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更新日:2024年12月13日

機械系エンジニアとは?やりがいときつさ、主な仕事内容や向き・不向き、将来性を解説

機械系エンジニアとは?やりがいときつさ、主な仕事内容や向き・不向き、将来性を解説

この記事で分かること

  • 機械系エンジニアとは機械を作る技術者のことで、システムを設計するITエンジニアとは異なる
  • 仕事内容は、企画立案や構想設計、基本設計、評価・レビューなど多岐にわたる
  • 機械系エンジニアには将来性があり、チームで達成感を味わえるなどの魅力とやりがいがある
  • 機械系エンジニアは機械をいじるのが好きな人、こまかな作業が得意な人などにおすすめ
  • 機械系エンジニアになるには、機械設計技術者などの資格取得を目指し、その過程で知識を習得する必要がある

※この記事は6分30秒で読めます。

「機械系エンジニアってどのような仕事?」
「機械系エンジニアに向いている人の特徴や将来性を知りたい」
など、機械系エンジニアに関して疑問を持っている人もいるでしょう。

機械系エンジニアは自動車や工場機械、産業用ロボットなどの機械を設計したり製作したりする技術者で、需要が高く将来性がある仕事です。

今回は、機械系エンジニアの仕事内容や向いている人の特徴、魅力とやりがい、向いている人の特徴、必要な資格やスキル・能力などを解説します。記事を読めば機械系エンジニアのことがよくわかり、機械系エンジニアを目指す一歩を踏み出せるでしょう。

1.機械系エンジニアとは?

機械系エンジニアは「メカニカルエンジニア」とも呼ばれており、機械を作る技術者のことです。

製造する機械は工場設備や自動車関連部品、工作機械、産業用ロボット、航空・宇宙機器など多岐にわたります。機械を製作・運用するだけでなく、提案・設計・調達・管理まで、幅広い分野の作業全般を請け負います。

一方、設計以外のさまざまなフェーズで活躍することから、求められる知識レベルや業務量の多い仕事です。エンジニアとはいえ設計以外の仕事もあるため、残業になることもあり、一部からは「やめたほうが良い」という声が上がることもあります。

ただ、新しい機械を自分で作ることができ、自分が設計した機械が世界中で使われるという、他にはない魅力も多くあり、やりがいのある素晴らしい仕事です。

1-1.ITエンジニアとの違い

ITエンジニアは、主にシステムやソフトウェアの開発・設計の部分を担当する技術者のことです。優れたシステムを作ったとしても、そのシステムを搭載する機械がないと活躍する場がありません。

システムを搭載する機械そのものについて設計・開発・運用などをおこなうのが機械系エンジニアです。機械に搭載するシステムやソフトウェアを作るのか、システムやソフトウェアを搭載する機械自体を作るのか、という点で両者の領域は異なります

ITエンジニアについてより詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。

2.機械系エンジニアの主な仕事内容

機械系エンジニアの仕事内容は幅広いですが、大きく分けて以下の6つの仕事があります。

2-1.企画立案

企画立案は、顧客がどのような機械を求めていて、どのような課題に直面しているのか、それらを解決するにはどのような機械を作るかというコンセプトデザインをまとめる段階です。

2-2.構想設計

企画立案で製作する機械の方向性が決まったあとは、機械の構想設計の段階に入ります。

おおまかな機械の形や使用するパーツ、素材、製造のために用いる技術などについて選定し、手書きのデッサンや3DCAD(スリーディーキャド)で作るイメージ図をもとに、機械の形を具体的に表現していきます。

2-3.基本設計

基本設計は、構想設計でイメージした機械の具体的な構造を決定する工程です。

3DCADを利用して設計の細かな製図をおこなうだけでなく、使用部品の寸法や接続部の強度設計という細かな部分も詰めていきます。

構造の設計に加えて、製造にかかる予算や製造に要する時間なども重要な設計項目です。

2-4.評価・レビュー

基本設計が完成して承認されたあと、設計した内容の評価をおこなう工程です。

顧客のニーズを満たす機能性だけでなく、操作性の良さ、安全性・耐久性の高さなど、要件をいかに満たしているかを評価して、問題があれば再度の修正・評価を繰り返します。

2-5.詳細設計

評価・レビューで問題なしと判断されたあと、具体的な図面を書き起こす詳細設計の段階に進みます。基本設計をもとに詳細な構造や部品の寸法、寸法公差、幾何公差など細かい部分まで決定していく工程です。

  • 寸法公差(すんぽうこうさ):製品の品質を保持するのに許容できる寸法の最大値と最小値。サイズ公差や指示公差とも呼ぶ。
  • 幾何公差(きかこうさ):形状や位置関係の許容値

