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更新日:2024年06月06日

土木技術者とは?主な仕事内容ややりがい、向いている人の特徴や将来性を解説

土木技術者とは?主な仕事内容ややりがい、向いている人の特徴や将来性を解説

※この記事は6分30秒で読めます。

「土木技術者ってどんな仕事?」
「土木技術者として働くメリットを知りたい」
など、土木技術者に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

土木技術者とは、道路や鉄道など人々の生活に欠かせないインフラ工事に関わる存在であり、国土の保全に直接関われるなどの魅力があります。

今回は、土木技術者の仕事内容ややりがい、大変さ、土木技術者になるための資格やスキル、向いている人の特徴や将来性などを解説します。この記事を読めば土木技術者のことがよくわかり、仕事探しの参考にできます。

1.土木技術者とは?

土木技術者は、建設業のなかでも「土木」の分野で働く技術者のことです。現場工事の計画や、建設技能を活かした工程管理などを主におこないます。

土木技術はもっとも古い技術ともいわれており、「道を作る」「川に橋をかける」「農業のための灌漑(かんがい※人の手で農地に水を供給すること)をおこなう」など、街や村を発展させるための工事に土木技術が用いられています。

さらに現在では鉄道やダム、トンネル、上下水道などのインフラを作るのにも土木技術が用いられています。社会で人々が利便性を高められる基盤を作るためには、今も昔も土木技術が欠かせません。

土木技術はインフラ整備に欠かせない仕事のため、建設業はもちろん、コンサルタント業、官公庁、各研究開発機関などの土木部門、電力、ガス、不動産など、さまざまな業界で活躍することが可能です。

2.土木技術者の仕事内容

土木技術者の仕事内容は、主に以下の2つに分かれています。

  • 調査・計画・設計に携わる「設計分野」
  • 工事現場で作業の指揮・監督・管理に携わる「施工分野」

ここからは、道路工事を例に、土木技術者の具体的な仕事内容の一例をご紹介します。

2-1.調査~道路設計

道路を作る際は、まず設計分野の仕事として、「調査」「計画」「道路設計」の3つを進めることになります。

  • 調査:工事をする道路現場の交通状況を調査し、将来の交通量の推計をおこないます。
  • 計画:調査の結果を踏まえ対象地域の土地利用や環境保全計画などの関連性も考慮し、道路整備計画の立案をおこないます。
  • 道路設計:調査と計画の結果をもとにしておこなう作業です。道路概略設計(※1)や道路詳細設計(※2)などの段階を経て、道路工事の発注に必要な図面や設計書を完成させます。また、地形図や各路線との比較表の作成も求められます。

(※1)比較検討をして大まかな構造を決める設計のこと。

(※2)概略設計で決まった大枠に沿い、ものとして成立するように詳細を詰める設計のこと。

2-2.施工管理

施工分野の仕事として代表的なものが、施工管理です。実際の工事では施工計画をもとに、施工管理、安全管理、品質管理、工程管理など、工事の管理もおこないます。

建設工事を受注した業者は、工事全体に関わる施工計画を発注者に伝え、それに基づいて施工管理をおこないます。

施工管理者は工事全体の流れを把握し、作業責任者に適切な指示を出す必要がある他、使用する機材や機械の手配、納期管理もあわせておこないます。

2-3.維持・修繕

社会にとって必要不可欠なインフラである道路や橋、ダムなどは、一度建設されたあとは何十年と人々の生活を支えることになります。

これらの重要な建築物が劣化し利用に支障が起きないように、維持や修繕をおこなうことも土木技術者の重要な仕事です。

日本の社会基盤は高度経済成長期に整備されたものが多く、新設工事から50年以上が経過しているインフラも少なくありません。老朽化対策の修繕は特別な技能がないと携われない難しさもあり、土木技術者の手腕が問われます。

