派遣社員は仕事を掛け持ちできる?おすすめの仕事例7つと働く際の注意点
※この記事は6分30秒で読めます。
「派遣社員の仕事の掛け持ちは可能なの?」
「派遣社員が仕事を掛け持ちするメリットを知りたい」
など、派遣社員の仕事の掛け持ちに関して疑問をもっている方もいるでしょう。
派遣社員の仕事の掛け持ちは法律上問題なく、スキルアップや給与アップなどにつながることもあります。
今回は、派遣社員が掛け持ちで働くメリット・デメリット、注意点や掛け持ちにおすすめの職種などを解説します。この記事を読めば派遣社員の掛け持ちのことがよくわかり、自分が掛け持ちで仕事をできるかどうか判断できるようになります。
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1.派遣社員も掛け持ちで働ける
派遣社員で働いている方のなかには、一つの仕事では収入が足りない、他のスキルを磨きたいなどと考え、仕事の掛け持ちをしたいと思う方もいるかもしれません。
派遣社員が仕事を掛け持ちする場合、他の派遣会社に登録するか、自分で仕事を探して副業をすることで掛け持ちできます。
例えば、他の派遣会社に登録し、一方の派遣の仕事の空き時間にできる派遣の仕事を紹介してもらったり、アルバイトやパートなどを自分で探して副業をしたりすれば、掛け持ちできる仕事を探せます。
1-1.仕事の掛け持ちは違法ではない
公務員のように副業の禁止が法律で定められている職種もありますが、派遣社員は副業を禁止する法律はないため仕事の掛け持ちは違法ではありません。
ただし、派遣会社独自のルールで掛け持ちを禁止している場合もあるため、事前に派遣会社に確認しましょう。
1-2.他の派遣会社と掛け持ちしても良い
メインで登録している派遣会社の他に、別の派遣会社を掛け持ちして登録することも可能です。
派遣会社によって扱う派遣先もさまざまで、それぞれの会社の特色があります。今までとは違う派遣会社に登録することで、兼業する派遣先が見つかるだけでなく、今まであまり紹介されなかった新しい仕事にチャレンジできる可能性もあります。
ただし、仕事の掛け持ちのためにあらたに派遣会社に登録する際には、新しいほうの派遣会社にも掛け持ちの仕事を探していることを伝え、掛け持ち可能であることを確認しましょう。
新しく登録する派遣会社の選び方や、ダブルワークについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
2.派遣社員が掛け持ちするメリットとは?
1つの派遣先でコツコツと頑張るのも良いですが、派遣社員が仕事を掛け持ちすることにもメリットがあります。
ここでは、派遣社員による仕事の掛け持ちのメリットを4つご紹介します。
2-1.経験やスキルが増える
仕事が増えるため、覚える大変さはあるものの、働く環境が増えることで経験やスキルを多く積んでいけます。
派遣の特徴には、未経験OKの派遣先が多いことがあげられます。掛け持ちの仕事を他の派遣会社から紹介してもらう場合、今までに経験したことのない業界にチャレンジしてみることで、自分の新しい可能性を見つけることもできるかもしれません。
仕事の掛け持ちを続けていくためには、自分の生活と2つの仕事をやりくりしていかなければなりません。大変さもあるかもしれませんが、その生活を続けていくうちに、知らず知らずのうちにやりくりがうまくなり、仕事の手際も良くなるなどの成長ができる可能性もあります。
2-2.人脈が広がる
職場が複数になると、そのぶんそこで出会う人の数も増えていきます。そのため、それぞれの職場で人脈を持つことができ、いろいろな人の考えや意見に触れて自分自身も成長していくことができるようになります。
また、仕事が複数あることで、物事に対してさまざまな見方ができるようになります。仕事以外で人と話す場面でも、相手に振られた話題を広げることができたり、相手にもさまざまな話題を振ることもできたりします。
その話題に相手が反応し、さらに話が合いそうな人を紹介してもらえるなど、話題が豊富なぶん、人とつながれるきっかけが多くなります。
2-3.収入が増える
今まで働いていた仕事のペースをそのままに、さらに仕事を増やす形で掛け持ちを始める場合、増やした仕事のぶん収入を増やすことができます。例えば、今まで週3日働いていた方が、他に週2日働く仕事を始めると、そのぶん収入が増えます。
また、今まで週5日働いていた方でも、さらに単発の仕事などを掛け持ちして収入を増やすことも可能です。しかし、それまでメインで働いていた仕事を調整したうえでの掛け持ちの場合には、ほとんど収入が変わらないこともあります。
例えば、今まで1社で週5日働いていた方が出勤日数を少なくした場合、勤務を減らしたぶんを補うために別の1社で掛け持ちをはじめ、2社合わせて週5日勤務にしたという状況であれば、時給や1日の勤務時間が大きく変わらない限り収入に大きな変化はありません。