いずれも製品を量産する際の生産精度に影響する項目です。

2-6.生産設計

詳細設計が完了したあと、最終的に採用する図面を作成します。その際は製造で使用する部品や素材、技術を確認し、性能評価試験を実施するためのプロトタイプ(試作品)の製造に入ります。

プロトタイプが性能評価試験の基準を満たせば合格であり、量産体制に入ります。

3.機械系エンジニアの魅力ややりがい

機械系エンジニアにはさまざまな魅力があり、やりがいを感じられる仕事です。ここでは、機械系エンジニアの魅力とやりがいを詳しく紹介します。

3-1.将来性がある

機械系エンジニアは、日本のブランドとしてすっかり定着した自動車や工場機械、医療機器など、国内外から高く評価されている領域を中心に需要が高まっています。

なかでも自動車や半導体に関わる機械系エンジニアの求人は好調に推移しており、メーカー各社は機械系エンジニアの確保が急務です。

機械系エンジニアは世の中に機械が存在する限り必要な職種であり、かつひと昔前よりも機械化・自動化はさらに進んでいます。

そのため、機械系エンジニアは将来性の高い職種だといえるでしょう。

3-2.チームで達成感を味わえる

機械系エンジニアの魅力として、仕事を通じてチームでの達成感を味わえる点が挙げられます。

機械系エンジニアはパソコンに向かって一人黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、開発は基本的にチーム体制で進められます。

チームの一員として日々自分に割り振られた仕事をこなし、自分の仕事に都度設定された期日や、製品の納期に間に合うよう努めます。

納期が近づくと残業が続いたり、休日出勤したりする場合もありますが、納品時にはチームで達成感を味わうことができ、製品が完成した喜びを分かち合えるでしょう。

3-3.手掛けた製品やサービスを使ってもらえる

機械系エンジニアは、自分が携わった製品やサービスが世の中に出回り、顧客や消費者に使ってもらえることで、達成感と誇らしい気持ちを味わえます。

また、暮らしが豊かになった・便利になったなど、多くの人に感謝される喜びを得られ、実際のユーザーの声が日々のやりがいにつながります。

4.機械系エンジニアのきつさや大変さ

機械系エンジニアは目に見える形で達成感を味わえる特有の仕事ですが、なかにはつらいこともあります。

ここでは、機械系エンジニアのきつさ・大変さについてまとめました。

4-1.納期近くは忙しくなる

余裕を持ったスケジュールを組んでいたつもりでも、メンバーの体調不良や突然の仕様変更など、想定外のトラブルが起こることもあり、納期近くは忙しくなりがちです。

また、そもそも顧客から短納期での対応を求められることもあります。

急な残業や休日出勤が発生することがあり、一時的にプライベートの予定が立てづらくなることから、きついと感じる人もいます。

4-2.パソコン作業による体調不良の可能性がある

機械系エンジニアの仕事は、パソコン作業が中心です。

同じ姿勢で長時間作業することが多いため、人によっては目や肩、腰、背中などに影響が出る場合もあり、きついと感じます。

特に、もともと目の疲れや体のコリなどが気になっている人は、意識してリフレッシュの時間をとるなど工夫をする必要があります。

4-3.地道な作業が続く

機械系エンジニアの仕事は、試作品を完成させるまで何度も設計と検証を繰り返すなど、地道な作業が続きます。

ユーザーの仕事や生活をより豊かにする製品を生み出す意義のある仕事であるものの、決して派手な仕事ではなく、人によっては飽きてしまう可能性もあります。

5.機械系エンジニアに向いている人の特徴

機械系エンジニアは機械設計だけでなく、評価・レビューから試作品の製造まで一連の工程すべてで活躍します。さまざまな知識・スキルが要求される専門性が高い仕事です。

ここでは、そんな専門性の高い機械系エンジニアに向いている人の特徴を紹介します。

5-1.機械をいじるのが好き・興味がある

機械系エンジニアに向いているのは、機械を1日中触っていても飽きないくらい機械が好きだったり、機械についての情報を調べることが好きだったり、興味が尽きなかったりする人です。

機械系エンジニアはCADで機械設計をして終わりではなく、性能をレビューしたり実際にプロトタイプを製造して性能評価試験をしたりと、機械開発全般に関わることになります。

もし性能に問題があれば何度も分解や組立をして、問題点の改善をすることも必要です。

本当の意味で機械や部品が大好きで、良い結果が出るまで何回でも分解や組立、CAD作成にトライできる人が機械系エンジニアに向いています。

5-2.こまかな作業が得意

機械系エンジニアは華やかな仕事というよりは、機械のデザインや構造をイメージしたり、3DCADなどを利用して機械を実際に作り上げたりと、地味で細かい仕事をコツコツとこなすことが多いです。

