就職氷河期世代とは?受けた景気の影響や特徴を解説
※この記事は6分30秒で読めます。
「就職氷河期ってなに?」
「就職氷河期世代の特徴が知りたい」
など、就職氷河期世代に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
就職氷河期世代の方は、真面目でストイックに働くことができ、客観的な視点を持つ方が多いなどの特徴があります。
今回は、就職氷河期世代の概要や特徴、仕事を探すうえでのポイントなどを解説します。この記事を読めば就職氷河期世代の特徴がよくわかり、スムーズな就職・転職活動ができます。
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1.就職氷河期とは?
就職氷河期とは、1993年~2005年あたりの時期を指します。
バブルの崩壊とともに生じた不景気の影響により新卒就活が困難を極めたことを受けた言葉で、流行語大賞にもノミネートされるほどの社会問題となりました。
就職氷河期世代はいま何歳なのか、現在の就職市場とはどのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
1-1.就職氷河期世代の方の年齢
就職氷河期世代と呼ばれるのは、新卒で就職活動をおこなっていたタイミングが1990年代~2010年頃に該当する世代です。
メディアなどによって若干の幅はありますが、おおよそ1970年~1983年前後の方を指すことが多くなっています。現時点の年齢は35歳~55歳あたりです。
1-2.就職氷河期と現在の就活市場の違い
就職氷河期はバブル崩壊とともに生じ、長期間にわたり有効求人倍率が低迷しました。2004年から徐々に上昇傾向を見せるものの、2008年のリーマンショックを受けて再び急落します。
その後、2010年代は上昇傾向が続き、2019年の有効求人倍率は1.51倍でしたが、2020年と2021年には新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて1.12倍へ落ち込みました。
しかしそれでも、1倍を大きく下回っていた就職氷河期よりは高い水準でした。2022年以降は1.3倍前後を推移し、やや持ち直しつつある状況です。
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参照:厚生労働省 図表1-3-32 有効求人倍率と完全失業率の推移
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-03-32.html
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参照:厚生労働省 図14 有効求人倍率、新規求人倍率
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0214.html
2.就職氷河期世代が受けた景気の影響
就職氷河期世代の方は、企業の多くがバブル崩壊後の不景気を受けて新卒採用枠を減らした時期に就職活動をおこなう必要がありました。
そのため新卒での正社員就職が難しく、アルバイトやパートなどの非正規雇用で職をつなぐ方が続出。新卒での就職ができなかったことで、今でも安定した生活を送れず不安や悩みを抱えている方もいます。
就職氷河期世代の方々は「ロストジェネレーション」とも呼ばれ、本人だけでなく社会的な問題としても取り上げられています。
3.就職氷河期世代の方によくある特徴
若いときに困難な情勢を過ごしてきた就職氷河期世代の方のよくある特徴をご紹介します。自身に当てはまる場合は長所やアピールポイントとして活かせるため、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.仕事に対してストイックである
バブルの崩壊とともに、日本でも成果主義を取り入れる企業が増えました。そのため、就職氷河期世代は結果を出すためにストイックな姿勢で物事に取り組める方が多い傾向にあります。
また、新卒の採用枠が限られていた影響から、少数精鋭で動く流れが強まった世代でもあります。成果を最大化するためにコツコツと活動する働き方が定着しており、真面目で勤勉な印象を持たれやすい特徴があります。
3-2.柔軟な対応力がある
就職氷河期世代は、スマートフォンやインターネットなどの技術革新とともに青年~壮年期を過ごしています。そのため、多くの方はアナログ・デジタルのどちらにも対応できる柔軟さを持っています。
