派遣社員にも有給休暇はある?取得できる日数、休むときの流れやポイント
※この記事は6分30秒で読めます。
「派遣社員には有給休暇はあるの?」
「有給休暇を取得する際の流れは?スムーズな取得のコツは?」
など、派遣社員の有給休暇に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
派遣社員の有給休暇について、取得の可否や方法などを事前に知っておくと、ライフワークバランスをしっかり整えながら派遣の仕事に取り組めるようになります。
今回は、派遣社員は有給休暇を取得できるのか、取得の流れ、申請時のポイントなどを解説します。この記事を読めば、派遣社員の有給休暇のことがよくわかり、より自分らしく働けるようになります。
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1.派遣社員は有給休暇が取得できる
正社員であればほとんどの場合取得できる有給休暇ですが、派遣社員は取れないと思っている方も多いかもしれません。しかし、派遣社員でも有給休暇は取得できます。
派遣社員は2019年4月から年5日の有給休暇取得が義務化されているため、会社によって待遇が異なることはありません。
有給を使う際は、特に休む理由を述べる必要はありません。申請方法は派遣会社によっても異なりますが、派遣会社の担当者に伝えるか、専用に勤怠管理システムで申請をするのが一般的です。
1-1.有給休暇の取得条件
派遣社員でも、すべての人が有給休暇を取得できるというわけではなく、以下のような条件を満たす必要があります。
- 所定労働日数の8割以上出勤している
- 半年以上継続して勤務している
有給休暇を取得できるのは、この2つの条件を満たしたうえで、勤務し始めて6ヶ月経過後からとなります。
1-2.有給休暇の日数
派遣社員が有給休暇をどのぐらいの日数取得できるのかは、週の労働日数によって異なります。まずは、フルタイム労働者の付与日数を見てみましょう。
継続勤続年数 | 付与日数 |
---|---|
0.5年 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 16日 |
6.5年以上 | 20日 |
次に、「週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数です。
継続勤続年数 | 週の労働時間 | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 |
---|---|---|---|---|---|
年間の労働時間 | 48日~72日 | 73日~120日 | 121日~168日 | 169日~216日 | |
0.5年 | 付与日数 | 1日 | 3日 | 5日 | 7日 |
1.5年 | 2日 | 4日 | 6日 | 8日 | |
2.5年 | 2日 | 4日 | 6日 | 9日 | |
3.5年 | 2日 | 5日 | 8日 | 10日 | |
4.5年 | 3日 | 6日 | 9日 | 12日 | |
5.5年 | 3日 | 6日 | 10日 | 13日 | |
6.5年以上 | 3日 | 7日 | 11日 | 15日 |
-
出典:厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト」|労働者の方へ
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/roudousya.html
1-3.有給休暇の有効期限
有給休暇の取得条件がクリアできたら、次に注意したいのが有給休暇の有効期限です。有給休暇の期限は労働基準法第115条によって定められており、勤務開始半年後に発生し、2年で消滅します。
2022年4月1日に派遣社員になった方の有給休暇の有効期限は、以下のとおりです。
有給休暇の付与日 | 有給休暇の有効期限 |
---|---|
2022年10月1日に10日間の有給休暇が付与 | 2024年9月30日 |
2023年10月1日に11日間の有給休暇が付与 | 2025年9月30日 |
2024年10月1日に12日間の有給休暇が付与 | 2026年9月30日 |
