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更新日:2024年05月29日

派遣社員も福利厚生を受けられる?制度の種類や内容をわかりやすく解説

派遣社員も福利厚生を受けられる?制度の種類や内容をわかりやすく解説

※この記事は6分30秒です。

「派遣社員は福利厚生を受けられるの?」
「派遣社員が受けられる福利厚生の種類を知りたい」
など、派遣社員の福利厚生に関して詳しく知りたい方もいるでしょう。

派遣社員は派遣会社の福利厚生を受けることができ、特に正社員と同じ仕事内容や労働条件で働いている場合は、福利厚生も正社員とまったく同じように受ける権利があります。

今回は、派遣社員の福利厚生の概要や種類、よくある質問などを解説します。この記事を読めば派遣社員の福利厚生のことがよくわかり、派遣社員として働きやすくなります。

1.派遣社員も福利厚生を受けられる

派遣社員は、一般的な社員と同様に福利厚生を受けられ、派遣元が提供する福利厚生を受けることになります。派遣元となる会社を一つ決めておけば、どこで働いたとしても同じ福利厚生を受けることができます。

登録する派遣会社を選ぶ際には、先々のことも見据えて、福利厚生も調べたうえで選ぶと良いでしょう。

2.派遣社員と正社員では福利厚生の内容が違う?

派遣社員の福利厚生の内容が気になる方もいるでしょう。派遣社員は、労働条件などが正社員と同じ場合、正社員と同じ福利厚生を受けることができます。

かつては、派遣社員やパートタイム労働者について、正社員と福利厚生が異なる場合がありました。しかし、2020年4月1日に労働者派遣法が改正され、派遣社員であっても公正な待遇の確保が明記されました。

また、2021年4月1日には改正パートタイム・有期雇用労働法も全面施行となり、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保が法律で定められました。

現在は不合理な待遇差は禁止されており、福利厚生についても正社員と派遣社員で差が生まれないように整備されています。

3.派遣社員が受けられる福利厚生の種類

福利厚生には、法律で定められた「法定福利厚生」と、企業が独自に提供している「法定外福利厚生」があります。ここでは、10の法定福利厚生とよくある法定外福利厚生をご紹介します。

3-1.法定福利厚生

法定福利厚生は、労働基準法や介護保険法などの法律によって導入が定められている福利厚生です。これらを導入していない場合、処罰の対象となるため、業種や企業規模に関わらず、すべての企業で実施されています。

3-1-1.社会保険

一定の条件を満たす労働者は、雇用形態に関係なく、社会保険に加入することができます。また、労働者本人だけでなく、保険料の追加なくその家族も一緒に加入することが可能です。

保険料は4~6月の月の給与によって決まり、原則半分を事業所が負担します。以下のどれかの条件を満たしていれば社会保険に加入が可能です。

  • フルタイム、または週所定労働時間と月所定労働時間がフルタイムの4分の3以上の人
  • 従業員数501人以上の企業で働いている、週所定労働時間20時間以上、給与月額が8万8千円以上で、1年以上働く見込みがある学生ではない人
  • 従業員数101人以上の企業で働いている、週所定労働時間20時間以上、給与月額が8万8千円以上で、2ヵ月を超えて働く見込みがある学生ではない人

社会保険は、次に紹介する健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つの保険によって構成されています。

3-1-2.健康保険

社会保険に加入することで、病院の診療費や入院費の一部を健康保険組合が負担し、出産・死亡時の手当金なども支給されます。これが健康保険です。

健康保険に加入している人の医療費は一般的に3割負担で、年齢や収入によってその負担額は異なります。

また、入院などによって3割負担であっても自己負担額が高額になってしまう場合は、高額療養費制度という制度が利用できます。月ごとの自己負担額が過重にならないよう、自己負担限度額以上の医療費は健康保険組合が負担するように調整されています。

3-1-3.厚生年金保険

厚生年金保険とは、公的年金制度の一つです。

日本に暮らしている20歳以上60歳未満のすべての人は、国民保険に加入しなくてはいけません。会社員の場合、国民保険に上乗せして厚生年金に加入します。保険料は2つまとめて、給与額をもとに算出された健康保険料として支払い、そのうち3割か5割を会社が負担します。

働けるときに年金を納めることで、病気やけがなどで働けない状態になったときや老後、家族の働き手が亡くなったときなどに、年金を受け取ることができます。

3-1-4.介護保険

介護保険は、40歳以上のすべての人が加入する保険です。これに加入していることで、本人や家族が要介護状態になった際、必要な介護サービスを受けることができます。

保険料は、40歳になる前日の月から発生します。保険料は給与額をもとに算出され、健康保険料として支払い、半額は事業所負担です。介護保険を使って介護サービスを利用する場合は、利用者の利用料負担は1~2割で済みます。

