機械加工技能士とは?活躍できる職場や資格の取り方、取得するメリットを解説
※この記事は6分で読めます。
「機械加工技能士ってどのような資格?」
「機械加工技能士で活躍できる職場を知りたい」
など、機械加工技能士に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
機械加工技能士は、NC旋盤やNCフライス盤などの機械を使って図面どおりに金属製品を加工する仕事であり、手作業では実現が難しい精度の高い製品を作れます。
今回は、機械加工技能士の概要、活躍できる職場、資格を取得するメリットなどを解説します。この記事を読めば、機械加工技能士のことがよくわかり、自分が働く姿をイメージしやすくなります。
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1.機械加工技能士とは?
機械加工技能士は、「切削」「研磨」といった方法で金属工作物の形を整える技術をもつスペシャリストであることを証明する国家資格です。
都道府県の「職業能力開発協会」が試験を実施しており、等級は3級・2級・1級・特級の4段階にわかれています。
国家資格の受験には実務経験が求められ、実技試験の内容は「普通旋盤作業」「タレット旋盤作業」「数値制御フライス盤作業」「平面研削盤作業」など多岐にわたります。
2.そもそも機械加工とは?
機械加工とは、機械を使って材料を加工して目的の形を作ることです。
プレス加工によって材料を変形させる「塑性(そせい)加工」と、刃物で材料を削ることで形状を作りだす「切削加工」を合わせて機械加工と呼ぶこともありますが、一般的には「切削加工」「研削加工」の2種類を指して機械加工と呼びます。
切削加工はドリルや「エンドミル」と呼ばれる刃物で金属を削る方法です。さらに細かい分類として「添削加工」「旋削加工」にわかれます。
添削加工はフライス盤に取り付けた回転盤を使って加工する方法、旋削加工は円筒形や円盤形の材料を回転させてバイト(棒状の金属の先に切れ刃をもった、旋削加工用の工具)で加工する方法です。
研削加工は、砥石や研磨剤を使って金属製品の仕上げをする方法を指します。
3.機械加工技能士が活躍できる仕事
機械加工技能士の資格を取得するほどの実務経験と知識を持てば、さまざまな工場の現場で活躍できます。
機械加工技能士が活躍できる代表的な仕事は以下のとおりです。
- NC旋盤工
- NC研削盤工
- NCフライス盤工
- マシニングセンター・オペレーター
3-1.NC旋盤工
NC旋盤工は、NC旋盤を使って金属を加工する仕事です。ネジやボルトといった締結部品にはさまざまな大きさと種類がありますが、NC旋盤では多岐にわたる部品を製造できます。
仕事内容は大きくわけて「プログラミング」「オペレーティング」の2種類です。プログラミングでNC旋盤を動かすためのプログラムを登録したうえで、プログラミングにしたがってNC旋盤が正常に作動していることをオペレーティングで確認します。
また、NC旋盤の状態を良く保つために機械のメンテナンスや手順書に沿って管理・検査をすることも仕事です。
3-2.NC研削盤工
NC研削盤工は、砥石で金属加工をおこなう「NC研削盤」を使って製品を生み出す仕事です。数値制御装置に加工のための情報を入力することで、自動的に研削作業が開始されます。
NC(機械制御装置)で加工情報を入力するため、手作業では難しい高精度な加工ができます。機械による自動的なオペレーティングにより、精度の高い金属加工を実現することが可能です。
NC研削盤工はプログラムやオペレーティングの精度だけでなく、機械をメンテナンスする能力や複数あるNC研削盤を使い分けられる知識も必須です。
3-3.NCフライス盤工
NCフライス盤工は、高度な切削加工を施せる「NCフライス盤」で金属加工をする技術者のことです。
金属の切削に必要な「工程数」「基準点」「加工方法」「必要な工具」などを考えたうえでプログラムを作成することが主な仕事で、加工の段取りについてのスピーディな判断力が要求されます。
3-4.マシニングセンター・オペレーター
マシニングセンターは、加工に最適な工具を自動的に交換して連続的に切削加工ができる機械のことです、このマシニングセンターを扱うオペレーターのことを「マシニングセンター・オペレーター」と呼びます。
図面に合わせて最適な加工方法や手順のプログラムを作成する能力だけでなく、金属の性質によって適切な工具や加工方法を選択できる知識を身につけることも必要です。
キャリアを重ねると現場でのオペレーターからプログラミングをおこなうプログラマー、全体を管理する「監督職」にキャリアアップすることもできるでしょう。
以下の記事では、機械オペレーターについてより詳しく解説しています。
4.機械加工技能士の資格を取得するメリット
機械加工技能士の資格がなくても切削や研削の現場で働くことは可能ですが、現場で実務経験を積み、資格を得ることでさまざまなメリットが得られます。機械加工技能士の資格を取得することの主なメリットは以下の4つです。
4-1.機械加工のスペシャリストであることを証明できる
機械加工技能士の資格を取得するには、学科試験・実技試験の両方に合格する必要があります。また、受験するには実務経験などの要件を満たさないといけません。
機械加工技能士の資格を取得しているということは、機械加工に関する経験と技術・知識を持ったスペシャリストであるという何よりの証明になります。
資格を取得したオペレーターが製作することで、お客様からの信頼を勝ち取ることもできるでしょう。
4-2.教育係になれる