機械のテストを繰り返すには分解や組立が必要で、デザインや設計の段階ではCADも多く扱います。細かい手作業が多いため、手先が器用で細かな作業に抵抗がない人に向いています。

普段からDIYやプラモデル、ネイルなど手先の器用さを求められる作業を得意としている人なら、機械系エンジニアに向いている可能性があります。

5-3.設計図や説明書を見るのが好き

機械系エンジニアの仕事には設計図の作成や確認業務が含まれます。そのため、普段から設計図や説明書などを見るのが好きだったり、理解が早かったりする人は向いている可能性があります。

例えば、設計書(説明書)を見ながらプラモデルを作るのが得意な人や、家電を購入したら取扱説明書を読んで機能・特徴を理解したい人などに特におすすめです。

5-4.学ぶことが好き

機械系エンジニアの領域である機械製造の分野は技術の進歩がめざましく、日々新しい技術が生まれています。

実績を積んだベテランのエンジニアであっても、新しい知識や技術を身につけないことには新しい時代の流れについていけません。

古い技術は必要とされなくなり、新しい技術を知らないエンジニアも同様に仕事を任せてもらえなくなる可能性があります。

機械系エンジニアとして長く働くなら、新しい技術や知識を貪欲に吸収する意識が求められます。学ぶことが好きで、興味がある分野なら何時間でも勉強できるタイプの人なら、機械系エンジニアに向いているでしょう。

6.機械系エンジニアはおすすめできない人の特徴

機械系エンジニアに向いている人が多くいるものの、なかには向いていない人もいます。ここでは、機械系エンジニアをおすすめできない人の特徴を紹介します。

6-1.体を動かす仕事をしたい

機械系エンジニアはデスクワークが中心のため、体を動かす仕事を探している人には不向きです。

納期前などに体力は必要ですが、体を動かすのではなく、パソコンの前に座ってひたすら作業をします。

そのため、椅子に長時間じっと座っていられない人や、すぐに肩が凝ってしまう人など、デスクワークが苦手な人にはおすすめできません。

6-2.常に周りとコミュニケーションを取りながら仕事をしたい

機械系エンジニアの開発はチームで進めますが、日々の作業は一人で黙々とおこないます。そのため、周りとコミュニケーションを取りながら仕事をしたいと考えている人にはおすすめできません。

業者との打ち合わせや他部署とのやりとりで最低限のコミュニケーションは求められますが、常に話をしながら作業する仕事ではないため、自分に合っているかを応募前や面談時に確認することが必要です。

7.機械系エンジニアになるには?

これから機械系エンジニアを目指すためには、どのようなスキルや資格を獲得する必要があるのでしょうか。ここでは、機械系エンジニアになるために求められるスキルや資格について紹介します。

7-1.必要な資格

機械系エンジニアを目指すにあたり、資格を取得しておくことは自分のスキルや知識を証明する意味でも重要です。

数ある資格の中でも、一般的に機械系エンジニアに向いている資格とされるのは以下の4つです。

  • 機械設計技術者
  • 技術士
  • CAD利用技術者
  • 機械・プラント製図技能士

それぞれについて説明します。

7-1-1.機械設計技術者

機械設計技術者試験は、安全で効率の良い機械を経済的に設計する機械設計技術者としての総合的な能力を判定する試験です。

資格を取得すれば機械系エンジニアに求められる設計の技術を持っていることの証明になるだけでなく、学習の過程で機械設計の基本の知識を得ることができます

令和5年度の統計によると、機械設計技術者の1級と2級、3級の合格率は順に36.4%、40.8%、47.1%でした。

最初に取得を目指す3級は約半分の人が合格しており、学習計画をしっかりと立てて試験対策をおこなえば、合格の可能性は十分にあるといえます。

7-1-2.技術士

技術士は国家資格であり、機械技術に関して専門的な知識と実務経験、技術者倫理を持ち合わせていることを証明する資格です。

機械部門に合格することができれば、機械系エンジニアとして間違いない知識とスキルを有する証明ができます。

一次試験なら経験や学歴は不問で、誰でも挑戦できます。一方、二次試験では最大で7年の実務経験資格が求められるので、最終合格は長い道のりになるでしょう。

令和5年度の統計によると、技術士の一次試験・二次試験の合格率は順に35.6%、18.0%でした。

一次試験の合格率も高くはないため、万全の準備をして挑戦する必要があります。

7-1-3.CAD利用技術者

CAD(キャド)利用技術者は、機械の設計や図面作成で利用する作図ツールで作図・トレースする能力を証明する資格です。

機械系エンジニアはCADによる作図が必要不可欠であり、CADの操作が一定レベルで証明できることは評価につながるでしょう。

CAD利用技術者の対象資格は以下のとおり3種類あり、資格の種類や受験級によって難易度が異なります。

資格 合格率
3次元CAD利用技術者試験 1級 24.52%
準1級 58.45%
2級 68.35%
2次元CAD利用技術者試験 1級 58.82%
2級 54.87%
2次元CAD利用技術者試験基礎 73.12%

