CADオペレーターとは?仕事内容や平均年収、向いている方の特徴を解説
※この記事は6分30秒で読めます。
「CADオペレーターってどのような仕事?」
「CADオペレーターで働くメリットが知りたい」
など、CADオペレーターに関して疑問を持っている方もいるでしょう。
CADオペレーターは、正確な図面を作成するスキルを持った人材のことで、建築業や製造業など幅広い業界で活躍できるチャンスがあります。
今回は、CADオペレーターの概要、似た職種との違い、仕事内容、平均年収などを解説します。この記事を読めば、CADオペレーターのことがよくわかり、転職活動の参考にできるようになります。
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1.CADオペレーターとは?
CADオペレーターは、CAD(Computer Aided Design(=コンピュータ支援設計))を使って製図をおこなう方です。企業によっては「CAD技術者」と呼ばれることもあります。
ある1つの業種だけで使われるのではなく、さまざまな業界で活躍している職種です。建築業界や製造業、インテリア業界など、幅広い業界でCADは用いられています。
専門性の高い仕事ではありますが、CADオペレーターは需要の割になり手が不足しているともいわれており、未経験者でも就職することは十分に可能です。
1-1.そもそもCADとは?
CADオペレーターが駆使するCAD(Computer Aided Design(=コンピュータ支援設計)は、ものづくりに必要な作図をするシステムのことです。
かつては技術者が手書きをしていた図面起こしの仕事がCADによって可能になったことで、手書きでは実現が難しいものでもCADにより正確な作図が可能になりました。
平面図を作成する『2D CAD』、3次元の立体図を描く『3D CAD』があり、各分野で専用CADソフトが使われます。2D CADは、立体の形状を2次元(平面)の作図で使われるツールで、正面・平面・側面の3図面からなる「第三角法」が使われる点が特徴です。
3D CADは2次元の設計図を3D化するツールです。モデルを立体的に表現することで、建造物や製品の完成形を容易に想像できるメリットがあります。
1-2.CADオペレーターと間違われやすい職種
CADオペレーターと混同されやすい職種として、デザイナー、イラストレーターがあります。
ここではCADオペレーターと上記2つの職種との違いを紹介します。
1-2-1.デザイナーとの違い
デザイナーは、建築物や工業製品の設計・製図について、企画から設計を担当する役割のことです。
顧客だけでなく、自社の上層部や商品企画部といった別部署とデザインを決め、おおまかなCADモデルを作成します。
デザイナーが作成した大まかなCADモデルと指示に従って、細部まで図面を作り込むのがCADオペレーターの役割です。
1-2-2.イラストレーターとの違い
イラストレーターは、プロジェクトの詳細や完成予想図を正確に描写する方のことです。顧客、所有者にデザインのアイデアを伝える役割があります。
一方で、CADオペレーターはデザイナーからの指示を2Dや3Dで製図する点で異なります。
2.CADオペレーターの仕事内容
CADが使われる業界は1つではなく、建築設計、土木設計、機械設計など多岐にわたります。それだけCADオペレーターの活躍の場所も多いです。
ここではCADオペレーターの業界ごとの仕事内容や、活躍できる職場について解説します。
2-1.建築設計の現場
CADオペレーターが活躍する職場として、建築設計会社・デザイン事務所があります。建築設計の現場では、建築士がデザインと設計をおこない、その指示どおりにCADオペレーターが建築・土木系CADを使って製図をおこないます。
最近はCADを扱う建築士も多くいるため、実務としては「デザイン設計や大まかな製図までを建築士が進める」「図面の編集や修正といった細かなポイントをCADオペレーターがおこなう」というのが一般的です。
建築図面は建築基準法や消防法の決まりを守った設計が必要であり、大枠は建築士が作ってくれるとはいっても、CADオペレーターも最低限の知識を持つことが望ましいです。
2-2.土木設計の現場
土木業界では、道路・橋梁(きょうりょう)、河川といったインフラ関連の製図にCADオペレーターが携わります。CADオペレーターの仕事はCADデータのトレース、図面の編集・修正などの業務がメインです。
CADオペレーターの製図が活躍する代表的な現場は以下のとおりです。
- 道路工事
- 橋梁工事
- 河川工事
- ダム工事
- トンネル工事 など
2-3.機械設計の現場
家電や産業機械を製造するメーカーでも、CADオペレーターは活躍できます。機械設計の現場で働くCADオペレーターは「メカニカルオペレーター」とも呼ばれており、機械設計の製図に特化した仕事をします。
部品データを3Dで作成したあとに画面上で組み上げ、部品同士の位置関係に問題がなければ2Dデータ作成に移行します。
3.CADオペレーターの平均年収
