草刈機まさお？一発ギャグのような名前の農機で年商50億を稼ぐ筑水キャニコム・包行均の生きざま

製品カタログには、「ピンクレディ」「安全湿地帯」「代表取締役社長芝耕作」といったダジャレのオンパレード。

いったい何を売っている会社なんだ？と、製品名からはまるで見当がつきませんが、実は果樹園などで使われる農業用機器メーカー・筑水（ちくすい）キャニコムの製品です。

福岡県の田舎で、自称「なんでも三流」だった会社を一代で年商50億円の業界トップに育て上げた包行均（かねゆき
ひとし）会長。そのユニークなものづくりへの取り組み方を学んでみましょう。

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売上も、人も、強みとなる商品もない。ないない尽くしの会社で最初に取り組んだのは…？

福岡市から車で約1時間の小さな町に本社を置く筑水キャニコム。従業員数約250人という中小企業ながら「九州の超元気企業」に数えられ、世界42か国と取引する年商約50億円のグローバル企業として注目を集めています。

2代目となる包行会長は、父親から筑水農機（筑水キャニコムの前身）を承継しました。事業を引き継いだ当時は、人材を育てようにも若者は都会に出て行ってしまい、売上は常に苦しい…「なんでも三流の会社だった」と、包行会長は振り返ります。

しかし、包行会長は「三菱重工に乗り込んで『人をくれ』と頼み、人材を派遣してもらう」「新年の交流会で大企業の社長と親しくなり、海外の拠点を紹介してもらう」「大学のキャンパスで直接大学生をスカウトする」といった破天荒な行動力で、筑水キャニコムを成長させていきます。

また、大手農業機械メーカーとの競合するトラクターなどの分野には進出せず、誰も手がけないような農業機械を開発し続けたのも、筑水キャニコムの強みとなりました。

「草刈機まさお」で大ブレイク！

筑水キャニコムの製品には、非常にユニークな名前が付けられています。

日刊工業新聞社の「読者が選ぶネーミング大賞」では、ビジネス部門で11年連続受賞。「悪ふざけが過ぎる」と、販売店に叱られることもあるそうですが、「特徴を一発で覚えてもらう」ことを目的に、包行会長が独断で名前をつけているのです。

そして「ゴーカートにのって草刈りができたら楽しいだろうな」というアイデアを元に開発した草刈り機に「草刈機まさお」とネーミングしたところ、これが大ブレイク。もちろん名前の由来は俳優の草刈正雄さんですが、名前をそのまま使うわけにもいかないので、「草刈り機まさお」を商品名にしたそうです。

ただし、単に草刈正雄さんの名前をパロディにしただけではありません。開発した草刈り機の切れ味があまりに鋭いことから、「これならどんな草でも真っ青になる」から「まさお」という名前を思いつき、そこから草刈正雄さんの名前を連想したのです。

農機の性能をわかりやすく伝え、さらにおもしろさを加えた名前だったことがブレイクの要因だったのでしょう。ダジャレや名前が奇抜なだけでは、決してロングセラー商品は生み出せません。

お客さんの声を録画して社員みんなで聞くことがヒット商品を生む

筑水キャニコム成長の秘密は、包行会長のユニークな手腕やネーミングだけによるものではありません。

破天荒な言動が目立つ包行会長ですが、その一方で営業マンにビデオカメラを持たせ、お客さんの感想を聞く様子を撮影。

録画した感想は、商品開発の参考や社員のやる気を上げるため、多くの社員に見てもらうそうです。

お客さんが「こんな機能があったらいいのに…」と不満を言うまで徹底的に話を聞き、その不満を新しい農機開発のヒントとしているのです。

まとめ

大企業に乗り込んでいく行動力や、一発ギャグのような覚えやすいネーミングなど、地方の中小企業が注目を集めるには、これくらい大胆なことをやらなくてはいけないのかもしれません。

しかし、その背景にはお客さんの話をしっかりと聞き、真面目に製品開発に取り組む姿勢があることも忘れてはいけません。

田舎でも、マイナーな商品でも、ものづくりにこだわれば成功できる。包行会長の生きざまには、同じものづくりにこだわる人間を勇気づけるヒントが多く隠されていますね。

今回のように、モノづくりの魅力に共感した人は、機会の組立てを仕事としている人がたくさんいらっしゃいます。

あなたも、私たちの生活を支えている装置や機会の商品作りを仕事として考えてみてはいかがでしょうか？

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