のラインナップとして、主に建築関係のお客さんに着てもらっています。(内藤さん)
――それでは、寅壱さんではどういった作業服デザインを現在提案しているのでしょうか?
一般的なアパレルメーカーと同じで、作業服も細身のものが人気を集めています。世代交代で若い人が作業服を着ることが多くなっているので、細身のもののほうが職人さんの体型にぴったり合うんです。
作業服のデザインも一般カジュアルからヒントを得て、ストリートテイストを取り入れた服を提案しています。ストリートテイストは、多くの人から親しまれているのももちろんなのですが、服の持っている実用性や機能性など、作業服との共通点がたくさんありました。
現在、アパレルメーカーは服を作るだけでなく、カルチャーとの関わり合いの中でファッションを提案していく方向へトレンドが移行しています。その中で、ファッション以外のカルチャーとも繋がりがあるストリートテイストは、SNSなどメディアで発信したり、ミュージシャンとコラボレーションしたりと、ファッションを通したスタイルの提案やカルチャーを発信していくため、とても相性が良かったんです。(内藤さん)
作業服は、カジュアルファッションのトレンドを先取りする!?
――その他に、流行のテイストをどのように作業服へ取り入れているのでしょうか?
面白いのが、作業服って仕事着としての使いやすさを追求していくうちに、気づかずファッショントレンドを先取りしてしまうことがあるんですよ。最近ですとカジュアルブランドでショート丈のジャケットが人気ですが、実は作業服の世界では流行が来るもっと前から存在していました。
現場では安全帯という帯を腰に巻くのですが、上着の丈が長いと工具が取りにくくなってしまうんですよ。それで現場の職人は以前から丈の短い上着を着ていたのですが、「では短い丈の上着なら、どうすればカッコよく着こなせるんだろう?」と考えた結果だったんですね。(宮本さん)
――現在、人気を集めている商品について教えてください。
高機能なストレッチ素材を利用した、「蛇腹プリーツ作業服」でしょうか。
バイクスーツにヒントを得た高機能ウエアで、ヒジやヒザに伸縮性に富んだ「蛇腹プリーツ」という、介護用コルセットや弾性ストッキングの素材を使用しています。そもそもこういった生地を作業服で使ったことがなく、デザインではとても苦労しました。職人さんに機械やバイクが好きな人も多いので、今では常に入荷待ちの人気商品ですよ。(内藤さん)
「仕事用の服」から、愛着の持てる「いつでも着ていたい服」へ
――そんな中で、寅壱さんからデイリーユースの作業服ブランド「TORA」が発表されました。新ブランドではこれからどんなスタイルを発信していく予定なのでしょうか?
TORAでは、ストリートファッションの要素をふんだんに取り入れて、よりカジュアルな目線で攻めて行く予定です。スポーツやストリートのテイストを参考にしながら、新しく、魅力的な作業服を提案していきます。作業服をよく着ている人はもちろん、普段は作業服を着ない人にも興味を持ってもらいたいですね。寅壱の作業服を着て仕事する人を見て、「この作業服が着たいから、現場の仕事がしたい!」と思ってもらえたら嬉しいです。(宮本さん)
――これから、若い人にどんな気持ちで寅壱の作業服を着てもらいたいですか?
昔は作業服というと仕事専用で、仕事が終わればすぐに脱いでしまう人が多かった。寅壱では、そうではなくて、一番の身近な服として着つぶしてほしいですね。そして気に入っていただければ、ぜひ次の一着も寅壱の作業着を選んでくれると、とても嬉しいです。(内藤さん)
まとめ
寅壱のファッショナブルな作業服が生まれた背景には、「若い人に楽しんで仕事してもらいたい」というブランドの想いがあったんですね。寅壱では、男性向けはもちろん、女性向けの作業服もラインナップされています。スタイリッシュかつ洗練された機能を持つ作業服の数々、あなたも着てみたくなりませんか?
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取材協力:株式会社 寅壱 営業部 宮本さん、内藤さん
寅壱ホームページ:http://www.toraichi.com/
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