再就職手当とは?受給条件やハローワーク以外で就職する際の注意点を解説

この記事で分かること
- ハローワーク以外で再就職した場合でも、受給条件を満たしていれば、再就職手当は受給できる
- 再就職手当を受給できるハローワーク以外の就職経路は、求人サイトや知人の紹介などさまざま
- 再就職手当には、経済的な負担や仕事がないという精神的な不安を軽減するメリットがある
- 失業手当は、再就職手当を受給するタイミングで打ち切りになる点に注意が必要
- 再就職手当の金額は「基本手当日額×支給残日数×給付率」で算出できる
※この記事は6分30秒で読めます。
「ハローワーク以外で就職した場合でも再就職手当は受給できる?」
「再就職手当を受給する際の手続きの流れは?」
など、ハローワーク以外で就職した場合の再就職手当に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
実は、ハローワーク以外で就職した場合でも、再就職手当を受け取れることがあります。
今回は、再就職手当の概要やメリット・デメリット、手続きの流れ、ハローワーク以外で就職する際の注意点などを詳しく解説します。この記事を読めば、ハローワーク以外で就職した場合に再就職手当を受給する方法が深く理解できるでしょう。
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1.再就職手当とは?
再就職手当とは、早期の再就職を促すための手当のことです。失業保険の基本手当(いわゆる失業手当)の受給資格がある方が仕事に就いたときに受け取れます。
失業手当の給付満了を待たず、早期の再就職を支援することを目的にしており、失業手当の支給期間を3分の1以上残して再就職した場合に支給されます。
再就職が早ければ早いほど、給付率が高くなる仕組みです。
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参照:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
1-1.再就職手当と失業手当の違い
失業手当は、正式には基本手当といい、雇用保険の被保険者期間が一定以上ある方が失業の状態になった場合に支給される手当です。
離職理由や被保険者期間、退職時の年齢などによって90日〜360日の所定給付日数が決められます。
失業手当と再就職手当の違いは、「支給のタイミング」と「支給の目的」の2点です。
再就職手当 | 失業手当 | |
---|---|---|
支給のタイミング | 失業手当の給付期間中に早期の再就職ができた場合 | 失業から再就職までの期間 |
目的 | 早期の再就職を促す | 失業中の生活を安定させる |
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(※)参照:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
2.再就職手当を受給するメリット
ここでは、再就職手当を受給するメリットを3つ紹介します。
2-1.経済的な負担を軽減できる
失業中は失業手当として一定の手当を受け取れますが、今までもらっていた給与の満額ではありません。
離職者の賃金日額に基づいて基本手当日額が決められますが、賃金日額と基本手当日額には上限があります。例えば、29歳以下の方は賃金日額が1万4,130円、基本手当日額は7,065円とそれぞれ上限が決められています(※2025年1月23日時点)。
例からわかるとおり、受け取れる失業手当の日額は、今までの給与の約半分です。失業手当を受け取ることで、ある程度の生活水準は維持できますが、離職前よりも切り詰めた生活を送らなければなりません。
一方で、再就職手当を受け取るということは、新しい会社に就職したり開業したりして、失業の状態から脱却しているということです。
早期に新たな働き口を見つけることで、収入を得つつ再就職手当も受給できれば、経済的な心配を軽減できるでしょう。
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参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~」
https://www.mhlw.go.jp/content/001281480.pdf
2-2.仕事がない不安を和らげられる
早くに再就職をすると、仕事がないことに対する漠然とした不安から解消されるメリットがあります。
求職中の方の中には、失業期間が長引き、社会復帰への道が遠のいてしまうことに不安を感じる方もいます。
しかし、再就職手当を受け取れるくらい早期に転職を成功させられれば、社会人としてのブランクも短く済み、スムーズに次の仕事に打ち込むことができるでしょう。
2-3.1年以内に退職しても返金の必要がない
1年以内に退職することが最初からわかっている場合は再就職手当を受給できませんが、1年以上継続して働く見込みがあれば受給可能です。
当初は1年以上働く見込みだったにもかかわらず、何らかの理由で1年以内に退職した場合でも返金の必要はありません。
