派遣の契約・待遇
更新日:2024年04月01日

派遣社員も育児休暇(育休)の取得は可能?期間や取得条件などを解説

派遣社員も育児休暇(育休)の取得は可能?期間や取得条件などを解説

※この記事は6分30秒で読めます。

「派遣社員でも育児休暇は取得できるの?」
「育児休暇(育休)と産休との違いは?」
など、派遣社員の育児休暇に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

派遣社員であっても、育児休暇の取得は可能です。そのため、現在妊娠中の方や今後妊娠が考えられる方は、詳細を把握しておくことをおすすめします。

今回は、派遣社員の育児休暇の概要、必ず取得しなければいけないのか、取得の条件、復帰までの流れ、取得中の給料などについて解説します。この記事を読めば、派遣社員の育児休暇についてよくわかり、安心して出産、子育てに向けた準備ができます。

1.派遣社員も育児休暇(育休)を取得できる

派遣社員も正社員と同様、一定条件を満たすことで男女ともに育児休暇の取得が認められます。育児休暇は労働者に与えられた平等な権利ですので、派遣社員だからといって取得できないことはありません。

「育児休暇を取得することで、契約を更新してもらえなくなるのでは?」と不安になる方もいるかもしれませんが、心配は無用です。

育児休暇を理由に、会社が労働者へ不利益な扱いをすることは、育児・介護休業法により禁止されています(男女雇用機会均等法第9条第3項、第4項、育児・介護休業法第10条)。

ただし、休業するという点においては派遣会社や就業中の派遣先企業への配慮が必要です。育児休暇は法律で保障されているものではありますが、自分本位な行動は避け、周囲にかかる負担を最小限に抑えるようにしましょう。

具体的には、出産予定日が確定したらなるべく早期に派遣会社へ報告することなどが考えられます。

あなたが育児休暇を取得するということは、代わりの派遣人員を確保しなければならないということです。報告が早ければ早いほど、派遣会社や派遣先企業は余裕をもって備えることができます。

また、妊娠中は体調が不安定になるため、仕事を休む必要が出てくる可能性もあります。その点からも、現状報告や育児休暇の取得手続きは迅速におこなったほうが良いでしょう。

2.育児休暇(育休)と産休との違い

育児休暇(育休)と似た名称の制度として、「産休」もありますが、両者はまったく別の制度です。ここでは、育児休暇の期間や産休との違いをご紹介します。

2-1.育児休暇(育休)は原則1年間

育児休暇の期間は、原則1年間まで(子どもが1歳を迎える前日まで)です。雇用形態による変動はなく、派遣社員でも一定の条件を満たしたうえで申請すれば同じ期間の取得が可能です。

なお、子どもが1歳を迎える時点で保育園への入園希望が叶わないなどの事情がある場合は、1歳6ヵ月を迎える日まで育児休暇の延長が認められています。1歳6ヵ月を迎える時点でもまだ状況が変わらない場合は、2歳を迎える前日までさらに延長が可能です。

2-2.産休は女性のみ6週間前から取得可能

産休は正式名称を「産前産後休業」といい、出産前と出産後の休業を合わせた休業です。育児休暇と異なり、対象は女性限定で、派遣社員も就業期間に関わらず取得できます。

産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から本人の申請により取得可能です。一方、産後休業は出産から8週間の休業が義務付けられています。

ただし、医師の許可が得た場合に限り、産後6週間経過後から復職が認められます。

3.育児休暇(育休)は必ず取得しないといけない?

育児休暇の取得は法律で定められており、就業規則に記載がなかったとしても取得することは可能です。一方、「絶対に取得しなければいけない」というわけではなく、あくまでも労働者の任意で取得することになります。

とはいえ、子育てをする女性にとって育休の取得は実質的に必要な制度といえます。実際、生命保険文化センターの調査によれば、2022(令和4)年度の育児休業(育休)取得率は、女性で80.2%、男性で17.1%となっています。

男性の育休取得率は徐々に上昇しているものの、まだ取得率が20%未満なのが現状です。

2022年10月には産後パパ育休制度が新設され、子どもの出生後8週間以内に4週間(28日)まで取得可能に、また分割取得も2回まで可能になるなど制度面の改善がみられており、いずれ男性の育休取得も必須といわれる日がくるかもしれません。

4.派遣社員が育児休暇(育休)を取得するための条件

これまで、派遣社員が育児休暇を取得するには以下の条件を満たす必要がありました。

  • 同じ派遣会社に継続して1年以上在籍していること
  • 子どもが1歳6ヵ月を迎える日までに、現状の雇用契約または更新後の雇用契約の期間が満了することが明らかになっていないこと

しかし、令和3年に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日から以下の段階的に施行されています。

