適性検査とは?就活と転職時の違いや種類、今すぐできる対策を解説

この記事で分かること
- 適性検査は、応募者が自社や募集職種に適応できる人材か見極める目的で就活・転職時におこなわれる
- 業務の遂行能力を測る能力適性検査と、応募者の人柄や素質を見極める性格適性検査が主に実施される
- 就活では一次面接前や一次面接と同じ日におこなわれ、転職時はさまざまなタイミングで実施される傾向がある
- 実施する適性検査の種類や受検形式は企業によって異なるため、事前に詳細を確認して対策する必要がある
※この記事は6分30秒で読めます。
「適性検査って何のためにやるの?」
「検査内容や対策について知りたい」
など、就活や転職時に実施される適性検査について疑問を持っている人もいるでしょう。
適性検査とは、応募者と自社のマッチングの度合いや、応募者が業務を遂行できる能力を持っているかなどを見極めるための診断テストです。
今回は、適性検査の目的や実施タイミング、主な受検形式・種類、対策方法などを解説します。この記事を読めば、適性検査の目的や内容が理解でき、適切な対策を講じたうえで挑めるようになるでしょう。
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1.適性検査とは?
適性検査とは、企業が求職者や新入社員に対しておこなう診断テストで、自社や業務に適応できる人材であるかどうかの判断材料として用いられます。
また、適性検査は採用選考時以外にも、配属先の判断、職務分析、管理職登用時、退職者分析など、折々のタイミングで実施されます。
適性検査はさまざまな種類がありますが、主に実施されるのは「能力適性検査」と「性格適性検査」の2種類です。ここからは、それぞれの検査の特徴について解説します。
1-1.能力適性検査
能力適性検査では、基礎学力や論理的思考力、発想力、コミュニケーション能力などが問われます。業務遂行に支障のないスキルを持ち合わせているかを見極めるために用いられます。
能力適性検査は、学生時代に受けた国語のテストのような言語分野と、数学のテストのような非言語分野の問題が出題されることが多いです。
1-2.性格適性検査
性格適性検査は、応募者の人柄や素質、性格、傾向を見極めるために活用されます。応募書類や面接だけでは見抜けないコアな部分を明らかにし、自社の社風や既存社員との相性などを判断します。
性格適性検査は、設問に対して自分の考えや価値観などに合う回答を選ぶ形式が一般的です。
2.就活や転職時に適性検査をおこなう目的
就活や転職の採用時に適性検査をおこなうかどうかは、企業によって異なります。ここでは、企業が採用の選考時に適性検査を実施する場合の目的を4つ紹介します。
2-1.自社との適性度を知るため
自社の社風や募集職種に対して応募者がどの程度マッチングしているかを知るうえで、適性検査の実施は有効とされています。
面接官は採用のプロですが、人の目だけでは無意識のうちに固定観念や思考の偏りなどが反映されることがあり、ミスマッチ要素を見逃すリスクもゼロではありません。
書類や面接での選考とあわせて機械的に判定される適性検査のデータを用いれば、より高い精度で適性を判断できるようになり、退職の防止にもつながります。
2-2.基礎学力を知るため
就活の適性検査では、数値を使って分析する力や言葉の意図をくみ取る力など、業務を問題なくこなすために必要な基礎学力があるか確認されます。
一方で、転職時の適性検査には、社会人経験者を通じて培われた基礎学力や一般常識の程度を確かめる目的も含まれています。
新卒採用とは異なり、ある程度の社会人経験を持って入社することが前提となる中途採用では、一般的にマナーなどの基礎研修はおこなわれません。
したがって、すぐに実務に適応できる基礎能力を持っているかどうかは、中途採用をおこなううえで重要な要素となるのです。
2-3.人柄や性格を知るため
応募者のスキルだけでなく人柄や性格を把握するうえでも、適性検査は役立ちます。既存の従業員と良好な関係を築けるか、配属先で活躍できるかは、採用面接のような短時間かつ形式的な場だけでは判断できないためです。
2-4.検査結果をもとに面接をおこなうため
適性検査の結果をもとに選考時の面接内容を決める企業もあります。例えば、適性検査で気になった部分を深掘りする質問や、検査では確認しきれなかったことを尋ねる質問などです。
検査結果をもとに質問すると、面接時の回答や印象と検査結果にズレがないか確認できるため、応募者がどのような人物か見極めやすくなります。
3.適性検査が実施されるタイミング