機械加工技能士には特級、1~3級という等級分けがあります。より難易度の高い特級や1級の資格を取得することができれば、現場のオペレーターから管理職の監督職や、新人の教育係に昇進することも可能です。
機械オペレーターの方にとって、今後のキャリアアップのために機械加工技能士はぜひ取得しておきたい資格といえるでしょう。
4-3.社内からの評価を得られる
機械加工技能士の資格を持っていることでNC旋盤やマシニングセンターなどにおける高い技術力を証明することができるため、社内の評価が向上することも考えられます。
資格手当が支給されたり、資格取得が昇進要件となっている職場もありますので、生涯年収が大きくアップする可能性もあるでしょう。
4-4.転職の際に有利になる
機械加工技能士は国家資格の一種であり、履歴書の資格の欄に記入することで製造業への転職で有利に働きます。
実務経験があり、なおかつ資格試験に合格できる技術を身につけていることが証明される資格ですので、即戦力として高評価を得られるでしょう。
5.機械加工技能士が向いている方の特徴
機械加工技能士は金属を加工するための計算やプログラミングなどをおこなう仕事であり、その内容から人によって向き・不向きがあります。ここでは、機械加工技能士に向いている方の特徴を解説します。
5-1.地道な作業が好き
NC旋盤やマシニングセンターの仕事は、手作業によってさまざまな製品を作る職人とは違い、機械に加工情報を打ち込んだり機械を管理したりといった地道な作業が中心です。
ひたすら図面を見て加工情報を打ち込んでいくような地道な作業をコツコツとこなすことに抵抗がない方は、機械加工技能士に向いているでしょう。
5-2.同じ作業が続いても苦にならない
機械加工技能士の仕事は図面どおりの製品を作るためのプログラミングや、指示どおりに加工されているかをチェックするオペレーティングを何度も繰り返すことになります。
繰り返しの地道な作業が苦にならない方に向いているでしょう。
5-3.最先端技術を支える仕事をしたい
機械加工技能士がNC旋盤などを使って生み出す製品は多岐にわたり、企業によっては宇宙航空産業や原子力機器など最先端の産業で活躍することも可能です。
そのような将来性のある産業で働きたい方にも、機械加工技能士はおすすめの資格です。
6.機械加工技能士の資格の取り方
ここからは、機械加工技能士の資格の取り方について見ていきましょう。
6-1.資格要件
機械加工技能士の受験に際しては、検定を受ける等級に応じた実務経験が必要です。
特級 | 1級合格後5年以上 |
1級 | 7年以上 |
2級 | 2年以上 |
3級 | なし |
単一等級 | 3年以上 |
-
参照:中央職業能力開発協会(JAVADA)|技能検定のご案内
https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/giken.html#Anchor1
6-2.資格難易度
令和4年度前期の検定試験の合格率は、どの作業名でもおおむね1級で60.10%、2級で52.69%、3級で70.45%です。
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参照:愛知県職業能力開発協会|令和4年度 前期 技能検定職種別(作業)別合格状況
https://www.avada.or.jp/project/ability_evaluation/examination/r04_zenki_passing/r04_zenki_goukakujyoukyou.pdf
合格率だけみれば国家試験のなかでは特別低いわけではなく、学習を繰り返すことで十分に合格をねらうことが可能です。
ただし、各級の学科試験には共通科目と選択科目があり、選択する科目によって難易度が変わってくることもあります。
6-3.資格の勉強方法
各都道府県の職業能力開発協会の公式サイトで、無料の過去問が手に入るほか、インターネットで過去問を購入することができます。
とにかく過去問をといて合格点を得る知識を身につけるのが、合格への近道です。
7.未経験から機械加工技能士になれる?
未経験から機械加工技能士として働くことはできます。また、資格取得を目指すこともできます。
ただし、機械加工技能士は実務経験が求められることが多く、上級の資格取得については未経験から目指すことはできません。働きながら勉強をして知識を身につけつつ、実務経験の要件を満たすことが必要です。
3級の受検に必要な実務経験期間については要件が緩和されたため、実務経験「6ヵ月以上」が要件でしたが、平成25年4月からは6ヵ月に満たない場合も受検可能となりました。
機械加工技能士でキャリアアップを目指したい方は、まずは3級取得からはじめて、2級、1級と徐々にレベルアップしていくと良いでしょう。
8.機械加工技能士の将来性
機械加工は親会社から届いた図面にしたがって機械部品を作る、というイメージがありましたが、近年は宇宙航空産業、原子力機器、医療関連機器といった成長産業ならびに最先端の技術が必要な成長企業にとってなくてはならない存在になっています。
機械化が進むごとに機械加工が必要とされる場面も増えることから、機械加工技能士の将来性は高いといえるでしょう。
9.まとめ
機械加工技能士は「NC旋盤」「NCフライス盤」などの機械を使って図面どおりの製品を作れるようにプログラミングをおこなったり、プログラミングどおりに加工できているかをチェックしたりするのが仕事です。
「ネジ」「ボルト」といった締結部品だけでなく、原子力関連や航空宇宙などの最先端の分野の製品を作ることもできるため、製造業のなかで成長性の高い仕事を探すならおすすめです。
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