給与の前渡し制度とは?利用の流れや注意点を解説

※この記事は5分で読めます。
「給与の前渡し制度ってどういうもの?」
「前渡し制度を利用するメリットが知りたい」
など、給与の前渡し制度について気になっている方もいるでしょう。
給与の前渡し制度を使うことで、緊急でお金が必要になったときに、前倒しで給与を受けることができます。
今回は、給与の前渡し制度の概要、利用する流れやメリット・デメリット、注意点などを解説します。この記事を読めば、給与の前渡し制度の仕組みがよくわかり、ピンチのときにも柔軟に対応できるようになるでしょう。
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1.給与の前渡し制度とは?
まずは、給与の前渡し制度がどのような制度なのか、概要を見ていきましょう。
1-1.給与の前渡し制度の概要
給与の前渡し制度とは、社員が会社に申請することで、規定の給料日よりも早めに給与を受け取れる制度のことです。
近年は、採用力を高める一つの手段、また社員に安心感をもたらす福利厚生の一環として、給与の前渡し制度を導入する会社が増えてきました。
1-2.給与の前渡しが認められるケース
給与の前渡しについては、労働基準法第25条に記載があります。
(非常時払)
第二十五条 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
-
労働基準法 第二十五条(非常時払)|e-GOV法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049#Mp-At_25
上記のように、厚生労働省令で定める非常時に限り、会社は社員からの請求があれば、既往の労働分に対する給与の前渡しをおこなうよう定められています。
そのため、たとえ前渡し制度がない会社であっても、このような非常時においては、給与の前渡制度を利用できるようになっています。
2.給与の前渡し制度を利用する流れ
給与の前渡し制度を利用したいとき、どのような流れで申請をすれば良いのか確認しておきましょう。
- まずは直属の上司に相談する
- 前渡しの理由を正直に伝える
- 会社のルールに従って前渡しを受ける
それぞれの流れのポイントをお伝えします。
2-1.まずは直属の上司に相談する
給与の前渡しを希望するときは、まずは直属の上司に相談してみましょう。
そもそも前渡しが可能なのか、可能である場合はどのような手続きをするのか、あらかじめ知っておく必要があります。
誰に相談すべきかは、会社の規模によっても多少変わります。社員の少ない会社、社長との距離感が近い場合は、直接社長に相談できるかもしれません。
判断に迷うようであれば、直属の上司に相談のうえ、総務や経理を通して申請するのが望ましいでしょう。
2-2.前渡しの理由を正直に伝える
給与の前渡しを申請する際に、上司からその理由を聞かれたら、前渡しを希望する理由を正直に説明しましょう。
たとえ非常時であっても、金銭的に支障が出ていること、プライベートに関わる内容について説明するのは、抵抗感があるかもしれません。
しかし、本当の理由を隠せば、あとから話のつじつまが合わなくなる恐れがあります。
「何となく気まずいから」「詳細を話したくないから」などの理由で嘘の理由を伝えるのは、社内での自分自身の評判を落とすことにもなりかねません。
丁寧に状況を説明することで、緊急でお金が必要であると理解してもらえるはずです。
2-3.会社のルールに従って前渡しを受ける
給与の前渡し制度については、会社ごとにそのルールが異なります。
まずは、自社の制度の詳細を確認し、そのルールに従って前渡しの申請をしましょう。
前渡し制度がある会社なら担当者も慣れているため、スムーズに申請できるはずです。
3.給与の前渡し制度を利用するメリット
給与の前渡し制度には、以下のようなメリットがあります。
- 緊急時に現金を調達できる
- 利息がかからない
- 返済の方法を選べる
各メリットについてお伝えします。
3-1.緊急時に現金を調達できる
給与の前渡し制度の最大のメリットといえば、急に現金が必要になったときに、早めに給与の支払いを受けられることです。
給与の前渡し制度は正社員だけでなく、契約社員や派遣社員、パートやアルバイトでも利用できるため、緊急時の備えとして、制度を把握しておくべきです。
福利厚生として前渡し制度を用意している会社なら、非常時に限らず働いた分の給与を先に受け取れます。特に、転職したばかりでお金が足りないときには重宝する制度でしょう。
3-2.利息がかからない
給与の前渡しは、労働の対価を早めに受け取る行為です。
したがって、本来の給料日より前に給与を受け取っても、利息などは原則かかりません。
緊急時のお金の調達方法としては、カードローン、クレジットカードのキャッシングなどがありますが、これらを利用する際には利息がかかります。
無利息で現金を用意したいなら、給与の前渡し制度を利用しましょう。
3-3.返済の方法を選べる
給与の前渡しを受けたら、先に受け取った分をあとで返済する必要があります。
