飲食業の主な職種とは?仕事内容や向いている人の特徴、やりがいや大変さ
※この記事は6分30秒で読めます。
「飲食業の職種には何がある?」
「飲食業の職種ごとの魅力が知りたい」
など、飲食業の職種に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
飲食業の職種には、店長やホールスタッフ、調理・調理補助などがあり、未経験から始められる職種もあります。
今回は、飲食業の概要、職種例と仕事内容、やりがいや大変さ、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば、飲食業の職種のことがよくわかり、自分に合う職種を選べるようになります。
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1.飲食業とは?
飲食業とは、食事や飲み物をお客さまに提供して対価を得る仕事のことです。レストランや食堂など、消費者向けの店舗などが該当します。
総務省の「日本標準産業分類」によれば、飲食業の定義は以下のとおりです。
飲食サービス業とは,主として客の注文に応じ調理した飲食料品,その他の食料品又は 飲料をその場所で飲食させる事業所並びに,客の注文に応じ調理した飲食料品をその場所 で提供又は客の求める場所に届ける事業所及び客の求める場所において,調理した飲食料 品を提供する事業所をいう。
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引用:総務省「大分類M-宿泊業,飲食サービス業」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000290732.pdf
飲食業は、店舗を構えて来店したお客さまに料理を提供する飲食店だけではありません。
お客さまが料理をテイクアウトしたり宅配業者が料理をお客さまの自宅に運んだりする、持ちかえりや配達飲食サービス業もあります。
2.飲食業の職種例と仕事内容
ひとくちに飲食業といっても、その職種は数多くあります。ここでは、数ある飲食業界の仕事のなかでも特に人気がある職種を7つ見ていきましょう。
2-1.ホールスタッフ
ホールスタッフは、来店客に対して接客や料理の提供をする職種です。飲食業と聞いて多くの人がまず思い浮かべる職種の1つではないでしょうか。
調理や調理補助などのスタッフと合わせて店舗スタッフと呼ばれることもあります。正社員だけでなく、アルバイトやパート社員まで幅広い働き方が可能です。
飲食業のなかでも来店客と接することが多い職種であり、接客スキルに自信がある人や、これから接客スキルを身につけたい人におすすめです。始めるのに特別な資格は必要なく、未経験の人でも働きやすい傾向があります。
2-2.調理・調理補助
調理はレストランで調理を担当するスタッフ、調理補助は調理スタッフの指示にしたがって食材の洗浄や仕込み、食器の準備や片づけといった周辺業務をするスタッフです。
料理に関するさまざまなスキルを身につけられるため、普段から料理が好きな人や将来飲食店を経営したい人におすすめです。
調理や調理補助は未経験でも仕事ができますが、調理師を名乗るには調理師免許の取得が必要です。
また、経験を積めば調理スタッフのトップに立つシェフと呼ばれる立場を目指すこともできます。料理を作って提供するだけでなく、メニュー構成や新メニュー考案、部下である調理・調理補助スタッフの教育指導も仕事に含まれます。
会社によっては、調理師免許以外に製菓衛生士、ふぐ調理師などの資格取得者が活躍できるケースもあります。
2-3.デリバリースタッフ
昔は出前と呼ばれていた、注文を受けた商品をお客さまの自宅まで運搬する仕事です。新型コロナウイルスによる外出制限時にはフードデリバリーサービスの需要が一気に増え、メジャーなサービスとなりました。
デリバリーには、店舗ごとに独自で出前するスタイル以外にフードデリバリー会社と飲食店が契約するスタイルがあり、デリバリースタッフは必ずしも飲食店に直接雇用されるわけではありません。
フードデリバリー会社から配達業務を請け負うことも可能で、副業的に飲食業に関わりたい人におすすめできる仕事です。
