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更新日:2024年01月30日

再就職手当とは?受給条件や受給金額、手続きの流れを解説

再就職手当とは?受給条件や受給金額、手続きの流れを解説

※この記事は6分で読めます。

「再就職手当ってどのような制度?」
「再就職手当を受け取る流れを知りたい」
など、再就職手当に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

再就職手当は、早期の再就職に成功した方が受給できる制度で、受け取れる金額は基本手当の日額や残支給日数によって変わります。

今回は、再就職手当の概要、失業手当との違い、メリット・デメリット、受け取る手順などを解説します。この記事を読めば再就職手当のことがよくわかり、いつまでに再就職すれば受け取れるのか知ることができます。

1.再就職手当とは?

再就職手当とは、失業保険の基本手当(いわゆる失業手当)の受給資格を満たしている方が、早期に安定した職に就いたり、開業したりした場合に受け取れる手当です。

失業手当の給付満了を待たず、早期の再就職を支援することを目的にしており、失業手当の支給期間を3分の1以上残して再就職した場合に支給されます。

早く再就職すればするほど、給付率が高くなる仕組みです。

2.再就職手当と失業手当の違い

失業手当は正しくは基本手当といい、雇用保険の被保険者期間が一定以上ある方が失業の状態になった場合に支給される手当です。

離職理由や被保険者期間、退職時の年齢などによって90日〜330日の所定給付日数が決められます。

失業手当と再就職手当は、支給のタイミング、支給の目的の2点で異なります。

失業手当は失業から再就職までの期間に支給されますが、再就職手当は失業手当の給付期間中に早期の再就職ができた場合に支給されます。

再就職手当が早期の再就職を促すことを目的にしているのに対し、失業手当は失業中の生活を安定させるという点で目的も異なります。

3.再就職手当を受給するメリット

再就職手当を受給すると、以下の3つのメリットを得ることができます。

  • 経済的な負担を軽減できる
  • 仕事がない不安を和らげられる
  • 1年以内に退職しても返金の必要がない

各メリットについてお伝えします。

3-1.経済的な負担を軽減できる

失業中は失業手当として一定の手当を受け取ることができますが、今まで得ていた給与の満額ではありません。

離職者の賃金日額に基づいて基本手当日額が決められますが、例えば29歳以下の方は賃金日額の上限が1万3,890円、基本手当日額では6,945円と決められています。

つまり、受け取れる失業手当の日額は今までの給与のおよそ半分ということです。失業手当を受け取ることである程度の生活水準は維持できますが、離職前よりも切り詰めた生活を送らなければなりません。

