派遣社員の時給まとめ!高い傾向がある業種と給料UPのためにやるべきこと
※この記事は6分30秒で読めます。
「今の派遣の給料は平均より低いのではないか?」
「派遣で給料が高い仕事に就きたい」
など、派遣の給料に関して疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
職種によって給料額に差はありますが、派遣社員は全体的に時給が高い傾向にあります。また、自分のスキルや労働に対して時給が見合っていないと感じる場合、努力や交渉によって昇給を狙うことも可能です。
今回は、派遣社員の平均給料や給料が高い理由、派遣会社ごとの時給設定の違いや給料アップの道筋などを解説します。この記事を読めば、派遣社員の給料について理解が深まり、最短距離で給料アップを目指せます。
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1.派遣社員の平均給料まとめ
厚生労働省が公表した「令和3年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、派遣社員の8時間あたりの平均賃金は全業種平均で1万5,698円であることがわかります。これをもとに、時給と月給を計算すると、派遣社員の平均給与は以下の表のようになります。
平均時給 | 平均日給(8時間) | 平均月給(20日) |
---|---|---|
1,962円 | 1万5,698円 | 31万3,960円 |
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参照:厚生労働省「令和3年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)表7」
https://www.mhlw.go.jp/content/11654000/001132162.pdf
令和2年度の派遣社員の8時間あたりの平均賃金は全業種平均で1万5,590円なので、派遣社員の賃金は前年度よりも0.7%増加していることがわかります。
ただし、上記の金額はあくまでも全国平均で、実際には地域差があります。2024年1月にジョブズリサーチセンターが公表した派遣社員の地域別平均給与は以下のとおりです。平均月収は、1日8時間勤務で20日働いた場合の数値で出しています。
地域 | 平均時給 | 平均月収 |
---|---|---|
関東 | 1,748円 | 27万9,680円 |
東海 | 1,476円 | 23万6,160円 |
関西 | 1,469円 | 23万5,040円 |
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参照:ジョブズリサーチセンター「2024年1月度派遣スタッフ募集時平均時給調査」
https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20240215_3088.html
上記の表から見て取れるように、関東と関西では月収で4万円以上の差があります。同じ働き方でも、給料額には地域差があるということを理解しておきましょう。
2.なぜ派遣の時給は高いの?
派遣社員の時給を見て、低いと感じる方もいらっしゃれば、高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
令和3年賃金構造基本統計調査の結果によると、派遣社員と同じ時給制で働いているパートタイム労働者の時給は、全職種の男女平均で1,384円という結果でした。同じ時給制で働いていても、派遣社員はパートタイム労働者よりも時給が高いことがわかります。
派遣社員の時給が高い理由は、派遣の仕組みにヒントがあります。派遣社員は、仕事がない期間は派遣会社に登録をし、仕事の紹介を待っています。これを待期期間といいます。派遣社員に働いてほしい企業は、派遣会社と契約し、人材を派遣してほしいと申請します。
派遣会社は、自社に登録している待期期間中の派遣社員に仕事を紹介し、お互いの条件がマッチングしたら社員を企業へ派遣します。
企業からすると、一般的な求人を出して労働者を探すより、派遣会社にお願いをして登録しているスタッフのなかから派遣してもらうほうが、必要なときに必要な人材を早く確保することができ、人材確保のためのコストが減らすことができます。
それにより削減されたコストを派遣社員の給与に上乗せするため、時給を高く設定できるのです。
また、派遣社員は、正社員と同じ勤務時間で毎日働いたとしても、ボーナスや昇給は基本的にありません。
昇給がないため最初から時給が高めに設定されていたり、賞与や手当などがない分を時給に上乗せすることで時給が高くなっていたりすることがあります。これも派遣社員の時給が高い理由の一つです。
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参照:令和3年賃金構造基本統計調査「結果の概況 2.短時間労働者の賃金」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/11.pdf
3.派遣会社によっても時給相場が変わる