フードデリバリーの仕事では、注文を受けた内容やお客さまの自宅と店舗との距離に応じて、バイクや自転車を使って配達をおこないます。
店舗から遠い場所まで料理を素早く運搬するにはバイクや自動車の利用が必須であり、なかには普通自動車運転免許が求められるケースもあるでしょう。
デリバリースタッフや配送ドライバーに興味のある方は、以下の記事も参考にしてください。
2-4.店長
店長は店舗の責任者として店舗の運営や売上管理、スタッフのマネジメントなどをする仕事です。店舗の所有者であるオーナーと店長が別にいるケースもあれば、オーナーと店長が一緒というケースもあります。
お店における最高責任者であり、人員が足りない部署にフォローとして入る可能性もあります。特別な資格は必要ありませんが、広い視野と店舗経営に対する責任感が求められる仕事です。
また、来店客はもちろん、本部社員、従業員など多方面でコミュニケーションが求められるため、人付き合いが得意な人におすすめです。
2-5.販売促進・マーケティング
販売促進・マーケティングは、主に飲食店を経営する会社の本部のスタッフが担当し、店舗の売り上げ向上に関するさまざまな施策を打ち出す仕事です。
企画の立案や新商品の告知など、自社のプロモーション活動を担うことになります。施策を共有するために各店舗の責任者と打ち合わせをしたり、店舗スタッフを教育したりすることも仕事に含まれます。
特別な資格は不要ですが、現場との橋渡し役をするうえで店舗勤務の経験が求められるケースもあります。
2-6.商品・メニュー開発
商品・メニュー開発は、店舗で提供する料理のレシピを考えたり、今あるレシピに改良を加えたりする仕事です。
また、おいしいメニューを安く用意するために生産コストを検討したり、原材料を比較したりするなどの地道な努力が求められます。
飲食店のメニューは定番品ばかりでなく、季節ごとに入れ替えることも少なくありません。イベント限定メニューなどを考えることもあるため、料理に関して柔軟な考え方が求められます。
無資格でも仕事はできますが、フードコーディネーターなどの民間資格を取得しておくとレシピを考える際に役立つこともあるでしょう。
2-7.店舗開発
本社スタッフが携わる仕事の1つで、新規出店を成功させるための調査・分析をする仕事です。店舗のコンセプトを決めたり、資金調達をしたり、対象エリアに存在する競合調査をしたり、店舗にする物件を選定したりします。
またその際には、集客率は高いか、周辺住民の年齢やニーズと店舗のコンセプトが合っているかなど、さまざまな角度から高度な分析をおこないます。
自社の強みやニーズを深く理解することはもちろん、出店検討エリアを分析できる能力や家賃交渉のノウハウなど、さまざまなスキルが求められます。また、専門的なマーケティングの知識も要求されるでしょう。
3.飲食業のやりがいと魅力
飲食業で働くことのやりがいには以下の2つが挙げられます。
- お客さまに喜んでもらえる
- 自分の”好き”を活かせる
それぞれのやりがいの特徴を解説します。
3-1.お客さまに喜んでもらえる
飲食業の大きなやりがいの1つが、お客さまを笑顔にできることです。ホールスタッフは自分の接客で、調理・調理補助は自分が作った料理で、お客さまの「おいしい」の声や喜びの表情を得ることができます。
本部社員が店舗のレイアウトやメニュー構成を考え、スタッフが一丸となって食事を提供し、お客さまを満足させられる喜びは飲食業ならではのものです。
人に喜んでもらうことが好きな人にとっては、飲食業の仕事一つひとつが大きなやりがいにつながるでしょう。
3-2.自分の”好き”を活かせる
飲食業への就職・転職を希望する人の動機はそれぞれですが、「食べることが好き」「料理を作るのが好き」「その会社の料理やメニューが好き」といった点は共通するはずです。
食にこだわりがある人や料理を作るのが好きな人であれば、好きなことをそのまま仕事にできます。
例えば、お客さまにおすすめメニューの提案がしたいならホールスタッフ、作るのが好きなら調理・調理補助といったように、何が好きかによって目指すべき職種も明確になるでしょう。
4.飲食業の仕事は大変?