ただし、勤務継続年数が6年半以上で、有給休暇の最大付与日数となる20日が付与されている場合、年5日の計画付与分を差し引いた15日分を翌年に繰り越すことができます。この場合、年間の有給休暇は最大保持日数である35日になる計算となります。
2.派遣社員が有給休暇を取得する際の流れ
有給休暇を取る際の一般的な流れは、以下のような流れとなります。
- 派遣会社に有給休暇取得の申請をする
- 派遣会社から派遣先企業に有給休暇について連絡がいく
- 派遣社員と派遣先企業で有給休暇の日程調整をおこなう
- 有給休暇の取得
ただし、この流れは派遣会社によって異なる場合もあるため、有給休暇を取得する際には派遣会社に手続きの流れを確認するようにしましょう。
ここからは流れごとの例や申請時に必要なもの、注意点などを解説します。
2-1.派遣会社に有給休暇取得の申請をする
有給休暇を取得する際には、派遣元にあたる派遣会社に対して「○月○日に有給休暇を取得します」といった取得申請をする必要があります。
派遣社員から派遣元への連絡は、メールでおこなわれることが多いようです。
【派遣元への有給休暇取得のメール例】
件名:有給休暇取得の件
本文:
○○課長
お疲れ様です。○○株式会社に派遣されている▲▲です。
このたび、私用で有給休暇を取得したくご連絡申し上げます。
有給取得期間:2023年7月18日~2023年7月20日(計3日)
なお、不在中の業務は同じ職場に派遣されている××さんが引き継ぎます。
ご不在中はご迷惑をおかけしますが、宜しくお願いいたします。
なお、有給休暇の取得理由は、派遣元にも派遣先にも伝える必要はありません。
2-2.派遣会社から派遣先企業に有給休暇について連絡がいく
派遣元の企業から派遣先の企業に、あなたが有給休暇の取得を希望していることについて連絡が入ります。事前に派遣先の上司・担当者に有給取得の連絡をしておけば、問題なく受理されるでしょう。
2-3.派遣社員と派遣先企業で有給休暇の日程調整をおこなう
派遣元から派遣先に有給休暇を取得する連絡がおこなわれたあと、派遣社員と派遣先企業の間で有給休暇の日程調整がおこなわれる場合があります。
原則として派遣先企業は、労働者の有給取得について拒否することはできません。
ただし、労働基準法では、企業側の権利として取得時期をずらす「時季変更権」が認められています。派遣社員が希望する日に休んでしまうと会社の正常な運営の妨げになるような場合、取得日を変更できる権利が派遣先側にある点に注意しましょう。
冠婚葬祭など自分で日程を変更できないものは仕方ありませんが、可能な限り派遣先の繁忙期を避けて有給休暇取得の申請をおこないましょう。
2-4.有給休暇の取得
派遣先企業と調整した日程で有給休暇を取得します。
3.派遣社員が有給休暇を取得する際のポイント
次に、実際に派遣社員が有給休暇を取る際に注意しておきたいポイントをご紹介します。
3-1.派遣会社に有給休暇を申請する
有給休暇を取得する際には、自分が直接契約している派遣会社(派遣元)に申請します。
業務のことを考えると、派遣先企業から許可を得るものと思ってしまうかもしれませんが、有給休暇を付与するのは派遣会社ですので間違えないようにしましょう。
3-2.就業先が変わっても有給休暇は引き継げる
有給休暇は、派遣会社(派遣元)から受けるものなので、仮に派遣先企業が変更になった場合でも日数を引き継ぐことができます。
ただし、自分が契約する派遣会社(派遣元)が変わった場合は、転職と同じく継続勤務日数がリセットされるため注意しましょう。
3-3.契約期間を更新しても継続勤務になる
派遣社員の場合、契約期間が6ヵ月未満で何度も契約を更新しながら働くこともあるでしょう。
雇用契約期間が6ヵ月未満であっても、契約を更新し、継続して6ヵ月を超えて勤務をすれば継続勤務としてカウントされ、条件を満たせば有給休暇が付与されます。
仮に次の派遣先が決まるまでに空白期間がある場合でも、1ヵ月を超えない程度であれば継続勤務があるものとして取り扱われます。
ただし、空白期間が1ヵ月を超えてくると継続勤務と認められない場合があり、その場合には有給休暇は付与されません。
4.派遣社員がスムーズに有給休暇を取得するためのコツ
有給休暇は、派遣社員も受けることができる権利です。とはいえ業務や手続きなどの都合があるので、申請時にはスムーズに休暇を取得するための配慮が必要です。ここから、派遣社員がスムーズに有給休暇を取得するためのコツを確認しておきましょう。
