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更新日:2024年05月29日

保育士になるには?必要な資格やスキル、仕事内容ややりがいを解説

保育士になるには?必要な資格やスキル、仕事内容ややりがいを解説

※この記事は6分30秒で読めます。

「保育士ってどのような仕事?」
「保育士として働くメリットを知りたい」
など、保育士に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

保育士は、保育士の国家資格を持って保育施設などで働く保育の専門家で、毎日の保育の他、保育計画の作成や保護者への助言などをおこないます。

今回は、保育士の概要、魅力・やりがいや大変さ、向いている方の特徴などを解説します。この記事を読めば保育士のことがよくわかり、自分が保育士という仕事を目指すべきかどうか判断できるようになります。

1.保育士とは?

保育士とは、児童福祉法第18条において定められた専門職で、保育の専門知識を持ち、子どもの保育の他、保護者に対する子育ての助言や指導などをおこなう仕事です。かつては「保母」や「保父」とも呼ばれていました。

保育士の職場というと、保育園をまず思い浮かべる方が多いと思います。保育園における保育士は、子ども一人ひとりの発達過程などを踏まえて指導計画をたて、それをもとに保育にあたります。保護者への助言や、他機関との連携などをおこなうこともあります。

保育園の他には、乳児院や児童養護施設、障がい児通所・入所施設、母子生活支援施設など、子どもが関わる幅広い職場で活躍することが可能です。

令和4年版厚生労働白書によると、平成19年から令和2年までの調査期間において、保育士の登録者数は80万人以上増えているにも関わらず、実際に保育士として従事している人数の伸びは約30万人にとどまっていることが分かりました。

保育士として登録していても、実際には働いていないという方も多いという現状があります。

令和4年10月の保育士の有効求人倍率は2.49倍です。これは、ハローワークにおいて保育士の仕事を探している方の数の2.49倍の求人があるということを指します。

保育士の有効求人倍率は令和3年10月と比較すると0.17%下落していますが、令和4年10月の全職種平均の有効求人倍率が1.35倍であることや、平成29年4月以降、常に全職種平均有効求人倍率の上部を推移していることより、保育士を求めている保育施設が多いことがわかります。

2.保育士になるには?

社会的に需要の高い職種でもある保育士。子どもが好きな方なら、保育士を志したいと考える方も多いのではないでしょうか。

ここでは、保育士に必要な資格やスキルを解説します。

2-1.保育士に必要な資格

平成15年11月29日に施行された児童福祉法の一部改正により、保育士として働くためには保育士の国家資格が必須要件となりました。国家資格保有者としての社会的信用をもち、子育て支援のためにより重要な役割を担うことが求められたのです。

保育士の資格を取得するためには、大きく3つの方法があります。

  • 高等学校を卒業したあと、大学・短期大学・専修学校などの保育士養成課程のある学校や施設に入学し、所定の単位を取得して卒業すること
  • 大学や短期大学の通信教育や夜間教育を受け、所定の単位を取得して卒業すること
  • 各都道府県が実施する保育士資格試験に合格すること

高校卒業後にすぐに保育士を志すのであれば①の方法を選ぶことが一番の近道です。社会人になってから保育士になるためには、②か③の方法で保育士資格の取得を目指しましょう。

②であれば、学費や時間はかかりますが、試験を受けずに保育士資格を取得できます。試験にとどまらない保育の知識を学ぶこともできるのがうれしいポイントです。

通信制や夜間の学校に通うことが難しい方は、③を選ぶと良いでしょう。勉強は大変ですが、一発合格できれば、学校に通うよりも資格取得までの時間を短くすることもできます。

ただし、保育士資格試験には受験資格があり、短大や学校教育法に基づいた専門学校を卒業することや、4年制の大学に2年以上在学し、62単位以上習得していることなどが対象となります。

また、実務経験により受験資格を得ることも可能で、中学校卒の方は5年以上、高等学校卒の方は2年以上児童福祉施設に勤務することで受験できます。

2-2.保育士に求められるスキル

保育士資格を持つことで保育士になることは可能ですが、実際に現場で働く際には、一定のスキルが求められます。保育士に求められるスキルを6つご紹介します。

2-2-1.コミュニケーション能力

保育士は常に人と関わる仕事であるため、コミュニケーション能力は必須といえます。

子ども一人ひとりの個性や発達に合わせて、コミュニケーション方法を工夫する必要があります。保育所などで関わる子どもたちは必ずしも健常な子とは限らず、なかには発達の遅れがある子どもや障がいのある子どももいます。

