富士重工業はなぜSUBARU(スバル)に社名変更したのか?100年目の決意とは。
スバルといえば、レガシィやインプレッサ、フォレスターといった名車で世界的に知られる自動車メーカー。独自の技術力や安全性能では評価も高く、人気の高さから日本でも海外でも新車は数ヵ月待ちという状況です。
スバルの名前は世界中で知られています。ところが、実は「株式会社SUBARU」が誕生したのは2017年4月のこと。それまでの社名は「富士重工業株式会社」といいました。
なぜ、社名を変更したのでしょうか?そこには、社長の強い「危機感」があったといわれています。
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富士重工業とスバルって別の会社ですよね?
富士重工業はもともと、航空機用のエンジン製造を目的に「飛行機研究所」という名前で1917年に設立されました。100年の歴史がある会社です。
1954年、純国産技術の乗用車「スバルP-1」を発売し、その後「スバル」は富士重工の乗用車部門を指す名前となりました。
しかし、富士重工業という会社では現在も軽飛行機や旅客機の開発をはじめ、ロボットや航空宇宙、エコロジーといった分野でも活躍しています。そのため、「機械を開発する富士重工業と、自動車のスバルは別の会社だ」と認識している人も多かったようです。
では、この会社名に対する「認知度の低さ」を吉永社長は不安視したのでしょうか?
いいえ。違います。
スバルの社長が抱いた危機感の源は…売れすぎているから?
スバルの自動車は世界各地に輸出されています。アメリカ(北米)では「SUBARU」というと、大型の高級乗用車フォレスターやレガシィが有名で、2016年には約60万台が売れました。しかし、アメリカで最も売れている日本車はトヨタ(約260万台)、次にホンダ・日産(ともに約160万台)と続きます。
それでは、こうした「販売台数の差」に危機感を抱いたのでしょうか?
いえ。それも違います。
そもそも、吉永社長は「数を目指さない」と明言しています。そして、SUBARUの強みを以下のように説明しています。
「われわれが“普通のクルマ”をつくったら、スバルがスバルでなくなります。アウトバックやフォレスターなど、個性的でお客さまにとって使い勝手のいいクルマを、考えて考えて考え抜いて提供する。だからこそスバルが好きな人は圧倒的に支持してくださる。それが私たちの生きる道です。」(雑誌「経済界」2017年4月18日号より)
スバルの自動車には、運転支援の「アイサイト」やポルシェのエンジンと同じ「水平対向エンジン」など独自技術が搭載され、それらが熱狂的なファン「スバリスト」をはじめとする支持層を広げてきたという歴史があります。スバルの歴史は、飛行機の開発を行ってきた時代から脈々と受け継がれる、「ものづくり」へのこだわりでもあるのです。こだわりから生まれた技術が、他社とは違う価値として認められ、成長してきた会社…つまり、「SUBARU」は成長の象徴です。
スバルの吉永社長は、“車が売れすぎていること”に危機感を抱いていました。
販売店では、数ヵ月待ちの状況が続いています。「新しい技術を磨かなくても売れるんじゃないか?」
そうした空気が広がり、「ものづくり」へのこだわりが薄れることに危機感を抱き、創業から100年の節目に、成長の象徴である「SUBARU」を社名としたのです。
前述のとおり、自動車の「SUBARU」には運転支援の「アイサイト」などの独自技術が搭載されています。これは安全や安心にとどまらないSUBARUが体現する「付加価値」です。
これまで富士重工が大事にしてきた「安全」や「安心」だけじゃなく「価値」も追及するという姿勢を打ち出したい。そのために、これまで富士重工の中でそのリード役を担ってきた「SUBARU」を、逆に航空事業の方にも冠する。そうすることで、組織や製品全体で付加価値を追求する。それが「SUBARU」への社名変更の意義なのかもしれません。
まとめ
スバル以外にも、パナソニックや富士フィルム、SONYなど多くの日本企業が海外進出や市場の変化にあわせて社名を変更してきました。社名を変えることは、世界で覚えてもらいやすい名前にするというものが大きな理由です。
しかし、それ以上に「自分たちは変わるんだ」という強い意思表明でもあります。創業100年目のSUBARUは、社名変更によって「スバルの価値を磨く」という決意を込め直したのです。自動運転車の登場が秒読み段階の21世紀に、今後スバルがどのような価値あるクルマを開発するのか…楽しみに見守りたいところですね。
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