4-1.前もって取得時期を相談する
急な休みは、会社の業務に支障をきたす原因になります。基本的に有給休暇は当日や直前に取得申請するのではなく、前もって派遣会社に希望日を伝えておきましょう。
事前に有給休暇の希望日を伝えておくことで、会社側も業務の調整がしやすくなり、休暇も取得しやすくなるはずです。
4-2.引き継ぎや準備をしておく
あらかじめ有給休暇を取得する日がはっきりしているのであれば、休暇中に自分の業務を任せる担当に引き継ぎをおこなうなど準備をしておきましょう。
資料やデータの場所などを普段から共有しておくと、スムーズに業務を引き継ぐことができます。事前に準備をしておけば、より安心して休暇を楽しめます。
4-3.普段から良好な人間関係を築いておく
派遣会社の担当者や派遣先の上司、同僚とは普段から積極的にコミュニケーションを取り、良好な関係を築いておきましょう。
普段から意識して人間関係を構築しておけば、有給休暇も気兼ねなく申請しやすくなります。
4-4.有給を取った次の日朝一で業務の確認をおこなう
休暇翌日のアフターフォローも大切です。有給休暇を取った翌日は、不在中にあった業務の進捗状況やお客様からの要望、トラブルはなかったか、自分の伝えた資料は正しく使われたかなどを朝一番に確認しましょう。
朝一で確認することで、もしミスがあった場合でも影響を最低限に抑えることができ、スムーズに業務に戻ることができます。
5.派遣社員の有給休暇に関するQ&A
最後に、派遣社員の有給休暇についてよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
5-1.有給休暇を取りたいのですが、なかなか言い出せません。どう切り出せば良いでしょうか?
有給休暇の取得は労働者の権利であって、会社は原則として取得を拒否することはできません。しかし、職場によっては有給取得を申請しづらい雰囲気になってしまっている場合もあるでしょう。
ただ、派遣社員が最初に相談するのは、派遣元の企業です。まずは派遣元の担当者に有給休暇の申請について相談してみましょう。派遣元から派遣先に有給取得の連絡を入れてもらえるので、会社が有給を取得しにくい雰囲気でも問題なく申請できます。
5-2.有給休暇を取るときは、理由まで説明しなければいけませんか?
有給を取得する際に、派遣元にも派遣先にも理由を伝える必要はありません。
企業は申請の理由の有無や内容に関係なく、有給取得申請を拒否することは原則できません。「理由を提出しないと有給取得を認めない」という社内ルールがある場合、それは違法となります。
旅行に行く、ライブに参加する、ただ家でゆっくり過ごしたいなど、どのような理由でも有給は取得できます。
5-3.有給休暇を取ることが決まったら、一緒に働いている方にも知らせるべきでしょうか?
派遣先の会社によっては有給休暇取得のルールが異なる場合があるため、まずは派遣先のルールを確認しましょう。
明確なルールがない場合でも、上司から指示されたり同僚から任されたりする予定だった仕事があるかもしれません。
周囲の仕事に支障が出ないよう、有給休暇の取得を決めたら早めに周囲に連絡しておきましょう。
5-4.有給休暇を取ったら、派遣先の方々に休んだお礼を伝えるべきですか?
有給休暇取得後のお礼については派遣先の社風などによっても異なるため、ほかに有給休暇を取得した方が周囲にどういう言葉をかけているかをよく見て確認しておきましょう。
もし周囲の様子がわからない場合は、「お休みをいただき、ありがとうございました」と一言を伝えることをおすすめします。お礼を言われて気を悪くする方はいません。悩んだときは素直にお礼の言葉を伝えるほうが、人間関係も良くなるでしょう。
6.まとめ
有給休暇はすべての労働者の権利であり、派遣社員でも条件を満たせば取得が可能です。契約期間が6ヵ月未満であっても、契約更新をして6ヵ月以上の勤務期間になれば取得の条件を満たします。
ただ、派遣社員が有給を取得するには、派遣元への申請や派遣先との日程調整といった準備、また周囲への気遣いが必要です。この記事を参考にポイントを押さえ、上手に有給休暇を取得して、より充実したライフスタイルを実現してください。
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