保育士である以上はそういった子どもたちともコミュニケーションをとる必要があり、高いコミュニケーション能力が求められます。

また、複数の保育士で1クラスを担当したり、子どもの様子を同僚や保護者に正確に報告したりする必要もあるため、子どもだけではなく、大人に対しても適切なコミュニケーションが求められます。

2-2-2.観察力

保育士は1人で何人もの子どもを相手にする仕事です。低年齢の場合には1クラスに在籍する子どもの数は少ないですが、年齢が上がると数十人の子どもを1クラスでお預かりすることもあります。

保育士にとってはクラスのなかの1人でも、保護者にとってはたった1人の我が子です。連絡帳やお迎えの際には、今日はどのような活動をしてどのような様子だったのか、万が一事故があった場合にはその原因は何だったのかを詳しく伝える必要があります。

そのためには、クラス全体を見渡す広い視野を持ちながら、一人ひとりの子どもの動きや様子を観察する力が求められるのです。

2-2-3.判断力

状況に応じてとっさの判断をする判断力も、保育士に求められるスキルの一つです。子どもは、大人が想定していない動きをすることがあります。

例えば、大人であれば勢いよくブランコを漕いでいる人の目の前を横切ることはしませんが、子どもの場合はそれを危険だと判断する経験値が低かったり、視野が狭かったりするため、ブランコの目の前を横切ろうとしてしまうことがあります。

そうした場面に遭遇したとき、すぐに危険だと判断し、子どもの身体を止めるなどして危機回避をする判断力は必須のスキルです。

また、喧嘩や発熱、不慮の事故など、さまざまなハプニングが起こりえます。その場その場で対応しなくてはならないことも多いため、すぐに最適な対応をできるような判断力が大切です。

2-2-4.忍耐力

お預かりする子どもの性格はさまざまです。保育士の指示が1回で分かる子どももいれば、何度言っても聞かない子どももいます。しかし、保育士の話を聞かない子どもも、悪意をもって話を聞いていないとは限りません。

他に気になることがある、次の遊びが楽しみで落ち着かないなど、その子なりの理由があるのです。理由を考えずに感情的に怒ってしまったりすると、子どもとの信頼関係が崩れてしまう可能性もあります。

保育士も人間ですから、子どもに対して怒りたい気持ちもあるでしょう。しかし、身体や命の危険につながるような行動でない限りは、怒りたい気持ちをぐっと我慢し、辛抱強く関わる忍耐力を持つことが大切です。

万が一、本当に危険な行動が目の前で起きたときには、大きな声を出して止める必要もあります。その場合は、危険が去ったあとに「なぜ、どのように危険だったのか」「次はどうすれば良いのか」を理性的に話して聞かせるようにしましょう。

2-2-5.包容力

かつては「保母」や「保父」と呼ばれたことからもわかるように、親のような包容力で子ども一人ひとりに対して愛情をそそぐことも保育士の大事な役割です。

特に年齢が低い子は、家を離れて保育施設で長時間過ごすことに不安を感じることもあります。年齢の高い子であっても、本当は家でお父さんやお母さんに甘えたい気持ちを我慢している可能性もあります。

義務教育とは異なり、子どもたちはそれぞれの事情で保育施設にいます。その気持ちを汲み、日々温かい気持ちで子どもたちに接する力が必要になります。

2-2-6.事務処理能力

保育士というと保育現場で働くイメージが強いですが、事務処理能力も求められます。

メインの業務である保育の合間に、連絡帳の記入や計画書の作成、保護者へのおたより作成、子どものデータ管理など、さまざまな業務をおこなう必要があるため、効率良くこなしていかなくてはなりません。

園によっては事務員がいる場合もありますが、保育士でないとできない事務仕事もあるため、基礎的なパソコンスキルが必要となります。最低限のスキルとして、スムーズなタイピング能力やワード・エクセルの知識は身につけておくようにしましょう。

2-3.未経験でも保育士になれる?