3.土木技術者の仕事のやりがいや魅力

土木技術者のやりがいには、主に以下の3点が挙げられます。

  • 災害時の緊急対応などの国土保全に携われる
  • 経済発展における根幹部分の仕事ができる
  • 人々が安心して暮らせる街づくりに携われる

それぞれ解説します。

3-1.災害時の緊急対応などの国土保全に携われる

土木技術者は道路や橋、ダムといった社会になくてはならないインフラを作ったり、整備したりする仕事です。

建設や老朽化にともなう整備だけでなく、災害から人々を守るための整備や保全も重要な仕事です。万が一の災害で道路が寸断されたり橋が崩落したりしたときなどは、緊急時の応急対策を施します。

仕事を通じて人々の命を守ることにつながり、やりがいを感じるでしょう。

3-2.経済発展における根幹部分の仕事ができる

道路や鉄道、空港などのインフラは、日本の経済発展になくてはならない重要な土台です。

土木技術者が作った道路や橋などがないと運輸業が機能せず、日本経済に大打撃となると考えられます。日本経済を下支えしているのは、土木技術者といっても過言ではありません。

また、新しいインフラを作るだけでなく、老朽化対策として、あるいは災害時のバックアップ拠点としての整備をおこなうこともあります。災害が起きたときも、普段から整備していることによって復旧がスムーズに進むことが期待できます。

産業基盤そのものであるインフラ整備に携われるのは、土木技術者の大きなやりがいの一つです。

3-3.人々が安心して暮らせる街づくりに携われる

土木技術者になれば、人々が安全に暮らせるような道路や橋などのインフラ整備に携わることができます。

また今後は高齢化がさらに進むことから、ただインフラを作ったり整備したりするだけでなく、高齢者が安心して暮らせるようなインフラ作りも求められます。

人々の生活の支えになる仕事ができることで、大きなやりがいにつながるでしょう。

4.土木技術者の仕事の大変さ

土木技術者はインフラという社会の根幹部分を作れたり、人々が安心して過ごせる街づくりに携われたりといった、大きなやりがいがあります。

一方、以下のような大変さもあります。

  • 体力勝負になる
  • 書類作成が多い
  • 関連会社との調整が大変
  • 人間関係で悩むこともある
  • 転勤の可能性もある

それぞれ解説します。

4-1.体力勝負になる

土木技術者はデスクワークではないため、基本的に外で仕事をすることになります。現場で動き回って作業をするだけでなく、夏の暑さや冬の寒さにも耐えなければなりません。

土木技術者として長く働くなら、暑さや寒さに耐えながら外で仕事が続けられる体力づくりが求められるでしょう。

4-2.書類作成が多い

特に公共工事の場合は、自治体への申請など、作成するべき書類が多いです。

現場仕事がメインとはいえ書類作成などの事務作業がないというわけではなく、パソコン操作やデスクワークが苦手な方は大変だと感じるかもしれません。

4-3.関連会社との調整が大変

土木工事は1社だけでおこなうのではなく、さまざまな協力会社とスケジュールを確認しながら工事の調整をすることになります。

施工管理などの工程では調整のための打ち合わせが多くなり、納期調整や資材の再発注などの追加作業も必要です。納期によっては打ち合わせや調整の連続で残業が続く場合もあり、気力や体力が求められます。

4-4.人間関係で悩むこともある

土木技術者は土木工事に関する専門知識だけではなく、他社の担当者と円滑にコミュニケーションを取る能力も求められます。

工事現場では自分と上司、同僚、部下や後輩だけでなく、発注者・元請け・協力会社の担当者も参加しています。施工管理を担当している場合は特に、多方面に気を遣い、コミュニケーションを取りながら進捗を管理する必要があります。

人間関係が良いかどうかは協力する会社によって異なるため、現場によってはうまくコミュニケーションが取れなくてストレスを感じることもあるかもしれません。

4-5.転勤の可能性もある

インフラの工事は全国でおこなわれるため、所属する企業によっては全国転勤の可能性もあります。特に上場企業など大手の土木業者で働く場合は、遠方への転勤も視野にいれてライフプランを組む必要があります。