就活では、一次面接の前か一次面接と同じ日に適性検査がおこなわれるのが一般的です。特に、応募者が多い企業では、結果をもとに面接へ進む人数を絞る目的で一次面接の前に実施することが多い傾向にあります。
一方で、転職時の適性検査が実施されるタイミングは企業によって異なります。書類選考と一次面接の間に実施する企業もあれば、最終面接後に選考の最終過程として実施する企業もあり、一概にはいえません。
適性検査は企業それぞれが効果的だと判断するタイミングで実施されるため、求人情報に記載されているかどうかを確認しておきましょう。
4.適性検査の受検形式
適性検査の受検形式には、主に以下の3種類があります。
- テストセンター
- 企業内での受検
- Webテスト
テストセンターとは、全国にある適性検査を受けられる会場で受検する形式のことです。企業が指定した期間内にテストセンターを予約し、検査当日は会場に設置されているパソコンで受検します。
企業内での受検形式は、パソコンによる受検と筆記の2パターンがあります。筆記がマークシート形式の場合は、回答欄がずれないよう注意しましょう。
Webテストは、自宅や大学のパソコンを使用して適性検査を受ける形式です。指定された期間内であれば、都合に合わせて受検できます。ただし、期限が近づくにつれて回線が混み合う可能性があるため、早めの受検がおすすめです。
5.よく使われる適性検査の種類
適性検査の種類はさまざまであり、企業によって実施する検査が異なります。よく使われる代表的な9種類の検査内容を、以下の表にまとめました。
検査の種類 | 能力検査 | 性格検査 |
---|---|---|
SPI3 | 〇 | 〇 |
玉手箱 | 〇 | 〇 |
TG-WEB | 〇 | 〇 |
CAB・GAB | 〇 | 〇 |
SCOA | 〇 | 〇 |
クレペリンテスト | 〇 | 〇 |
YG性格検査(YGPI) | × | 〇 |
CUBIC | 〇 | 〇 |
CPI | × | 〇 |
各検査の受検形式や内容を詳しく解説します。
5-1.SPI3
SPI3とは、リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査です。
受検形式は以下の4種類であり、それぞれ受検時間が異なります。
受検形式 | 受検方法 | 受検時間 |
---|---|---|
テストセンター | 専用会場のパソコンで受検 |
|
Webテスティング | 自宅や大学などのパソコンで受検 | |
インハウスCBT | 企業内のパソコンで受検 | |
ぺーパーテスト | 企業内や企業が指定する会場内で受検 |
|
能力検査は、言語では中高レベルの国語、非言語では中高レベルの数学の問題が出題されます。また、英語検査は中学〜大学受検レベルの問題が出題されます。
なお、構造的把握力検査は主に言語と非言語の問題が出題され、通常の能力検査よりも難易度はやや高めです。
5-2.玉手箱
玉手箱は日本エス・エイチ・エル株式会社が提供している適性検査であり、Webテストとテストセンターで受検できます。
玉手箱の受検科目は能力検査と性格検査に分かれており、能力検査は「言語」「計数」「英語」の3種類があります。
能力検査の問題形式と受検時間は以下のとおりです。
内容 | 問題形式と受検時間 |
---|---|
言語 |
|
計数 |
|
英語 |
|
玉手箱の特徴は、言語や計数、英語は1種類の問題形式のみ出題されることです。例えば、言語の1問目が論理的読解であった場合は、最後まで論理的読解の問題しか出題されません。
玉手箱の性格検査は「性格」と「意欲」に分かれています。さらに、性格検査は本格版と簡易版があり、どちらが実施されるかによって受検時間が異なります。
5-3.TG-WEB
TG-WEBとは、株式会社ヒューマネージが開発した適性検査です。受検形式は、Webテスト、テストセンター、マークシート式の他に、オンラインAI監視型Webテストである「TG-WEB eye」があります。
TG-WEBの能力検査は、他の適性検査ではあまり見かけない問題も出題され、難易度が高いです。さらに、言語と非言語には従来型と新型があり、従来型のほうが難易度が高い傾向があります。
能力検査の内容と受検時間は以下のとおりです。
内容 | 受検時間 |
---|---|
言語 |
|
非言語 |
|
英語 |
|
TG-WEBの性格検査は7種類あり、それぞれ受検時間が異なります。どの検査が実施されるかは企業によってさまざまです。
5-4.CAB・GAB