結論からいうと、未経験でも保育士になることは可能です。しかし、国家資格が必要な職種なので、すぐになれるというわけではありません。未経験から保育士を目指すために考えられる、2つのパターンをご紹介します。

2-3-1.保育士資格がない場合は資格取得を目指す

大前提として、保育士として働くためには保育士資格が必要なので、まずはその資格取得を目指す方法です。この場合、学校に通うなら学費や通学期間、独学で試験を受ける場合でも勉強のための時間が必要となります。

しかし、保育士資格を持っているということは保育の現場では強い武器になります。たとえ現場経験がなくとも、専門知識をもってこれから経験を積んでいく存在として期待され、保育士として採用してもらえる可能性が高くなります。

2-3-2.保育士補助として働きながら資格取得を目指す

保育現場で働くのは、保育士だけではありません。保育士資格を必要としない「保育補助」という職種があります。

あくまで保育士のサポートという立場での仕事になりますが、保育現場で働くことに変わりはありません。保育現場の経験を積むことができ、座学では勉強できない学びを得ることもできるでしょう。

保育の現場で働きながら資格取得を目指すのは体力的に大変な方もいるかもしれませんが、園によっては通信講座の受講費や国家資格の受験日の補助制度が用意されていることもあります。

どちらの場合も、保育士資格を取得したのち、保育士としての採用試験を受ける必要があります。保育補助としてすでに働いている場合にはそのまま保育士として登用してもらえる場合もありますが、面談などを必要とする場合もあります。

未経験から保育士資格を取得して面接を受ける場合には、保育士という仕事への意欲やコミュニケーション力、チームワークなどをアピールして、採用を目指しましょう。

3.保育士の仕事内容

保育士の仕事は、保護者に代わり子育てを実践することが主な内容です。しかし、単に遊びや身の回りのお世話だけではなく、保育の専門家として質の高い仕事が求められています。

ここでは、保育園における保育士の仕事内容を解説します。

3-1.子どもの受け入れ

保育園に通う子どもの保護者は基本的に仕事をしています。職種によっては出勤時間が早い保護者もいるため、7~8時頃から開園して子どもを預かる園が多いです。

保育士は基本的にシフト制での勤務が多く、朝のシフトに入っている場合には開園時間前に出勤します。

出勤し開園をしたら、子どもの受け入れが始まります。ときには子どもが泣いてしまったり、心配した保護者がなかなか立ち去らなかったりする場合もあるかもしれません。

しかし、保育士が一緒になって心配してはいけません。不安な気持ちを持っていたとしても、保護者が安心して仕事に行けるよう、笑顔で優しい対応をするように心がけましょう。

保育士が落ち着いていることで、子どもも徐々に落ち着くことができます。保護者が心配そうにしていたら、「大丈夫ですから任せてください」と笑顔で送り出すことも大切です。

3-2.年齢や発達にあわせた遊びをする

子どもそれぞれの個性や発達状況により、遊び方が変わってきます。低年齢の子どもは、音や触感を楽しむ感覚遊びを多く取り入れることで、興味の幅を広げ、成長を促すことができます。

年齢が高くなると、できることも徐々に増えていきます。椅子に座って作業ができるようになったら粘土やお絵描きを取り入れる、手先が器用になり集中力を維持できるようになったらハサミを取り入れるなど、発達段階に合ったプログラムを組みましょう。

また、歌や外遊びなどの日常的な遊びや、お遊戯会や芋掘り体験などの行事などを通して、子どもはさまざまなことを吸収していきます。すべてが成長のチャンスと考え、幅広い活動を取り入れましょう。

普段の遊びがマンネリ化していたら、クラスの子の興味や関心に合った新しい遊びを考えるのも仕事の一つです。

3-3.食事や睡眠のサポートをおこなう

子どもたちは保育園で日中のほとんどの時間を過ごすため、遊び、給食、お昼寝、おやつといった生活リズムが保育園で作られます。基本的生活習慣を身につけさせるため、食事や睡眠のリズムが崩れないようにサポートしましょう。

食事の提供は適量の食事をバランスよく、決まったサイクルで食べる習慣を身につけさせます。なかにはたくさん食べたい子や、食が細い子もいるでしょう。それぞれの気持ちや個性に寄り添い、適量とされる範囲内で食事ができるようにサポートします。

また、年齢の低い子には離乳食を食べさせ、月齢が上がってきたらつかみ食べにチャレンジしましょう。0~1歳くらいの子どもにとっては、つかみ食べも触感などを吸収する成長の機会です。さらに大きくなったらスプーン・フォークやお箸の練習もおこないます。