同じ事業所の滞在期間は工事ごとに変わり、1年で異動になることもあれば異動までに数年以上かかることもあります。引越しするだけでなく、1から人間関係を作ることも必要です。すでに結婚している場合は、単身赴任になる可能性もあるでしょう。

5.土木技術者の働き方の特徴

土木技術者が働く場所は、河川・港・道路・鉄道・橋梁(きょうりょう)・上下水道など全国の工事現場です。

アルバイトや派遣社員ではなく、正社員や契約社員として雇用される傾向にあります。

勤務時間などの労働条件は、担当する現場の工期や周辺環境によっても異なります。例えば道路や鉄道など交通の要所の工事は、交通量が少ない夜間におこなわれることが一般的です。

昼間に働く現場もあることから労働時間は不規則になりがちで、場合によっては遠方の工事に携わるために長期間の出張も考えられます。なお、月の労働時間は平均168時間です。

休日は原則として週休2日制の交代勤務制が導入されていることが多く、出勤日を周囲の技術者と調整しながら決めることになるでしょう。

6.土木技術者に向いている人の特徴

土木技術者に向いているのは、以下のような特徴を持つ方です。

6-1.円滑なコミュニケーションが取れる

現場を担当する場合、現場の職人や施工主への連絡や説明はもちろん、場合によっては周辺住民に説明や説得をすることもあります。

そのため土木工事に関する技術があるだけでなく、円滑にコミュニケーションを取れる能力を持った方が土木技術者に向いています。

6-2.集中力がある

土木技術の仕事のなかで、設計担当者など細かい作業が続く仕事も少なくありません。

細かい仕事を続けるには集中力が必要であり、普段から一つのことに集中できる方は土木技術者に向いている可能性があります。

6-3.体力に自信がある

土木工事は基本的に外での仕事になり、仕事をこなすには体力が必要になります。普段から筋トレや各種スポーツをしていて体力に自信がある方や体を動かすことが好きな方なら、土木技術者に向いているでしょう。

6-4.日本全国・海外でも働いてみたい

土木技術者が活躍できるフィールドは日本国内だけではありません。技術力の高さを認められれば海外の工事を受注できる可能性もあります。

日本国外を含めて、さまざまな場所で仕事をしてみたい方には、土木技術者が向いているでしょう。

7.土木技術者になるには?

ここからは、土木技術者として働くための手順や流れについて解説します。

7-1.土木技術者に必要な資格

土木技術者として働くのに特別な免許や資格は必要ありません。土木技術者を募集している建設業者などの求人に応募し内定を得れば、土木技術者としてのキャリアをスタートさせられます。

ただ、土木技術者として働くうえで知識や技術を証明できる資格を持つことは、転職するうえで大きな強みです。土木技術に関する資格を取得していると、採用試験で有利に働くでしょう。

土木技術者の採用試験で有利になる資格の名称や内容についてまとめました。

7-1-1.土木学会認定土木技術者資格制度

土木学会が認定している資格です。2級・1級。上級・特別上級の4つのレベルがあり、技術者としての高い信頼とキャリアアップにつながります。

土木技術者としてのスキルレベルを土木学会が保証してくれることで、国内外の土木工事に携われる可能性があります。

7-1-2.土木施工管理技士

土木施工管理技士は、国家試験に合格することで取得できます。

2級の第一次検定は実務経験などの条件がなく17歳以上なら誰でも受験できるうえ、資格を保持すると主任技術者として認められます。

令和10年度まで選択できる旧受験資格では、1級を受けるために必要な実務経験年数を短縮できるメリットもあるため、将来的に1級を取得する足がかりとして取得しておくと有効です。