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参照:厚生労働省「再就職手当のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001129215.pdf
3.再就職手当を受給するデメリット
ここでは、再就職手当を受給するデメリットを2つ紹介します。
3-1.失業手当が打ち切りになる
再就職手当を受給できるということは、失業の状態に該当しなくなるということです。そのため、失業手当の支給は打ち切りになります。
再就職手当は、再就職したことで受け取れなくなる失業手当の一部を祝い金として受け取れる制度だと理解しておきましょう。
3-2.再就職先を焦って決めてしまう可能性がある
再就職手当を受給するには、失業手当の支給残日数が3分の1以上残っている必要があり、支給残日数が多く残るほど受け取れる金額が大きくなります。
しかし、少しでも多くの再就職手当を受け取ろうと焦って再就職先を決めてしまわないよう注意が必要です。
再就職手当を受け取ることが目的になってしまうと、自分が求める条件と合わない企業に妥協して就職することになってしまうかもしれません。
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参照:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
4.再就職手当の受給条件
再就職手当を受給するためには、厚生労働省が定めた以下8つの条件をすべて満たす必要があります。
- 受給の手続き後、7日間の待期期間が満了してから就職または事業を開始したこと
- 就職日の前日までの失業認定を受け、失業手当の支給日数が3分の1以上残っていること
- 前職の関連会社や取引先など、前職と密接な関わりがない再就職先であること
- 離職理由により給付制限がある方の場合、待期期間満了後1ヵ月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
- 再就職先で1年以上勤務する見込みがあること
- 雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定前から内定していた再就職先でないこと
なお、職業紹介事業者とは、求人者と求職者のあいだを取り持ち、職業紹介をおこなう事業者を指します。代表例としては転職エージェントが挙げられます。
上記8つの条件をすべて満たしたうえで、受給手続きを進めましょう。受給条件についてわからないことがある場合は、お近くのハローワークに相談すれば詳細を教えてもらえます。
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参照:厚生労働省「再就職手当のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001129215.pdf
5.ハローワーク以外で就職が決まった場合の再就職手当
ハローワーク以外で就職が決まっても、再就職手当の受給条件さえ満たしていれば、再就職手当の受給は可能です。
例えば、会社都合による退職で給付制限がなく、7日間の待期期間後に再就職すれば、ハローワーク以外の紹介でも再就職手当を受給できます。
ただし、受給条件にあるとおり、自己都合退職で給付制限がある場合は、待期期間満了後1ヵ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職のみが再就職手当の受給対象です。
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参照:厚生労働省「再就職手当のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001129215.pdf
5-1.再就職手当を受給できるハローワーク以外での主な就職方法
再就職手当を受給できるハローワーク以外での主な就職方法には以下があります。
- 求人サイト
- 転職エージェント
- 新聞・雑誌・Webなどの求人広告
- 企業への直接応募
- 知人の紹介
基本的に、再就職手当の受給条件さえ満たしていれば、就職の経路は問われません。再就職手当をもらいたい場合でも、自分に合った方法で再就職を目指しましょう。
なお、前述のとおり転職エージェントは職業紹介事業者にあたります。そのため、自己都合退職で給付制限がある方は、待期期間満了後の1ヵ月間に転職エージェントの紹介で就職した場合も、再就職手当の受給対象になることがあります。
6.ハローワーク以外で就職する際の注意点
再就職手当は、受給条件を満たせば、ハローワーク以外の経路で就職しても受給できるものです。ただし、ハローワーク以外の経路で就職する場合も、再就職手当を受給するための手続きは、ハローワークでおこなわなければなりません。
そもそも再就職手当を受給するには、「失業手当(基本手当)の受給対象者」であることが前提です。
失業手当を受給するには、ハローワークで失業手当の受給申請が必要です。さらに、ハローワークに来所し求職の申し込みをおこなうといった再就職の意思を示さないと、失業手当の受給が認められないことがあります。