2-4.気分転換しながら働ける
同じ職場で毎日働いていると、人によっては仕事に飽きてしまったり、モチベーションが下がってしまったりする場合もあります。
仕事の掛け持ちをする場合、一方の仕事が他方の仕事の気分転換になることもあり、気持ちよく仕事を続けられるということがあります。
複数の仕事をしているからこそ、一つひとつの仕事に対してメリハリをもって働けることもあり、業務効率も上がるかもしれません。
3.派遣社員が掛け持ちするデメリットもある
次に、派遣社員が仕事を掛け持ちする際のデメリットを3つご紹介します。
3-1.体力・気力が必要
仮に今までの仕事時間と変わらない時間で仕事の掛け持ちを始めたとしても、それぞれ違った仕事をこなす必要があり、やることが単純に2倍になります。
1日を午前と午後に分けて違う仕事をする場合には、本来ならお昼休みにあたる時間を移動時間に充てることもあります。そのため十分な休息がとれなくなることもあり、1つの職場で働くよりも体力的な負担は大きくなります。
また、その気がなくてもうっかり情報を漏洩してしまったり、内部機密を話してしまうような可能性もあるため、業務中は十分に気をつける必要があります。そのぶん気力も使うため、仕事終わりにどっと疲れが押し寄せるという方もいるでしょう。
仕事を掛け持ちするには、それなりの体力と気力が必要ですが、仕事の数だけやりがいを感じることもできます。それぞれの仕事で大事な仕事が並行していた場合、そのすべてを成し遂げたときの達成感は2倍でしょう。
体力や気力の大変さを乗り越えたからこそ、仕事の達成感や喜びを人一倍味わえるようになります。
3-2.プライベートの時間が削られる場合もある
メインの仕事の日数や時間を変えずに仕事を掛け持ちする場合、休日や仕事終わりの時間などを他の仕事に費やす必要があります。
必然的に、プライベートの時間は削られてしまうでしょう。家族と過ごす時間が減ってしまったり、趣味に費やす時間が十分にとれなかったりすることで、ストレスを感じてしまう方もいるかもしれません。
給与アップのために仕事の掛け持ちを検討している方は、メインの仕事を減らし、そのぶんより時給の高い別の仕事を掛け持ちするというやり方を取ることで、仕事の時間を変えずに給与を上げられる可能性もあります。
お金も大事ですが、プライベートの時間も他に代えがたい大切なものです。ライフワークバランスを意識して、無理のない範囲ややり方で工夫してみましょう。
3-3.スケジュール・タスク管理が大変
2つ以上の仕事を掛け持ちしていると、自分1人でそれぞれの仕事のスケジュールやタスクを調整していかなければならないため大変です。万が一シフトの時間がかぶってしまった場合には、片方の仕事を休まないといけません。
また、シフト自体が重ならなくても、それぞれの仕事のタスク管理がうまくできていないと、月末などのタイミングでそれぞれの仕事が忙しくなってしまう可能性もあります。
ただし、最近では便利なタスク管理アプリやスケジュールアプリなどがいろいろと出ています。無料で使えるものも多いため、そういったものをうまく活用して仕事をすることで、スケジュールやタスク管理をしやすくなるでしょう。
逆に、個人的にそういった管理をしっかりとする必要があることで、それぞれの業務においても特に計画的に仕事ができるようになる可能性もあります。
4.派遣社員が掛け持ちする際の注意点
派遣社員が仕事の掛け持ちをすることは法律上問題ありませんが、いくつか注意しなくてはいけないこともあります。
4-1.同じ派遣会社内での掛け持ちはできない場合もある
メインで働いている派遣先がある場合、もう一つを探す際に、慣れ親しんだ同じ派遣会社を利用したいという方も多いでしょう。しかし、派遣会社によっては、複数の派遣先での就労を認めていない場合があります。
仮に2つの派遣先で就労し、それぞれの職場では法定労働時間内で働いているが、2つ合わせたときに法定労働時間を超えてしまった場合、法定労働時間を超えているぶんは残業手当が発生します。
1つの派遣先で残業が発生した場合には、派遣会社はその残業分の追加料金を派遣先から受け取り、それを残業代として派遣社員に支払います。
しかし、それぞれの派遣先の労働時間が法定内時間内におさまっている場合には、派遣会社は派遣先に対して残業分の追加料金を請求できません。そのため、残業手当は派遣会社が負担しなくてはなりません。
このように、派遣会社にとっては費用の負担が大きくなってしまうため、最初から2つ以上の就労先で勤務することを認めていない派遣会社が多いのです。
4-2.掛け持ちする際は派遣会社に相談が必要
派遣会社によっては、別の仕事との掛け持ちを禁止している場合もあります。先に説明した法定労働時間の問題の他に、派遣先の仕事に集中してほしいからといった理由もあります。