加えて、厳しい時代を乗り越えてきた経験から、環境の変化に対する適応力の高さが備わっている方も目立ちます。
3-3.客観的な視点を持っている
不安定な時代を生きてきた就職氷河期世代のなかには、客観的に物事を考える力を持つ方も多いといわれています。
自身のスキルや立ち位置を冷静に評価できるため、必要に応じて慎重な判断を下すことも得意です。全体を客観的にとらえられることから、責任感を持って働ける方も多い世代です。
3-4.仕事で活かせる資格を取得している
就職氷河期世代は正社員採用が難しかったことから、手に職をつけるという考え方が広く浸透した世代でもあります。そのため、スキルや知識を証明しようと積極的に資格を取得している方が多い点も特徴です。
運よく新卒で就職できた方でも、不安定な社会情勢のなか、会社の倒産やリストラに備えて働きながら資格を取得した方も多いでしょう。
こうした傾向は、社会情勢や自分の立ち位置を客観的にとらえ、ストイックに努力できる特徴にも結びついています。
3-5.倹約家の一面を持っている
堅実で身の丈に合った生活を送る考えが定着している点も、就職氷河期世代の特徴として取り上げられやすいポイントです。
非正規雇用で長く働いてきた方が多く、正社員と比べて年収が限られているため、慎重にお金の使い道を考えられます。
また、正社員雇用の機会に恵まれた方でも、人件費削減のために年功序列などの昇給制度が廃止されたなどの理由で倹約志向が強いといわれています。
4.就職氷河期世代の方のネガティブな一面
一方、就職氷河期世代の方々には、その世代特有のネガティブな一面があるともいわれています。すべての方に当てはまる内容ではありませんが、以下のような傾向があることを知っておきましょう。
4-1.心身が安定していない方がいる
就職氷河期世代のなかには、就業や労働に関する悩みやトラブルが原因で心身の不調を抱えている方もいます。努力をしても正社員になれなかった挫折感や、その後の不安定な雇用と収入が一因です。
また、無事に正社員として就職できたとしても、景気の悪化を受けてリストラや倒産の不安を抱え続けてきています。実際に仕事を失ってしまったという方も珍しくありません。
程度にもよりますが、心身の状態が仕事や日常生活に支障をきたしている場合は、家族や医療機関、第三者によるサポートが必要になります。
4-2.引きこもりがちな方がいる
政府の調査結果によると、満40歳~満64歳でひきこもり状態になっている方は全国に61.3万人いると推計されています。
このなかには、就職活動がうまくいかず、そのまま引きこもりがちになってしまった就職氷河期世代の方も含まれています。
一度引きこもりがちになってしまうと、その期間が長いほど自力での社会復帰が難しくなる傾向があることもわかっています。
4-3.転職回数が多い方がいる
就職氷河期世代のなかには、正社員になれずフリーターとしてさまざまな仕事を転々としてきた方も少なくありません。
多様な働き方や仕事を通じて、柔軟な対応力や幅広い知識が身についたという方もいるでしょう。反面、深い知識や専門性の高いスキルは習得できず、キャリアの形成に困難を感じている方もいます。
転職回数の多さをネガティブにとらえるのではなく、長所として活かせるように工夫することが大切です。
5.就職氷河期世代に残る社会問題
就職氷河期世代のなかには、現在も就労や生活面での苦労が続いている方もいます。また、その問題は社会全体にも影響をおよぼしているといわれており、当事者以外の方々にも周知が必要な状況です。
5-1.非正規雇用の方の割合が高い
就職氷河期世代は、新卒で正社員として働き始めた方の割合が他の世代よりも低い世代です。
大卒では平年より10%以上も就業率が低下し、高卒でも7%ほど減少しています。そのため、正社員を諦め、非正規雇用で仕事をつなぐ方が多くなりました。
就職氷河期世代の方が30代前後のときの正規雇用比率は、それ以前の世代よりも10%程度低迷していました。そのため、中途採用で正社員雇用を目指すことも難しいという状況でした。
キャリア形成ができないことで、現在も非正規雇用で働かざるを得ない方もいます。
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参照:内閣府 第2-2-2図 新卒就職率の推移
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/0207nk/n19_2_2.html#n19_2_2_1
