転職の面接で年収交渉をするのはNG?注意点や上手な切り出し方
※この記事は6分30秒で読めます。
「面接で年収交渉ってしても良いの?」
「年収交渉をどうやって切り出すかわからない」
など、年収の交渉方法に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
年収を含めた待遇は転職希望者にとって重要なポイントであり、年収を交渉すること自体はNGではありません。ただし、交渉するタイミングや聞き出し方が悪いと、面接官に悪印象を与えてしまう可能性もあります。
今回は、年収交渉の概要、よくある失敗例、年収交渉前にやっておくべきことなどを解説します。この記事を読めば年収交渉のことがよくわかり、ご自身の転職活動に活かせるようになります。
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1.転職の面接で年収交渉をするのはNG?
年収の交渉について、「マナー違反ではないのか?」「交渉したら面接結果に影響があるのでは?」とお悩みの人もいるでしょう。
結論からいってしまうと、年収交渉はマナー違反ではなく、ただちに審査結果に影響があるわけではありません。企業から提示された年収が明らかに自分の希望やスキルと乖離している場合は、しっかりと希望の待遇を伝えるべきです。希望した年収に満たないまま働き、モチベーションが上がらずにすぐ退職してしまうほうが、企業にとってはマイナスでしょう。
ただし、交渉の仕方や切り出し方が雑だったり、募集内容に書かれている年収より大幅に高い年収を希望したりすることは、マナー違反ととらえられる場合があります。また、待遇を決定する権利は企業にあるということを忘れてはいけません。
年収を交渉したとしても、そのとおりの年収で雇用されるかはわかりません。日本では「給与は転職先の規定に合わせる」という意識が強く、現在でもその考えを持つ企業は決して少なくありません。
2.よくある年収交渉の失敗例4つ
就職・転職で年収の交渉をおこなうことはマナー違反ではないとはいえ、伝え方が悪かったりタイミングが悪かったりすると、担当者に悪印象を与えてしまう可能性があります。ここでは、面接の場でやってしまいがちな年収交渉の失敗例を解説します。
2-1.募集内容に記載されている年収より高い金額を伝えた
企業が提示している年収モデルがあった場合、それよりも明らかに高い金額を希望することはマナー違反にあたります。
企業が絶対に欲しい人材である場合、特例的に相場よりも高い年収で雇用される場合もないとはいえませんが、基本的に企業は限られた人件費のなかで優秀な人材を探しています。
自分が希望する年収が企業の提示額を超えている場合、「その年収だと難しい」と断られてしまうかもしれません。
2-2.スキルに見合わず根拠のない額を提示した
自身のスキルに見合わない金額を提示すると、面接結果に悪影響を与える場合があります。
例えば未経験の業種・職種への転職の場合、それまでのスキルがまったく通用しないことも多く、前職よりも低い年収が提示されることも少なくありません。そこを考慮せず経験者と同等の年収を希望してしまうと、「スキルと年収がマッチしていない」と判断されて面接結果に影響する可能性もあります。
2-3.希望年収など待遇面の話ばかりした
面接で年収の話が出なかった場合、逆質問で待遇の話を聞くことは不自然ではありません。ただし、「年収は〇万円を希望します」「ボーナスはいくらですか?」「退職金規定は?」と待遇面ばかり質問することは避けるべきです。
企業への関心ではなく年収だけに重点を置いた転職だと判断されてしまい、採用が遠のくことも考えられます。逆質問では待遇ばかりではなく、仕事の実務に関係する話を中心に進めましょう。
逆質問で伝えるべき内容は以下の記事でご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
2-4.前職の年収を偽って伝えた
転職活動の面接では、前職の年収や待遇を採用担当者から聞かれることがあります。ここで、故意に前職の年収を水増しして答えることはしないように気をつけましょう。なぜなら、転職後に源泉徴収票の提出を求められた場合、申告した年収と乖離があることが企業に伝わってしまうためです。
虚偽がバレてしまうと企業に不信感を与え、場合によっては虚偽申告をしたとして解雇される可能性も考えられます。
3.転職の面接で年収交渉をする前にやっておくべきこと
転職活動で年収交渉をする際は、相手に悪印象を与えないためにも事前準備は徹底しておこないましょう。
3-1.募集内容に記載された年収を確認する
