ゼネコンとは?主な仕事内容や分類、やりがいや大変さ、働く方法を解説

※この記事は6分で読めます。
「ゼネコンってどのような仕事?」
「ゼネコンで働くやりがいが知りたい」
など、ゼネコンに関して疑問を持っている方もいるでしょう。
ゼネコンは総合建築業者として、「設計・施工・研究」の3つの工程を1社で手がけられる点に特徴があります。
今回は、ゼネコンとは何か、分類、主な仕事内容、やりがいなどを解説します。この記事を読めばゼネコンのことがよくわかり、転職活動の際の参考となります。
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1.ゼネコンとは?
ゼネコンは「ゼネラルコンストラクター」の略称で、総合建設業者を意味します。「General(全体的な)」と「Contractor(請負人・土建業者)」の2つの英単語を組み合わせた言葉です。
ゼネコンには明確な定義がなく、「設計・施工・研究」の3つの工程を自社でおこなう会社をゼネコンと呼ぶことが一般的です。
元請け業者として工事を受注したあとに、サブコンと呼ばれる専門工事業者に現場作業の発注をおこないます。請け負った施工全体の管理やマネジメントが主な役割です。
2.ゼネコンの分類

ひとくちにゼネコンといっても、企業規模や売上高、技術力などによっていくつかに分類されます。
2-1.スーパーゼネコン
スーパーゼネコンの定義は決まっていないようですが、一般的にはゼネコンのなかでも特に売上高や企業規模が大きい5社を、スーパーゼネコンと呼びます。なお、売上高は1兆円を超えています。
スーパーゼネコンでは、施工部門だけではなく、設計や開発、研究、コンサルタント部門などもあります。
2-2.ゼネコン
スーパーゼネコン以外の準大手や中堅のゼネコンは、総じてゼネコンと呼ばれます。
売上規模によって「準大手」と「中堅」に分かれており、売上高が3,000億円超の企業を準大手ゼネコン、1,000億円超を中堅ゼネコンと呼び分けることが一般的です。それぞれがスーパーゼネコンにも負けない得意分野を有しています。
2-3.サブコン
サブコンは、ゼネコンから土木や建築工事を依頼される下請け企業のことです。
電気や空調の専門企業、木造建築を担当する大工、足場を作るとび職など、専門性の高い企業がサブコンとしてゼネコンから業務を受注します。
建築全体のリーダーであるゼネコンに対し、リーダーと協力しながら建築物の納期管理や施工をおこなう現場監督のような役割を果たします。
2-4.孫請け(まごうけ)会社
孫請け会社とは、下請け企業にあたるサブコンから仕事を依頼される企業のことです。二次下請け・三次下請けといった呼び方もあります。
3.ゼネコンの主な仕事内容
ゼネコンは、設計・施工だけでなく開発や営業までを自社でおこなう点に強みがあります。ここでは、ゼネコンの仕事内容について詳しくご紹介します。
3-1.設計
ゼネコンは自社内に設計部があり、建築主とのやり取りを重ねながら建物の設計をおこないます。
外観や内部をデザインする意匠(いしょう)設計、耐久性や安全性を実現する構造設計、空調などの設備を整える設備設計などに分かれています。
自社で設計するだけでなく、設計事務所や建築積算事務所など専業の会社に依頼することもあります。
3-2.施工管理
ゼネコンの中心的な業務といえば、施工管理です。設計図の内容をもとに建物を建てるため、下請け業者への発注や全体の進行管理をおこないます。
ゼネコンがおこなう施工管理を大きく分けると以下の4つです。
- 現場作業員を管理する安全管理
- 計画書や施工段階の管理をする工程管理
- 予算内で工事が進むように管理する原価管理
- 指示どおりの計画や資材で建築が進んでいるかを見る品質管理
これらは、4大管理とも呼ばれています。
3-3.エンジニアリング
エンジニアリングは、プラントなどの企画・設計・調達・建設工事・施工管理・試運転・保守など総合的に管理をする仕事のことです。
高度かつ専門的な知識が必要な部門であり、近年ではloT・AIを活用したシステムやITインフラなどの開発経験が求められることが多くなっています。
保守までを含む長期プロジェクトとなるため、顧客の経営状況のリスク管理なども求められます。
3-4.研究開発
ゼネコンは、業務の効率化や建築物の強化を目標に研究をおこなう部門を自社で保有しています。
ゼネコンが積極的に研究開発をすることで技術が進歩し、より強度が高く美しい建築物が生まれるなど、日本の建築業界に影響を与えます。
3-5.営業
営業は、ゼネコンに建築工事を依頼する発注者と直接やりとりをする部門です。
発注者からの要望を汲み取り、社内の各部署と連携して企画書・提案書をまとめていきます。
4.ゼネコンの仕事のやりがい
ゼネコンで働くと、以下のようなやりがいを感じられるでしょう。
4-1.巨大なものづくりができる
製造業のやりがいとして、ものづくりに携われることはどの業種でも共通していますが、ゼネコンは巨大な建築物を作れるという点に違いがあります。
道路や橋、ダム、トンネルなど、人々の生活に欠かせないものに携わるため、ものづくりが好きな方にとっては大きなやりがいにつながるでしょう。
4-2.自分が手がけたものが人の役に立つ
ゼネコンが施工管理に携わるのは、道路や橋など人々の生活に欠かせないものばかりです。自分が手がけたものが大勢の人の役に立つことで、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
自分が手がけたものが地図に残るという誇りを持つこともできます。
4-3.顧客から感謝される
ゼネコンに限った話ではありませんが、顧客の要望どおりの建築物を納期どおりかつ予算以内で完成させられれば、顧客から大いに感謝されます。
完成した建築物を顧客に引き渡したときにかけられる「ありがとう」の言葉が大きな喜びとなるでしょう。
4-4.給与が高い傾向がある