掛け持ちを検討している方は、事前に必ず派遣会社に相談をしましょう。派遣登録時にすでに他の仕事をしている場合やこれから掛け持ちをする予定の場合には、登録前に確認をします。
4-3.自分で確定申告をする必要がある
派遣の方に限った話ではありませんが、複数の仕事を掛け持ちしている場合には、自分で確定申告をおこなう必要があります。
日本では、一定の収入がある方に対し、収入に応じた所得税が発生します。雇用されて働いている方の場合、所得税は基本的に給与から天引きされ、すべての労働者のぶんを雇用主がまとめて納税します。
1つの仕事のみをしている方の場合、この申告は会社がおこなってくれます。これは「年末調整」とよばれるものです。
しかし、年末調整は1つの会社でしかおこなえないため、2つ以上の会社で働いている方は、年末調整のあとにそれぞれの会社から受け取った給与額などをまとめて、自分で申告しなくてはいけません。これが「確定申告」です。
確定申告では、毎年2月16日から3月15日の申告期間の間に税務署に申告書類を提出する必要があります。必要なのは退職時、または年末に雇用先から発行される「源泉徴収票」と、保険料控除証明書など、各種控除の証明書類です。
最近は、e-Taxを利用することで簡単に申請できるようになりました。画面の案内に従って源泉徴収票の内容や控除額を入力することで、自動的に所得税が計算され、確定申告書類ができあがる仕組みになっています。
また、メインの仕事があり、もう一つの仕事の収入が20万円以下の場合には申告は免除されます。メインの仕事の雇用先で年末調整をしてもらえば、それ以上の申告は必要ありません。
所得税を計算した結果、まれではありますが源泉徴収で納税したぶんよりも所得税が高くなるという場合もあり、その場合は足りないぶんを追加で納税しなくてはなりません。
税金を追加で納税することに抵抗がある方もいると思いますが、これをしないと脱税になってしまうため、しっかりと確定申告をして足りないぶんを納税しましょう。
4-4.体調管理を徹底する
仕事の掛け持ちは体力的にも気力的にも大変なことです。
一人暮らしや実家暮らしの方なら十分に休息を取ることができるかもしれませんが、自宅での家事や育児をそれなりに負担している方の場合は、十分な休息を取ることが難しい場合もあるでしょう。
しかし、仕事を掛け持ちしていることで体調を崩してしまっては本末転倒です。仕事も大事ですが、一番の資本は自分の身体です。体調管理をしっかりとおこない、自分を労わりながら無理しすぎない範囲での掛け持ちを意識しましょう。
5.派遣社員の掛け持ちにおすすめの仕事例7つ
ここでは、派遣社員の方が掛け持ちをするのにおすすめの仕事の例として、7つの仕事をご紹介します。
5-1.工場や倉庫のピッキング・軽作業
工場や倉庫のピッキングや軽作業の作業内容はさまざまですが、マニュアルをしっかりと読み、それを覚えることでスムーズに仕事ができます。そのため、未経験でもはじめやすく、掛け持ちしやすい仕事の一つです。
単純作業が多いため、基本はマニュアルに忠実に動けば間違いはありません。慣れてきたら、作業効率を上げるために自分なりに考えて動くことで、同じ時間内でも作業量を増やすことができ、やりがいや達成感も得ることができます。
シフト制やパート・アルバイトなど、雇用形態もさまざまです。24時間稼働の工場や倉庫では、夜勤や朝方の時間の仕事もあり、本業が別にある方にとっては働く時間を選びやすいのはポイントでしょう。
また、繁忙期などに短期のアルバイトを募集している場合もあるため、そういった求人を活用し、短期集中型で試してみるのも良いでしょう。
以下の記事では、ピッキングと軽作業の仕事内容について、詳しく説明しています。参考にしてみてください。
5-2.清掃
工場やオフィスビル、パチンコ店や研究所などでは、清掃の仕事の募集もあります。午前中だけの3時間程度の仕事の募集や、夜の時間の募集もあるため、空き時間を使って勤務するにはぴったりの仕事です。
普段から身の回りをきれいにすることが好きな方には、決められた時間内で担当の場所をいかにきれいにするかなどを意識することで達成感を得られます。
清掃の仕事について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しい仕事内容などをご紹介しています。
5-3.データ入力
データ入力は、出社での仕事の他、在宅でできる仕事もあります。
すでにあるデータをエクセルシートなどに入力していく仕事や、インターネット上などでデータ収集をして、表にまとめる仕事などがあります。パソコン操作が得意な方にとっては、取り組みやすい仕事でもあるでしょう。
データ入力は週2~3日からOKという仕事も多く、掛け持ちしやすくなっています。ただし、基本的に平日の日中に出社して仕事をするため、早朝や深夜のシフトはあまりありません。