CABとGABはどちらも日本エス・エイチ・エル株式会社が提供している適性検査ですが、以下の違いがあります。
- CAB:主にIT関連職の適性診断に使われる
- GAB:主に新卒総合職の採用時に使われる
CABとGABの受検形式や内容は、以下のとおりです。
適性検査名 | 受検形式 | 内容 |
---|---|---|
CAB | Webテスト、マークシート式 | 暗算、法則性、命令表、暗号、性格検査 |
GAB | Webテスト、テストセンター、マークシート式 | 言語、計数、英語、性格検査 |
なお、制限時間は受検形式によって異なります。例えば、WebテストでGABの言語を受検すると25分間で52問が出題されますが、テストセンターで言語を受検すると15分間で32問を解くことになります。
5-5.SCOA
SCOAは株式会社日本経営協会総合研究所が開発した「知」「情」「意」の3つの側面から応募者をとらえる適性検査です。
受検形式はWebテスト、テストセンター、マークシート式、そしてオンライン監督官のもと自由な場所でWeb受検ができるSCOA cross方式があります。
SCOAは5種類あり、能力検査と性格検査に分けると以下のとおりです。
検査の種類 | SCOAの種類 | 受検時間 |
---|---|---|
能力検査 | SCOA-A | 45〜60分 |
SCOA-F | 50〜65分 | |
SCOA-i | 20分 | |
SCOA-C | 50分 | |
性格検査 | SCOA-B | 35分 |
上記の能力検査のどれかとSCOA-Bを組み合わせて出題されるのが一般的です。
SCOA-Aは他の適性検査と異なり、中高レベルの理科や社会の問題も出題されます。また、SCOA-Cは事務職として働く能力があるかを測る際に役立ちます。
5-6.クレペリンテスト
クレペリンテスト(正式名称:内田クレペリン検査)は日本で開発された心理検査であり、株式会社日本・精神技術研究所が提供しています。
テストの内容は、一列に並んでいる一桁の数字の足し算を1分ごとに行を変えながらおこなうというものです。まず15分間おこない、5分間の休憩をはさんでから再度15分間同じように計算します。
なお、検査用紙を使った受検形式のみであり、Webテストはありません。
制限時間内の計算量や1分ごとの計算量の変化、計算ミスなどから応募者の能力面と性格・行動面の特徴を測定します。
5-7.YG性格検査(YGPI)
YG性格検査(YGPI)は、アメリカのジョイ・ギルフォードが考案した性格検査モデルをもとに、心理学者の矢田部達郎などによって日本人向けに再構成された性格検査です。
受検形式はWeb(約15分)と筆記(約30分)の2種類です。
YG性格検査(YGPI)は性格に関する設問が120問あり、「はい」「いいえ」「どちらでもない」から当てはまるものを選びます。
回答をもとに、応募者の性格特性を「抑うつ性」「活動性」「主観性」などの尺度を用いて測定します。測定結果から「調和的な思考を持つタイプ」「活動力や行動力があるタイプ」などに分類し、応募者の性格特性を客観的に理解することが可能です。
5-8.CUBIC
CUBICとは、株式会社エージーピーが開発した適性検査です。受検形式は、Webテストと筆記の2パターンです。
CUBICの能力検査は、「言語」「論理」「数理」「図形」「英語」の5つがあり、科目ごとに20の設問があります。
英語は基礎編のみですが、他の科目は基礎編、応用編、総合編に分かれており、企業が自由に科目と難易度を組み合わせることが可能です。検査の時間は科目と難易度によって異なります。
CUBICの性格検査は123問の設問があり、回答時間は約20分です。なお、CUBICの性格検査には、自分に合っていない回答を意図的に選ぶと見抜かれてしまう仕組みがあります。
5-9.CPI
CPIとは、カリフォルニア大学の心理学者であるゴーフ教授によって作成された性格検査です。大元であるカリフォルニアの検査には、設問数が434問の「CPI434」と260問の「CPI260」の2種類があります。
CPIは、対人関係における応募者の態度や行動の傾向などの把握に役立ちます。
6.適性検査に合格するには?具体的な対策
就活や転職時における適性検査は企業が自社に合いそうな応募者を絞り込んだり、応募者のキャリアや働き方を検討したりするうえで重要なデータとなります。
適性検査で実力を発揮できるよう、検査前には以下の対策を講じておきましょう。
6-1.出題される問題の形式を把握しておく