7-1-3.技術士・技術士補

技術士は日本の資格のなかでも難易度が高い難関資格の一つで、高度な専門知識を持つ者に与えられる資格です。

試験には、一次試験と二次試験があります。二次試験に合格して登録すると「技術士」、一時試験のみ合格もしくは指定大学においてJABEE認定課程を修了すると「技術士補」と呼ばれます。

建設業界では技術士の評価が高く、国土交通省の地質調査業者に登録できるため、専門性の高い仕事に就くことができます。

また、公共工事の入札に必要な審査で技術士1人につき公共工事評価が5点加点されることがあり、公共工事の受注金額も上がります。技術士を抱える法人にとっても有利な資格といえます。

7-1-4.測量士・測量士補

測量士は、「測量法」に基づいて国土地理院が管轄する国家資格です。

測量業者に配置することが義務であり、測量業者は営業所ごとに測量士または測量士補の有資格者を1名以上置く必要があります。

測量士による測量結果や図面にしたがって開発事業が計画されたり、建造物が設計されたりする土木工事の基礎ともいえる資格です。

測量士は将来的に独立してフリーランスとして働くことも可能で、収入の幅が広がるというメリットもあります。

7-1-5.RCCM(シビル コンサルティング マネージャ)

土木およびコンクリートの専門家としてのスキル・知識を証明する資格です。管理技術者や照査技術者、業務担当者になるために必要な資格とされています。

資格を取得できれば、管理技術者や照査技術者としての知識・技術を持った人材と認められることで、社内でも責任ある仕事を任されやすくなります。

RCCMは建設コンサルタント業界では必須の資格なのに対して技術者が不足しており、取得すれば転職・キャリアアップに有利になります。

7-2.土木技術者に求められるスキル

土木技術者に求められるスキルには、主に以下の3つがあります。

  • 絶対に工事をやり遂げる強い責任感・行動力
  • 工事をスムーズに進めるための計画性
  • チームのメンバーに的確な指示を出す判断力

業務の規模が大きく人々の生活に関わる土木技術者は、大変でも工期のあいだに仕事を完遂させなければいけません。自分が任された案件に責任を持ち、最後までやり切る責任感の強い方が向いています。

また、道路や空港、ダム、公園など公共の空間を作るには、適切な計画を立てたうえでスムーズに業務を完遂させることも必要です。無計画に工事をしていると工期までに終わらせることができず、場合によっては工事が中止になって大損害になる可能性もあります。

さらにチームリーダーになれば、現場の職人や協力企業との連携も不可欠です。一つの現場で数多くの職人が作業をしており、工期や工事の進捗を確認しながら適切な指示を出すコミュニケーション能力が求められます。

7-3.未経験でも土木技術者として働ける?

土木技術者をはじめ、いわゆる現場仕事は人手不足が深刻な業界です。未経験者であっても、働く熱意がある方なら重宝されるでしょう。

実際に求人検索をすると未経験を歓迎する求人も多く、なかには未経験者向けの教育体制が整っている会社もあります。

ただ、企業によって未経験者へのサポート体制や教育体制はさまざまです。資格取得の援助やOJTなど教育体制ができるだけ整っている企業を選べば、未経験で入社しても一人前を目指してスキルアップできるでしょう。

8.土木技術者の将来性は?

土木業界で扱うのは、人々の生活になくてはならない道路や橋、鉄道やダムなどのインフラです。人間が生活する限りなくなることはあり得ません。

近年は環境破壊や災害対策も課題になっており、土木技術者の技術力は必要不可欠です。実際に地震や台風の大規模災害も増えており、緊急対応を求められることも少なくありません。

そうした理由から、土木技術者は将来的にも安定した需要が期待できます。

9.まとめ

土木技術者になるのに特別な資格は必要ありませんが、人々の生活の根幹である道路や鉄道などを作ったり整備したりする重要な仕事です。人々の生活の根幹であるインフラの建設や整備に携われるため、仕事にやりがいを感じたい方にはおすすめです。

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