しかし、再就職手当を受け取るということは、新しい会社に就職したり開業したりして、失業の状態から脱却しているということです。

早期に新たな働き口を見つけることで、収入を得つつ再就職手当も受け取れれば、経済的な心配を軽減できるでしょう。

3-2.仕事がない不安を和らげられる

早く再就職をすることで、仕事がない、仕事が見つからないという漠然とした不安から解消されるメリットがあります。

求職中の方のなかには、失業期間が長引き社会復帰への道が遠のいてしまうことに不安を感じる方も少なくありません。

しかし、再就職手当を受け取れるくらい早期に転職を成功させられれば、社会人としてのブランクも短く済み、スムーズに次の仕事に打ち込むことができるでしょう。

3-3.1年以内に退職しても返金の必要がない

1年以内に退職することが最初からわかっている場合は再就職手当を受給できませんが、1年以上継続して働く見込みがあれば受給は可能です。

当初は1年以上働く見込みだったのに何らかの理由で1年以内に退職する可能性もありますが、その場合でも返金の義務はありません。

4.再就職手当を受給するデメリット

再就職手当は、社会人としてのブランクを短く抑えつつ経済的な不安からも解消されやすくなる制度です。しかし、以下のようなデメリットがあることも覚えておきましょう。

  • 失業手当が打ち切りになる
  • 再就職先を焦って決めてしまう可能性がある

それぞれについてお伝えします。

4-1.失業手当が打ち切りになる

再就職手当を受給できるということは、失業の状態に該当しなくなるということです。そのため、失業手当の支給は打ち切りになります。

再就職手当は、再就職したことで受け取れなくなる失業手当の一部を祝い金として受け取れる制度だと理解しておきましょう。

4-2.再就職先を焦って決めてしまう可能性がある

再就職手当を受給するには、失業手当の支給残日数が3分の1以上残っている必要があり、支給残日数が多く残るほど受け取れる金額が大きくなります。

しかし、少しでも多くの再就職手当を受け取ろうと焦って再就職先を決めてしまわないよう注意が必要です。

再就職手当を受け取ることが目的になってしまうと、自分が求める条件に合わない企業に妥協して就職することになってしまうかもしれません。

5.再就職手当の受給条件

再就職手当を受給するためには、厚生労働省が定めた以下の8つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の 3分の1以上あること
  • 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
  • 待期満了日以降の就職であること
  • 離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了後の1ヶ月間については、ハローワーク等または許可・届出のある職業紹介事業者等の紹介により就職したものであること
  • 離職前の事業主や、その関連事業主への再就職ではないこと
  • 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  • 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものではないこと
  • 原則として、雇用保険の被保険者資格要件を満たす条件での雇用であること

6.再就職手当の受給金額の目安

再就職手当の受給金額には計算式があります。計算してみることで受け取れる再就職手当が大まかにわかります。

6-1.再就職手当の受給金額の計算方法

再就職手当の受給金額の計算式は以下のとおりです。

再就職手当の受給額=基本手当日額×支給残日数×給付率

給付率は、再就職した時点で基本手当の支給残日数がどれくらい(最低でも3分の1以上が必要)残っているかで60%または70%のいずれかになります。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている:給付率70パーセント
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている:給付率60パーセント

基本手当日額は、失業手当が1日あたりいくらもらえるかを指し、「離職前の6ヵ月間の給与合計額÷180(日)×給付率」の計算式で算出できます。給付率は50%~80%(60~64歳は45%~80%)となっており、賃金が低いほど高い率が適用されます。

なお、令和5年8月1日現在、年齢ごとの基本手当日額は以下のように上限が決まっています。

30歳未満 6.945円
30歳以上45歳未満 7,715円
45歳以上60歳未満 8,490円
60歳以上65歳未満 7,294円

6-2.再就職手当の受給金額の例

前述した計算式をもとに、具体的にどれぐらい再就職手当が受け取れるのかを3つのパターンを例に考えてみましょう。

【例1:基本手当日額4,000円、所定給付日数90日、給付制限期間中に就職した場合】

所定給付日数90日に対し基本手当の支給残日数が90日(100%)残っている場合、給付率は70%となるため、計算式に当てはめると以下の金額となります。4,000円×90日×70%=25万2,000円

【例2:基本手当日額4,000円、所定給付日数270日、受給資格決定日以後50日目に就職した場合】

所定給付日数270日に対し基本手当の支給残日数が228日(約84%)残っているため、給付率は70%となり、計算式に当てはめると以下の金額となります。

※待期期間は受給資格決定日を含めて7日とされています。50日目に就職した場合、就職日の前日までの支給日数は42日分です。 4,000円×228日×70%=63万8,400円

【例3:基本手当日額4,000円、所定給付日数270日、受給資格決定日以後100日目に就職した場合】

所定給付日数270日に対し基本手当の支給残日数が178日(約66%)残っているため、給付率は60%となり、計算式に当てはめると以下の金額となります。

※待期期間は受給資格決定日を含めて7日とされています。100日目に就職した場合、就職日の前日までの支給日数は92日分です。 4,000円×178日×60%=42万7,200円

