一流ブランド絶賛の全自動ニット製造機で売上600億円の世界企業を作り上げた発明少年の秘密
「島耕作」は漫画の主人公ですが、島精機製作所の島正博社長はマンガ以上のサクセスストーリーを実現させた発明少年です。
彼が発明したニット編み機「ホールガーメント」は、ルイ・ヴィトンやエルメス、プラダなど欧米の一流ブランドから「東洋のマジック」と絶賛されています。
8歳で戦後を迎え、母と妹を支えながら築き上げた島精機製作所は、今や年間売上高600億円を稼ぎ出します。1、100件を超える発明を残し、「エジソンを超えた」と豪語する発明少年のサクセスストーリーをご紹介します。
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ウナギ釣りの名人から発明少年、さらに一躍世界企業へ
島社長は1937年、和歌山県和歌山市に生まれました。
終戦時に8歳だった島少年は、父親が戦死し、母と妹と空襲で焼けた家で空腹の毎日を過ごします。なんとか腹いっぱい食べられるようになりたいと、ウナギ釣りを工夫して一晩で100匹も捕まえたり、農地を開墾したりと、食べるために工夫を重ねるという経験を積みます。
その後、中学へ進むと近所の修理工場へ手伝いに出かけるようになり、工具で機械を組み立てる毎日を過ごします。
そして、16歳のときに特殊な工業用ミシンを発明。24歳で島精機製作所の前身となる会社を創業します。
26歳のときには手袋を縫い目なしで製造できる全自動手袋編機の開発に成功し、全国的な大ヒットとなりました。
島精機製作所を世界が注目する企業にしたのは、1995年に発表した「ホールガーメント」という無縫製横編機でした。セーターなどのニット製品を、洋服の形に立体的に編み上げていく機械です。ホールガーメントを使えば従来よりも速く製造でき、さらにコストを圧縮することもできます。そのため、グッチやプラダ、ベネトンなどの高級ブランドがこぞって導入を進め、島精機はニット編機の世界的メーカーに成長します。
島精機製作所のコンピューター横編機の世界シェアは60%に達するといいます。
新発明でメイドインジャパンの復権を
常に時代の先を読もうとする島社長は、インターネットやコンピューターグラフィックスにも関心を持って取り組んできました。
初代iPadが発売されたときには、100台まとめて購入したほど。CG映像でアパレル製品のサンプルを見せられないかと研究するなど、島精機製作所の技術者と一緒に、新たな機械の開発へ取り組んできました。
ホールガーメントが世界に認められる存在になってからも技術を進化させ続け、現在では糸の太さや種類、編み方、寸法などのデータを入力すると、即座に編機が試作品を編むシステムが完成しています。
今後は、お店で選んだデザインの服を自分にピッタリのサイズで制作してくれる…そんな未来が現実になる日も遠くないのかもしれません。
島社長はホールガーメントの新たなる進化によって「メイドインジャパンを復権したい」と語っています。
まとめ
島社長の発明の原点は「困っている人を助けたい」「人を喜ばせたい」というところに根差しています。
例えば、16歳のときにはじめて工業用ミシンを発明したのも、手袋の内職に苦しんでいる母親を少しでも楽にしてあげたいという思いやりからでした。
このように、「困っている人を助けたい」「人を喜ばせたい」という着眼点から生まれる発明品は、多くの人に必要とされやすく、経済的な成功にもつながりやすいようです。
「発明とは人のためになるものを創造すること」と、島社長は語ります。
いつもアイデアが詰めこんだメモ帳を持ち歩き、寝ても起きても頭のなかは新しい発明のことでいっぱい。「夢のなかでも発明のことを考え続けている」とのことです。
私たち一般人にはとてもマネのできない情熱のかたまりのような人ですが、ものづくりに関わる人間としては、島社長の人生には見習うべきことがたくさんありますね。
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