※各試験の最新の数値を使用。3次元CAD利用技術者試験(1級・準1級)は2024年前期。2次元CAD利用技術者試験(1級・機械)は2024年度前期。3次元CAD利用技術者試験(2級)・2次元CAD利用技術者試験(2級)・2次元CAD利用技術者試験基礎は2023年度。

1級を受ける前に取得が必要な2級は受験資格がなく誰でも受けられ、合格率も3次元CADで約7割、2次元CADでも5割を超えているため、挑戦しやすいです。

7-1-4.機械・プラント製図技能士

機械・プラント製図技能士は、機械やプラントの図面を作成する国家資格です。日本で唯一の製図能力評価試験(技能検定)で、取得すると製図のプロフェッショナルとして認められます。

資格を取得するには、製図能力以外に機械や設計の高度な知識も必要となり、取得すればより難易度の高い仕事や幅広い業務をおこなえます。

令和5年度の受験者申請者数の4,427人のうち合格者数は970人で、合格率は21.9%です。合格率をみると、けっして簡単とはいえず、合格のためには十分な準備が必要といえます。

7-2.必要なスキルや能力

機械系エンジニアになるには、資格だけでなく、性格や能力面の相性も重要です。機械系エンジニアとして活躍するために求められる代表的な能力としては「集中力」「マネジメント能力」があります。

7-2-1.集中力

機械系エンジニアは細かな機械のデッサンをしたり図面を起こしたりするだけでなく、性能評価試験でOKが出るまで延々と分解や組立を繰り返すことになります。

そのため、機械系エンジニアになるには高い集中力が必要不可欠です。

7-2-2.マネジメント能力

新しい製造機械を作るプロジェクトの際に、その分野に精通した機械系エンジニアがチームリーダーとなって、他部門と連携して業務にあたることもあります。

機械の知識とは別に、多くの部下に指示したり、他の部門と連携したりするマネジメント能力が求められます

7-2-3.コミュニケーション能力

機械系エンジニアは職人や現場のオペレーターと違い、機械設計という大きなプロジェクトの達成に向けてチームで動くことになります。

また、営業に同行して顧客とコミュニケーションを取ることも少なくないため、機械に関する知識だけでなく高いコミュニケーション能力も求められます。

8.未経験でも機械系エンジニアになれる?

まったくの未経験から機械系エンジニアを目指すというのは、非常にハードルが高いといわざるをえません

工場の求人で機械系エンジニアがあったとしても、多くは資格や実務経験を持つ中堅・ベテランや、学校で機械製造に関する基礎知識を身につけた若手社員を探しています。

少なくとも、4大力学(機械力学・熱力学・流体力学・材料力学)についての知識がないと、機械系エンジニアとして部署配属されることは難しいでしょう。

  • 機械力学:変形しないもの(剛体)に関する力学
  • 熱力学:気体や液体のエネルギーに関する力学
  • 流体力学:気体や液体(流体)に関する力学
  • 材料力学:弾力や塑性(そせい)など固体の変形に関する力学

また、上記の4大力学に加え、専門ごとに必要な知識も異なります。自動車関連の機械系エンジニアなら電子回路の設計や開発の知識・技術などが求められます。

未経験から機械系エンジニアを目指すなら、専門学校などで力学に関する知識を身につけたり、目指すエンジニアに求められる技術や知識を身につけたりする必要があるでしょう。

9.まとめ

機械系エンジニアとは機械を作る技術者で、製品の基本設計からレビュー、詳細設計まで多くの工程に関わるため、高い知識やスキルを求められます。

一方、自分が携わった機械が後世まで使われる可能性もあり、ものづくりの根幹を支えるやりがいのある仕事です。

機械をいじるのが好きな人、こまかな作業が得意な人などは適性があるといえるため、就職や転職を検討してみてはいかがでしょうか。

また、機械設計技術者や技術士といった資格を取得すれば、機械設計に関する十分な知識があると証明できます。受験資格が設けられていないものから、積極的にチャレンジすることがおすすめです。

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