ガムテープがまるでアート作品に!警備員が生み出したガムテープ文字「修悦体」とは
- # 技術
ポスターなどの文字を見ると、同じ「あ」でも、筆で書いたような字やかわいい丸文字など、字のスタイルはいろいろです。
これは「フォント」や「書体」と呼ばれ、「ゴシック体」や「明朝体」などさまざまな種類があります。
そんなフォントの中に「修悦体」と呼ばれるものがあります。
「修悦」とは、このフォントの作者・佐藤修悦(さとう
しゅうえつ)さんの名前なのですが、なんと駅の警備員の経験があります。
どうして警備員がフォントを作ったのでしょう?そこには面白いストーリーがあるのです。
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巨大な駅に掲げられた案内板。その「文字」がみるみる話題に!
「修悦体」は2004年ごろに誕生して有名になりました。
きっかけは、東京にあるJR新宿駅に掲げられた案内板です。
新宿駅といえば、「世界一のターミナル駅」と言われるほど利用者の多いマンモス駅。常に人が多く、工事などで普段の通路が使えなくなると、混乱が起きてしまいがちな場所です。
そこで、通路を探して迷っているお客さんを誘導する人が必要でした。実は、佐藤修悦(さとう
しゅうえつ)さんはその一人だったのです。
警備会社のスタッフとして誘導をしていた佐藤さんは、何人もの人に道を聞かれ、大変な思いをしていました。何より、迷路のような巨大な新宿駅の通路を「言葉」だけで説明するのは大変なこと。
そこで、彼は自作で案内板を作ります。実はこのとき、修悦体が誕生したのです!
佐藤さんは、通路を示す矢印とともに、少し丸みを帯びた独特のフォントで「東口」などの文字を書きました。しかもこの文字は、ガムテープで作ったというから驚きです。
看板の文字をよくよく見てみると、ガムテープを切り貼りした様子が分かります。
その案内板が掲示されて少したつと、この妙に印象に残る「不思議な文字」を見た人々がネットに写真などを掲載。すぐに話題になります。
ポイントは、ユニークな形ながら、何と書いてあるか見た瞬間に分かること。デザインとして面白いだけでなく、案内の文字として優れていたことも話題の理由でした。
不思議なデザインの修悦体。独特の丸みを生み出す技ありアイデアとは?
本当なら、警備員が勝手に案内板を作ってはいけません。
しかし、JR新宿駅の職員は「これはいい」と、佐藤さんに案内板作成の継続をお願いしたそうです。
修悦体はその後も話題となり、佐藤さんが同じく東京の日暮里駅の工事現場に移った際も、案内板を作成します。
さらに、あまりに有名になったことから、なんと修悦体に関する本、『ガムテープで文字を書こう』(著・佐藤修悦、世界文化社)も出版。
警備員の佐藤さんが、一気に「文字のデザイナー」として有名になったのでした。
それにしても、面白いのは修悦体の作り方です。先述したように、文字はガムテープで作っていましたが、一体どうするのでしょう。
実際に、佐藤さんの著書である「ガムテープで文字を書こう!―話題の新書体「修悦体」をマスターして」をオススメします!
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著者:佐藤 修悦(さとう しゅうえつ)
出版社:世界文化社
まとめ
都内を中心にじわじわと知られつつある修悦体。
今もどこかの駅で見つけられるかもしれませんので、ぜひ駅の案内板をチェックしてみてくださいね。
佐藤さんの、ちょっとしたひらめきで世の中に愛され、必要とされるものを発明した人物といえます。
どんな人でも、わずかな努力で人の生活を便利にできる。
修悦体はそんなモノづくりのアイデアと夢が詰まった文字だといえそうです。
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