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更新日:2024年04月26日

転籍とは?拒否できるの?従業員側のメリット・デメリット、同意の際の注意点

転籍とは?拒否できるの?従業員側のメリット・デメリット、同意の際の注意点

※この記事は6分で読めます。

「転籍って何?」
「転籍して働くメリット・デメリットが知りたい」
など、転籍に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

転籍は、いま雇用されている企業との労働契約を解除し、グループ企業や関連企業で新しく労働契約を結ぶ人事異動の1つです。

今回は、転籍の概要、転籍とよく似た用語との違い、メリット・デメリット、転籍を拒否できるのか、同意する際の注意点などを解説します。この記事を読めば転籍のことがよくわかり、企業から転籍を命じられたときに正しい判断ができるようになります。

1.転籍とは?

転籍(てんせき)とは、企業で働く従業員が企業との労働契約を解除して、別の企業と労働契約を結ぶことです。

転籍すると、従業員は新しい会社かつ新しい労働条件で働き始めることになります。なお、元いた企業との雇用契約は解除になるので、転籍すると元の企業に戻ることはできません。

今の企業と雇用契約を解除して新しい会社で働き始める点では「転職」と似ています。ただ、転籍は転職と違って「企業側が新しく働く企業を決める」という違いがあります。

  • 転職:自分が主体で次に働く会社を決める
  • 転籍:会社がグループ企業や関連企業のなかから従業員が移籍する先を決める

転籍の目的の1つは、雇用の確保です。グループ会社で人員整理の必要性が生じたときに、解雇したり自主退職を促したりするのではなく、転籍にすることで人員削減と中高年社員の雇用確保を同時におこなえます。

2.転籍とよく似た用語との違い

ビジネス用語には、「転籍」と似たような使い方をする言葉がいくつかあります。ここでは、転籍と「出向」「左遷」「配転」といった似た言葉との違いを紹介します。

2-1.出向との違い

出向(しゅっこう)は、従業員が今の会社と雇用契約を結んだまま、他の企業の指揮下で業務をおこなう人事異動のことです。

出向前に在籍した企業では休職扱いになり、休職前の地位が維持される点が転籍とは異なります。給与の支払いなどの雇用について責任を追うのも、出向元企業です。

ただし、就業規則については出向先の企業のものが適用されます。

出向は、転籍と同じく「人員が不足するグループ企業にヘルプの人材を出す」といった雇用調整だけでなく、出向社員の人材育成や企業間交流も目的に含まれます。

一定期間にわたって出向して目的を達成した社員は、元いた企業に戻って復職するのが一般的です。

2-2.左遷との違い

左遷(させん)とは、企業や従業員に何らかの事情がある場合に、所属部署や所属企業を変更させることです。

法律用語ではないので正確な定義はありませんが、一般的には従業員側に何らかの落ち度があった場合に、企業側の命令で本人が希望しない部署に異動させることを左遷と呼びます。

逆に、従業員が会社に多大な貢献をしたときに、本人が希望する部署や、いわゆる出世コースとされる部署に異動になるケースもあります。こちらは「栄転(えいてん)」と表現されるのが一般的です。

2-3.配転との違い

配転(はいてん)は「配置転換」の略であり、職務の内容や勤務場所の片方、または両方を相当の長期にわたって変更することを指します。

「同じ企業の東京本社から福岡支店に異動」という場所の配置転換や、「同じ東京支店のなかで営業部から総務部に異動」といった仕事の配置転換が代表例です。

配転はグループ企業への異動を伴わず、自社内での異動というのが転籍と大きく異なります。

3.転籍するメリット

転籍することには、主に3つのメリットがあります。ここでは、転籍がご自身にとってどのようなメリットがあるのかどうかチェックしておきましょう。

3-1.退職金がもらえる

転籍では、元いた企業の雇用契約が終了になるため、「退職」という扱いになります。退職した時点で退職金の支給要件を満たしていれば、退職金の支給を受けられます。

転籍では新しく働く企業も用意されるので、退職金を使わなくてもそのあとも生活ができるでしょう。

ただし、転籍先がグループ企業や子会社であって勤続年数が継続する決まりがある場合は、退職金を受け取らずに積立が継続されるケースもあります。

3-2.スキルや経験が増える

転籍ではグループ内の別企業や子会社に移籍することになりますが、移籍する先の部署がいまの仕事と同じ仕事をする部署とは限りません。転籍前の親会社と転籍後の子会社で、仕事内容がまったく異なる可能性もあります。

一から覚えなければいけない仕事も増え大変なこともありますが、そのぶん、今までの会社では絶対に身につかなかった知識や経験を得られる可能性もあるでしょう。

3-3.キャリアアップにつながることもある

転籍は出向と違って移籍前の企業に戻ることはありませんが、グループ企業としての人材育成の一環という意味合いもあります。

「転籍先で管理職としての経験をして、キャリアアップしてもらうため」という企業の狙いのもとで転籍するパターンもあるでしょう。

人によっては、転籍先の仕事をしっかりこなすことでキャリアアップが実現し、転籍前には実現できなかった管理職への昇進を果たせるかもしれません。

UTグループでも、キャリアアップ制度の一環として、製造技能職からエンジニアへのキャリアチェンジや、顧客企業への転籍支援を実施しています。

従業員の雇用確保やキャリアアップにつなげることが目的であり、UTグループ内の企業だけでなく顧客企業にも転籍して今まで以上のポストを目指すことも可能です。

UTグループのキャリアアップ制度については、以下のページで詳しく解説しています。

キャリアアップ制度について

4.転籍するデメリット

転籍にはキャリアアップにつながるなどのメリットがある一方、デメリットも存在します。転籍を命じられた際にどのようなデメリットがあるのか、一つずつ確認していきましょう。

