インセンティブとは?制度の種類や職種例、働くメリットや注意点を解説
※この記事は6分30秒で読めます。
「インセンティブって何?」
「インセンティブがある企業で働くメリットが知りたい」
など、インセンティブに関して疑問を持っている方もいるでしょう。
インセンティブとは、契約件数や売り上げなどの数値目標を達成した場合に「利益の○%」といった金銭などの見返りを受け取れる制度です。
今回は、インセンティブの概要、インセンティブ制度の種類、インセンティブ制度がある職業の例などを解説します。この記事を読めばインセンティブのことがよくわかり、仕事探しの参考にできます。
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1.インセンティブとは?
インセンティブは英語で「Incentive」と書き、刺激・励み・動機・誘因を表す言葉です。
ビジネスシーンにおけるインセンティブは社員を対象にした成果型の報奨金制度を示していることが一般的で、「実績に応じたインセンティブを支給する」といったように、社員のやる気の動機付けという意味で利用されます。
2.インセンティブ制度の種類
インセンティブには、仕事の評価に応じて金銭が支給されるものだけでなく、社員のやる気を向上させるさまざまな取り組みがあります。ここではインセンティブ制度の代表例を見ていきましょう。
2-1.物質的インセンティブ
物質的インセンティブとは、成果報酬として金銭や金銭の代替品を支給する形式のインセンティブのことです。一般的にインセンティブといえば物質的インセンティブを指します。
物質的インセンティブのなかでも特に現金を支給する制度を指す言葉が「金銭的インセンティブ」です。わかりやすいインセンティブであり、得られるメリットがはっきりしています。
社内の満足度向上だけでなく、企業が社外の関係者に向けて物質的インセンティブを提供する例も少なくありません。
2-2.評価的インセンティブ
評価的インセンティブは、従業員が出した成果が表彰されたり、昇進などの人事考課でプラスに働いたりするインセンティブのことです。
他の従業員の前で表彰されたり、昇進・昇格して待遇が向上したりすることで、自分の頑張りがみんなから評価されていると感じ、働く側の満足度向上につながります。
2-3.人的インセンティブ
人的インセンティブは、職場全体で良好な人間関係を構築することでモチベーションアップを図るインセンティブです。
先輩のために頑張りたい、職場のみんなで成果を喜び合いたいと従業員が感じる人間関係を構築できた状態を指します。働く環境やチームメンバーの質を重視する方に向いたインセンティブです。
2-4.理念的インセンティブ
理念的インセンティブは、企業理念や存在意義などによって従業員のモチベーションアップを図るインセンティブです。
企業がどのような社会貢献をしているかを開示することで、そこで働く従業員が「自分の仕事は世の中の役に立っている」と実感でき、精神的なやりがい・働きがいを得ることができます。
2-5.自己実現的インセンティブ
自己実現的インセンティブは、従業員個人の将来の目標やビジョンを実現させるためのインセンティブのことです。
従業員が希望するスキルが身につく仕事に挑戦できたり、夢を応援する制度が導入されたりするケースを指します。
キャリア形成に必要な研修が受けられる、外部研修の参加費用の一部を企業が負担してくれるなどが、具体的な自己実現的インセンティブの一例です。
3.インセンティブ制度とよく似た言葉
インセンティブ制度には混同されそうな制度がいくつかあるため、転職活動前にそれらの違いを理解しておくことをおすすめします。ここでは、インセンティブ制度とよく似た言葉の意味とインセンティブとの違いをチェックしておきましょう。
3-1.ボーナス(賞与)
ボーナス(賞与)は、毎月支給される定期給与とは別に支給される給与のことです。企業によっては一時金、特別手当などと呼ばれることもあります。
夏季賞与、冬季賞与など、年に1〜2回支給する企業が一般的です。一方、目標達成時の臨時ボーナスのように不定期に発生するケースもあります。
インセンティブとの違いは、基準となる成果です。インセンティブは個人の成績によって支給の有無や内容が異なる一方、ボーナスは企業の業績によって内容が変化します。
ボーナス(賞与)についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
3-2.報奨金
報奨金は、企業への貢献や努力を奨励するために支給される金銭のことです。
インセンティブにも「報奨」の意味があるため、言葉自体に意味の違いはほとんどありません。
3-3.歩合制
歩合制もインセンティブのように成果に応じて支給額が変わる制度であり、大きな分類としてはインセンティブと変わりません。