厚生労働省の「jobtag」によれば、CADオペレーターの平均年収は461万8千円です。年齢別に見れば20代から緩やかに上昇していき、50〜54歳くらいでピークの576万7,100円になります。
年齢を重ねて技術を磨けば、CADオペレーターの平均を大きく超えた年収を得ることも可能です。
また、実際のハローワーク求人の賃金平均は25万3千円でした。
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参照:jobtag|CADオペレーター
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/25 -
参照:国税庁|令和3年分 民間給与実態統計調査
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2021.htm
一方、「令和3年分 民間給与実態統計調査」によれば日本人の平均的な年間給与額は443万円です。CADオペレーターの年収は平均よりも高いことがわかります。
4.CADオペレーターのやりがい
CADオペレーターとして働くことには、以下のようなやりがいがあります。
4-1.ものづくりの現場で活躍できる
CADオペレーターのやりがいは、ものづくりに携われるところにあります。CADオペレーターが作った図面をもとに完成品である建造物や機械部品が完成したときに、ものづくりに携われた喜びを感じられるでしょう。
デザイナーが書き起こしたおしゃれな建築物も、製図が完成しないかぎり製品にはなりません。縁の下の力持ちとしてものづくりに携わりたい方は、CADオペレーターに向いています。
4-2.スキルや経験が評価につながりやすい
CADオペレーターは技術系の仕事に分類され、スキルや経験が直接評価につながります。デザイナーの指示に合わせた正確な図面をスピーディに製図をする能力が身につけば、高評価されて待遇アップも期待できます。
自分の能力で高収入を狙いたい方にとって、CADオペレーターはやりがいのある仕事です。
4-3.手に職をつけられる
CADは特定の業界で使われる技術ではなく、スキルが身につけば多種多様な業界で製図の仕事につくことができます。
製造業、建築、土木、電気、自動車、宝飾、インテリアデザインなど、製図を必要とする多くの業界で活躍できるでしょう。
技術を身につけて手に職をつければ、今の会社で高評価を得るだけでなく、転職市場でも高い評価を得られるでしょう。
4-4.人の役に立てる
CADオペレーターが作成した図面をもとに工業製品や建築物が作られ、完成した製品や建築物は他の誰かが使うことになります。
自分が製図をしたものが他の誰かの役に立つことに喜びを感じられることは、CADオペレーターのやりがいといえるでしょう。
5.CADオペレーターの大変さ
手に職をつけて幅広い現場で活躍できるCADオペレーターですが、一方で大変に感じることもあります。やりがいだけではなく、これから紹介する大変さも把握したうえで、応募するかどうかを決めましょう。
5-1.業務量が多い
CADオペレーターが活躍する職場は製造機械・建築・土木など多岐にわたります。企業によって差はありますが、どの業界も一般的には業務量が多いとされる仕事です。
CADオペレーターの仕事は、CADによる製図、製図データの修正・変更、製図データの管理といった幅広い仕事を担当することから、どうしても業務量が多くなります。
とはいえ、スキルが向上することや慣れで効率的に仕事を回すことができるようになるでしょう。
5-2.デスクワークが多い
CADオペレーターの仕事はデスクワークであり、1日の大半を机に座って仕事をする点が特徴です。長時間にわたってイスに座って仕事をすることは、意外と体力を必要とします。
また、つねにパソコンを使って細かな図面を製作するため、目を酷使することによる視力低下も考えられます。
ただ、これらは労働者の工夫で軽減することが可能です。
目の負担を軽減するブルーライトカットのメガネを使う、円座クッションで腰への負担を和らげる、時間ごとに立ち上がってストレッチをするなど、業務に支障が出ない範囲で体への負担を減らす工夫をすれば、働きやすい環境を作れる可能性が高まります。
5-3.時期によっては残業が多くなる
CADオペレーターは顧客への納期を厳守する必要があり、納期を守って納品するために長時間の残業をすることもあるでしょう。
繁忙期かつ納期が重なると、残業時間が長くなってしまうかもしれません。
ただし、これに関してはCADオペレーターに限った話ではなく、企業によって残業時間は異なります。働き方改革によって労働時間の短縮が進んでいることもあり、一定の休みは確保できる企業が多いでしょう。
労働時間を一定以下で抑えたい場合は、正社員以外に契約社員や派遣社員として働くといったように、雇用形態を選ぶことも検討しましょう。
6.CADオペレーターに向いている方の特徴
CADオペレーターはパソコンを使った座り仕事が多くなり、技術もどんどん進歩することから向き・不向きがあります。ここではCADオペレーターとして向いている方の特徴を紹介します。
6-1.パソコン作業やデスクワークが好き