    ■令和4年10月1日~

  • 産後パパ育休(出生時育児休業)創設
  • 1歳までの育児休業が2分割で取得可能
  • 1歳以降の休業開始日が柔軟化(両親が交代で取得できるよう配慮)
  • 1歳以降、特別な事情がある場合は再取得可能

5.派遣社員の育児休暇(育休)が延長される条件

派遣社員が育児休暇を延長できる制度に「パパ・ママ育休プラス」があります。

パパ・ママ育休プラスは、両親ともに育児休暇を取得することを前提に、子どもが1歳2ヵ月を迎えるまで休業期間を延長できる仕組みです。パパ・ママ育休プラスの適用条件は以下のとおりとなります。

  • 子どもが1歳を迎える前日までに、男性が育児休暇(産後パパ育休を含む)を取得していること
  • 女性の育児休暇の開始予定日が、子どもが1歳を迎える前であること
  • 女性の育児休暇の開始予定日が、男性の育児休暇(産後パパ育休を含む)の初日以降であること

夫婦で同じ時期に育児休暇を取得し協力しながら育児に取り組む形でも、一人ずつ交代で取得する形でも問題ありません。

4月1日から女性が育児休業を取得するケースで、パパ・ママ育休プラスを取得するパターンとしては、以下のようなものがあります。

  • ママが産休明けから1年間(4月1日から翌年3月31日まで)にかけて育休を取得し、4月1日から2ヵ月間の育休をパパが取得する
  • ママが産休明けから1年間(4月1日から翌年3月31日まで)にかけて育休を取得し、パパは年度の途中から翌年の5月31日までの育休を取得する→育休はパパとママが同時取得もOK
  • ママが4月1日から7月31日まで育休を取得し、パパは9月1日から翌年の5月31日まで育休を取得する→合計で1年6ヵ月に収まるなら、連続せずバラバラに取得してもOK

上記の例では、育休を取得できる期間は「パパとママの合計で1年2ヵ月まで」です。要件を満たせば、パパとママの育休が重なっても離れていてもパパ・ママ育休プラスを利用できます。

ただし、パパ・ママ育休プラスであっても、夫婦それぞれが取得できる休業期間の上限は原則1年です。夫婦が揃って1年2ヵ月間休業できるわけではない点に注意が必要です。

6.派遣社員が育児休暇(育休)を取得する流れ

派遣社員が育児休暇(育休)を取得する場合には以下の2パターンが考えられます。

  • 派遣会社に申し出て育休期間に入る
  • 育休の延長を申請する

上記2パターンの流れをまとめると以下のとおりです。

6-1.派遣会社に申し出て育休を取得する流れ

派遣会社に申し出て育休を取得する流れを3STEPで確認していきましょう。

6-1-1.STEP1:派遣会社に育休取得を申し出る

育休を取得するには、1ヵ月以上前までに派遣会社に申し出る必要があります。女性の場合は産休の取得も申請することになりますが、産休から続けて育休に入るときは、産休と同時に申請しておくのがおすすめです。

実際に勤務している派遣先の会社には、派遣元の会社と相談のうえで報告・相談をすることになります。

6-1-2.STEP2:育休の期間に入る

育休期間に入ったあとは子育てに専念することになりますが、子育ての状況や周りのサポートの有無を考慮しつつ、復帰のタイミングや復帰後の仕事内容、勤務時間を派遣元と相談しておきましょう。

なお、両親で育休を取得する場合は、前述のパパ・ママ育休プラスの制度を利用できます。

6-1-3.STEP3:職場に復帰する

育休期間を終えれば職場への復帰が可能になります。

ただし、育休取得は派遣先ではなく派遣元から了承を得て取得しています。よって育休中に派遣先との契約がなくなっているケースもあり、育休から復帰した際に派遣先が変わる可能性もあります。

注意しなければならない点として、子どもを預けながら働く場合は今までと同じ働き方ができない可能性もあります。この場合、派遣会社と働き方を相談したうえで新しい派遣先を紹介してもらうことになります。

6-2.育休の延長を申請する流れ

保育所などによる保育が実施されないなどの理由によって子どもが1歳または1歳6ヵ月に達した日以後の期間も育休を取得する場合、子どもが1歳6ヵ月または2歳に達するまで育休の延長申請が可能です。