一般的に、ゼネコンの給与水準は他の建築業者と比較して高い傾向にあるといわれています。
規模が大きな工事を受注した際は動くお金も大きくなり、その仕事に携わる社員にも給与や賞与として還元されます。
4-5.スキルアップ・キャリアアップを目指せる
ゼネコンでは、ビルや橋、道路など大型の建造物を手がけることがあります。そうしたゼネコンならではの大型建造物を担当することでスキルアップが期待できます。
最近は、技能者の保有資格や現場の就業履歴などを業界横断的に登録して活用する「建設キャリアアップシステム」が整備されています。
技術を身につけたり経験を積んだりすることで、より良い待遇を受けやすくなっています。
参照:CCUSについて
https://www.ccus.jp/p/about
キャリアアップの道が整備されていることで、より大きなやりがいをもって仕事できるでしょう。
5.ゼネコンの仕事の大変さ
元請けとして建築工事の現場をリードできる、高給を得られるなど、さまざまな魅力があるゼネコンの仕事。しかし、働くうえでは大変に感じることもあります。
ゼネコンへの転職を希望する場合は、その大変さについても把握しておきましょう。
5-1.残業が多い傾向がある
ゼネコンのデメリットとして、残業が比較的多い傾向にあることが挙げられます。
国土交通省が公表している「建設業及び建設工事従事者の現状」によれば、建築業界の年間労働時間は、所定内労働が1,918時間、所定外労働が160時間(計2,078時間)です。
参照:建設業及び建設工事従事者の現状
https://www.mlit.go.jp/common/001180947.pdf
運輸業・郵便業の年間2,082時間に比べるとわずかに少ない数値ですが、全産業の平均1,741時間と比較すると大幅に多い労働時間です。
残業時間(所定外労働時間)の160時間は他の産業と比べて少ない傾向ですが、大手ゼネコンの技術者は実態として残業時間が多いとされています。
5-2.土日に休めないこともある
前述のとおり、「建設業及び建設工事従事者の現状」で公表されている建築業界の年間労働時間は、所定内労働が1,918時間です。
運輸業・郵便業の1,777時間、製造業の1,768時間と比較してもかなり多い数値となっています。全産業の平均値1,609時間と比較すれば、年間で300時間以上も所定内労働が多いという結果です。
参考:建設業及び建設工事従事者の現状
https://www.mlit.go.jp/common/001180947.pdf
これは、他の産業に比べて週2日の休みがないことが主な要因とされています。土日にしっかり休日を取得したい方にとっては大変と感じるかもしれません。
5-3.納期によるプレッシャーがある
ゼネコンでは、施工管理がもっとも重要な仕事です。
施工管理の目的は、顧客の希望納期どおりに建造物を完成させることにあります。納期が短く施工のスケジュールに余裕がない場合はプレッシャーを感じることもあるでしょう。
6.ゼネコンで働くには?
未経験や無資格でもゼネコンへ中途入社することは可能です。ただし、「施工管理経験が1年以上」など実務経験が求められることもあります。転職を成功させるなら、まずは実務経験の要件があるかを確認しましょう。
また、未経験可の求人でも、資格やスキルを持っているに越したことはありません。以下にゼネコンへの転職活動で有利になる資格やスキルをご紹介しますので、今後の転職活動の参考にしてみてください。
6-1.あると良い資格
ゼネコンへの転職にあたって持っていると有利になる資格としては、以下の3つがあります。
6-1-1.1級建築施工管理技士
1級建築施工管理技能士は、建築一式工事の監理技術者証の交付が受けられる資格です。
施工においては施工管理、工程管理、品質管理が主な役割となり、ゼネコンで施工部門に関わるならあったほうが良い資格といえます。将来的に現場所長を目指す方にもおすすめです。
6-1-2.1級土木施工管理技士
1級土木施工管理技能士は、道路や河川などの工事において施工や安全・品質管理をおこなう仕事です。
土木工事では監理技術者にもなれます。請負金額が4,000万円以上の土木工事では監理技術者の選任が必須であるため需要の高い資格です。
6-1-3.一級建築士
建築物の設計や工事監理、建設工事の指導などがおこなえる資格です。
建築物の調査や建築に関する法令の手続きまで代理でおこなえる資格であり、大手ゼネコンでは取得が求められることが多くなります。
6-2.求められる能力
ゼネコンへの転職で求められる能力としては以下の2つがあります。
6-2-1.高いコミュニケーション能力・交渉力
ゼネコンの現場では、多くのスタッフや関係者と協力する必要があります。トラブルが生じた際は各企業と連携して対処するため、コミュニケーション能力は欠かせません。
現場の職人、本社スタッフ、顧客と迅速に打ち合わせをおこない、的確に判断していくことで、初めて良い建物ができあがります。
また、納期管理でもコミュニケーション能力は重要です。現場の職人と信頼関係を築いておけば納期交渉やトラブル対応が円滑に進み、工事がスケジュールどおりに進行しやすくなります。
6-2-2.提案力
ゼネコンのなかでもエンジニアリングの領域で働く場合、専門的な知識だけではなく、顧客への提案力が求められます。
専門的な言葉をわかりやすく説明することができれば、業務をスムーズに遂行できるでしょう。
7.まとめ
ゼネコンは、道路や橋、河川など、人間の生活に欠かせないインフラの設計や施工管理に携われる仕事です。
給与水準が高く、景気に左右されないという強みもあります。繁忙期は仕事が忙しく、週休2日の休みが取りにくいといったデメリットもありますが、モノづくりが好きな方は大きなやりがいが得られます。
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