7.再就職手当を受給する手続きの流れ

ここでは、実際に再就職手当を受け取るまでの流れをご紹介します。

7-1.①採用証明書をハローワークに提出する

再就職先が決まったら、就職先からハローワークに提出する採用証明書を発行してもらいます。

7-2.②再就職手当支給申請書を受け取る

採用証明書が企業から発行されたら、それと合わせて以下の2点をハローワークに提出して、再就職手当支給申請書を受け取ります。

  • ハローワークで求職の申し込みをして失業手当の受給説明会を受けた際に受け取る雇用保険受給資格者証
  • 求職活動のことを記載した失業認定報告書

7-3.③再就職先に再就職手当支給申請書を記載してもらう

ハローワークから受け取った再就職手当支給申請書を再就職した企業に提出し、必要事項を記入してもらいます。

7-4.④再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証を提出する

再就職先の企業に記入してもらった再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証をハローワークに提出します。

タイムカードの写し、再就職先での勤務実績、前職と再就職先が無関係であることの証明書などの提出を求められることもあるため、指示に従って必要な書類をすべて用意しましょう。

8.再就職手当の申請期限

再就職手当の受給には申請期限があり、原則として再就職してから1ヵ月以内となっています。

ただし、期限を過ぎたら絶対に受け取れないと決まったわけではありません。申請が時効となるのは就職日の翌日から2年後のため、それまでの間であれば申請は可能です。

とはいえ、支給に必要な手続きに時間を要する可能性もあるため、やむを得ない事情がない限り、就職後1ヵ月以内に申請しましょう。

9.再就職手当を受給できないケース

再就職手当は、早期に再就職する方全員が受け取れるわけではなく、以下のケースでは受給できません。

  • 再就職先で雇用保険に加入していない場合
  • 支給残日数が足りない場合
  • 短期間のみ働く場合
  • 退職前と同じ会社や密接な関係がある会社で働く場合

それぞれについてお伝えします。

9-1.再就職先で雇用保険に加入していない場合

再就職手当の受給は、再就職先で雇用保険に加入することが前提です。

再就職先の会社で雇用保険に加入しない場合、再就職手当の受給要件を満たせません。

9-2.支給残日数が足りない場合

再就職手当を受け取るための基本的な条件として、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている必要があります。

例えば、所定給付日数が90日なら、支給残日数が30日以上残っていなければいけません。29日以下になった時点で再就職手当の受給対象から外れます。

9-3.短期間のみ働く場合

再就職先で1年以上の雇用が見込まれる場合のみ再就職手当を受給できます。最初から1年未満で辞める予定である働き方(短期アルバイトなど)では再就職手当を受給できません。

ただし、この決まりは、正社員でなければ受給できないという意味ではありません。アルバイトや派遣社員であっても、1年以上の雇用の見込みがあったり、受給条件を満たしていたりすれば、再就職手当の受給は可能です。

9-4.退職前と同じ会社や密接な関係がある会社で働く場合

退職前と同じ企業に就職するケースや、退職前の会社と資本関係にある関連会社、取引先となっている会社に就職するケースでは再就職手当を受給できません。

10.ハローワーク以外で就職が決まった場合の再就職手当について

ハローワークで給付の手続きをする再就職手当ですが、条件次第ではハローワークの紹介以外(求人サイトや求人広告、新聞広告、知人の紹介など)で就職しても受給できるケースがあります。

例えば、会社都合による退職で給付制限がなく、7日間の待期期間後に再就職すれば、ハローワーク以外の紹介でも再就職手当を受給できます。

自己都合退職の場合、3ヵ月間の給付制限期間中はハローワークの紹介で就職した場合のみ再就職手当を受給できます。

11.まとめ

再就職手当は、失業手当の給付残日数が3分の1以上ある場合に受給でき、3分の2以上残っていれば70%という高い割合で受け取れます。

再就職を早く決めるほどより多くの再就職手当を受け取れるため、なにかと物入りな再就職直後の生活において大きな支えとなるでしょう。

待期期間と給付制限期間を除けばハローワークからの紹介以外でも再就職手当を受け取ることは可能なので、転職サイトも上手に活用して自身に合う再就職先を探してみましょう。

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