本来の給料日に給与が入っているのを確認したら、前渡しで借りた分を自分で返済しましょう。
会社によっては、前渡しの返済分を給与から差し引いて相殺するケースもあります。
この場合も、会社が勝手に相殺することはできません。会社と社員との間で合意があった場合のみ、給与と前渡し分を差し引きできるようになります。
4.給与の前渡し制度を利用するデメリット
給与の前渡し制度を利用する場合は、以下のデメリットについても把握しておきましょう。
- 入金までに多少の時間がかかる
- 収入のサイクルが乱れる
それぞれ確認していきましょう。
4-1.入金までに多少の時間がかかる
前渡しについて上司に相談したあと、その申請が通って現金が手に入るまでには多少の時間がかかります。
会社の規模やシステムによりますが、早くても2~3日程度はかかると理解しておきましょう。
タイミングによっては、銀行の振り込み反映が翌営業日になるケースもあります。現金が急に必要になったら、1日でも早めに申請することが肝心です。
4-2.収入のサイクルが乱れる
給与の前渡しは便利な制度ですが、収入のサイクルが狂いやすい点に注意が必要です。たとえ前渡しを受けても、全体として収入が増えるわけではありません。
給与を早めに受け取ることで、かえってお金のやりくりが難しくなる場合もあります。前渡しを申請してすぐに使い切ってしまえば、そのあとの生活が苦しくなるでしょう。
前渡しを利用するなら、今後に支障が出ないように、計画的にお金を使う必要があります。
5.給与の前渡し制度を利用する際の注意点
給与の前渡し制度を利用する際に失敗しないため、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 非常時以外は会社が応じる義務はない
- 給与の「前借り」はできない
- 振込手数料の負担を求められることがある
- 回数制限が設けられていることがある
- 派遣社員は派遣元に相談する
それぞれの注意点についてお伝えします。
5-1.非常時以外は会社が応じる義務はない
前述したとおり、法律で定められている前渡し制度は、非常時のみの利用に限定されます。
そのため、非常時と認められない場合、会社は原則として給与の前渡しに応じる義務はないことを把握しておきましょう。
ただし非常時でない場合でも、会社独自の判断で前渡しに応じてもらえることもあるため、もし迷ったら一度上司に相談してみることをおすすめします。
なお、相談したうえで前渡しの対応をしてもらっても、また次回も応じてもらえるとは限りません。前渡しを申請しても断られる可能性があることを知っておきましょう。
5-2.給与の「前借り」はできない
給与の「前借り」と聞くと、「今から働く分の給料を先に借りられる」というイメージを持つかもしれません。
しかし、企業がこれに対応した場合、労働基準法に抵触してしまいます。
法律上の給与の「前渡し」は、すでに働いた分の給与を先に渡すことです。働いていない分の給与を借りる「前借り」は原則NGであることを理解しておきましょう。
-
労働基準法第二章労働契約 第十七条|e-GOV法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
5-3.振込手数料の負担を求められることがある
給与の前渡しを受けるとき、振込手数料の負担を求められる場合があります。
月1回の給料日で給与の全額を受け取るならともかく、頻繁に前渡し制度を利用していると、その振込手数料の大きさは無視できません。
小さな金額ではありますが、会社側は積み重ねると大きな負担となるでしょう。
5-4.回数制限が設けられていることがある
給与の前渡し制度を利用するなら、その利用条件をよく確認しておきましょう。会社によりますが、利用回数が制限されている場合があるため注意が必要です。
利用回数以外にも、申請できる曜日や時間、支払いのタイミング、支払い上限などをチェックしましょう。
「勤務日数が足りていないので利用できない」というパターンもあるので十分に注意してください。前渡しを確実に利用したいなら、会社のルールを十分に把握したうえで、計画的に申請することが大切です。
5-5.派遣社員は派遣元に相談する
派遣社員の方は、直接雇用ではないため、派遣先の会社ではなく、派遣元の会社に相談しましょう。
派遣会社の多くは前渡し制度を取り入れていますが、利用する前に独自の制度がないか確認しておくことをおすすめします。
まずは派遣元の担当者に希望を伝え、責任者や経理担当者に話を通してもらいましょう。前渡し制度のある派遣会社であれば、比較的スムーズに話が進むはずです。
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7.まとめ
給与の前渡し制度を利用すれば、お金の心配をすることなく仕事に集中できるでしょう。
ただし、回数制限や振込手数料の負担など、会社によって前渡しのルールが異なる点に注意が必要です。
基本的には非常時のみ利用可能な前渡し制度ですが、福利厚生として前渡し制度を設けている会社もあります。
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