応募企業の平均給与や年収などの情報を確認しておきましょう。多くの場合、募集要項に雇用後の給与体系や年収のモデルケースが書かれています。自分が希望する年収に近いかどうかをハッキリさせ、内定を受けるかを判断する材料にしましょう。
また、募集内容に記載されている年収を根拠に希望年収を伝えることで、企業としても希望年収の実現を前向きに検討することができるでしょう。
3-2.経験者優遇や未経験者歓迎などの募集基準を確認する
応募した仕事の経験やスキルを持っているかどうかでも希望年収は変わります。
経験者優遇を打ち出している企業であれば募集内容に書かれた年収を提示しても通る可能性が高いですが、経験者優遇なのに未経験で応募しても同じ年収では採用されないこともあります。
未経験者歓迎などの記載があれば、募集内容に書かれた年収を希望年収として伝えても問題はありません。
3-3.自分の市場価値を把握する
年収交渉をする前に自分の市場価値を把握し、今の年齢やスキルだとどれくらいの年収が妥当なのかを知っておく必要があります。業界や職種、自身のスキルや経験に見合う平均年収より高い金額を希望すると、採用は難しくなるでしょう。
自分の市場価値を知るには、転職サイトや転職エージェントなどの転職サービスを利用する方法があります、紹介される案件を見れば、自身の年収相場が大体どれくらいなのかを把握することが可能です。
3-4.応募する業界の平均年収を確認する
前職の業界のほうが転職希望先の業界よりも年収相場が高いケースでは、今の自分の年収と転職先の年収に大きな差が生まれる可能性もあります。そのようなミスマッチを防ぐためにも、応募する業界・業種の平均年収を調べておきましょう。
あくまで参考にしかなりませんが、インターネット上には口コミサイトなどがあり、年収を公開しているケースもあります。また、企業サイトであればおおよその年収目安が書かれているケースも多いので、参考にすることも可能です。
4.給与交渉の基準とは?
給与交渉の際は、最初に企業側から年収の目安を提示されることが一般的です。この際、企業はどのような基準で年収を決めているのかをご紹介します。
4-1.前職を考慮した年収
もっとも多いと考えられるのは、前職を考慮した年収を基準とする企業です。その場合、面接で前職の待遇を細かく聞かれることになります。例えば、前職が同じ職種で年収500万円だった場合、それを下回らないようにするなどがよくあるパターンです。ただし、前職の年収が転職希望先の業界の年収相場と大きく乖離する場合、希望が叶わないケースもあります。
4-2.スキルや実績を考慮した年収
応募職種に必要なスキルや実績を持っていれば、年収交渉ではその点が加味されます。現職の年収に資格やスキル分を上積みした金額が提示されることもあるでしょう。
経験者や有資格者優遇の求人であれば、未経験で転職する同期よりも高い年収が提示される場合もあります。スキルが不十分だと前職よりも年収が低くなるケースもあるので注意が必要です。
4-3.他社から提示された年収
採用したい人材である場合に限りますが、その人材が他社からオファーされた金額を考慮し、それを上回るような年収で採用を実現しようとすることもあります。
競合他社を下回る金額を提示したがために優秀な人材が他社に入社するということは、企業としても避けたいものです。転職希望者の市場価値を見極めたうえで、競合他社に負けない金額を提示されることもあります。
4-4.自社の給与テーブルによる年収
自社で基準としている給与テーブルがあり、そこに合わせて年収を決めるケースです。給与テーブルは給与を算定する基準となるもので、入社の年数・年齢・役職などで階級が決まります。
転職では給与テーブルをもとにした金額をベースに、面接で把握した本人の期待値が盛り込まれた金額になる場合もあります。
5.転職の面接時における年収交渉の切り出し方
年収の交渉を切り出すには、適したタイミングを選ぶ必要があります。年収を交渉するベストタイミングとして考えられるのは、大きく分けて以下の3つです。
- 採用担当者から希望年収を聞かれたとき
- 2次面接・最終面接のとき
- 内定後に実施される面談のとき
具体的にどのように給与交渉をすべきかは、未経験職種なのか経験職種なのかでも異なります。
5-1.未経験職種に転職するとき
未経験職種の場合、入社後しばらくは会社に勉強させてもらう立場であり、強気の給与交渉はしないほうが無難です。ただし、業界や職種が未経験でも前職の経験が活かせるのであれば、それを材料に交渉することはできます。
【未経験で年収を聞く例文】
自分:本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。 最後に、あらためて御社の給与体系を伺ってもよろしいでしょうか?