5-2.他の世代と比べて年収が低い
アルバイトやパート、派遣社員などの非正規雇用は、正社員よりも年収が低めの傾向にあります。
また、正社員で就職できた場合でも、平均給与および対前年伸び率の推移はバブルが崩壊した1993年を境に鈍化しました。そのため、長く働き続けても年収は上がりにくく、他の世代と比べてライフイベントに必要な資金の確保が難しいといった問題を抱えています。
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参照:国税庁 (第6表)給与総額及び平均給与
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan1997/menu/03.htm
6.就職氷河期世代向けの支援プログラム
令和元年から内閣官房が主軸となり、「就職氷河期世代支援プログラム」が実施されています。対象は、正社員で働くことを希望しているにも関わらず非正規雇用や無職の状態となっている就職氷河期世代の方々です。
スタートから3年間を「集中取り組み期間」と定めていましたが、その後も第二ステージとして支援の継続が公表されました。
このプログラムの相談窓口はハローワークに設置されています。専門の担当者による伴走型の支援で、職業訓練を受けたり仕事の紹介を受けたりできます。一人ひとりに寄り添うサポートを目標に掲げ、コンサルタントの増員なども実施計画しています。
7.就職氷河期世代が正社員として安定的に働くために
さまざまな苦労をしてきた就職氷河期世代の方々が自信を持って安定的に働くためには、意識を前向きに転換し、正社員雇用獲得のために積極的に行動する意識が求められます。
そのために具体的に心がけるべきポイントをご紹介します。
7-1.自分のことを過小評価しない
就職氷河期世代が持つ特徴を短所ととらえてしまうと、自分自身を過小評価することにつながってしまいます。しかし、視点や考え方を変えれば、就職氷河期世代だからこその強みとして活かせる部分もあるでしょう。
例えば、非正規雇用の期間が長い、転職回数が多いなどのネガティブ要素は、環境の変化にも柔軟に対応できる、逆境にもくじけない粘り強さがあるなどの前向きな評価に置き換えることが可能です。
自分のことを過小評価せず、これまでの経験から得たさまざまな強みを見出してみてください。
7-2.資格や経験を活かせる企業を探す
将来に備えて取得した資格や積み重ねてきた経験があれば、それを最大限に活かせる企業に絞って仕事を探してみましょう。自身のスキルと企業のニーズをマッチングさせられれば、即戦力として活躍できる可能性もあります。
そのためには、まず自己分析をおこない、自分自身のことを正しく理解することが重要です。その結果を踏まえたうえで、どのような企業なら活躍の場があるのかを具体的に考えていきましょう。
以下の記事では自己分析について詳しく解説しています。併せてご覧ください。
7-3.就職氷河期世代向けの求人を探す
就職氷河期世代の方が仕事を探す場合は、「ミドル層向け」や「40代歓迎」の記載がある求人を中心に選ぶことをおすすめします。
仕事を探す際は、自分が働きたい気持ちだけではなく、企業が求める人材とのマッチングも意識することが大切です。
例えば、20代前半の若者を採用したいと考えている企業に40代の方が応募しても採用はされません。逆に、腰を据えて働ける人材を求めている企業なら採用のハードルは下がるでしょう。
7-4.キャリア相談をしながら仕事を探す
自分の力だけで仕事を見つけることもできますが、一人で求人情報を集めたり、書類作成や面接対策などをおこなったりするのは難しいものです。
スムーズに就職や転職を成功させたいなら、専門家によるキャリア相談を利用してみましょう。
JOBPALでは、経験豊富なキャリアパートナーによるサポート体制を整えています。対面またはオンライン面談のほか、メールやLINEでの相談も可能です。ぜひご活用ください。
8.まとめ
就職氷河期世代は、バブル崩壊後の景気が悪い時代に就職活動をおこなう必要のあった世代を指す言葉です。就職率の低下だけでなく、不安定な雇用や年収が上がりづらいといったマイナスの影響も受けています。
しかし、困難な状況でも粘り強く努力ができる、環境の変化に柔軟に対応できるといった強みを持っている点も就職氷河期世代の特徴です。自身の強みを見つけ、その強みを活かせる職場を探してみてください。
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