タイミングベルトを取り替えろ!自動車の8割に使われる椿本チエインが世界一になった理由
自動車の「タイミングベルト」を知っていますか?
2000年以前に生産された自動車やオートバイのエンジンで使用され、バルブの開閉やイグニッション(点火)を行う、バッテリーやエンジンオイルと同じくらい欠かせない消耗部品のひとつです。
なので、20代で知ってる人はちょっとした車ヲタと言えるかもしれません。
タイミングベルトで特にやっかいなのが、「10万kmを越えるとゴムのベルトが切れるので、必ず交換すること!」という点。もし切れてしまうと、エンジンのオーバーホールが必要になることもあるのです。高級車フェラーリの場合、その修理だけで100~200万円の費用がかかることから「タイミングベルト切れの恐怖」という言葉まで存在したようです。
そのタイミングベルトを世界中のエンジンから駆逐してしまった日本のものづくり企業があります。
産業用チェーンの世界トップメーカー「椿本(つばきもと)チエイン」です。しかし、一時は「タイミングチェーン暗黒時代」と呼ばれ、存続も危ぶまれた時期があったのでした。
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タイミングベルトとは?
自動車を動かす上では、なくてはならない部品です。それがタイミングベルトと呼ばれる部品です。車検の時に「そろそろタイミングベルトを交換する方が良いですね」と言われたことはないでしょうか?
そのタイミングベルトについて、知らない人が多いかと思います。
タイミングベルトという名前の通り、この部品がどこかのタイミングを取っていることは読んで字のごとく理解は出来るでしょう。
車のエンジンで説明すると、車のエンジンは、ガソリンを燃焼させるために、常にキレイな空気を必要としています。そのキレイな空気を取り込んで、その空気で燃焼し汚れた空気をマフラーで外へ流します。その汚れた空気を排出するタイミングがおかしくなると、不完全燃焼を起こしエンジントラブルの原因になります。エンジンが止まったりする原因になります。
そのエンジンのタイミングを調整しているのがタイミングベルトになります。
時代を先読み!チェーンとベルトの開発で世界一のメーカーへ
椿本チェインの創業者・椿本説三のチャレンジスピリットは、「他に追従しない、自分の道は自分で拓く」です。
1960年代にトヨタのカローラなど大衆車が登場すると、日本ではマイカーブームが到来します。当時、自動車のエンジンは「タイミングチェーン」が標準。椿本チェインも工場を拡大し、増産を続けていました。
しかし、創業者である説三のチャレンジスピリットを受け継いだ自動車部門は、時代の変化を先読みしてタイミングベルトの開発を進めます。高機能のゴム開発によって軽量化を進め、タイミングチェーンの全盛期にタイミングベルトの量産体制を構築したのです。
1980年代に入ると、自動車のエンジンはゴム製の「タイミングベルト」が一般的になります。時代を先読みしていた椿本チェインは、タイミングベルトでも大きな売上を確保します。
しかし、自動車部門はその状態に甘えません。「チェーン屋の意地を見せてやろうじゃないか!」と、再度タイミングチェーンの開発を進めるのです。何千という試作を繰り返し、椿本チェインは静かで小型のタイミングチェーン開発に成功します。タイミングベルトでは10年だった耐久性が、タイミングチェーンは30年と3倍になりました。
1987年には日産やGMの車に採用され、今では、国産車の78%に椿本チエイン製のタイムミングチェーンが採用されます。
椿本チェインは、タイミングチェーンとタイミングベルトの2回の転換点を先読みし、好調な売上に甘んじることなくチャレンジする姿勢によって、世界シェア1位となったのです。
棒状のチェーンが土台を押し上げる!?概念をひっくり返すものづくり開発
1917年の創業から100年、椿本チエインの挑戦はチェーンだけにとどまりません。
銀行ATMの内部に使われる極細チェーンから、製鉄所で高温の鉄を運ぶ巨大チェーンまで、椿本チエインが製造するチェーンは2万種類にも及びます。
普段、目にすることはないのですが、身のまわりのあらゆるものに椿本チェインのチェーンが使われているのです。
まとめ
日本の産業とものづくりは、椿本チエインのチェーンがなければ成り立たなかったかもしれません。
そんな、日本の製造業を支えている同社の現会長
長氏は、「高品質な商品を作れば売れる、はもう古い」といいます。新たなものを作り出し、新市場を開拓する創業者・椿本説三の精神は、これからも進化し続けていくことでしょう。
自動車や、銀行ATMの内部に使われる極細チェーンまで、椿本チエインが製造するチェーンの、もの作りに関することが理解出来たと思います。
タイミングベルトは自動車以外にも、ATM、改札、プリンタなどにも使われており、私たちの目には見えない日々の生活に大きく貢献しています。
このように、ものづくりの根底を支え、私たちの暮らしを豊かにしてくれる製造メーカーの仕事に興味を持たれた方もいらっしゃるでしょう。
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