同じ会社の同じポジションの派遣求人でも、掲載する派遣会社によって時給が違うことはよくあります。しかし、働く側としては、同じ内容で働くのなら、少しでも時給が高い条件で働きたいものです。
うっかり時給の低い条件で契約してしまわないようにするためには、登録する派遣会社は1社に絞るのではなく、複数社に登録をして求人を比較することがおすすめです。
ではなぜ、同じ内容の求人なのに時給設定が異なる場合があるのでしょうか。考えられる理由としては、大きく3つあります。
3-1.①派遣先企業が派遣会社に対して支払う仲介手数料が違うため
派遣先企業が派遣会社に支払う費用のうち、一定の割合の金額が仲介手数料として派遣会社に支払われ、残りが給与として派遣社員に支払われます。この仲介手数料の割合を「マージン率」とよび、マージン率の設定は、派遣会社によって異なります。
つまり、複数の派遣会社と契約をしている派遣先企業が、それぞれの派遣会社に同じ費用を支払うとすると、マージン率が高い(仲介手数料が高い)派遣会社の場合には、そのぶん労働者の手元に渡る賃金が低くなり、時給が低くなるのです。
逆に、マージン率が低い(仲介手数料が安い)派遣会社であれば、そのぶん派遣社員に多く賃金が渡ることとなります。このような違いから、同じ派遣先の求人でも派遣会社によって時給の差が生じるのです。
3-2.②派遣会社が派遣先企業に時給交渉をしているため
派遣社員の時給や業務の負担などは、派遣会社の営業担当者と派遣先企業が話し合いをして決定します。
このときに、派遣会社は派遣社員の方になるべく良い条件で働いてほしいと思っているため、派遣先企業に対して積極的に時給を上げる交渉をします。
この交渉が上手な担当者がいる場合、その派遣会社に掲載されている求人の時給は、他の派遣会社よりも高くなることがあります。
3-3.③派遣先企業が派遣会社を信用し、期待しているため
派遣会社の企業規模が大きい、過去の実績が良い、得意な分野が派遣先企業の事業とマッチしているなどの場合、派遣先企業はその派遣会社に対して「この会社なら良い人材を派遣してくれるはず」と期待し、相場よりも高い費用で契約をする場合があります。
派遣先企業が払う費用が高いと、そのぶん労働者のもとに渡る賃金が増え、時給が上がるという仕組みです。
4.派遣の中でも時給が高い傾向がある業種
派遣の給料は、地域だけではなく職種によっても大きく差があります。
令和5年賃金構造基本統計調査の結果をもとに計算した正社員以外の雇用形態の方の平均時給と、対前年増減率を以下の表にまとめました。表内の平均時給は、1日8時間週5日勤務で、月20日勤務として、月の賃金より算出しています。
産業 |
男女系 | |
---|---|---|
平均時給 | 対前年増減率(%) | |
鉱業、採石業、砂利採取業 | 2,103円 | 8.8% |
建設業 | 1,848円 | 10.5% |
製造業 | 1,284円 | -2.8% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 1,643円 | 9.1% |
情報通信業 | 1,886円 | 6.5% |
運輸業、郵便業 | 1,382円 | -0.1% |
卸売業、小売業 | 1,319円 | 2.5% |
金融業、保険業 | 1,596円 | 5.5% |
不動産業、物品賃貸業 | 1,420円 | -0.5% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 2,024円 | 4.7% |
宿泊業、飲食サービス業 | 1,234円 | 6.7% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 1,254円 | 3.2% |
教育、学習支援業 | 1,734円 | 2.5% |
医療、福祉 | 1,413円 | 2.2% |
複合サービス事業 | 1,403円 | 3.2% |
サービス業(他に分類されないもの) | 1,484円 | 7.2% |
(※)正社員以外の雇用形態には派遣の他パートタイム労働者も含む。
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参照:令和5年賃金構造基本統計調査「結果の概況 雇用形態別 第6-1表」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/06.pdf
「鉱業、採石業、砂利採取業」と「学術研究、専門・技術サービス業」は特に時給が高いことがわかります。どちらも専門技術や専門知識を必要とする仕事で、専門性の高さが時給の高さにもつながっている可能性があります。
また、その他「建設業」や「電気・ガス・熱供給・水道業」は前年と比べた増加率が大きく、これから派遣先を探す派遣社員の方にとっては狙い目の業種かもしません。
「製造業」については、前年度よりも時給が減少傾向にありますが、フォークリフトなどの資格を持っていると資格手当がつき、時給が高くなる傾向にあります。高い時給で働きたいという方は、資格を取って専門性を高めるのも一つの方法でしょう。
5.派遣社員は給料から何が引かれる?