3-1-5.雇用保険

雇用保険は、加入者が失業した際の失業給付、職業訓練を受けた場合や育児休暇を取得した場合の保険給付をおこなう保険です。

働く人の生活と雇用の安定を図ることを狙いとしており、以下のすべての条件を満たす人は雇用形態に関わらず雇用保険に加入することになります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

保険料は給与月額をもとに計算され、働く人と事業主それぞれに負担割合が定められています。令和6年4月時点では、働く方が給与額の0.6%、事業主が0.95%の額を雇用保険料として納める決まりとなっています。

3-1-6.労災保険

労災保険は、雇用形態や勤務時間に関わらず、企業で働くすべての人が加入する保険です。労働者であれば、派遣社員やアルバイト・パートなどの雇用形態は関係ありません。保険料は全額事業主負担です。

労災保険に加入することで、仕事や通勤中に怪我や病気をした場合に、必要な保険給付を受けることができます。

3-1-7.有給休暇

有給休暇とは、休みを取得しても賃金が減額されない休暇のことをいい、健康や生活を守るために付与されるものです。雇用形態に関わらず、以下の条件を満たすすべての人が取得することができます。

  • 雇入れの日から6ヵ月経過していること
  • その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

週5日勤務している方の場合、条件を満たせば、入職の6ヵ月後に10日付与されます。そこから1年後にさらに11日、2年後には12日と、年々付与される日数は増えていきます。

付与日数は週所定労働日数により異なり、入社して最初に付与される有給休暇日数は、週4日勤務の方は7日、3日勤務の方は5日、2日勤務の方は3日、1日勤務の方は1日となっています。

シフト制だと、週に何日勤務か把握しにくい場合もあるため、自分にどのくらい有給休暇が付与されるか派遣会社に確認すると良いでしょう。

3-1-8.健康診断

労働安全衛生法によって、企業は労働者に対して健康診断を実施しなくてはいけません。逆に、働く人も健康診断を受ける義務があります。定期的な検査を受けることで、健康管理に役立たせる狙いがあります。

以下の2つの条件を満たしていれば、雇用形態に関係なく、健康診断を受けることができます。

  • 無期契約または契約期間が1年以上の有期契約者
  • 正社員の4分の3以上働いている労働者

つまり、週4日以上働いていれば健康診断を受ける対象となる場合があります。一般健康診断にかかる費用は全額が事業主負担です。

派遣社員の健康診断の実施は、派遣会社の責任でおこないます。自分が対象かどうかは派遣会社に問い合わせてください。

3-1-9.産休制度

産休制度とは、出産する女性が出産前後に取得することができる休暇のことです。雇用形態や勤務日数、勤続期間に関わらず、すべての女性が取得できます。

産前は、出産予定日の6週間(双子以上の場合は14週間)前から取得することが可能です。産後は、出産した翌日から数えて8週間を経過するまで休むこととされています。

医師の許可がある場合に限り産後6週間から働くことができますが、産後6週間に満たない方の労働は労働基準法によって禁じられています。

休暇中の賃金支給は企業によって異なります。健康保険に加入していれば、産休期間のうち給与の支払いがなかった期間について、出産手当金を受け取ることも可能です。

3-1-10.育休制度

育休とは育児休暇のことで、子どもの育児のために取得することのできる休暇です。雇用形態に関係なく、1歳に満たない子どもを養育している女性と男性のどちらでも取得できます。

有期雇用労働者の場合、子どもが1歳6ヵ月に達する日までに契約がきれないことが明らかでない場合、正社員と同様に取得することが可能です。

休暇は原則、子どもが1歳に達する前日まで取得することができます。その時点で保育所の入所が決まらないなど、職場復帰できない事情がある場合には1歳6ヵ月まで、その後も職場復帰ができるような状況でない場合は、2歳を限度に休暇の延長が可能です。

休暇中の賃金の支給があるかどうかは企業によりますが、雇用保険に加入している方で、育休開始前の2年間のうち11日以上または80時間以上勤務した月が12ヵ月以上ある方は、育児休業給付金を受給できます。

有期雇用労働者の場合には、子どもが1歳6ヵ月になるまでに契約が切れないことが明らかでないことが受給条件になります。

3-2.法定外福利厚生

法定外福利厚生は企業独自のものです。そのため、内容も企業によってさまざまです。ここでは、よくある法定外福利厚生を6つご紹介します。

3-2-1.各種手当

基本給に上乗せして支払われる「手当」を福利厚生として支給している企業もあります。よくある手当には以下のようなものがあります。

  • 通勤手当…通勤にかかる交通費を補助する
  • 資格手当…仕事に関わる資格を持っている労働者に支給する
  • 扶養手当…配偶者や子どもを扶養している労働者に支給する
  • 住宅手当…住宅の家賃の一部を補助する
  • 役職手当…役職に就いている労働者に支給する

労働条件に関わらずすべての方に支給される手当と、労働時間や労働内容に違いがある場合には、違いに応じた支給額になる手当があります。どのような手当があり何を受け取れるかは派遣会社に確認しましょう。