面接官:当社ではこれまでのご経験や年齢などを加味して給与を決めています。
自分:私の年齢やスキルでは、どのくらいの給与額になりますか?
面接官:〇〇さんは業界未経験ということですので、月収としては20万円からのスタートになります。
自分:ありがとうございます。 前職の月収が23万円だったのですが、もし内定をいただけるようでしたら、月収を前職と同額に揃えていただくことは可能でしょうか?前職は小売業として現場での接客を多数経験しており、御社の営業としてもコミュニケーション能力を活かせると考えております。
誠に勝手なお願いではありますが、ご検討いただけましたら幸いです。
5-2.経験職種に転職するとき
経験職種であれば、年収交渉の際に「即戦力になること」「経験を業務に活かせること」をアピールしたうえで年収交渉に臨みましょう。
強い希望がない場合は、「御社の規定に従いますが、私の経験・スキルへの評価をもとに決めて頂けたら幸いです。」という伝え方が良いでしょう。明確に希望する年収がある場合は、希望年収の金額と希望する根拠をアピールします。
【経験職種で年収交渉する際の例文】
自分:本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。最後に、あらためて御社の給与体系を伺ってもよろしいでしょうか?
面接官:当社ではこれまでのご経験や年齢などを加味して給与を決めています。年収に関して希望はありますか?
自分:御社の規定に従いますが、現職の年収が500万円だったため、可能であれば年収500万円程度を希望します。誠に勝手なお願いではありますが、ご検討いただけると幸いです。
経験者だとしても、自身のスキルの市場価値を調べないまま「年収100万円アップを希望します」といった交渉をするのはNGです。
6.転職の面接で年収交渉をするときの注意点
面談においては、年収だけにこだわり過ぎた会話にならないよう注意が必要です。一次面接の段階でいきなり自分から年収の話をしたり、一方的に希望を押し付けたりするのは避けてください。
待遇だけを気にしているという印象になり、面接の結果に悪影響を与えてしまいます。年収の交渉は二次面接か最終面接のタイミングで、面接官から希望年収の話を振られたら話し始めるのがベストです。
もし面接官から話が出ない場合は、「最後の質問」などの場面まで待遇面の話はしないでおきましょう。
また、年収交渉をする際は、誠実に前職の年収を伝えることが第一です。前職の給与を上乗せして申告しても、源泉徴収票などを確認すれば虚偽の申告がバレます。絶対にやめましょう。
年収の交渉は、自身のスキル・希望を加味した年収を伝えることが大切です。
7.まとめ
年収交渉をすること自体はまったく問題ありません。自身のスキルや相場と明らかに合わない金額が提示された場合、根拠を持ってしっかりと交渉をしましょう。
ただし、年収や待遇のことばかりを質問するのは避けるべきです。「仕事よりも待遇ばかり気にしている」と判断されると、面接結果に悪影響を及ぼすことが考えられます。二次面接以降や最終面接など、面接官の側から年収の話が出てから交渉を始めるのがベストです。
交渉の際は単なる希望や自分の都合ばかりでなく、業界の相場や前職の年収などの根拠を持って臨むようにしましょう。
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