ただし、インセンティブは目標を達成することで支給されますが、歩合制は実績に応じて一定割合の支給が受けられるという違いがあります。
- インセンティブ:目標を達成すれば、利益の○%を給与に上乗せ
- 歩合制:契約一件ごとに、利益の○%を給与に上乗せ
というイメージです。
3-4.手当
手当は、毎月一定の金額あるいは条件を満たした時間分の金額が支払われる金銭のことです。個人の業績や実績に応じて支払われるインセンティブと異なり、手当は条件を満たせばどの従業員でも受け取れます。
手当には、通勤手当、住居手当など毎月固定で支給されるもののほか、勤務時間が長引いたぶんだけ支給される時間外労働手当などもあります。
以下の記事では夜勤手当について詳しく解説しています。併せてご覧ください。
4.インセンティブ制度がある職種例
インセンティブ制度は、業界によって積極的に導入されているケースと導入されにくいケースがあります。成果主義による高年収を狙うなら、まずはどの業界でインセンティブが多く導入されているかを知りましょう。
4-1.営業職
ひとくちに営業職といっても、業界ごとにインセンティブの有無は異なります。例えば製造業のルート営業の場合は、既存顧客から比較的安定した受注を得られるため、インセンティブが設定されていないケースが多いでしょう。
インセンティブが設定されるのは、新規顧客を獲得することで成果につながるタイプの営業です。一例としては以下のような業界があります。
- 保険業界
- 不動産業界
など
いずれも、業界の専門知識を持って顧客に有益な情報を提供したり、顧客の困りごとを解決したりといった知識力、提案力が求められます。
4-2.配送ドライバー
配送ドライバーとは運送会社に所属する運転手のことです。会社によっては、集荷や配送以外に営業も仕事になるセールスドライバーがあります。
配達エリア内の企業に営業をかけて配送業者として選んでもらうことはもちろん、契約している企業と配送料金や荷物の個数について交渉をすることも業務に含まれます。
企業によって給与体系は異なりますが、配送ドライバーは配達個数の多さや新しく契約成立した件数に応じてインセンティブが加算されていきます。
黙々と配送をするだけのルート配送と異なり、コミュニケーション能力に自信がある方に向いている仕事です。
配送ドライバーの仕事内容についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
4-3.タクシードライバー
タクシードライバーの給与体系は、基本給に加えて歩合給(インセンティブ)で構成されています。働けば働いたぶんだけ受け取れる給与にダイレクトに反映されます。
例えば、基本給が18万円であれば、これが最低限の給与設定になり、これに加えて売り上げの○%がインセンティブとして基本給に加わることが一般的です。
4-4.自動車販売
自動車業界のなかでも、ディーラーと呼ばれる自動車販売店で自動車を販売する仕事にはインセンティブが設定されています。
車の販売だけでなく、メンテナンスや自動車保険の販売促進もおこないます。成果主義の色が強く、販売した台数次第ではルート営業と比較して大きな年収を得ることも可能です。
成果によっては昇進が早まることもあり、若くして店長などの責任者に抜擢される可能性もあります。自動車が大好きで他の人が持っていない知識を有している方やコミュニケーション能力に長けた方に向いているでしょう。
4-5.医療機器・医薬品販売
医療機器や医薬品の販売もインセンティブがある仕事の代表的例です。
医療機器の場合は、MRIやCTといった大型機器からペースメーカーのような小型機器まで、メーカーによって扱う商材は幅広くあります。
販売して終わりではなく、購入者へのサポートやアフターフォローとして、医師や看護師への操作説明までが仕事に含まれます。医療従事者に機器の機能を説明するのに、最低限の医療知識が求められるのが一般的な販売職との違いです。
医師は患者の対応や学会への出席などで多忙な日々を送っていることも多く、営業の機会がもらえるまで根気強く待つ姿勢も重要となります。
4-6.IT系
ひとくちにIT系の仕事といっても非常に幅広く、職種によってはインセンティブが導入されている仕事もあります。代表的な職種は以下のとおりです。
- 営業
- エンジニア
など
IT業界の営業はサービスや商品の単価が高いこともあって、新規顧客の獲得にインセンティブが設定されるケースがあります。
エンジニアも、新規ビジネス作業支援で売上につながった場合に利益の30%を分配するなどのインセンティブが設定される例もあります。
ただし、IT営業は未経験からすぐに活躍できる仕事ではありません。ITといっても企業ごとに事業内容は大きく異なりますが、情報システム開発・導入、ソフトウェア導入、Webマーケティングなど、多くの場合は専門的かつ高度な内容が必要となるでしょう。
5.インセンティブ制度の有無を見極めるには?
