計量士とは?種類や仕事内容、資格の取り方、将来性を解説
※この記事は5分30秒で読めます。
「計量士はどのような仕事?」
「計量士の仕事内容や平均年収が知りたい」
など、計量士に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
計量士は、計測機器の測定計画の策定や精度管理、騒音や水質の測定をおこなう、企業活動や環境保護になくてはならない仕事です。
今回は、計量士の概要と種類、仕事内容、平均年収、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば、計量士のことがよくわかり、自分が働く姿をイメージできるようになります。
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1.計量士とは?
計量士は計量法で定められた国家資格のことで、正確な計算の実施や計算方法の改善などをおこなう専門家です。
計量法第109条では「計量器の整備、計量の正確な保持、計量の方法の改善その他適正な計量の実施を確保するために必要な措置を講ずること」と定めがあります。
そのため、計量士は百貨店やスーパーマーケット、生産工場での計量や、排水や騒音、道路工事や飛行場の騒音測定などで幅広く活躍しています。
企業の商取引は正しい計量がなされていることが前提であり、正確な計量には計量士の存在が欠かせません。
2.計量士の種類と仕事内容
計量士の資格は3つに分かれており、それぞれ「一般計量士」「環境計量士(濃度関係)」「環境計量士(騒音・振動関係)」と呼ばれます。
2-1.一般計量士
一般計量士は、百貨店やスーパーマーケット、生産工場などで使用される「体積計」「質量計」「温度計」などの計量器の測定計画の策定・実施、精度管理をおこないます。
後述する「環境計量士」が担当する濃度・騒音・振動以外の測定に関して幅広くカバーしている点が特徴です。
2-2.環境計量士(濃度関係)
環境計量士は濃度関係と騒音・振動関係にわかれており、濃度関係では工場から排出される「ばい煙」や工場跡地の有害物質、悪臭物質の計量管理をおこないます。
2-3.環境計量士(騒音・振動関係)
騒音・振動関係の環境計量士はプレス、送風機、鍛造機といった騒音源を持つ工場や建設現場で振動の測定をおこない、人体への影響を調査するのが主な仕事です。
また、道路・鉄道・航空機などの騒音の測定や計量管理をおこなうこともあります。
3.計量士の平均年収
計量士の平均年収は、約380万円というデータがあります。また、アルバイト・パートとして働く場合の平均時給は約1,073円、派遣社員の平均時給は約1,502円です。
一方、国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本の給与所得者の平均年収は443万円です。
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参照:国税庁|令和3年分 民間給与実態統計調査
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2021.htm
日本人の平均年収と比較すると、計量士の平均年収はやや低めという結果になりました。ただ、正社員の給与分布では314~385万円のボリュームが多く、その意味では平均的ともいえます。
また計量士の給与幅を見ると314~878万円と幅が広く、スキルや経験、働く企業次第では日本人の平均を大きく超える給与を得ることも可能です。
4.計量士が向いている人の特徴
計量士は細かな測定技術が要求されることもあり、人によって向き・不向きがあります。ご自身が計量士に向いているのか、事前にしっかりと考えておきましょう。ここでは、計量士に向いている方の特徴を紹介します。
4-1.地味な作業でも頑張れる
計量士の仕事は測定機器の精度管理や騒音・悪臭・水質の測定といった、コツコツとした地味な作業が多いです。
計量士の存在は工場運営や商取引の実現には不可欠ではありますが、仕事内容だけでいえば地味な存在に感じるかもしれません。
一般人からもイメージされやすい華やかな仕事をしたい方にとっては向いていないでしょう。逆に、あまり注目されない仕事でも、コツコツと正確に仕事をこなすように頑張れる方には計量士が向いているでしょう。
4-2.几帳面なところがある
計量士は、さまざまな機器の精度を管理したり測定のための計画を策定したり、測定結果を分析したりと、細かな数字を扱うことが多い仕事です。
計量士の仕事は正確性が求められるため、おおざっぱな性格の方より、1つの数字の間違いも許したくないような几帳面な方に向いています。
4-3.環境保全に関心がある