育休の延長の手続きに関する大まかな流れは以下のとおりです。

6-2-1.STEP1:自治体から入園不可の連絡が入る

自治体に保育園の入園申し込みをしたのにも関わらず、何らかの理由で申請が却下される場合があります。このときに受け取る「不承諾通知」が育休の延長には必要です。

6-2-2.STEP2:派遣会社に育休の延長を申請する

登録している派遣会社に育休の延長を申請します。育休の延長に必要な書類が送られてくるので、すべて正確に記入したうえで派遣会社に返送しましょう。

延長を申請する際は、以下の例文を参考に申請してみてください。

こんにちは。派遣社員の〇〇です。

このたびは、育児休業の延長をお願いしたく連絡いたしました。 娘は●月で1歳になりますが、近隣の保育園に空きがなく、入園することが叶いませんでした。

区の保育担当者に依頼し、次回●月での入園を目指しております。 子どもが保育園に通えない状態での復帰が難しく、ご理解をいただけますと幸いです。

満1歳のタイミングで仕事復帰できず、申し訳ございません。 引き続きご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

6-2-3.STEP3:延長の決定

派遣会社に申請書類が届くと確認がおこなわれ、問題なければ延長が決定されます。なお、育休は最長で2年間まで取得できますが、1年半の時点で再度延長の申請が必要になります。

7.育児休暇(育休)中の派遣の給料はどうなる?

派遣社員の場合、育児休暇中に給与は発生せず無給の扱いです。

しかし、一定の条件を満たす場合に限り、雇用保険から「育児休業給付金」を受給することが可能です。女性だけでなく男性も支給対象に含まれます。

    ■受給条件

  • 育児休暇の開始日以前の2年間のうち、被保険者期間が12ヵ月以上あること
  • 同じ派遣会社に継続して1年以上在籍していること
  • 子どもが1歳6ヵ月を迎えるまでに雇用契約が更新されないことが明らかになっていない こと
  • ■給付額

  • 休業開始時における月額賃金の67%(給付開始から180日経過後は50%)

8.派遣社員の育児休暇(育休)に関するQ&A

最後に、派遣社員の育児休暇(育休)について、よくある質問と回答をQ&A形式でまとめました。

8-1.育児休暇(育休)中にもらえる手当はありますか?

育休期間中は、ハローワークで申請することで育児休業給付金が受け取れます。雇用保険に1年以上加入しており、過去2年間のうち雇用保険に加入しながら11日以上働いた月が12ヵ月以上あることが条件です。

受け取れる金額は、育休の取得日数に対して給与(育休が開始された時点での賃金額)の50%です。育休取得時の給与が15万円であれば、7万5千円の育児休業給付金を受け取れます。

ただし、育休を開始してから180日目までは給与の67%を受け取れます。15万円の給与を得ていた人は10万500円を受け取れる計算です。

8-2.育児休暇(育休)明けの復職の際、注意すべきことはありますか?

育休が終了したとしても、子育てはそのあともずっと続きます。子どもの保育園までの送り迎えや通院などの予定を確認し、無理のない勤務日数・勤務時間になるようにしましょう。

また復職時は、派遣元の担当者や派遣先の企業の従業員に復職明けであることや仕事への熱意を伝える挨拶をして回りましょう。

8-3.企業独自の育児休暇(育休)にまつわる制度はどのようなものがありますか?

公的な給付である育児休業給付金に加え、企業によっては以下のような独自の給付・特別休暇を受けられる可能性があります。

    独自の給付・特別休暇の例

  • 出産予定日の1週間前から出産日の後1ヵ月以内、3労働日以内で適用される特別休暇
  • 配偶者の出産予定日の1週間前から育児休暇対象期間内に5日間の特別有給休暇付与
  • 子どもが1歳6ヵ月、または1歳を超える4月末までのどちらかの長い期間を対象にした育児休暇取得制度
  • 男性の育休として特別傷病休暇(育児事由)、配偶者出産休暇、有給休暇の半日取得
  • 育児休職の5営業日有給化・勤続年数への算入 など

独自の給付・休暇制度については、企業によって導入の有無や内容に違いがあります。気になる方は、登録している派遣会社に育休制度について問い合わせてみましょう。

9.まとめ

育児休暇は、派遣社員でも条件を満たせば取得が認められます。

男性にもパパ・ママ育児休暇プラスやパパ休暇などの制度が整えられており、今後はますます両親が育休を取得するケースが増えていくことでしょう。出産・育児と仕事を両立するためにも、制度を活用することをおすすめします。

妊娠中の方や今後妊娠の可能性がある方は、今一度詳細を確認し、必要なタイミングで迅速な手続きを心がけましょう。

JOBPALでは、幅広い業種・業界の求人情報を掲載しています。少しでも求人探しでお困りであれば、ぜひご活用ください。

関連記事

閉じる

エリアから工場・製造業の
お仕事・派遣情報を探す

STEP1 エリアを選択

  • 北海道・東北
  • 関東
  • 甲信越・北陸
  • 東海
  • 関西
  • 中国
  • 四国
  • 九州・沖縄

< エリア選択に戻る

閉じる
© 2022 UT Group Co., Ltd. All Rights Reserved.