インセンティブを期待して入社したのに実際にはインセンティブがなかった、ということがないよう、インセンティブ制度の有無は応募前に必ず確認しましょう。
インセンティブ制度の有無を確かめるには、求人サイトや求人誌の募集要項をしっかりと見ることが基本です。インセンティブが導入された企業の場合は、給与欄に「月給○万円以上+インセンティブ+賞与年2回」などの記載があります。
またインセンティブの内容についても、「契約を仲介した手数料の10%がインセンティブになる」のように詳細に記載されているケースもあります。
6.インセンティブ制度がある企業で働くメリット
インセンティブがある企業で働くと以下のようなメリットが得られます。
6-1.自分の頑張り次第で高収入を目指せる
インセンティブ制度は、一定の目標をクリアした場合に金銭などの支給を受けられる制度です。
誰でも受け取れるものではありませんが、自分の頑張り次第で若くして高収入を狙うことが可能です。新入社員であっても成果を出せればベテラン社員以上の年収を得ることもできるでしょう。
6-2.成果が反映されるのでやりがいを感じやすい
インセンティブ制度は、成果が給与や待遇に反映される制度です。
結果を出した分だけ評価されるという点では公平な制度であり、得られる給与が自分の働きからくるものとして納得感があります。「次も頑張ろう」というモチベーションの向上にもつながるでしょう。
7.インセンティブ制度がある企業に向いている方の特徴
インセンティブ制度を導入した企業に向いている方の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
7-1.責任感が強い
インセンティブ制度がある企業に向いているのは、仕事の結果に対して責任感が強い方です。
営業職の場合、月ごと・年ごとのスパンでノルマが設定され、インセンティブを受け取るにはノルマの達成が前提になるケースも少なくありません。
ノルマを達成できないとインセンティブを受け取れないだけでなく、評価に影響することもあり、責任感が強い方でないとノルマのプレッシャーにつぶされてしまうことも考えられるでしょう。
与えられたノルマを自分ごととして考え、真面目に仕事に取り組める方にインセンティブがある仕事は向いています。
7-2.気持ちの切り替えができる
インセンティブが得られる仕事は、気持ちの切り替えが得意な方に向いています。
インセンティブがない仕事よりも高収入が狙える半面、インセンティブが得られないと大きく収入が下がることもあります。努力しているのに契約につながらないような場合は精神的につらくなり、落ち込んでしまうかもしれません。
気持ちの切り替えがうまくできない方は、翌月までその気持ちを引きずって仕事に身が入らず、余計に契約が取れない悪循環に陥ることも考えられます。
8.インセンティブ制度がある企業で働く際の注意点
成果次第で高年収を狙いやすいのがインセンティブのメリットですが、働くうえで大変なことも多くあります。インセンティブがある企業への転職を考えている方は、これからご紹介する注意点を知っておきましょう。
8-1.毎月の給与が安定しない可能性がある
インセンティブが得られる仕事には営業職や販売職が多いですが、毎月同じ成果を得られるとは限りません。成果が異なれば受け取れるインセンティブも変わるため、給料が安定しにくい可能性があります。
できる限り生活を安定させたいなら、求人に応募する前に基本給に対するインセンティブの割合がどのくらいかを確認しておきましょう。
基本給の割合が大きい企業ほどインセンティブ収入は少なくなりますが、比較的安定した給与を得られます。
8-2.成果が出せないとモチベーション低下につながる可能性がある
インセンティブが得られる仕事でまったく成果が出ない場合は、基本給しか得ることができません。この基本給は、インセンティブなしの職種と比べて低い水準になることが一般的です。
そのため、成果が出ないことでモチベーションが低下してしまうことが考えられます。結果が出ないことでチームの足を引っ張ってしまう場合もあり、ますます仕事に対して情熱を感じられなくなるかもしれません。
8-3.チームとして仕事がやりにくくなる可能性がある
インセンティブは賞与と違って個人の成績単位で支給されるもののため、同じ部署やチームのなかで収入に格差が生じる場合があります。
また、チームワークよりも自分の売上を優先しようという利己的な感情が生まれ、会社への愛着や帰属意識が生まれにくいため、社内の雰囲気が悪くなったり、チームとして仕事がしづらくなったりする場合があります。
8-4.インセンティブ制度があることを前提条件にしない
インセンティブは成果が給与に反映するため、働く側にとって大きなメリットとなる制度です。ただし、それを前提条件にすると、成果が出なかった場合にモチベーションが大きく低下する恐れがあります。
インセンティブがあることだけを物差しにせず、基本給の高さや休日の日数、仕事のやりがい、将来性など、さまざまな点から比較検討をすることが大切です。
9.まとめ
インセンティブは自分の頑張りが金銭や昇進といった目に見える形で返ってくる制度です。ただし、成果が目に見えるからこそプレッシャーを感じてしまう側面もあります。
インセンティブが採用されている職種に転職する際は、インセンティブを狙う働き方が自分に合っているかを考えてみましょう。
そのうえで、インセンティブありの仕事を目指したいと思ったら、ぜひJOBPALでインセンティブありの求人をチェックしてください。
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