つまり、ハローワーク以外の経路で再就職する場合も、ハローワークに通って求職活動をおこなったり、失業手当や再就職手当の受給申請をしたりしなければなりません。
また、失業手当の受給が認められるまでに時間がかかることも考えられます。申請のタイミングによっては失業手当を受給できる時期が遅れたり、再就職手当を受給できなかったりする可能性があります。
そのため、退職後は早めにハローワークで失業手当の受給申請をおこなうことが大切です。
7.再就職手当の受給金額の目安
再就職手当の受給金額には計算式があります。計算してみることで受け取れる再就職手当の金額が大まかにわかります。
7-1.再就職手当の受給金額の計算方法
再就職手当の受給額の計算式は以下のとおりです。
再就職手当の受給額=基本手当日額×支給残日数×給付率
給付率は、再就職した時点で基本手当の支給残日数がどれくらい(最低でも3分の1以上が必要)残っているかで60%または70%のいずれかになります(※1)。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている:給付率70%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている:給付率60%
基本手当日額は、失業手当が1日あたりいくらもらえるかを指し、「離職前の6ヵ月間の給与合計額÷180(日)×給付率」の計算式で算出できます。
給付率は50%~80%(60~64歳は45%~80%)となっており、賃金が低いほど高い率が適用されます(※2)。
なお、令和6年8月1日から、年齢ごとの基本手当日額の上限は以下のように決まっています。(※3)
30歳未満 | 7,065円 |
30歳以上45歳未満 | 7,845円 |
45歳以上60歳未満 | 8,635円 |
60歳以上65歳未満 | 7,420円 |
上記の給付率や基本手当日額の上限をもとに、再就職手当の受給金額を計算してみましょう。
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(※1)参照:厚生労働省「再就職手当のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001129215.pdf
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(※2)参照:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
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(※3)参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~」
https://www.mhlw.go.jp/content/001281480.pdf
7-2.再就職手当の受給金額の例
前述した計算式をもとに、具体的にどれぐらい再就職手当を受け取れるのか、3つのパターンを例に考えてみましょう。
【例1:基本手当日額4,000円、所定給付日数90日、給付制限期間中に就職した場合】
所定給付日数90日に対し基本手当の支給残日数が90日(100%)残っている場合、給付率は70%となるため、計算式に当てはめると以下の金額となります。
4,000円×90日×70%=25万2,000円
【例2:基本手当日額4,000円、所定給付日数270日、受給資格決定日以後50日目に就職した場合】
待期期間は受給資格決定日を含めて7日とされているため、50日目に就職した場合、就職日の前日までの支給日数は42日分です。
つまり、所定給付日数270日に対し基本手当の支給残日数が228日(約84%)残っているため、給付率は70%となり、計算式に当てはめると以下の金額となります。
4,000円×228日×70%=63万8,400円
【例3:基本手当日額4,000円、所定給付日数270日、受給資格決定日以後100日目に就職した場合】
例2と同様に、待期期間は受給資格決定日を含めて7日とされています。そのため、100日目に就職した場合、就職日の前日までの支給日数は92日分です。
つまり、所定給付日数270日に対し基本手当の支給残日数が178日(約66%)残っているため、給付率は60%となり、計算式に当てはめると以下の金額となります。
4,000円×178日×60%=42万7,200円
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参照:厚生労働省「再就職手当のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001129215.pdf
8.再就職手当を受給する手続きの流れ
ここでは、実際に再就職手当を受け取るまでの流れを紹介します。
8-1.①採用証明書をハローワークに提出する
再就職先が決まったら、ハローワークに採用証明書を提出しましょう。
採用証明書は、本人記入欄と事業主記入欄があるため、再就職先にも必要事項を記入してもらう必要があります。