環境保全に強い関心がある方には、環境計量士が向いているでしょう。地球温暖化や環境汚染などの環境問題は世界的に注目度が高いテーマであり、環境計量士は騒音や悪臭・水質の測定といった仕事を通じて自然環境を守ることができます。
また、環境計量士は仕事を通じて環境に関する法改正やルールを身につけていくことにもなるため、自然を守るための知識も自然と身についていきます。
5.計量士の資格の取り方
計量士の資格は国家資格であり、資格の取得方法には「国家試験コース」「資格認定コース」の2種類があります。ここからは計量士の資格を取得するための方法について紹介します。
5-1.国家試験コース
国家試験コースは、計量士の国家試験に合格したうえで、実務経験などの条件を満たして登録することで計量士になれるコースです。受験要件は特になく、学歴や年齢に関係なく、誰でも受験することができます。
試験は五肢択一式の筆記試験で、計量管理の職務遂行に必要とされる知識・技能が問われます。
合格率に関しては、令和4年12月11日に実施された第73回計量士国家試験の結果が参考になります。
合計 | 環境計量士(濃度関係) | 環境計量士(騒音・振動関係) | 一般計量士 | |
---|---|---|---|---|
出願者数 | 4,854 | 2,752 | 954 | 1,148 |
受験者数 | 3,256 | 1,832 | 622 | 802 |
合格者数 | 609 | 308 | 119 | 182 |
合格率 | 18.7% | 16.8% | 19.1% | 22.7% |
-
出典:経済産業省|第73回計量士国家試験(令和4年12月11日実施)の結果等について
https://www.meti.go.jp/information/license/data/c230217aj.html
3種類の合格率の平均は18.7%、もっとも合格率が高い一般計量士でも22.7%と、国家資格だけあって難易度が高い資格であることがわかります。
また、環境計量士と一般計量士で、それぞれ以下のような資格要件を満たさなければいけません。
【環境計量士の登録に必要な条件(いずれかひとつを満たすこと)】
- 計量に関する実務に1年以上従事
- 環境計量講習を修了(1週間)
- 薬剤師(濃度関係のみ)
- 職業訓練指導員免許取得(濃度関係は化学分析科、騒音・振動関係は公害検査科)
- 職業能力開発校(濃度関係は化学系化学分析科、騒音・振動関係は化学系公害分析科)を修了
- 技能検定のうち化学分析 (1級または2級)または産業洗浄(実技試験の科目は化学洗浄作業)に合格(濃度関係のみ)
- 技術士登録(濃度関係は衛生工学部門登録、騒音・振動関係は物理および化学科目の応用理学部門に係る本試験に合格)
【一般計量士の登録で必要な条件】
計量に関する実務に1年以上従事
5-2.資格認定コース
資格認定コースは「国立研究開発法人産業技術総合研究所」の教習課程を修了し、実務経験などの所定の条件を満たして計量士として登録する方法です。
実務経験について一般計量士は5年以上、環境計量士は2年以上が求められ、条件を満たすことで「計量行政審議会」の認定を受けることができます。
6.未経験から計量士になれる?
結論からいうと、未経験の方がいきなり計量士になることはできません。計量士は「国家試験コース」「資格認定コース」から選択できますが、いずれを選択するにも最低1年以上の実務経験(コースと計量士の種類によっては5年以上)が必要です。
よって、計量の仕事についてまったくの未経験の場合、資格の要件は満たせません。まずは計量の仕事に転職をして実務経験を積み、コースごとに設定された資格要件を満たすことから始めましょう。
7.計量士の将来性
一般計量士、環境計量士ともに、将来性が高い仕事です。
例えば一般計量士は工場や小売店の計量機器の測定や管理をおこないますが、これらの仕事は工場や小売業がある以上はなくなりません。事業をおこなうために正確に計量できることが必須であるため、今後も安定した仕事の需要が期待できます。
また、環境問題の注目度が高く、企業活動に環境対策が欠かせない現代では環境計量士の仕事の重要性は高いです。環境に関する規制も年々厳しくなっており、それにともなって環境計量士の仕事も安定したニーズがあるでしょう。
特に環境計量士は環境保護の観点から将来性が高く、転職を成功させれば安定して長く働くことができるでしょう。
8.まとめ
計量士になるには実務経験が必須であり、未経験からすぐに資格を取得することはできません。一方で一般計量士も環境計量士も企業活動をするうえでは欠かせない存在であり、今後も安定したニーズが期待できます。
計量や環境保護に興味がある方は、今のうちから転職して実務経験を積むことを検討してはいかがでしょうか。
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