資格手当がつく可能性がある場合、対象となる資格を取ることで給与アップも見込めます。仕事のスキルアップにもつながるため、ぜひ目指してみましょう。

3-2-2.各種休暇

有給休暇の他に、独自の休暇を取り入れている企業もあります。よくあるものとしては「慶弔休暇制度」です。

親族や家族のお祝いごとやお悔やみごとがあった際に取得できる休暇で、関係性に応じて付与日数が変わるのが一般的です。2020年の労働政策研究・研修機構の調査結果によると、調査対象のうち90.7%の企業が導入しています。

その他、誕生日休暇や記念日休暇などがある場合もあります。

3-2-3.社員食堂の利用

派遣先に社員食堂がある場合、派遣社員も利用できます。

2020年に施行された改正労働者派遣法により、派遣先は派遣社員に対し、食堂・休憩室・更衣室の利用の機会を与えることが義務となりました。そのため、派遣社員だからという理由でこれらの利用を禁止するのは、法律違反にあたります。

派遣社員だとしても、他の社員と一緒に働き、同じ仕事をしています。申し訳なさを感じることなく、堂々と使用して良いでしょう。

3-2-4.交通費

通勤のための交通費の他、業務で移動が必要な場合の交通費を支給する企業もあります。

支給額に上限がある場合もありますが、労働者が自分の車で移動するのであれば移動距離に応じたガソリン代、公共交通機関を利用している場合には運賃を実費で支給している場合が多いです。

交通費は移動する際には誰しも発生するものなので、雇用形態や労働条件などによって制限されることは認められていません。

3-2-5.施設利用の割引

福利厚生によって施設利用の割引が受けられることもあります。例えば、連携しているお店での外食時や品物の購入時などに割引が適用されたり、家族とともに施設を使えたりします。

派遣会社による福利厚生であれば、会社の規定に沿っていれば自由に使用することが可能です。また、派遣先が提供している割引の場合、企業は同一のものを派遣社員も利用することができるように配慮する必要があります。

派遣先に施設利用の割引などの福利厚生がある場合は、自分も使えるかどうか確認してみると良いでしょう。

3-2-6.資格取得支援

福利厚生として資格取得を支援している企業もあります。特に派遣会社の場合、資格取得支援が充実しており、さまざまな職種の講座を揃えている場合が多いです。資格を取得した方に対してお祝い金が支払われることもあります。

また、派遣先の企業に対しては、派遣社員についても業務に必要なスキルアップのための教育訓練を実施することが義務付けられています。そのため、派遣先がおこなっている研修などに参加して資格取得を目指すことも可能です。

4.派遣社員が受けられる福利厚生に関するよくあるQ&A

最後に、派遣社員が受けられる福利厚生に関して、皆さんが抱きやすい疑問についての回答をご紹介します。

4-1.福利厚生は派遣会社によって違いますか?

福利厚生の内容は、派遣会社によって異なります。ホームページで福利厚生を確認できる派遣会社もあるため、登録の際に確認しておくと良いでしょう。

派遣社員は、どこで働いても派遣会社の福利厚生を受けられるというメリットがあります。どの派遣会社に登録すべきか迷っている場合には、福利厚生が充実している会社を選ぶのも一つの手です。

4-2.派遣社員の福利厚生には慶弔休暇や病気休暇もありますか?

慶弔休暇や病気休暇は法定外福利厚生にあたるため、それがあるかどうかは派遣会社によります。

2020年の労働政策研究・研修機構の調査結果によると、調査対象企業のうち慶弔休暇制度がある企業は90.7%、病気休暇制度がある企業は40.1%でした。

もしも自分が登録している派遣会社にこれらの休暇がない場合には、有給休暇などを利用して休みを取る必要があります。特に病気休暇については、誰しも病気にかかる可能性はあるため、登録の段階で確認しておくと安心です。

4-3.派遣先の福利厚生を受けられますか?

派遣社員は派遣先の企業との雇用関係はないため、基本的には派遣先の福利厚生を受けることはできません。しかし、食堂・休憩室・更衣室については派遣先の社員と同様に利用できるようにすることが義務付けられています。

一部の大手企業では、派遣社員に対しても同様の福利厚生を提供している事例もあります。派遣会社はさまざまな派遣先企業の情報を持っているため、福利厚生をしっかりと受けたいことを伝えれば、条件の良い企業を紹介してくれるかもしれません。

5.まとめ

派遣社員であることを理由とした不合理な待遇は法律で禁止されており、福利厚生の差別もその一つとして認められています。そのため、派遣社員であっても、その労働条件や業務内容に見合った福利厚生が受けられます。

福利厚生は労働者の正当な権利であるため、派遣社員だからといって申し訳なさを感じる必要はありません。使えるものはどんどん活用しましょう。さまざまな福利厚生が利用できれば、それだけ仕事のやりがいや充実感にもつながるはずです。

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