各適性検査の問題形式を把握しておくことは、適性検査対策として非常に重要です。出題形式を把握していないと、適性検査本番で焦ったり認識違いをしたりして、本来の能力を発揮できない恐れがあります。
適性検査の過去問題はWebサイトに掲載されているので、本番前に必ず目を通し、出題方法を理解しておきましょう。
例えば言語分野の場合、過去問題によく出てくる熟語の意味や反対語、類義語を覚える必要があります。日頃から本や新聞などを読み、文章を読むことに慣れておくのもおすすめです。
非言語分野は、過去問題によく出る公式やパターンを理解することが対策となります。また、わからない問題は無理に時間をかけて解こうとせず、解説を確認のうえ考え方を理解するようにして進めると効率的に対策できます。
6-2.性格検査ではありのままに回答する
性格検査では余計なことを考えず、素直に回答していきましょう。正解・不正解がない性格検査では、「どの回答ならよりよい評価を得られるか」と考え過ぎてしまう人もいます。
しかし、裏を読もうとしすぎて偽った回答をしていると、あとの回答と整合性がとれなくなり、意図しない結果を招くリスクがあります。
6-3.オンライン受検に慣れておく
近年の適性検査はWeb上での実施が多いため、オンライン受検に慣れておくことも重要です。インターネット接続やパソコンの使用設定を済ませておくのは大前提ですが、各適性検査の操作・受検方法を一通り把握し、慣れておきましょう。
操作・受検方法が独特の場合もあるため、適性検査本番が初見の状態だと焦ってしまうこともあります。
7.就活や転職時の適性検査に関するQ&A
最後に、就活や転職時の適性検査に関するよくある疑問と回答をご紹介します。以下と同様の疑問を抱いている人はぜひ参考にしてください。
7-1.中途採用でも適性検査は実施されますか?
中途採用の場合でも適性検査が実施されるケースはあります。ただし、企業や募集職種によって実施の有無は異なり、受検のタイミングも一概にはいえません。
そのため、応募先企業の募集要項を確認するか、人事担当者へ質問しておくようにしましょう。
7-2.適性検査に合格するコツはありますか?
適性検査の合格は事前準備がものをいいます。検査時は独特の緊張感もあるので、事前に出題スタイルや問題の傾向、時間配分などに慣れておくことが重要です。前述した3つの対策 を参考に、事前準備をしっかりおこないましょう。
7-3.適性検査の影響で採用されないことはありますか?
適性検査の結果によっては採用されない可能性もあります。適性検査は自社とのマッチング度合いを測る目的もあるため、自社の求める人物像ではないと判断されれば不合格となるでしょう。
ただし、たとえ不合格となっても、決してあなたのスキルや人格が否定されたわけではありません。あくまでも「応募先企業とは合わなかった」というだけなので、過度に落ち込まないようにしましょう。
7-4.適性検査に合格点に満たない人はどのような人ですか?
前提として、答えがある能力検査・言語分野・非言語分野については、不正解が多いと合格点を満たせません。
一方、性格検査では協調性を欠くような極端な回答をしたり、裏を考えすぎて全体を通して整合性がとれない結果になっていたりすると、合格点を満たすのが難しくなります。
例えば「自分が正しいと思ったらどのような手段でも貫き通す」という問いに「よく当てはまる」、「困難なことでも諦めずに取り組む」という問いに「まったく当てはまらない」などと答えていれば、チームワークに支障をもたらしてしまうのではないかと危惧されます。
7-5.適性検査に対しての苦手意識が強いです。克服方法はありますか?
適性検査の苦手意識を克服するには、とにかく慣れることが重要です。Webサイトなどから各適性検査の過去問題を入手して、繰り返し解くしかありません。
頭でイメージするのと実際に手と頭を動かして体験するのでは大きな違いがあります。短期間で完璧に克服するのは難しいかもしれませんが、「これだけ練習したから大丈夫」と自分で納得できるところまで繰り返し取り組んでいきましょう。
8.まとめ
適性検査には、応募者の基礎学力や業務遂行能力を確認する能力適性検査と、応募者の人柄や傾向を見極める性格適性検査があります。
適性検査の種類や受検形式、実施タイミングは企業によって異なります。そのため、実施される適性検査に関する情報を事前に確認しておくことが大切です。
受検当日に慌てずに済むよう、過去問題を解いたりオンライン受検時のパソコンの操作方法を確認したりといった対策をしておきましょう。
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