採用証明書の必要事項をすべて記入できたら、ハローワークの窓口へ提出する流れです。
なお、採用証明書は失業手当の手続きをした際に受け取ります。手元にない場合はハローワークや厚生労働省のサイトから入手できますが、自治体ごとに形式が異なる点に注意してください。
8-2.②再就職手当支給申請書を受け取る
再就職手当支給申請書を受け取るには、採用証明書と合わせて以下の2点をハローワークに提出する必要があります。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
雇用保険受給資格者証と失業認定申告書は、ハローワークで求職の申し込みをして、失業手当の受給説明会に参加した際に受け取ります。なお、失業認定報告書は失業期間中の求職活動について記載したものです。
必要書類をハローワークに提出し、再就職手当を受給する条件を満たしていると判断されれば、再就職手当支給申請書が発行されます。
8-3.③再就職先に再就職手当支給申請書を記載してもらう
ハローワークで再就職手当支給申請書を受け取ったら、再就職先に提出し、必要事項を記入してもらいましょう。
8-4.④再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証を提出する
再就職先に必要事項を記入してもらった再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証をハローワークに提出しましょう。
場合によっては、タイムカードの写しや再就職先での勤務実績、前職と再就職先が無関係であることの証明書など、追加で書類の提出を求められることがあります。指示があったものは受給に必要なため、指示に従ってすべて用意しましょう。
9.再就職手当の申請期限
再就職手当の受給には申請期限があり、原則として再就職してから1ヵ月以内となっています。
ただし、期限を過ぎたら絶対に受け取れないわけではありません。申請が時効となるのは就職日の翌日から2年後のため、それまでの期間であれば申請は可能です。
とはいえ、支給に必要な手続きは時間を要する可能性もあるため、やむを得ない事情がない限り、就職後1ヵ月以内に申請しましょう。
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参照:厚生労働省「雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、支給申請が可能です」
https://www.mhlw.go.jp/content/000993613.pdf
10.再就職手当を受給できないケース
ここでは、再就職手当を受給できないケースを詳しく紹介します。
10-1.再就職先で雇用保険に加入していない場合
再就職手当の受給は、再就職先で雇用保険に加入することが前提です。
再就職先で雇用保険に加入しない場合は受給要件を満たせず、再就職手当の対象になりません。
10-2.支給残日数が足りない場合
再就職手当を受け取るための基本的な条件として、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている必要があります。
例えば、所定給付日数が90日なら、支給残日数が30日以上残っていなければいけません。支給残日数が29日以下になった時点で再就職手当の受給対象から外れます。
このように、基本手当の支給残日数が不足している場合は、再就職手当を受給できません。
10-3.短期間のみ働く場合
再就職先で1年以上の雇用が見込まれる場合のみ、再就職手当を受給できます。
そのため、最初から1年未満で辞めることを想定した働き方では、再就職手当を受給できません。具体的には、短期アルバイトや契約期間が1年未満の派遣社員などが挙げられます。
ただし、正社員でなければ受給できないという意味ではありません。アルバイトや派遣社員であっても、1年以上の雇用の見込みがある場合は、再就職手当の受給は可能です。
10-4.退職前と同じ会社や密接な関係がある会社で働く場合
前職と同じ企業に再就職するケース、前職と資本関係にある関連会社や前職の取引先となっている会社に就職するケースでは、再就職手当を受給できません。
密接な関係にある会社間での転職で再就職手当を受給できるとなると、再就職手当の受給を目的として、故意に退職と再就職をして不正受給をおこなう方が現れることが懸念されます。
このような不正受給を防ぐため、意図的でない場合であっても、密接な関係にある会社への再就職では再就職手当が認められない仕組みになっています。
11.まとめ
ハローワーク以外で就職した場合も、受給条件さえ満たしていれば、再就職手当の受給は可能です。
ただし、受給条件にあるとおり、給付制限がある方は、給付制限期間のはじめの1ヵ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による再就職に限定されます。
また、転職サイトや知人の紹介などハローワーク以外で再就職する際も、再就職手当を受給するためには、ハローワークでの手続きや求職活動が必要になる点に注意しましょう。
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