上場企業とは?非上場や上場との違い、働くメリットや大変さを解説
※この記事は6分で読めます。
「上場企業ってどのような企業?」
「上場企業で働くメリットが知りたい」
など、上場企業に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
上場企業とは、証券取引所の審査を通過したうえで株式の取引が公開された企業のことです。働く側から見れば、知名度の高い企業で働ける、3ストックオプションなどを獲得できるといったメリットがあります。
今回は、上場企業の概要、分類、上場企業で働くことのメリット・デメリット、上場企業を調べる方法などを解説します。この記事を読めば上場企業のことがよくわかり、転職活動の企業選びの参考にできます。
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1.上場企業とは?
上場とは、企業が発行する株式を証券取引所で売買できるようにすることを指します。証券取引所の審査を経て上場する資格を得た会社が上場企業です。
すべての株式会社は、株式を発行することで会社の株式を市場に公開し、他企業や投資家などからの資金調達ができるようになります。
企業の規模に関係なく、証券取引所の審査を通過できれば上場企業になれます。逆に、大手企業で上場していない企業も数多くあります。
2023年10月現在、日本には、プライム、スタンダード、グロース、TOKYO PRO Marketといった市場があり、約4,000の企業が上場を果たしています。
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参照:上場会社数・上場株式数
https://www.jpx.co.jp/listing/co/index.html
1-1.非上場企業との違い
非上場企業とは、自社の株式を証券取引所に上場させていない企業のことです。主な株式の所有者は多くの場合、経営者や関連会社となっています。
上場企業との違いは、株式の流動性です。証券取引所に上場した企業の株式は世界中で取引できますが、非上場企業の株式は一般的に個人投資家が購入することは困難です。
非上場企業は広く株式を売りに出せないことで資金調達しにくい反面、買収されるリスクもないというメリットもあります。
1-2.上場の違い
非上場企業が証券取引所に上場して不特定多数の投資家が株式の売買を可能にするという手続きには、IPOという方法もあります。
IPOはInitial Public Offeringの略で、一部の株主にのみ所有を認めていた企業の株式を株式市場に初めて公開することで、不特定多数の投資家に向けて売り出すことを指します。
一方の上場は、株式会社が保有・発行する株式を証券取引所で取引できるようにすることです。
2.上場企業の分類
以前の東京証券取引所には、市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQ(スタンダード・グロース)という4つの市場区分がありました。この区分は、2022年4月4日からプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つに再編されています。
ここでは、2022年からの市場区分であるプライム・スタンダード・グロース市場の違いを見ていきましょう。
2-1.プライム市場
プライム市場は、市場再編前の市場第一部に相当する市場です。新区分としては最上位の区分であり、他の市場よりも高い上場基準が設定されています。
プライム市場への新規上場基準をまとめると、以下のとおりです。
項目 | 新規上場基準 |
---|---|
株主数 | 800人以上 |
流通株式数 | 2万単位以上 |
流通株式時価総額 | 100億円以上 |
売買代金 | 時価総額250億円以上 |
流通株式比率 | 35%以上 |
収益基盤 | ・最近2年間の利益合計が25億円以上 ・売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上 |
財政状態 | 純資産額50億円以上 |
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参照:東京証券取引所「上場審査基準」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/index.html
2-2.スタンダード市場
スタンダード市場は、再編前の市場第二部とJASDAQ(スタンダード)に相当する市場です。
上場企業としての基本のガバナンス水準を備えたうえで、持続的な企業成長を約束していることなどが条件になります。
スタンダード市場への新規上場基準をまとめると、以下のとおりです。
項目 | 新規上場基準 |
---|---|
株主数 | 400人以上 |
流通株式数 | 2,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 10億円以上 |
売買高 | - |
流通株式比率 | 25%以上 |
収益基盤 | 最近1年間の利益が1億円以上 |
財政状態 | 純資産が正であること |
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参照:東京証券取引所「上場審査基準」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/01.html
2-3.グロース市場
グロース市場は、市場区分再編前のマザーズとJASDAQ(グロース)の基準が統一された市場です。ベンチャー企業など創業から期間が経っていない新興企業のなかで高い成長性が期待できる企業のための市場といえます。
事業基盤が安定していない小規模の企業が多いことから、リスクに対しておおらかな投資家向けの市場といえるでしょう。
グロース市場への新規上場基準をまとめると、以下のとおりです。
項目 | 新規上場基準 |
---|---|
時価総額 | - |
株主数 | 150人以上 |
流通株式数 | 1,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 5億円以上 |
売買高 | - |
流通株式比率 | 25%以上 |
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参照:東京証券取引所「上場審査基準」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/02.html