おやつはあくまで「補食」として、楽しく、栄養価のあるものを食べられるように準備します。食事習慣の定着は子どもの成長において重要であるため、食育に力を入れている保育園も多くあります。

昼食後の13~15時頃は午睡(お昼寝)の時間です。年齢が上がると体力がついてなかなか眠れないという子どももいるかもしれませんが、睡眠も食事同様に成長に欠かせないものなので、ゆったりとした気持ちで眠れるような環境を作ってあげましょう。

3-4.子どもの健康状態を見る

子どもの健康状態を見る「視診」は仕事のなかでも特に重要です。子どもの身体の状態を確認し、普段と違うことはないか、変わったことがあった場合にはすぐにその変化に気づけるようにします。

子どもは自分で体調不良を訴えることが難しいため、なんとなくいつもより元気がない、目がとろんとしている気がするなどの違和感を感じたら、すぐに体温を測るなどして対応しましょう。発熱している場合や、発熱はないが体調が悪そうな場合には別室で対応します。

なかには体調不良でも様子が変わらないなど、体調の変化に気づきにくい子もいるでしょう。しかし、普段から子どもと触れ合い関わることで、触ったときの体温などで体調の変化に気付けることがあります。

オムツを変える際には尿や便の状態に異常がないかチェックするなど、平常時の保育も緊急時につながっていることを意識しましょう。

このように子どもの身体の状態を把握しておくことは、病気の発見はもちろん、虐待防止の観点からも重要な仕事になっています。

3-5.保育計画・保育記録をつける

実際に子どもに関わる業務の他に、保育計画や保育記録などの事務作業も保育士の仕事の一つです。

子どもの成長やクラスの状況は毎日変化します。保育記録は毎日必ずつけるようにし、記入に漏れがないようにしましょう。

特に保育記録は、保護者に日中の様子を伝える重要な記録です。毎日の保護者への報告はもちろん、面談の際などにも重要な記録となるため、丁寧に記録しましょう。

また、子どもの成長にともない、その子が目標とすることも変化していきます。保育計画は定期的に見直し、今の状況に合っているかを確認します。子どもたちが成長し、目標を達成できていると感じたときには、新しい保育計画を作成しましょう。

3-6.保護者へのアドバイスをおこなう

保護者にとって、子育ては悩みが尽きないものです。そんな保護者にとって、保育士は子どもの成長を相談できる貴重な存在です。

お迎えや受け入れの際、家で困っていることや不安なことを相談されることもあるかもしれません。保護者の話に耳を傾け、寄り添い、アドバイスをしながら一緒に子どもの成長を見守ることが大切です。

ときには、「お友達を叩いてしまった」「先生に注意されてしまった」など、ネガティブな報告をしなくてはいけないときもあります。園から子どもについてのネガティブな報告があると、落ち込んでしまう保護者もいるかもしれません。

保護者には心配させすぎないようにしつつ、報告漏れがないよう詳しく丁寧に伝えます。

ただ報告するだけではなく、「園では現在どう対応しているのか」「これからどう対応していくのか」もあわせて伝えるなどの配慮をすることで、保護者の気持ちのケアにもつながります。

必要に応じて家庭での接し方などをアドバイスすることも大切ですが、保護者に対するリスペクトを欠かさないようにしましょう。

3-7.相談事業や学童保育をおこなう

地域の子育て支援をおこなっている園の場合は、通常の保育園運営業務のほか、子育てに関する相談事業や学童保育をおこなう場合もあります。

学童保育とは、共働き世帯の小学生の子どもを放課後や長期休み中に預かる施設のことで、自治体によって「学童クラブ」や「放課後キッズクラブ」など、呼び方が異なります。

共働き世帯の増加から、学童保育の需要は年々高まっています。一方で、その需要に対して学童保育の施設数は足りていない状況もあり、学童を利用したいが利用できない、いわゆる待機児童の数は、令和4年には1万5千人を超えました。

今は学童保育を実施していない園でも、これから学童保育事業を始める可能性はあります。学童保育にも保育士が配置されることがあるため、幅広い年齢層の子どもへの対応が求められます。