CADオペレーターの仕事は、大半がパソコンを使ったデスクワークです。デザイナーや上司との打ち合わせも最近はオンライン化が進んでいるため、事務所にいながら完結できることもあります。
1日中座って仕事をすることが苦痛に感じる方はCADオペレーターには向いていないでしょう。
逆に、パソコンを使って1日中デスクワークをすることに抵抗がない方、パソコンで仕事をすることが好きな方は、CADオペレーターに向いています。
6-2.学び続ける意欲がある
CADに関する技術は日進月歩であり、CADオペレーターはどんどん登場する新しい技術を常に勉強し続ける必要があります。
普段から学ぶ意欲がある方や勉強が好きな方、CADの最新技術を身につけたい方は、CADオペレーターに向いているでしょう。
最新の技術を身につけることができれば、より多くの顧客の要望に答えることができるようになり、CADオペレーターとしてのキャリアアップにもつながります。
6-3.集中力に自信がある
CADオペレーターは製図をすることが主な仕事ですが、製図のために使える時間には限りがあります。限られた時間内で成果物を作ることが求められ、いかに高い集中力を持って業務を進めるかという能力が求められます。
なかでも製造業や建築業は、ミリ単位のズレがクレームにつながる世界です。図面を完成までもっていくには、高いスキルとそれを発揮し続ける集中力が必要です。そのため、集中力に自信のある方はCADオペレーターに向いている可能性があります。
7.CADオペレーターに役立つスキルや資格
前提として、CADオペレーターとして働くのに特別な学歴や資格は必要ありません。しかし、事前に取得しておくことでCADオペレーターとして役立つ資格やスキルはあります。入社までに、これから紹介する資格・スキルを取得しておくと良いでしょう。
ここでは、入社後の仕事の理解をスムーズにできる、CADオペレーターにおすすめの資格をご紹介します。
7-1.基本のパソコンスキル
CADオペレーターとして仕事をするには、基本的なパソコンスキルを持ち合わせているほうが良いとされます。
製図はCADソフトでおこないますが、データの管理や顧客、上司とのやりとりはパソコンを使っておこなわれるためです。
Word、Excel、メールソフトなど、仕事に関して必要性が高いパソコンスキルを身につけておくと、効率的に業務を進めることができるでしょう。
7-2.CAD利用技術者試験
一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する、CADの技術力に関する資格です。
2次元は1級・2級・基礎、3次元は1級・準1級・2級と等級分けされており、各分野5割以上、および総合7割以上なら合格です(2次元の基礎のみ「総合7割以上」)。
CADの代表的な資格としての知名度もあります。2級以下なら受験資格もないため、CADオペレーターとして働き始めた方の腕試しに利用すると良いでしょう。
2級以上を取得できれば、転職活動でもCADオペレーターとして高い評価を得られます。
ただ、準1級・1級は2級合格者のみが受験でき、筆記試験に加えてモデリング、アッセンブリという実技試験も追加されます。準1級以上を取得できればCADオペレーターの管理者を目指せますが、相応の難易度があります。
7-3.建築CAD検定
「一般社団法人 全国建築CAD連盟」が主催する、建築CADに特化した検定試験です。
等級は准1級・2級・3級・4級の4段階であり、一般の方は3級から上の試験を受けることができます(4級は高校の団体受験のみ)。上位の資格を取得できればトレース技術があることの証明となり、特に建築業界への就職・転職で有利になります。
試験は製図やトレースに関する実技試験であり、3級では参考図をもとに完成図を時間内に作成する、2級なら時間内に建築一般図を2面作成するといったように、実務経験とCADの高いスキルが求められます。
8.CADオペレーターの将来性
多岐にわたる業界で需要があるCADオペレーターですが、少子化・理系離れなどの原因によってCADオペレーターは常に不足しているとされています。
現状では多くの企業でCADオペレーターの採用確保に力をいれており、スキルと経験、資格が揃えば転職市場で高い評価を得られるでしょう。
CADオペレーターの将来性については「将来的にAIにとって代わられるのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし実際のところ、AIに代替できる仕事は現時点で「正確に図面化する」という部分のみに限られます。複雑な機械部品や建築物に関してはAIではカバーできず、人間の力が求められます。
より高度な3次元CADを学び、AIに負けない技術を身につけることができれば将来まで安定して仕事を得ることができるでしょう。
9.まとめ
CADオペレーターは需要の大きさに反して人材不足の状態であるとされており、手に職をつけたい方の転職先としておすすめできる仕事です。
CAD利用者技術試験や建築CAD検定など、転職を狙っている業界に関係する資格を取得すれば転職の成功率もさらに上がるでしょう。
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