飲食業は食べる喜びを人にもたらすことができる仕事であり、大きなやりがいがあります。一方、飲食業は「仕事が大変」といわれる業界でもあります。転職活動をする際は、飲食業界の大変さを先に知っておくことも大切です。
ここでは、飲食業が大変といわれる理由を2つご紹介します。
4-1.職種によっては基本的に体力勝負
飲食業では腕力が必要なシーンは多くはありませんが、職種によっては体力が要求されることもあります。例えば、店舗のホールやキッチンは勤務時間中は基本的に立ち仕事であり、店内や厨房を忙しく歩き回ることになります。
また、飲食店の開店時間は午前中から深夜まで及ぶ場合もあり、シフトによっては長時間働くことも少なくありません。
定休日以外は常にシフトが回ってくる可能性があり、一般的には土日祝日が休みの仕事よりも年間休日が少ない傾向にあります。そうしたリズムに慣れるまでは大変と感じるかもしれません。
4-2.ときにはクレーム対応も必要
店長やホールスタッフには、お客さまと直接コミュニケーションを取る大変さがあります。ときにはお客さまからクレームを受ける可能性もあり、そういった場面では店舗のミスでもそうでなくても丁寧に対応する必要があります。
特に最近は企業の不祥事がSNSで拡散されることもあり、より慎重な対応が求められることもストレスの要因になる可能性があるでしょう。
とりわけ店長は、ホールスタッフの誰がクレームを受けてもフォローに入ることになるため、精神的なストレスをかかえやすい点に注意が必要です。クレーム対処術の講習を受けたり気持ちのオンオフを上手に切り替えたりする工夫も必要でしょう。
5.飲食業の仕事が向いている人の特徴
飲食業には飲食店経営に関する専門的な知識が求められる職種や接客能力が求められる仕事が多く、向き不向きがあります。ここでは、飲食業の仕事に向いている人の特徴をご紹介します。
5-1.食にまつわる仕事をしたい
料理を作ることや食べることが好きで、自分も食に関する仕事をしてみたいと感じている人には、飲食業の仕事がぴったりでしょう。
例えば作るのが好きな人なら、どうすれば素材の良さを活かせるか、どの素材を組み合わせれば価格と味の良さを両立できるのかといったことを考えるのも苦にならないはずです。
ただし、ひとくちに飲食業といっても、職種ごとに食への関わり方はまったく異なります。
お客さまと近い位置で接客するホール、キッチンで料理を作る調理・調理補助、メニューを企画する商品・メニュー開発など、自分がどのように食に関する仕事をしたいかによっても選ぶべき職種は変わります。
5-2.コミュニケーションを取るのが好き
人を笑顔にさせることに自信がある人や、人とのコミュニケーションが好きな人であれば、飲食店の現場やデリバリーの仕事が向いているでしょう。
飲食店の現場で働く店長やホールスタッフ、宅配でお客さまの自宅に配達をするデリバリースタッフには、お客さまとのコミュニケーションが求められます。
直接お客さまからお礼の言葉をもらえるやりがいがある一方、接客態度が悪いとクレームを受けることもあります。
5-3.人に喜んでもらうことが好き
「自分が作ったおいしい料理で喜んでもらうのが好き」「子どもが笑顔になる瞬間が好き」というような性格の人にも飲食の仕事は向いています。
店長やホール、調理の仕事なら、自分が作った料理や店舗の雰囲気、接客でお客さまを直接喜ばせることができます。商品開発や店舗開発も、間接的にお客さまの笑顔のために働ける仕事です。
5-4.マルチタスクが得意
飲食店の現場では、複数のお客さまから同時にオーダーが入ることが珍しくありません。そのためマルチタスクで仕事をこなすのが一般的です。
厨房に複数の注文が同時に入ることも珍しくなく、いかに効率よく料理を提供するかを考えながら同時並行で調理を進めることになります。
そのため、柔軟な考え方ができる人や普段からマルチタスクに対応できている人は飲食店に向いているでしょう。
6.飲食業の仕事は未経験でもできる?
飲食業に転職するのに実務経験は必要ありません。ホールスタッフは無資格・未経験からでもOJTを通じて1人前を目指せます。厨房で働く調理・調理補助も同様で、調理補助から始めるなら資格も経験も不要です。
ただし、店長や本部の商品開発、店舗開発には専門的な知識や資格が求められることもあります。まずはホールスタッフや調理の仕事で働き、資格を取得しながらスキルアップを目指すのが近道でしょう。
7.まとめ
飲食業は、人にとって欠かすことのできない食にまつわる仕事であり、多くの人から笑顔や感謝の言葉をもらえます。
ホールや調理補助といった無資格・未経験で始められる仕事で経験を積みながら店長や本部スタッフを目指すといったキャリアアップも可能です。
新型コロナウイルスの外出制限を機に店舗外で食べる新しい食事スタイルも定着してきており、飲食業には今後も安定した働き口があるでしょう。
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