上記でご紹介した給料は額面上の金額であり、全額受け取れるわけではありません。実際の支給額は、社会保険料や所得税などの税金が差し引かれた金額となります。額面と支給額に差があることを理解していないと、家計管理にも影響が及ぶ可能性があるため注意しましょう。
詳細については、以下の記事をご覧ください。
6.派遣社員が給料UPのためにやるべきこと
正社員でなければ昇給できないのではないかと考えている人もいるかもしれません。しかし、たとえ派遣社員であっても、努力や行動次第で給料UPは不可能ではありません。
以下の6つの方法を押さえておきましょう。
6-1.スキルや資格を身につける
派遣社員が昇給を目指す際の一番の方法は、新たなスキルや資格を身につけることです。
専門性や希少性の高いスキルや資格を持つことで、派遣先企業や派遣会社の評価を得ることができ、給料に反映される可能性があります。
例えば、WordやExcelなどのオフィス系ソフトに関するスキルを身につけると、レベルアップした業務をおこなえるので、昇給対象となりやすいでしょう
6-2.経験を重ねて実績を作る
コツコツ経験を積み実績を作ることで給料UPの交渉材料が得られます。
検討に値する材料がないのに、ただ「給料を上げてください」と派遣会社に求めても実現は困難です。
しかし、「○○を○年経験した結果、派遣先企業の正社員でも取得者がほぼいない○○という資格を取得できました」といった根拠を提示できれば、昇給につながる評価を得られます。
一足飛びに給料UPを狙うのではなく、まずは目の前の仕事を愚直にこなし、小さな結果を残していくことを意識すべきです。
6-3.時給が高い仕事を紹介してもらう
業界や派遣先企業、派遣会社の事情によっては支給可能な給料額に限度があり、努力しても昇給が見込めない状況も考えられます。そうしたことも想定し、もともとの時給が高い就業先を紹介してもらうのも方法の一つです。
給料UPの交渉は、契約更新や満了時のタイミングで派遣会社の担当者へ相談してみるとスムーズに実現するかもしれません。
ただし、給与UPを狙うあまり自分のスキルや仕事量のキャパシティを越えるような仕事を紹介してもらうようなことは避けましょう。満足な仕事ができなければ自らの評価が下がり、逆に給料を落としてしまうことになり兼ねません。
6-4.時給アップの交渉をする
派遣社員は給与交渉をしてはいけないのではと思う方もいるかもしれませんが、たとえ派遣社員でも給与交渉の権利はあります。自分のスキルと業務に対して給与が見合っていないと思ったら、しっかりと理由を述べて主張しましょう。
ただし、派遣社員の雇用主は派遣先企業ではなく派遣会社です。給与交渉は派遣会社に対しておこないます。派遣社員の場合、契約更新のために定期的に派遣会社と面談があります。
その際に、最近の仕事の成果などについて話した流れで給与交渉を始められるとスムーズでしょう。
給与を交渉する際には、しっかりとした根拠が必要です。仕事に直結した資格を取った、仕事で活躍してこのような実績を作ったなど、客観的に評価しやすい根拠をもって交渉することで、給与が上がる可能性も高くなるでしょう。
もちろん、日頃から積極的に仕事をしている姿勢をみせることも大切です。
派遣社員の昇給交渉については、以下の記事でより詳しく解説しています。大事なポイントやタイミングなども紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
6-5.掛け持ちをする
一つの派遣先だけでは給与が足りないという場合には、今やっている仕事に加えてもう一つ仕事を掛け持ちすることも効果的です。今の仕事量を変えず、隙間時間や休日などに仕事を増やせば、そのぶん収入が増やせます。
掛け持ちをする際は、派遣とは別のアルバイトをしても良いですし、他の派遣会社から仕事を紹介してもらうのもOKです。
ただし、掛け持ちを検討し始めた段階で、派遣会社にはその旨を伝えておきましょう。なかには、一つの仕事に集中してほしいため、掛け持ちNGとしている会社もあります。