在宅の仕事であっても、10:00~17:00などのコアタイムに稼働することを求められる場合が多いため、日中にまとまった時間を確保する必要があります。
平日の昼間にメインの仕事をしているという方は、メインの仕事の日数を減らさなくてはならない場合もあります。
その場合、メインの仕事の出勤日数を減らせるかを確認することはもちろんのこと、メインの仕事を減らしてまでやりたい仕事かをよく考える必要があるでしょう。
5-4.コールセンター
コールセンターは週2~3日、1日3時間からのシフト制の求人もあり、掛け持ちする仕事としてはやりやすい仕事です。
コールセンターというと電話営業のイメージを持っている方もいるかもしれませんが、多くはかかってきた問い合わせの電話対応の業務です。
例えば、タクシーの予約対応や、家電の修理に関する問い合わせ対応、キャンペーンなどの問い合わせ対応などの仕事があります。
コールセンターはたくさんの電話に対応するため、トークスキルを身につけることもできます。トークスキルはコールセンターに限らず、さまざまな仕事や、人間関係を円滑にすすめるためにも大切なので、身につけておいて損はありません。
対応にはいくつかのパターンがあり、それぞれマニュアルがしっかりと作られているため、安心して仕事に取り組むことができます。地方でもおおよそ時給1,000円以上で、都市部では時給1,500円以上の求人もあり、短時間で効率的に稼げるのもうれしいポイントです。
会社によっては完全在宅勤務の仕事もあるため、そういった仕事を選ぶことで通勤時間が短縮でき、掛け持ちの大変さが少し軽減されるでしょう。
コールセンターの仕事に興味があるという方は、以下の記事を読んで、自分に合うかどうか確認してみましょう。
5-5.新聞配達
仕事の掛け持ちを考えている方は、新聞配達の仕事も検討してみましょう。新聞配達は朝3~6時の早朝の時間の仕事のため、メインの仕事が日中の方は出勤する前に仕事が終わるのでおすすめです。
最初は先輩に同行して配達ルートを覚えます。ルートはほとんど変わらないため、一度覚えてしまえばスムーズに配達ができるでしょう。
5-6.介護福祉
介護の仕事はパートやアルバイト、時短勤務などの募集も多く、仕事の掛け持ちもしやすくなっています。
介護福祉士や理学療法士などの福祉につながる資格を持っている方は手当がつき、収入アップを狙いやすくなります。資格がない場合でも、介護職員初任者研修を修了していれば、介護の基本的な知識を習得している介護職員として手当がつくこともあります。
さまざまな雇用形態で働く方がいて、柔軟な働き方ができるため、仕事の掛け持ちをする方にとっては働きやすい仕事といえるでしょう。
5-7.小売・接客
飲食店のホールスタッフやアパレル店の販売員などは、シフト制や時短などの働き方ができるところが多い傾向にあります。そのため、掛け持ちの仕事としてもおすすめできます。
アルバイトであってもスタッフ向けの社割やまかない制度などを活用できる職場もあり、給与以外の面でもメリットがあります。
6.派遣社員が掛け持ちすることに関するよくあるQ&A
派遣社員が仕事を掛け持ちすることに関してよくある質問と、その回答をご紹介します。
6-1.派遣会社に内緒で掛け持ちしたら、バレますか?周囲に知られたくありません。
仕事の掛け持ちを会社に申告していなくても、住民税の額などでバレる可能性があります。
働いて一定の収入がある方に対してかかる税金は、所得税の他に住民税もあります。会社勤めの方の場合、年末調整や確定申告による前年の所得額をもとに住民税が決定し、決定した住民税についての通知は年末調整をした会社に届きます。
そのあと、会社がそれぞれの従業員に通知を渡します。決定した住民税は、会社が源泉徴収として給与から天引きし、従業員全員分をまとめて納税するという仕組みです。
住民税は所得に応じて算定されているため、給与が低い方は住民税も低く、逆に給与が高い方は住民税も高くなります。
仕事の掛け持ちをしている方は、メインで働く会社が年末調整をしたあとに、個人的に確定申告をして掛け持ちの仕事も合わせた所得の申告をするため、会社が年末調整で申告した額よりも所得が高く申告することになります。
結果的に住民税も高くなり、通知を受け取った会社がそれに気が付くと、他に収入があることがバレてしまうのです。
本業の職場が就業規則で副業禁止を定めている場合や、副業を許可制としている場合には規則違反となってしまいますし、そうでなくても会社から不信感を抱かれてしまう可能性もあります。
働く方にとっても、バレるのを怖がるよりも、事前にしっかりと相談をして認めてもらったうえで仕事を掛け持ちしたほうが、精神的にも楽になるでしょう。
他に仕事があることを事前に伝えておけば、無断で掛け持ちをするのに比べ、無理にシフトを増やす相談をされたり、残業が発生するような業務に充てられたりする可能性も低くなります。
6-2.掛け持ちする場合の社会保険や雇用保険の加入はどうすれば良いですか?