4.保育士の魅力ややりがい

保育士は需要が高く、社会的に必要とされる職種です。しかし、保育士として働く方は、その魅力ややりがいに惹かれて働いている方が多いようです。

保育士の魅力ややりがいには、以下の3つが挙げられます。

4-1.子どもたちの笑顔が見られる

保育士として働くうえで一番のやりがいは、何といっても子どもたちの笑顔を毎日見られること。保育園で長い時間を過ごす子どもたちは、保育士を慕い思いっきり思い甘えてくれます。

子どもが自分を信頼して見せてくれる笑顔は、何にも代えられない保育士の楽しみでしょう。

ときには疲れていて、仕事に行くのが億劫になってしまう日もあるかもしれません。そんなときでも、自分を待っている子どもたちがいるということは、仕事に前向きに向かう活力になります。

4-2.子どもたちの成長を見届けられる

子どもは大人に比べ、びっくりするほどのスピードで成長します。身体的な成長はもちろん、心も毎日成長していきます。そんな子どもたちの成長を見届けられるのは、保育士にとって大きなやりがいの一つであり、仕事での大きな喜びだともいえます。

子どもたちにとって、保育園は人生で初めて参加する社会です。つまり、そこで出会う大人も、子どもたちにとっては初めての「先生」です。

子どもたちは大人になるまでの間に、小学校や中学校、高校と、それぞれの場所でたくさんの先生に出会いますが、特に成長の早い乳児期や幼児期の子どもの成長を見届けられることは、保育士の特権ともいえるでしょう。

4-3.保護者から感謝される

働きながら小さな子どもを育てていると、毎日が慌ただしく、食事や入浴、睡眠など必要なことをこなすだけで手一杯という保護者の方も多いでしょう。

いろいろな体験をさせてあげたいと思っても、休日には親も疲れてしまい、なかなか遊びに連れて行けないという家庭もあるかもしれません。

そんな保護者にとって、保育園の助けは不可欠です。家族以外の大人やお友達との関わりのなかで社会性を身につけ、幅広い遊びを通して成長を促すというのは、保育園がないと成り立ちません。

そのため、保育士に感謝している保護者も少なくありません。実際に感謝の言葉を伝えてもらえたり、「先生のおかげで○○ができるようになりました!」などの報告をもらえたりしたときは、大きなやりがいを感じられます。

また、保護者へのアドバイスをした際に納得してもらえたり、保護者の悩みが解決したりした場合も達成感を得られるでしょう。

5.保育士の大変さ

保育士は魅力の多い仕事ですが、他の仕事と同様に、大変さを感じることもあります。特に保育士として働くことを考えている方は、その大変さも理解しておきましょう。

ここでは、保育士として働くうえでの大変さを3つご紹介します。

5-1.想像以上に体力を使う

保育士は基本的に動き続ける仕事です。クラス内の把握や園庭遊び、給食や着替え、午睡など、常に立ち回らなくてはなりません。

これだけでも相当な体力を使ううえ、1人の子どもに対してではなく、複数人の子どもに対して気を配らなくてはならないので、気疲れも重なり相当な体力が必要です。家庭で子どもの相手をする以上に体力を使う仕事であるため、そこに大変さを感じる方もいるかもしれません。

5-2.女性が多い傾向がある

保育士は女性が圧倒的に多い職場です。平成30年度に独立行政法人福祉医療機構が実施した「保育人材」に関するアンケート調査の結果によると、保育施設で働く職員の95.8%が女性で、保育施設全体の54.8%が女性職員のみの施設となっています。

そのため、女性に多い人間関係のトラブルがある可能性もあります。また、男性が少ないため、男性で保育士をしている方は疎外感などから働きにくさを感じてしまうかもしれません。

5-3.労働時間が長い傾向がある

保育士はシフト制で働くことが多いですが、職員不足の影響もあり、一人あたりの勤務時間が長くなってしまう傾向もあります。

また、イベントなどで使用する制作物を自宅で仕上げる、いわゆる持ち帰りの仕事がある園もあり、自宅での作業時間を含めると労働時間はさらに長い可能性も否定できません。

労働時間の長さは仕事の大変さに直結します。令和元年5月に公表された東京都保育士実態調査報告書によると、過去に保育士として働いていた方の退職理由のうち、「労働時間が長い」と回答している方は全体の約25%でした。