また、一般的に同じ派遣会社から2つの派遣先に派遣してもらうことはできないことが多いので、他の派遣会社や求人サイトなどを活用しましょう。
派遣社員の仕事の掛け持ちについては、以下の記事で詳しく解説しています。
6-6.正社員として働く
派遣社員という雇用形態にこだわりがない人は、正社員採用を目指すことを検討してみてもよいでしょう。
時給額にフォーカスすると正社員より派遣社員の方が高いケースもありますが、正社員は派遣社員にない賞与(ボーナス)や会社独自の手当、充実した福利厚生を受けることができます。
そのため、結果的には正社員の方が月収や年収は高額になることがほとんどです。何より、正社員は期間の定めがない雇用契約のため、長く安定的に働き続けることができます。
派遣社員は自由度が高い働き方ができる一方、雇用や給料が不安定です。この不安定さをデメリットに感じるという人には、正社員として働ける場を探すことをおすすめします。
派遣社員から正社員を目指したい人は以下の記事も参考にしてください。
7.派遣社員から正社員に転職する方法
給料アップを目指し、派遣社員から正社員に転職するための主な方法を4つご紹介します。
7-1.正社員求人に応募する
最も一般的な方法は、正社員の求人に応募することです。
求人サイトや希望する企業のWebサイト、ハローワークなどから正社員の求人を探して応募します。インターネットを活用すれば現在就業中の方でも無理なく転職活動が進められるでしょう。
7-2.派遣先企業で正社員になる
これまで勤務してきた派遣先企業で正社員になる道もあります。
仕事ぶりが評価され、派遣先企業の担当者から「ぜひうちの社員になってほしい」と声が掛かることもあれば、非正規雇用から正規雇用に昇格できる仕組みが用意されているケースもあります。
派遣契約の期限が迫った段階で具体的な話を進めるようにしましょう。
7-3.紹介予定派遣制度を利用する
いくつかある派遣の働き方のうち「紹介予定派遣」を利用する選択肢もあります。
紹介予定派遣とは、派遣期間終了後に直接雇用することを前提とした派遣の形態です。企業によっては正社員ではなく契約社員からのスタートとなるケースもありますが、いずれにしても正社員採用への近道となるでしょう。
7-4.派遣会社の正社員になる
派遣会社の正社員を目指すという方法もあります。
派遣社員という立場を経験していれば、派遣会社がどんな仕事をすべきかイメージしやすく、派遣社員の気持ちに寄り添うこともできるはずです。
まずは現在所属している派遣会社が採用活動をおこなっているかどうか、Webサイトを見たり担当者に聞いたりしてみましょう。
8.まとめ
派遣社員は同じ時給制で働くアルバイトやパートタイマー労働者と比べ、時給が高い傾向にあります。これは、派遣会社を仲介することで派遣先企業の採用コストが下がることや、ボーナスや昇給分の給与が時給に上乗せされていることなどが理由にあげられます。
また、派遣会社によってマージン率や派遣先企業との交渉技術などが異なるため、同じ派遣先の同じポジションの案件でも、掲載している派遣会社によって時給に差が出る場合があります。
より良い給与条件で働きたい方は、複数の派遣会社に登録して比較すると良いでしょう。
また、派遣社員には正社員のような昇給システムはないですが、努力や交渉次第で昇給できることもあります。派遣社員の給料UPは、派遣先企業や派遣会社に「なくてはならない存在」と思わせることができれば現実味が増します。
まずは今の派遣先で経験を積み、学びを深め、コツコツ努力を積み重ねることで、より多くの収入を得ることを目指してみてください。
「今の収入に不満がある」「頑張っても給料が上がらない」と悩んでいる方は、転職を検討するのも一つの改善策です。
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