職場が社会保険の適用事業者である場合には、以下の4つの条件をすべて満たす労働者は全員が社会保険に加入する義務があります。
- 週の所定労働時間20時間以上
- 所定内賃金が月額8万8千円以上
- 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
-
参照:厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」
https://www.mhlw.go.jp/content/001162173.pdf
仕事を掛け持ちしている方の場合、働いているそれぞれの会社について条件を確認する必要があります。例えば2つの仕事を掛け持ちしている方で、両方でこの条件を満たしている場合、両方の職場で社会保険の加入義務が発生します。
この状態では社会保険の二重加入となってしまい、社会保険料もそれぞれの会社で個別に発生します。それを避けるためには、社会保険をどちらか一つにまとめるための「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。
どちらの社会保険にまとめるかは、働く方本人が選択し、社会保険の加入が2つ以上になった日から10日以内に自分で届出をしなくてはいけません。届け出先は日本年金機構です。
この届け出をすると、それぞれの給与を合算した額をもとに社会保険料の総額が決定します。保険料の総額が決まったら、受け取る給与額の割合に応じて総額が分配されます。
分配して決まった額がそれぞれの会社に通知され、そこから事業主負担額を引いた額が、それぞれの職場で働いた給与から天引きされる形となります。
また、以下の要件をすべて満たしている場合、雇用保険に加入する必要があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
-
参照:厚生労働省「雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html
ただし、雇用保険の場合、掛け持ち先のそれぞれの会社で条件を満たしていたとしても、社会保険のように重複して加入するということはありません。生計を維持するために必要な給与をより多く受け取っている1ヵ所の会社で加入することが決められています。
雇用保険に加入する会社の決定には特に申請は必要ありません。1つの会社で雇用保険に加入したら、他の会社が知らずに雇用保険加入の手続きをしてしまわないように、必ず報告するようにしましょう。
6-3.2つの派遣会社で仕事を掛け持ちしています。年末調整はどちらの派遣会社でおこなうべきですか?
年末調整は、主たる給与を受け取っているほうの派遣会社でおこないます。主たる給与とは、簡単にいうと一番多くの給与を受け取っている勤め先のことで、税制上は「給与所得者の扶養控除申告書」を提出している会社から受け取る給与のことを指します。
給与所得者の扶養控除申告書は、本業として働く会社に対して、最初の給与を受け取る前に記入して提出する必要があるもので、会社はこの情報をもとに年末調整をおこないます。この申告書は、2つ以上の勤め先に提出することはできません。
2つの派遣会社で仕事を掛け持ちしている場合、給与所得者の扶養控除申告書を提出したほうの派遣会社において年末調整をおこない、もう1つの会社については、自分で確定申告をする必要があります。
7.まとめ
派遣社員で働く方であっても、仕事を掛け持ちすることは可能です。他の職種も経験してみたい方、隙間時間で働いて本業の給与にプラスして収入を得たい方などは、仕事の掛け持ちを検討してみても良いかもしれません。
特にシフト制の仕事や夜勤の仕事は、本業の仕事を続けながら、副業として始めやすい仕事です。
なお、派遣会社によっては副業禁止を定めている会社もあるため、掛け持ちを始めようと考える際には、必ず派遣会社に確認と相談をしてください。
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