これは「職場の人間関係」「給料が安い」「仕事量が多い」という回答に次いで4番目に多い回答となっています。

6.保育士の平均給与・待遇・勤務形態

令和4年賃金構造基本統計調査をもとに計算すると、保育士の平均給与は以下のとおりです。

月収 年間賞与等 年収
男女計 27万9,900円 64万5,300円 400万4,100円
男性 28万6,100円 57万5,700円 400万8,900円
女性 27万9,400円 65万4,300円 400万7,100円

保育士は長年、仕事量に対する給与の低さが問題視されていました。その問題を解決するため、政府は保育施設で働く職員の給与の底上げを目的とする処遇改善政策を実施しています。

これにより、全職員に対し2%の処遇改善がおこなわれた他、経験年数や技能により追加の処遇改善金が支払われ、さらに給与が上がった方もいます。

保育士の勤務形態は、シフト制が基本です。「早番」「中番」「遅番」でシフトを分けている場合が多く、早番は開園~午前中、遅番は午後~閉園を担当します。

数は少ないですが、夜間保育をおこなっている施設もあり、そういった施設や児童養護施設などで働く場合には、宿直勤務がある場合もあります。

雇用形態は正社員の他、契約社員、パートやアルバイト、派遣などさまざまです。公立の保育園や施設で働く場合には地方公務員の扱いになります。

7.保育士に向いている人の特徴

保育士の仕事は人によって向き不向きがあります。ここでは、保育士に向いている方の特徴を5つご紹介します。

7-1.子どもが好き

保育士に向いている方の特徴の一つは「子どもが好き」ということです。いうまでもなく、保育士は子どもと関わる仕事です。

子どもが好きな方であれば、優しさをもって子どもと関わることができますし、子どもたちもそれを感じ取って懐いてくれるでしょう。

7-2.体力がある

保育士の大変さでも紹介したとおり、保育士は体力が必要な仕事です。休憩時間も、子どもたちがお昼寝をしている少しの時間だったり、休憩室まで子どもの声が響いてきて休めなかったりすることもあるでしょう。

特に夕方は、大人は仕事に疲れてくるような時間ですが、たっぷりお昼寝したあとの子どもたちは元気があふれています。そのような状況でもなるべく疲れを見せず、元気に子どもたちと関われるような体力がある方は保育士に向いているでしょう。

7-3.音楽が得意

保育園では音楽の時間も多く、リズム遊びやダンス、童謡などを取り入れて音楽感覚などを養います。そのため、ピアノや歌などが得意な方も保育士に向いているかもしれません。

保育士資格の実技試験では音楽の選択も可能なので、この点でも保育士になりやすいといえるでしょう。

音楽を選択せずに保育士資格を取ることも可能ですが、現場に出ると必ず音楽の時間があります。ピアノが苦手だったり、人前で歌えなかったりする方は、保育士の仕事を大変と感じてしまうかもしれません。

7-4.新しいアイディアを考えるのが好き

保育園ではさまざまなイベントや遊びがありますが、いつも同じことを繰り返すわけではありません。子どもたちの成長度合いに合わせて内容を作る必要があります。

その際、新しいアイディアをたくさん出せるかどうかはとても大切な要素となり、子どもたちが経験したことのない新しいプログラムを取り入れることで、保育の質を上げることにもつながります。

企画することやアイディアを考えることが好きな方は、保育士に向いている可能性があります。

7-5.計画性がある

保育士は年間計画や週案など、短期から長期にわたった保育計画をたてる必要があります。そのため、見通しをもった計画性があることは保育士の大事な要素です。

また、保育現場は日々時間に追われていることもあるでしょう。ときにはハプニングが起こることもありますが、決められたプログラムを進めていかなければなりません。

さまざまな状況を想定しながら、心に余裕をもって計画的に動くことができる方は、保育士の仕事に合っているでしょう。

8.まとめ

保育士は仕事内容が多かったり、不規則なシフト制だったりして、大変と感じる方もいるかもしれません。しかし、特に子どもが好きな方にとっては、毎日子どもの笑顔に触れ、成長を近くで見守り手助けすることができる、魅力ある仕事です。

保育士として働くためには国家資格が必要ですが、社会人になっていたとしても、努力次第で資格取得を目指すことは十分可能です。

保育士の仕事に魅力を感じ、自分に向いているかもしれないと思う方は、資格をとって保育士として働くことを目指してみてはいかがでしょうか。

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