4-1.労働条件が変わる

転籍ではこれまで在籍していた企業との雇用契約を終了し、転籍後はこれまでの労働条件は引き継がれません。

転籍先の労働条件の下で働くことが必要になります。グループ企業なら大きな労働条件の変化はないかもしれませんが、転籍先の部署によっては「年間休日が減る」「出勤がシフト制になる」といった変化があるかもしれません。

休憩時間が変わる、定時の時間が変わるといった、客観的に見れば小さなできごとでも転籍する労働者にとってストレスになる可能性はあるでしょう。

4-2.転籍先のマニュアルを覚える必要がある

転籍の場合、違う企業への移籍になるので、グループ企業の同じ職種での転籍だったとしても、これまでとは異なるマニュアルを守る必要があります。

これまでコツコツと覚えてきたマニュアルを忘れ、また一から覚え直さなければいけません。

4-3.ライフスタイルが大きく変化することもある

転籍することで、これまでとライフスタイルが大きく変化する可能性があるのもデメリットの1つです。

例えば、以下のような変化が考えられます。

  • シフト制になったことで土日が出勤になるケースが増える
  • 出勤時間が遅くなったことで退勤時間が遅くなり、子どもと会う時間が減る
  • 勤務先が遠くなることで通勤時間が長くなる

今までとは異なる労働条件で働くことでプライベートにも大きな変化が生じ、転籍する本人にとって大きなストレスになるかもしれません。

5.転籍は拒否できる?

転籍は出向と違って、転籍する労働者本人の同意なしには実施することができません。これは、転籍が労働契約を終了させて新しい労働契約を結ぶという性質上、労働者が不利益を受けるおそれがあるためです。

一時的な人事異動ではない転籍は、移籍先がグループ企業であろうとも本人の同意が必須であり、転籍を命じられた労働者は転籍を拒否することができます。

転籍を拒否したからといって、企業側が何らかの懲罰や処罰をすることは認められません。転籍を拒否したことだけが理由で解雇される心配はないので、納得できなければ転籍できない旨を伝えましょう。

条件次第では転籍しても良いと思うなら労働条件を明確にしてもらい、不利益がある場合には「代償措置」について会社と十分に話し合うことが必要です。

また、採用面接の場で転籍の説明があった際は、「内定がほしいから」と安易に承諾しないように注意しましょう。

6.転籍の同意をする際の注意点

転籍は転職活動をせずとも新しい企業で働けるので、収入を確保することはできます。ただ、今までの労働条件とは異なってしまうなど、注意点があるのも事実です。

これからご紹介する3つの注意点については、転籍に同意をする前によく確認しておきましょう。

6-1.労働条件はすみずみまで確認する

転籍後の労働条件と、転籍前の労働条件はまったく異なる場合があります。転籍後の労働条件が転籍前と比較して自分に不利益が生じていないかどうか、すみずみまで確認しましょう。

転籍に合意すると労働条件に合意したことになるため、確認が不十分だと今までよりも不利な条件で働くことになりかねません。不明瞭な部分は詳細を確認するなど、徹底的に労働条件を見直し、安易に合意することは避けましょう。

不利に感じた労働条件は、会社側と話し合って解消してから合意することが大切です。

6-2.退職金の有無や支払い時期を確認する

転籍では元いた会社をいったん退職するという形であるため、勤続年数がリセットされます。勤続年数がリセットされると、将来受け取れる退職金額に影響します。

転籍時に今までの勤続年数分の退職金を受け取れるかは、老後資金確保のためにも非常に重要です。

転籍する企業によっては勤続年数を引き継ぐ場合もありますが、同意前に必ず確認しましょう。

「元の会社で退職金を受け取って清算するのか、勤続年数を転籍先に引き継げるのかを知りたい」と人事部や総務部に確認し、受け取れるなら受け取り時期についても確認しましょう。

6-3.問題ないと判断できてから同意する

会社に在籍したまま別の企業で働く出向と違い、転籍は一方通行になるため労働者の同意が不可欠です。

同意する前に、転籍先の労働条件や退職金額、退職金の支払い時期など、転籍の条件にすべて納得してから同意をしましょう。

「退職金は十分にもらえるけど、労働条件は悪くなる……」といったケースもありますが、その場合は安易に合意せず、自分が転籍先で長く働けるかしっかりと考えましょう。

不明点はすべて確認し、納得がいく答えが出てから同意することで、転籍先でも長く働けるでしょう。

7.まとめ

退職したうえで一方的に異動になる転籍は、労働者が同意しない限りは実現しません。転籍先の労働環境や労働条件をしっかりと確認し、可能な限り交渉して納得してから同意に進みましょう。

JOBPALのキャリアアップ制度には、転籍支援があります。大手メーカーを中心とした顧客企業への転籍をサポートする仕組みが整っており、一般的な転職活動では難しかったり、募集していない大手メーカー・ゼネコンの社員になれるチャンスもあります。

気になる方は気軽な転職相談を受け付けていますので、ぜひご活用ください。

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