3.上場企業で働くメリット
上場企業で働くことには、以下のようなメリットがあります。
3-1.知名度・社会的信用度が高い
上場企業は非上場の企業と比較して知名度が高いケースが多い点がメリットです。誰からも知られる企業に転職できれば、家族にも良い報告ができるでしょう。
また、知名度が低い会社であっても上場していることで社会的な信用度も増します。住宅ローンやマイカーローン、クレジットカード、カードローンなどの審査で有利に働く可能性もあるでしょう。
3-2.安心して働ける
長期的に安心して働けることも、上場企業に勤める大きなメリットです。
上場企業の業績数値は監査法人にチェックされており、財務情報は有価証券取引所などで公表されています。
従業員数の推移や勤続年数、給与といった転職希望者が気になる情報も公開されており、待遇に納得したうえで安心して働けます。
また、厳しい審査に適合した透明性の高い経営がおこなわれていることから、倒産リスクも低いと考えられます。
3-3.福利厚生や待遇が良い傾向がある
企業によっても異なりますが、上場企業は透明性の高い経営をしていることもあって年収が高い傾向にあります。
また、上場できるほどの企業なら小規模の企業に比べて子育てのサポートや家賃手当てなどが充実している傾向にあり、年収面でも福利厚生でも良い待遇が期待できるでしょう。
3-4.キャリアアップできる可能性が高まる
上場している企業は透明性の高い経営をしていますが、従業員の人事についてもしっかりと整備されています。
評価の基準やそれにともなう昇給・賞与アップの基準が明確に決まっていれば、従業員は基準をクリアするための目標設定が可能になり、キャリアアップの可能性が高まります。
3-5.ストックオプションなどを獲得できる
一部の上場企業では、ストックオプションを獲得できるメリットもあります。
ストックオプションとは、株式会社の役員・従業員が、権利を行使できる期間(=権利行使期間)のあいだに事前に定められた価格(権利行使価額)で自社株を購入する権利のことです。
権利行使価額で購入した株式を株価が上昇したタイミングで売却すれば、通常より大きな利益を得られる可能性があります。
会社の業績が向上するほど株価が上昇してストックオプションでの利益が大きくなるため、仕事に対するモチベーションにもつながるでしょう。
4.上場企業で働く際の大変さ
上場企業は知名度が高く、福利厚生も充実しているなど、さまざまなメリットがあります。ただし、これからご紹介するような大変さやデメリットもあるので、転職先を上場企業に絞るならば大変な部分も把握しておきましょう。
4-1.コンプライアンスが厳しい
上場企業はコンプライアンスが厳しいという点がデメリットになる可能性があります。
上場企業は経営活動の実績や今後の見通しなどを株主に開示する必要があり、売上や経費などの情報管理が厳格化されています。
また、法令順守も求められるため、社内の規則が厳しくなることも予想できます。社員の働き方にも一定の制限がかかる可能性があり、その制限が場合によってはデメリットに感じることもあるでしょう。
4-2.会社が買収される可能性もある
上場企業は資本力が高い企業が多く、倒産のリスクは低い傾向にあります。しかし、上場企業は株式を自由に売買できるため、買収リスクがあることは覚えておきましょう。
場合によっては会社に不利に働く株主に買収されることもあり、社名の変更や従業員の待遇悪化につながることも考えられます。
4-3.自分がやりたい仕事ができない場合もある
上場企業は銀行からの融資に加えて株式の発行による資金調達が可能であり、新規事業の立ち上げや既存事業の拡大といった経営判断がなされることもあります。
新規プロジェクトに従事できたり、大きな予算設定のなかで働けたりするのは、従業員にとって大きなメリットです。
反面、業務の幅が広がることで、自分が好きな業務、やりたい業務から離れることになる可能性もあります。
5.上場企業を調べる方法とは?
興味がある企業が上場企業なのか非上場企業なのかは、日本取引所グループの東証上場会社上場サービスやYahoo!ファイナンスで調べられます。
それぞれのサイトを使う方法をSTEP形式でまとめたので、参考にしてみてください。
5-1.東証上場会社上場サービス
【STEP1】サイトにアクセスする
東証上場会社情報サービス(https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/JJK010010Action.do?Show=Show)にアクセスする
【STEP2】必要情報を入力する
「銘柄名(会社名)」「コード」「市場区分」などの情報のうち、わかるものを入力
【STEP3】検索結果を確認する
検索結果に企業名が掲載されていれば、上場企業と判断できる
5-2.Yahoo!ファイナンス
【STEP1】サイトにアクセスする
Yahoo!ファイナンス(https://finance.yahoo.co.jp/)にアクセスする
【STEP2】会社名で検索
トップページ左上にある検索窓に企業名を入力する
【STEP3】検索結果を確認する
検索結果に企業名が掲載されていれば上場企業と判断できる
6.上場企業に転職を検討する際のポイント
上場企業に転職を検討する際のポイントは、非上場の企業に転職するときと大きくは変わりません。
志望動機と会社の事業内容がマッチしているか、企業の規模・知名度があって安心できるか、福利厚生や待遇は良いのかといったように、さまざまな点を考慮して応募企業を絞りこんでいきましょう。
避けたいのは、上場企業というだけで応募することです。上場していることはあくまでもメリットの1つであり、必ずしも待遇が良く自分の希望にマッチした働き方ができるとは限りません。
上場企業は会社の情報が開示されていることで事前調査がしやすいので、事業内容や将来性をしっかりと確かめたうえで応募しましょう。
7.まとめ
上場企業は、知名度や社会的な信用が高いため、入社すれば安心して働けるメリットがあります。一方、株式を自由に売買できるという仕組みもあり、買収されて待遇が悪化するリスクもあります。
また、業務内容が幅広い企業の場合、キャリアアップにつながる一方、自分がやりたい仕事に就けない可能性も高くなるでしょう。上場企業への応募を検討する場合は、メリット・デメリットの両面を良く理解しておくことをおすすめします。
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